再教育センター脱出 With スウィンバーン 作:Jeep53
短めなので初投稿
無機質な部屋、そこはここザイレムにおいて医務室として使われている部屋だった。
そして今現在、私はそこにあるベッドの一つの傍らで、目を覚まさない
昨日の襲撃後、すぐに医務室へと運ばれた彼女は、ザイレムでできる限りの治療を済ませ今は眠りについている。バイタルに異常はないと医務官は言っていたが、安心はできない。旧世代の強化人間ほど安定しないものはないからだ。安定していた容体が急変なんてことはざらだ。ルビコンに来る前、私はそれで一度友を失っているためよく分かるのだ。
「レイヴン…早く目覚めないと、時間が無くなるぞ」
届かないと分かっていても、語り掛けてしまう。なにせカーラは完全にレイヴンの案に乗っかった訳じゃないからだ。運が良ければ程度の認識でしかなく、今もザイレムは組み上がったバスキュラープラントに向けて進んでいる。速度は最低レベルだが。
昨日の作戦の後、カーラから「オーバーシアー」という秘密結社について話を聞いた。このまま彼女が目覚めなければ最悪の事態が引き起こされてしまうだろう。
「…ぅぁ…」
「…!レイヴン、起きたのか?私の声が聞こえるか?」
レイヴンの意識が若干回復したようだ。思わず大声で彼女に声をかける。
「スウィン…バーン…うるさい…」
「えっ、あ、あぁ…すまない…」
そう言うと彼女は反対側を向いて眠りの態勢に入ってしまった。
「いやそうではなくてだな!?レイヴン!貴様!起きないか!?」
すぐに今が非常事態なのを思い出し、彼女の布団を剥ぎにかかるが、レイヴンも強化人間、そうやすやすと布団を手放しはしないようだ。
「くっ、この…!えぇい!ルビコンを救うんじゃなかったのか!おい、エアとかいうコーラル!貴様もいるのだろう、こいつを説得してくれ!」
「うぅ、エアまで……」
「早く起きないか!この星が燃えるぞ!?」
そう私が言うや否や、彼女は飛び起きた。あまりの勢いの良さに私は思わずのけぞってしまった。なんだ、最初から言えばよかったな。
「私はどのくらい眠ってたの?」
「言うて12時間ほどだ。体調に異常は?」
「ん、無い」
彼女はベッドから起き上がり、床に降り立つ。少しふらついたようだが、すぐ持ち直し、着替え始める。私は勢いよく後ろを向いた。
「ところで、スウィンバーンはずっと居てくれたの?」
「……いや?今さっき来たところだ」
「えっ、でもずっと居たってエアが」
「コーラル貴様ァ!」
彼女の身体が視界に入らないように、おそらくコーラル…エアがいる方に向けて怒鳴る。
「スウィンバーン、エアはそっちにいない」
「そ、そうか…」
レイヴンは着替えを終えたようだ。しかしもうパイロットスーツか。やる気は十分といったところか。
だが彼女のACは大破して再現するにも時間がかかるはず。どうするつもりなのだろうか。
「心配しなくても大丈夫。パーツは余ってる。…あ、あれ?パルスブレード、なんで…?」
ふふん、使用可能パーツ欄に昨日まで使っていたタキガワのブレードがあることに驚いているようだな。
「独立傭兵にしては珍しいパーツを持っていたからな。大切な物だったのではないかと思って回収、修理しておいてやったんだ。感謝しても…」
瞬間、彼女が私の腰のあたりに抱き着いてきた。顔はうつむいており表情はうかがい知れない。
だが、泣いているのは理解できた。
「…ありがとう。壊れたかと思ってた」
「…謝意は受けておこう」
思ったよりも過剰な反応で驚いたが……急な感情の増幅は旧世代型にはよくあることだ。気にするほどのことではないだろう。
「お取込のところ悪いが、ビジター、スウィンバーン。作戦の時間だ。ブリーフィングルームに来てくれ」
「あっ、チャティ…。わかった。今行く」
ーーー
「来たね二人とも。早速だが今回の作戦を説明するよ」
部屋に入るや否や、カーラがホログラム投影をもって作戦説明を開始する。
「今回はアーキバスルビコン支社…ま、私たちルビコンに暮らす人間にとっちゃアーキバス本社同然だね。こいつの襲撃だ。作戦投入戦力はビジター、そしてスウィンバーンだ。悪いが、私とチャティはザイレムの警備があるからね。ラミーは…使い物にならないから除外だ」
二人か。………は?
「まっ、待て!ACたった2機であそこを襲撃するというのか!?無茶だ!」
「落ち着きなスウィンバーン。最後まで聞くんだ。と言ってもここから話すのは私じゃないけどね。ラミー!あれもってきな!」
そう言われて部屋に入ってきたのはラミー、この前ACハンガーで私に絡んできたドーザーだ。悪い奴じゃないんだが、少し苦手だ。主にコーラルが入っているときは。そんな彼が持ってきたのは箱状のオシロスコープのようなものだ。
「これはあれか?この前言っていた…」
「そうだ。コーラル…とはちょっと違うんだけどね。Cパルス変異波形の声が私たちにも聞こえるようになる代物だ。ここから先はエアが説明してくれる…らしい」
装置を見守っていると、不意に電源が入り、音声波形に乱れが生じる。雑音のようなノイズが複数回走った後、変化が訪れた。
「あ、あー、聞こえますか?」
女性の声だ。レイヴンよりは年上だろうか?
「聞こえるよ。アンタがエアだね?」
「えぇ、そうです。レイヴン以外の方ははじめまして。私はCパルス変異波形、エアです。以後お見知りおきを」
私は頭を下げる女性の姿を幻視した。いかんな。コーラル常用者の近くに居すぎたか?
「では私の方から続きの説明を。少し訂正が入ります。戦力に関してですが、ここ、ザイレムからの戦力がレイヴンとスウィンバーンの二人ということです。言葉足らずですみませんでした。他にも協力者は居ます。ご安心を。…そして一つお願いなのですが、私は戦闘中、レイヴンの補佐に回るのでこの装置をレイヴンの機体に積んではいただけないでしょうか」
「あぁ、そのくらいはお安い御用さ。もう一機この装置がある。積んどくよ」
カーラが手元の端末を操作した。今頃ハンガーで搭載が始まっているだろう。
「時間がありません。続きは出撃後現地で話します」
「そんなに切羽詰まってるのかい!?ビジター、スウィンバーン、準備しな!」
カーラのその一言でブリーフィングルームからハンガーへと移動を開始する。
随分と時間に余裕のない作戦なのか。それともこちらが合わせる必要のある作戦なのか。それにしても…協力者とはいったい誰なのだろうか。Cパルス変異波形の知り合い………。別のCパルス変異波形か?分からん。思いつかないな。
「そう言えばレイヴン、機体は組み終わったのか?」
ACハンガーへと向かいながら彼女に問いかける。
「組み上がったって連絡がさっき来た。問題はないよ」
「ならいい。今回も、死ぬんじゃないぞ。死んだら終わりなんだ」
「…分かってる」
本当にわかっているのだろうか?まぁいい。とりあえず今は急がなければ。
レイヴン登場機体 AC「LIBERATOR」
右腕武装 SG-027 ZIMMERMAN (ベイラム)
左腕武装 SG-027 ZIMMERMAN (ベイラム)
右肩武装 EARSHOT (メリニット)
左肩武装 HI-32:BU-TT/A (タキガワ)
頭部 LAMMERGEIER/44F (シュナイダー)
コア EL-TC-10 FIRMEZA (エルカノ)
腕部 AA-J-123 BASHO (BAWS)
脚部 2C-3000 WRECCKER (RAD)
ブースター BST-G2/P04 (ファーロン)
FCS FC-008 TALBOT (ベイラム)
ジェネレータ DF-GN-08 SAN-TAI (大豊)
コア拡張機能 ASSAULT ARMOR
エアに「スネイルがいますよ」って言われたから組んだ機体。非常に殺意が高く仕上がっている。右腕のツィマーマンはストック品を使用。
作中の企業のほとんどのパーツを使用している。
ーーー
前回登場したスウィンバーン搭乗機体ADVANCEについて補足
前回以下のように書いたのですが。
脚 シースパイダーを参考にした4脚。シースパイダーの動きができる。見た目はベイラムの4脚が一番近いかもしれない。
これのシースパイダーの動きとは、具体的には叩きつけ、および還流エネルギーによる近距離範囲攻撃です。範囲攻撃はエンフォーサーが一番近い。
これも連載だろって感じなので失踪します。