召喚獣がサイヤ人みたくなったんですが、これ俺の力なんすかね? 作:エア_
気は未だに発現しないのは辛い
高校二年生の春。俺は今桜並木を全力疾走していた。とても大きくダボダボな制服を身に纏い、今こそ風にならんと駆けていたのだ。桜並木の終着点にはがたいがとても良い背の高い男の人で、そしてこれからの新学期に再びお世話になる生活指導の教師、更には俺のトライアスロン仲間の西村先生がそこに立っていた。
「おっはようございま~す!」
「おぉ諏佐か。相変わらずだな。どうだ、記録は縮まったか?」
「勿論ですよ! 春休みの新期一発目の大会じゃあ6分縮みましたからね!」
胸張って威張る俺に、先生は腕を組んでウンウンと関心をしていた。
会って早々なんだけどトライアスロンの話をしだすあたり俺も先生もちょっとした運動馬鹿なのかもしれない。ただ違うのは勉強が出来る運動馬鹿なのが西村先生で、勉強が出来ない運動馬鹿なのが俺というところだろうか。う~む、文武両道とは難しいものだ。
「6分か。流石だといいたいが、あまり無理をするなよ?そのタイムならまた近いうちに大会出場記録だしな。勿論それに出るんだろう?」
「う~ん、出たいのは山々なんですけど。勉強できないからそっちの問題で出られそうに無いです」
頭を掻きながら俺は正直に西村先生に話した。実のところ、トライアスロン仲間という観点からよく西村先生とは交流がある。その都度勉強を教えてもらってはいるのだが、自分の頭は運動に直結してしまっているためにその親切を無駄にしているのだ。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。
「そうか・・・・・・。放課後毎日俺のところへ来い。補修をしてやる。そうすればお前も出られるだろう」
「ありがとう御座います!」
勉強は苦手だが嫌いではない俺にとって、この補修は実にありがたいものだ。確かに修行の時間が減ってしまうが、残念ながら未だ学生な俺にとっては問題ない。目指せ、孫悟飯級の頭脳! 目指せ、孫悟空級の戦闘力!
そう意気込んでいると、先生がため息をはいた。
「お前のようにあ奴らも勉強に取り組んでくれないものか」
「えっと、去年は単位ギリギリだったんでわからないんですけど、“あやつら”って誰ですか?」
一瞬、操螺さんなんて人がいるのかと思ったが、多分違うだろう。
単位ギリギリなのはいろいろな大会に出ていたからだ。未だに開花しないサイヤ人の才能、そのため俺は武術からスポーツからいろいろな大会に出て開花させようとそれなりの成績をたたき出しながら修行している。武術に関しての優勝記録は未だ健在だ。不敗だぜ。そのため大会に出ることが非常に多いため学校にあまり登校できてない。まぁ、その時もいろいろな先生に補修をさせてもらってテストでは何とか合格していた。ここの先生はとても優しいからな、特に英語の先生はとても優しい。でも数学のあの先生は時折怖い顔になるからなるべくなら近づきたくはないな。
「あぁ、吉井と坂本という二大問題児率いる奴らだ。あいつらが巻き起こした問題は殆ど学校にいなかったお前や三学期に転向してきた奴らは知らないだろうな」
「? よくわかりませんが。俺勉強は苦手だけど嫌いじゃないんで」
「うむ、っとそうだ。渡さねばならんものがあった」
そう言って先生は俺に封筒を渡してくれた。茶封筒ではあったが、一体何なのだろうか。まさか退学とか停学とかそんな類じゃないよな? いやだよ? 大会に出てただけなのに退学とか、冗談じゃあない。
「安心しろ。振り分け試験の結果だ」
「あぁ、そういえば学期末しましたねぇ。個人個人で渡すんですか」
掲示板にどんと張り出せば簡単なんだろうけど、それって上位に向かって必死に勉強した人がもし他の生徒が見る中行きたかったクラスに行けなかったとか、いろいろ個人のことを考えているんだろう。だってAクラス確実って子がDとか行ってみ? 絶対に変な噂を初日からされるよ。やっぱこういうのは個人情報なんだろうね。普通の公立なら点数とか張り出さないから問題ないんだろうけど、勉強でクラスが分かれるっていう方針なんだから仕方ないよなぁ。
「個人の為にはなるが、はっきり言って面倒だ」
「確かに、でも知られたくない人は少なからずいるでしょうし。しょうがないんじゃないですか?」
「そうだな。それを坂本に言ってやれ。あいつは掲示板に張り出せめんどくさいと俺に向かってのたまったからな」
その坂本って子は相当我が強い子なのだろう。あのトライアスロンで鍛え抜かれた強靭な肉体を持つ先生にそんなこといえるんだから。俺? ムリムリ、余裕で。
そして俺はその封筒の中身を見た。うーむ、残念ながらFクラス。せっかく教えて貰っていたのになぁ。結果が出なくて非常に残念だ。
「勘違いをしているようだが、お前の努力は実っていたぞ? ただお前の場合は大会によく出場していたからな。他のクラスでそれを行うと、クラスメイトの不在とかでいろいろと申し訳がたたんだろう? 同じ授業カリキュラムなんだから他の生徒を繰り上げ、お前をFクラスに移動させて、時々でいいからFクラスのストッパーになって貰いたいと会議で決定された。お前の意思も聴きたかったのだが、ちょうど総合格闘の世界タイトルでアメリカに行っていただろう? その所為かこちらで独断に決まったのだ。それにお前なら快く引き受けてくれるだろうと思ってな?」
ちなみにその総合格闘は見事覇者になっています。ふふん、伊達に前世からのトレーニング方法を怠ってないのさ。未だ気は発現してないがな! 泣いてなんかないやい!
「別に構いませんよ。まぁそれくらい先生に頼りにされているんだったら期待に答えないとね。この諏佐拳冶ッ! 頑張りますよぅ!」
「それは本当に助かる。お前は本当によく出来た生徒だよ。欠席は多いが」
その一言、その一言が無ければ僕はとても感動しましたよ先生。
さて、封筒ももらったし、Fクラスに行きますかね。
「おぉ、それとHRが終わったらでいい。少し手伝いをして欲しいことがある。頼めるか?」
「大丈夫ですよー。力仕事なら得意です」
「すまないな。助かる」
俺は先生と別れて校舎の中へと入っていった。辺りを見渡して2年Fクラスを探す。さてと、どこだろうかな。
すると、すぐ近くのクラスが賑わっていた。気になってそちらに向かうと上の方にAクラスと表札があった。おぉう、流石はAクラスだ。設備がとてもいいね。何かスイートルーム的な感じに見える。知らないけど。だってスイートルームとか入ったことないし。
開いた扉から見ていたためか俺の姿はすぐにばれて何名かがこちらを見ていた。
「あはは、すんません。すっごい高級な教室だったもんで」
「あ、拳冶君。中三の春休み振りだね」
笑いながらそう答えると、何処からともなく俺の名前が呼ばれる。すると俺の名前を知っている人たちなのかそこら辺でひそひそと話し出した。すまない、ひそひそ話ってのはその人がいない所でするもんだと思ってたよ。
そして俺の名前を呼んだ人のほうへと顔を向けた。
そこにいたのは中学の頃よく絡んだ間柄の女生徒。といっても小学校からの付き合いがある幼馴染的な存在の、工藤愛子の姿がそこにあった。少し緑がかった髪色が特徴的なボーイッシュな奴だ。
だが待ってほしい。あいつは別の高校に行ったはずだ。たしか親の諸事情とかで少し遠いところへ行ってそこの学校に行ったとか言ってたけど。どうしてここにいるんだ?
「工藤じゃねぇか。どうしたんだ? ここは文月だぞ?」
「あの、転校してきたって発想はないのかなん?」
「あぁ、天候ね。今日は一段と晴れていて気分がいいな! なっはっは!」
「それは
ジト目でこちらを見てくる工藤。仕方ないだろ? 俺勉強苦手なんだよ。それに脳みそが修行とスポーツと武術に直結している所為で、今からFクラス(ストッパー)に行かなきゃなんないんだからさ。
「まぁいいや。それよりも本当に久しぶりだね。ってか、相変わらず体鍛えてるんだね。むきむきじゃん。制服大きくない?」
「これでも特注でな? 苦労したんだぜ? なんせ自分の体に合う服が殆ど無いんだからさ」
俺の肉体は改めて言うと悟空ほどではないが逆三角形になっている。まぁ、ガキだからそんなに綺麗な逆三角形じゃなくて逆さ台形みたいな感じだ。まぁそれでも充分今は強いと思うね。いい加減気を習得したいぞぅ。
「んじゃ、俺自分のクラスに行くわ。じゃあな工藤」
「え、もう? ・・・・・・まぁ仕方ないや。またねぇ~」
手を振り替えしてくる工藤の元を去り、俺はAクラスから出て行く。そして目指すはFクラス。どのようなクラスなのか楽しみで仕方が無い反面、汚いところなのかなぁと不安が反面だ。
兎に角行ってみるっきゃない。
★
「嘘んな馬鹿な」
待っていたのは物置小屋のような場所だった。マジかよ。俺こんなところで勉強するの? あぁ、だから申し訳なさそうな顔をしたのね先生。まぁ、一度引き受けたんだ。最後までがんばりますよ~っと。
「おはよう御座いますっと」
「さっさと席に座れ! この蛆虫野郎!」
「初っ端の辛辣さに引き篭もりになりそうッ!?」
まさか出会い頭に罵倒を受けた。蛆虫・・・・・・蛆虫ってそれは流石に酷い。たしかに対格差で敵を翻弄して素早く叩き潰して若い芽を摘んだのは酷いとは思った。でも蛆虫って・・・・・・。
「あぁすまん! 知り合いと間違えた」
「知り合いと間違われる俺って、やっぱり蛆虫なん?」
「お前体格と性格にギャップ生じてんぞ!」
何かは知らんが人違いだったらしい。まぁいい、過ぎたことだ。そこまで深く考えるな。どうせ理解できる脳みそじゃないし。そう思って俺は席を探す。教壇に立って先ほど罵倒してきた彼は例の坂本君らしい。バト本君と名づけた。次からこれで弄ってやろう。席は自由らしいから後ろの方でいいかな。どうせ大会とかで欠席するだろうし、邪魔になるのは勘弁。
となりには中々に中性的な男子? 生徒がいた。たぶん男子生徒だと思われる。だって、制服が男のものだし。
「よろしくな。蛆虫野郎の諏佐拳冶っていうだ」
「う、うむ、わしは木下秀吉という。よろしく頼む」
中々に古風なもの言いだった。ふむ、ここは俺も負けじと侍とか忍者風に言うべきか? どっちかわからないけども。まぁ結局、そんなもの言い出来ないので勘弁してもらいましょう。
ってか、バト本君が弄られたのに気がついて「悪かったって」と謝ってくる。ふふふ
「何ィ~、聞こえんなぁ」
「だから悪かったって言ってるだろう!」
「良かろう、殺してやる」
「いきなり物騒だろ!? 勘弁してくれ!」
さて、充分に弄ったことだし、周りの人間と交流を深めるかな。まずは最初に挨拶した木下君だな。
「木下君だったよな? 俺のことは拳冶って呼んでくれ。そっちの方が呼ばれ慣れているからな。それと拳で治めるって書いて拳冶だから」
「うむ、ならわしの事は秀吉と呼んでくれ拳冶」
う~む、非常に新鮮だなぁ。去年は全然交流できなかったし、今年は大会も勉強も友情も全部制覇してやるぜッ! なっはっは!
「俺去年殆ど学校に行けなくてさ、俺のこの学校での一番目の友達だぜッ! 改めてよろしくな、秀吉!」
「わしが一番か・・・・・・わ、悪くない気分じゃのう。一番というものは」
そうそう、一番はとても大事だ。オンリー1も大事だが、ナンバー1も大事だ。だからこそこの世界で一番強くなって、悟空をビルス様と必ず再戦しててこずらせてやる。志が小さい? 何を言うか、あの人たちは志がどうとかで倒せる次元じゃないのだよ。強すぎるんだよ。あの人たちは。
「それよりも、よくわしが男だとわかったのぅ。殆どの人間が最初わしの事は女だとおもっとったぞい」
「だって、男子用の制服着てるじゃん。名前だって男じゃん。何で間違えるん?」
尤もな意見だと木下はそう頷いた。自分に正直な人間だからな。わかったんだろう! 流石はいずれ宇宙最強と戦うだけはある。そして俺の手を握ったかと思うと目いっぱい上下に振る。いきなりの事に俺は相当びっくりした。
「お主だけじゃ。お主だけが、わしを男としてみてくれた。今日から友達などと悲しき事を言ってくれるなッ! お主はもうわしの心の友じゃ」
どこかのガキ大将が言いそうだな。心の友って。まぁいいや。友達な上に心友まで手に入るとは流石は(ry
その後、俺は秀吉にHRが始まるまで一年の頃の思い出をいっぱい教えてもらった。いろいろやっていて俺も大会そっちのけでみんなと馬鹿騒ぎしたかったなと思いつつ、先生達に合掌を送った。あなた達は偉大だよ。てか、西村先生私物を売られるとか泣けるでぇ。
HR終わったら先生に改めて合掌しようと思った四月の春の風が心地よい季節。
これからのドタバタに心を躍らせながら、俺は隣にいる友達一号の話に耳を傾けた。
愛子は幼馴染設定。