再教育センター脱出 With スウィンバーン   作:Jeep53

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何故か続いた。独自の設定ががっつりありますので矛盾点などございましたらご指摘の程お願いします。


4.希望

 目が覚めた。知らない天井が目の前に広がっている。

 

(ここは…そうだ、ザイレムだ。昨日はあのまま寝ちゃったみたい)

 

体を起こす。これから私はどうしたらいいんだろう。

 

『あ、レイヴン。起きましたか。ちょっとお話が』

 

話。その言葉を聞いた途端私の肩が跳ねたのが分かった。

 

(エア、悪いけどその話は…)

『あぁいえ、すみません。選択を迫ろうとしたわけではなくて…。別の話があるのです』

 

別の話、エアはそう言った。この状況下で別な話があるのだろうか?

 

『これが上手くいけば、何も失わずに済むかもしれません』

(詳しく、詳しく説明してエア。私は今冷静さを欠こうと)

『もう欠いてるじゃないですか…。説明するのでカーラに伝えてもらえますか?』

 

ーーー

 

 ザイレムとかいうとても大きな…なんだったか、入植船?とやらに連れてこられてから1日、RaDの頭目から呼び出しがかかった。場所はザイレムの中でも一際大きなビル、その中の応接室だそうだ。いったい何の用だ、私はまだ自分のACも与えられていないというのに。

 応接室に入ると、そこにはRaDの頭目、そしてレイヴン、あとチャティが居た。

 

「よく眠れたかい?スウィンバーン」

「あんまりだな。私お気に入りの枕は今もヴェスパーの寮の中なのでね」

 

そう言って肩を竦めた。それを見たRaDの頭目…カーラは不敵に笑った。

 

「その枕を取り返せるかもしれない、と言ったら?」

「……なんだと?貴様ら一体どういう…」

「そいつは今からビジターが話してくれる。よく聞くといい」

 

レイヴンに目をやると、彼女は頷き、話し始めた。

 

「わかんないところあったら聞いてね?」

「勿論だとも」

「今私たちは増殖しすぎたコーラルを焼くためにこのザイレムを起動させてバスキュラープラントに向かってる。ただこの方法だとカーラとかはもちろん他にもたくさんの人が死んじゃう。そこで、何かないかなってエアが方法を探してくれて、もうちょっと平和的な方法を見つけられたかもしれないの」

「待て。エアというのは誰だ?」

 

この中にはそんな名前の人物はいなかったはず…。整備班にもいないはずだ。

 

「えーっと…簡単にいえば喋るコーラル」

「…遂にイカレたか、レイヴン」

「イカレてない。エアの正式名称はCパルス変異波形。コーラルの中にもそういう知的生命体がいると思って。私は彼女と脳内で喋ることができる」

 

これは重傷だ。そう思いカーラの方を見ると、彼女は至極真面目な顔をしていた。

 

「そう笑える顔をするんじゃないよ。ビジターの話は本当さ。コーラルを検知できる機器を用いて調べてみたがビジターの言うエアが喋るたびに反応を示したからね。私たちには聞こえないが本当さ。今技術班にコーラル波形の出力装置を作らせてる。じきに聞こえるようになるさ」

「本当なのか…」

「本当さ。アンタが私はビジターのことを分かってないなんて言うもんだから聞いてみたら教えてくれたよ。私やウォルターはコーラルを焼こうと、エアは人とコーラルの可能性を見ようとしていた」

 

なるほど。それで板挟みになって悩んでいたのか。ふふん、私の眼も捨てたもんじゃないな。

 

「表情がコロコロ変わる奴だねえ…。ビジター、続けてくれ」

「うん。それで、エアがいろいろと調べてくれて見つかった資料がこれ。コーラルの自己増殖を抑制する()()()()()()()()()の存在を示す技研の資料。これがあると自己増殖を抑えることはできるけどエネルギーとしてコーラルを使用するうえでは邪魔になっちゃう。だから技研はコーラルの研究を始めるうえでこのもう一つのコーラル…色が緑色だから緑コーラルって呼ぶけど、それの排除から始めたみたい。そしたら今みたいなパワーバランスになっちゃった。これをもう一回緑コーラルでパワーバランスを戻すことで人とコーラルが共存できるようになるんじゃないか。というのがエアの案」

 

……もう一つのコーラル…。

 

「その資料の出どころは確かなのか?デマではないのか?」

「正真正銘技研のものさ。私が保証しよう。元技研の技術者の私がね」

「はっ?」

「間違いなくその資料はナガイ作成のものだ。存在は知らなかったけどね」

「…カーラ技研の人だったの…?」

 

どうやらレイヴンも知らなかったようだ。え、この若さでか?え?

 

「だっ、だがっ、その資料はどこから持ってきたんだ?」

「オールマインドがもってたのをエアがハッキングしてすっぱ抜いてきた」

「はっ?」

 

オールマインド、確か独立傭兵を支援、統括するAIだったか?そんな簡単にデータ抜かれるほどザルではなかった気がするが…。前にヴェスパーの情報部門が試してみてこっぴどくブロック、挙句の果てにはカウンターハックを食らって装備データ、パイロットデータをゴッソリ抜かれたことがあったのを知っている。あのあとからログハントプログラムなるものが始まったと聞いたことがある。レイヴンと喋れるエアというコーラル、一体どれだけハイスペックなのだ…?

 

「ここからは私が言おう。そしてこの資料には緑コーラル排除のために人工でそれを作れるほどに解析したと書かれている。だがそれを記した資料をオールマインドは持っていなかったらしい。オールマインド以外で技研の資料を大量に保持している組織、あとは分かるだろう?」

 

……!そうか、技研都市を掌握したアーキバス、アーキバスなら持っている可能性が大きいのか。

 

「分かったみたいだね。資料があるという確信はないが現状一番可能性がある場所はアーキバスだ。時間があればアンタのお気に入りの枕だって取り戻せるさ。……さぁ、作戦説明に入るよ!」

 

そう言ってカーラは目の前のスクリーンに映像を投影した。

 

「まず第一段階だが、ここ、ザイレムに入り込んできている企業勢力の排除だ」

「入り込まれているのか!?」

「全く笑えない状況だ。作戦の第二段階はこの窮地を乗り越えてから説明するよ。ビジター、出撃準備だ。私とチャティも出撃だ。スウィンバーン、アンタは留守番だ」

 

レイヴンとカーラが部屋を出ていく。まぁ、私にはACが今のところないからな。仕方なしか。

 

「…仮にACがあったとしても今のアンタには無理だろう。今のアンタはそう言う人間だ」

 

チャティがそう言った。その言葉はなんだか私の心を見透かしているようで、息がつまった。

 

「ッ…、そう、か。そうかもな…」

 

そう返事をしたが、その頃にはもうチャティのカメラアイに光はなかった。もう本機の方に移った後のようだ。

 

(今回責めてきているのは情報によればMTおよびLC、HC。一部隊位は私が知っている部隊もあるだろう。もし、もしも私が出撃した場合私は引き金を引けるだろうか)

(いや、脱出時点でMT連中に引き金を引いているんだ。今更何をしたって同じだ。アーキバスからしたら私はもう敵なんだ。覚悟を決めるんだ)

 

パチン、と両手で頬を叩く。よし、と意気込んだところで改めて気づいた。

 

(あぁ…まだ私のACはないんだったな…)




短めですまんかった。続く。
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