再教育センター脱出 With スウィンバーン   作:Jeep53

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探しても全然なかった…書くか。


1.邂逅

 暗くじめじめとした地下の独房。定期的に天井からぽつぽつと水滴が落ち、硬いコンクリートの地面を濡らしている。食事と呼べるようなものは出てこないし、コーラルネズミもたまに出る劣悪な環境だ。

 ここはアーキバス社が社内の反抗的な者や捕縛した敵対勢力を収監し、思想教育を施す再教育センター。再教育の度合いは収監された個人のレベルによって異なるが、どのレベルの再教育も碌なものじゃない。

 

 元再教育センターの所長であった私が言うのだから間違いじゃあない。

 

 まさか私もその再教育を受けることになるとは思わなかったがね。地獄そのものだ。

 

 私はアーキバス直属のAC部隊、ヴェスパーの第7隊長として部下たちをまとめ上げ、企業に尽くしてきた。部下との関係もそう悪いものではなかったと自負できる。

 夜哨の途中に突然の襲撃を受け、独立傭兵に対して命乞いをしたのも「生き延びればまた企業のために頑張れる」と思っての行動だった。…そうだ、断じて怖気づいたわけじゃあないんだ。分かるな?

 それなのに上層部や第2隊長殿は「醜態を晒し部隊の品位を下げた」などと言って私を再教育センター送りにしたのだ。

 

 はっきり言って私はこの処分に納得していない。

 

 こんな企業に尽くす意味があるのか?と思ってしまうほどに以前の企業への忠誠心が薄れてきている。

 確かに社会でうまく生きていけなかった私を拾って、強化手術まで手配して、そして1部隊を任せてもらえるほどに良くしてもらったのは感謝すべきことだろう。

 だがたった一回の命乞いでこの扱いは酷すぎやしないだろうか。

 

 まぁ今ここでそんなことを考えたって仕方ない。出られるかどうかなんてわからないのだから。

 もし出られたのならば何をしようか。手始めにアーキバスを辞めてやろうか。私が辞めたら第2隊長殿が第1隊長殿の会計に振り回されることになるだろう。…いい気味だな?

 

 おや、こんな深層の独房に新入りが入ってくるとは珍しいな。いったいどんな奴がきたのだろうか。声をかけてやろう。長いか短いかはわからんが対面の独房に入るやつだ。ご近所さんと多少のコミュニケーションはとっておくのが礼儀というものだからな。

 

 


 

 

 (辛い、苦しい…。ここは一体…?)

 

冷たくて硬い床に転がされた拍子に意識が浮上した。私を放った奴はすぐどこかへ行ってしまった。

 

『レイヴン…レイヴン、起きてください』

 

脳内にエアの声が響く。

 

(エア?ここはどこ?ウォルターは?)

 

ズキズキと痛む頭で何とか返答する。

 

『ここはアーキバスの再教育センターです。あなたはV.Ⅱに捕縛された後拷問を受け、現在地下の独房に収監されたのです。その、体の方は大丈夫ですか?』

(なんとか、動くね。大丈夫。でもちょっと痛いかな)

 

手足を動かしてみる。痛みはあるものの普通に動く。

 

『そしてウォルターについてですが…。一切情報がありません。ですがおそらく、アーキバスに捕らえられたものと…』

(そっか…。ウォルター助けに行かなくちゃ)

 

そういって体を起こして床に座った途端、エアが少し驚いたように言った。

 

『!レイヴン、どうやら正面の独房に先客がいるようです。生命反応を確認しました』

 

暗い通路の向かい側、その扉の奥からは確かに誰かが動く音がした。

 

「再教育送りになった新人か?短いか長いかはわからんがよろしく頼むぞ。…ところで、貴様は何をしてここに放り込まれたんだ?」

 

どこかで聞いたことのある声だった。この特徴的な声は…。

 

「スウィンバーン…?」

「な、何故私のことを知って……いや待て、その声は…!貴様ッ!独立傭兵レイヴンだな!?」

 

あちらもこっちの正体に気が付いたようだった。だけど彼にかまってる暇はない。きっと今も再教育センターのどこかでウォルターは苦しんでるに違いない。

 

(エア、ここのカギって開けられる?)

『ハッキングに少々時間がかかりますが…可能です』

(じゃあお願い)

 

「なぜ貴様ほどの実力者がこんなところに…」

「スネイルの、せい」

 

そこから私は事の顛末を話した。自分でもよくわからなかったところはエアに補足をもらいながらだけど。スウィンバーンはそれをじっくりと聞いてくれた。案外いい人なのかも?

 

「…なるほど…第2隊長殿らしい…」

 

聞き終わったスウィンバーンはそうこぼした。そしてそのあと、彼の身の上話も聞かされた。もとはと言えば私が原因なのでちょっとかわいそうだった。

 

程なくしてガチャンという音とともに独房の扉の鍵が開いた。

 

『思ったよりも複雑でしたが、構造は把握しました。次からこのタイプのカギを開けるのに時間はかかりませんよ、レイヴン』

 

時間はかからないのか。ならば…。

 

「スウィンバーン、開けてあげようか?」

「貴様…出られるのか!?…頼む」

 

自分の牢のカギを開けて廊下に出る。守衛は地上付近にいるのか、近くにはいないようだ。

 

「貸し一つね」

「なっ!?元はと言えば貴様が…!」

 

スウィンバーンはそういって抗議する。

 

「ふーん、そういうこと言うんだ。…さて、行くかあ」

「まっ、待て!借りは返す!それに私は元再教育センター所長、ここの構造には詳しいんだ。出してくれるならば悪いようにはしない…分かるな?」

「……」

「…か、借りは返すといっているだろう!?」

 

彼の悲痛な叫び声(小)を聞いて苦笑する。

 

「いいよ、開けてあげる。(エア、お願いしていい?)」

『はぁ……まぁ、あなたの選択ならば』




続かない。語彙力と表現力もっと欲しい。
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