ドン番外 らいほうバニタス   作:鳥鍋

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そのご

 

「ミサキ!ヒヨリ!」

 

どこぞの採石場、脳人レイヤーが勢い良く開いてサオリ班とソノザが飛び出す。

 

「リーダー!」

「ソノザさん!」

 

開けた場所を見ると鬼険銃を持ったヒトツ鬼と変身して相対しているソノニ、障害物として岩に隠れて拳銃、ライフルで援護射撃をするミサキ班。

 

「ソノニ!」

 

それを見たソノザは飛び出してチェンジ、前衛として戦線を支える。槍を敵の持つ無駄に大きな包丁とぶつけ合う。何合か打ち合い力比べをするが、二対一で武術の素人には不利、徐々に押される。

 

「うぅ、秘技・百枚おろし!」

「どうした、こんな物か!」

 

包丁を持つ手がぶれて無数の斬撃が脳人達に襲い掛かるが、歴戦の戦士である二人が受け止めてたたらを踏む程度。決定打には至らず反撃を待つばかりと思われた。

 

「すかさず冷凍!」

「なっ!?」

 

百枚おろしが止んで反撃に移る瞬間、無限回転鬼は包丁を捨てて両手から冷凍ガスを噴射した。ガスに包まれた瞬間、強者でも逃げる間もなくパキパキと凍りつき、氷像とまでは行かずもと身体の一部が氷が付着して動けない。

 

「この……」

「お前達……!」

 

前衛が戦闘不能となれば、その視点は後衛に向かうのは当然。

 

「不味い!」

 

仮にも彼女達はアリウススクワッド、状況の変化には対応可能。ミサキとヒヨリはその場から離れ、代わりにサオリとアツコがヒトツ鬼に割って入る。

 

「攻撃開始!」

 

サオリとアツコは射撃を開始、通常火器の攻撃もそれなりに効いている様で、付かず離れずの距離なら冷凍攻撃を避ける事も可能だろう。

 

「ヒヨリ!」

「はい!」

 

そこに狙撃ポイントを変えたヒヨリの的確な一射があれば敵にも大ダメージを与えられる、そのはずだった。

 

「アノーニィ?!」

 

射線上に突然脳人レイヤーが開き、不幸なアノーニが身代わりとなって爆発した。その敵討ちと言いたげに第二第三のアノーニ達がスクワッド目がけて殺到する。

 

「アノーニ!」「アノーニッ!」

 

彼女達の体感からすればアノーニ達の耐久力はキヴォトスの生徒並かそれ以下。ハンマーを掲げるだけの相手を撃破するのは簡単だ。

 

「この、数が多い……!」

 

銃器やグレネードで何体か倒す事はできるが、脳人レイヤーから神出鬼没とばかりにあらゆる方向から飛び出す上に、無限回転鬼の射撃が行動を阻害する。サオリ達はまだ対応のしようはあるが、狙撃ポイントのミサキとヒヨリにも攻撃の手は伸びる。

 

「後ろはいいから撃って!」

「うわぁぁぁん!数が多すぎて追いつきません!」

 

ミサキは足のホルスターから抜いた拳銃でヒトツ鬼を追い払いながらヒヨリの背中を守る。取り回しの悪い対物ライフルで振り向いて近くの敵を狙うより狙撃が効果的という判断だが、そう長くは持たない。アノーニの一体がミサキにハンマーを振り下ろし、ギリギリで避けたミサキが体当たりで距離を離して射撃するなど余裕が無くなっている。

 

「ミサキっ!」

 

サオリはミサキ達の状況に気付いて加勢に向かおうとするが、敵の物量の中ではアツコと背中合わせで自分達を守るのに精一杯。アリウススクワッドといえどもジリ貧である。そうして持ちこたえたミサキに三方向からハンマーが襲い掛かり、諦めの境地で脱力し受け入れようとした。

 

「アノーニッ!?」

 

予想していた衝撃が待っても来ない。よく見るとアノーニ達が背中から衝撃を受けたかの様に倒れていた。

 

「増援?もしかして……」

 

この状況でも自分達に加勢する存在を考えると同時に、くたびれた確信をする。紙吹雪とお囃子のような音楽を伴って訪れるなどキヴォトス、世界にも一人しかいない。

 

「はぁ……」

「やっぱり、あの人ですよね……」

「来てくれると思った」

 

「わーはっはっはっ!わーはっはっはっは!」

 

高らかな笑い声と共に天女は舞い踊り紙吹雪を散らし、担ぎ手達は豪快に神輿を揺らして祭りの主役をここまで運ぶ。その上におわすのは、真っ赤な真っ赤な暴太郎。

 

「やあやあやあ、祭りだ祭りだぁっ!!」

「桃井、タロウ!」

 

ブラスターでアノーニを片付けたドンモモタロウが大型バイク「エンヤライドン」に揺られて祭りを巻き起こした。

 

「袖振り合うも他生の縁、躓く石も縁の端くれ!共に踊ればつながる縁!この世は楽園!!悩みなんざ吹っ飛ばせ!笑え笑え!はーはっはっはっは!!」

 

と口上を上げたと同時に四つの脳人レイヤーが開き、お供四人も状況が掴めない様子でやってきた。

 

「わわっ!なにこれ?」

「これは……長ネギか?」

「盛り塩!……お願いは今はないですね」

「お前らなんでそんなもん持ってるんだ?」

 

漏斗を持ってるオニ、長ネギを首に巻いたサル、桶いっぱいの盛り塩を頭から降ろすキジ、折り紙らしき物を投げ捨てて仲間にツッコむイヌ。

 

「桃井タロウ、積もる話はあるがなぜ彼らがここにいる?」

「俺のパワーを分けた」

 

───

 

『来たか、タロウ』

 

『マスター、お供達はどうした?』

 

『ヒトツ鬼の攻撃で風邪を引いた。すぐに治すのに君の力がちょうどいい。この大盛りカレーを食べるといい』

 

『よく分からんがそうしよう』

 

───

 

「そうして力を飲ませて復活させた」

「えっ、この漏斗ってそういう事?!」

「うわぁ、僕がヒトツ鬼になった時と一緒だ……」

「つまりあの場では私達と脳人の力がタロウに注がれた訳か」

「訳が分からねぇ……」

 

お供達はいつかの脳人襲来時を思い出し、アリウススクワッドはあ然とした。イヌブラザーも投げやりに吐き捨てる。

 

「だけど、私達が知ってるタロウそのままだね」

「アツコ……」

「桃井タロウに常識を求めても無駄なのは最初から分かりきっている」

「でも、形勢はなんとか取り戻せそうですね……」

 

お神輿に圧倒された無限回転鬼とアノーニ達は迂闊に手を出せない。そのタイミングを今か今かと待ち続ける。そんな中でエンヤライドンから降りて、すくっと地面を踏みしめたドンモモタロウが声高々に叫んだ。

 

「お供達!名乗るぞ!!」

「えっ?マジで?!」

「唐突だな」

「特別な日だからですかね」

「さっさとやるか」

 

よく分からないままに事が進み混乱するスクワッドを差し置いて、ドンブラザーズは構える。

 

真っ赤な真っ赤な暴太郎。

「桃から生まれた!ドンモモタロウ!」『よっ日本一!』

青くて粋な風流人。

「浮世におさらば!サルブラザー!」『よっムッキムキ!』

トゲトゲな漫画の鬼。

「漫画のマスター!オニシスター!」『よっ鬼に金棒!』

小さな愛の逃亡者。

「逃げ足No.1!イヌブラザー!」『よっワンだふる!』

のっぽな空飛ぶサラリーマン。

「トリは堅実!キジブラザー!」『よっトリッキー!』

 

サオリはそれらを数瞬の沈黙で見つめた後、銃を構え直して掛け声を取る。

 

「アリウススクワッド、点呼!」

 

虚無にて夢を見る生徒。

「はぁ……戒野ミサキ」

 

意外な強欲に目を引かれる生徒。

「つ、槌永ヒヨリ……」

 

友愛を拾い集める姫君。

「ふふ、秤アツコ」

 

絶望すれども廻り行く。

「錠前サオリ……!」

 

「暴太郎戦隊!!」

 

突如、巨大な花の様な目玉の異形が背後からせり上がり、彼らの真上に覆い被さる姿勢となる。

 

『ドン!』

 

更にその真上から銀河一の巨大ロボ、ドンオニタイジンのねぶたが落ちてきた!

 

『ドン!』

 

花の異形を踏み潰し、頭と腕だけが助けを求める様に地に伏せながら伸びている。

 

『ドンブラザーズ!!』

 

再び踏みつけながら歌舞伎よろしく右手を突き出すポーズを取って、その手前にドンブラザーズ・アリウススクワッド連合チーム。彼らは勇ましく、あるいは無気力にポーズを取ってヒトツ鬼達を圧倒した。

 

「行くぞ!祭りだ祭りだ!」

「何これ、訳が分からない……」

「まぁ、これがドンブラザーズと言う物だ」

 

つい一言漏らしたミサキに、サルブラザーは肩をポンと叩いて説明にならない説明をする。

 

「「アノーニ!!」」

 

「行くぞミサキ!」

「……」

 

我を取り戻したアノーニ達が一斉に襲いかかる中、サルブラザーはミサキを抱えてジャンプ、高台の崖へと着地した。

 

「それを撃つんだ、背後は任せろ!」

「了解」

 

王苦市では人に向けられなかった『セイントプレデター』を遠慮なく構え、照準を無限回転鬼達に向ける。無防備な背中をサルブラザーがひらりひらりと攻撃をいなし、反撃しながら守るうちに準備完了。勢いよくロケットの群れが敵目掛けて殺到し、ほぼ歩兵戦力のみの相手に過剰な兵器を向けた結果は推して知るべし。

 

「「アノーニィィィ!!」」

「やり過ぎたか?いや、ヒトツ鬼は逃げたか」

「目標は炙り出した。リーダーが撃破する」

「リーダーに信頼があるのはいい物だな」

 

───

 

「乗って!」

「え?はい」

「ケンケーン!」

「わわっ!また飛んでますぅぅ?!」

 

しゃがんで背中を差し出したキジブラザーに掴まると、地面から急に足が離れ垂直に飛び始めた。二度目の飛行故に叫びは若干小さいが、まだ慣れない以上何もできない。

 

「ヒヨリさん、このまま撃って!」

「わ、分かりました!」

 

それを見かねたのか地面と平行に飛行し、ヒヨリは背中に座る形となる。空中移動しながらといえ、安定した姿勢での狙撃なら彼女の得意分野。

 

「アノーニィ?!」

「アノーニ、アノーニ!」

 

それに応じてハンマーから光弾を放つアノーニ達だが、ギリギリで避け、旋回し撃ち落とされず立ち回る。

 

「一方的に狙撃で制圧できるなんて……こんな好条件でやられるなんて辛いですよね……苦しいですよね……。あ、そこ右45度に曲がってください」

「はいはーい、次曲がりますよ!」

「姫ちゃん!……犬さんがいるから大丈夫みたいですね。あんな小さい相手に負けるなんて、相手は情けなくなりますね……」

「ダメですよヒヨリさん!犬塚さんもタロウさん程じゃなくても強いんですから」

 

戦場を旋回しながら着実にサポートと排除を重ね、戦況を有利に傾けるのであった。

 

───

 

秤アツコと肩を並べて戦える相手は残念ながらドンブラザーズからは来なかった。サブマシンガンで一体を攻撃する間に、もう一体がハンマーを向けて突撃する。

 

「オラッ!」

「アノーニッ?!」

 

しかし脛を蹴られて転倒、倒れた背中を踏みつけてドンブラスターを連射するのはイヌブラザー。残念ながらサイズ比からアツコと肩を並べる事は叶わなかったが、足元で敵の虚を突き、そこにアツコがトドメを刺す即席のコンビネーションが成立している。

 

「すごいねワンちゃん、サッちゃん以上に奇襲ができている」

「この身体の動かし方も慣れたからな!」

 

その一言と同事に大きな手裏剣をフルスイングで投擲、アツコの近くのアノーニ達を蹴散らし、その手に戻る。

 

「ハッ!どうだ!」

「危ない!」

「おわっ?」

「「アノーニッ!」」

 

アツコはイヌブラザーの方向に銃口を向け掃射。思わず手裏剣を持つ右手で顔を抑えたが、何も当たる感触は無く振り返るとアノーニ達が弾丸に倒れていた。

 

「大丈夫?油断はしちゃダメだよ?」

「ったく……おい!撫でんな!」

 

心配して近づいたアツコが安心してイヌブラザーを撫でるが、正体を忘れてそうされてる事に不満を見せるのだった。

 

───

 

「そぉら!」

「とりゃ!」

 

ドンモモタロウとオニシスターは剣と金棒、二つの近接武器を無限回転鬼に振り下ろす。それを流れ、滑る様に避けながら鬼険銃を放つ為、攻防の隙が見えない。

 

「桃井タロウ!左脚を狙え!」

「おう!」

 

二人の後方で追撃を狙うサオリはドンモモタロウに攻略のヒントを伝える。彼も敵の動きからそれを察知したらしく、下段の構えで足を斬りつけるが、右足よりも遅れるとはいえ滑り動き当て辛い。

 

「こっちを忘れんな!」

 

咄嗟に後ろに引いた所、挟み撃ちに立っていたオニシスターのフルスイングを思い切り喰らって、その場にぶっ倒れる。

 

「もらったぁ!」

「ふっ!」

 

ドンモモタロウの一太刀とサオリの連射、それらを一度に浴びてかなりの痛手を負うがその怒りもかなり大きい。

 

「ぐあぁ!!足に触るな!」

「避けろ!」

 

距離があったサオリは横に冷凍ガスを避けられたが、ドンモモタロウはその場から抜けられなかった。サオリは一瞬狼狽えるが、同時にタロウという存在に信頼がある。攻撃の再開は早かった。

 

「はっはっはっはっ!ゴールドアバターチェンジ!」

 

ドンモモタロウは氷などに包まれはしなかった。その代わりに包まれた物は黄金。胸部、ゴーグル、トサカ、マント全てが煌々と輝くド派手で無双の暴れ野郎。

 

『完全無欠の鬼退治!ゴールドンモモタロウ!よっ!天下無双!!』

 

ゴールドンモモタロウが高笑いと共に冷気を切り裂いた。サオリとオニシスターはハチャメチャな力に、もはや安心感すらおぼえる。

 

「桃井タロウ、やはり常識を超えているな」

「まぁタロウだからね」

「はっ!」

 

怯んだ隙にすかさずドンブラスターを発射、一撃の威力が増したそれを相手はモロに喰らいのけぞる。

 

「くぅ、即席スケートリンク!」

 

姿勢を整えたかと思うと、辺り一面を滑走しながら冷気を放ち、氷が輝くスケート場へと姿を変えた。

 

「ターン!ジャンプ!コンビネーション!」

 

もうヤケクソだろうか。ドンブラザーズ達を圧倒しようとどんどんスケートの技術を披露する。それを評価できる相手はどこにもいない。

 

「はっはっはっ!ならこっちもダンスを見せてやる!」

『よっ!獣電戦隊!』『ガブリンチョ!ガブティーラ!』

 

それに対抗するのかゴールドンドンモモタロウを恐竜の力が覆い、ゴールドンキョウリュウレッドとアバターチェンジ。

 

「ブレイブに踊れ!」

 

それが合図なのかホイッスルをベースに激しいペースの音楽、「サンバ」が鳴り響く。そのメロディに込められているのは力強さ。何処かの赦しと希望の憐讃歌(キリエ)とは違うが、力溢れる物である事は間違いない。

 

「よく分かんないけど、ノリノリだーっ!」

「……それでいいのか」

 

オニシスターは猪突猛進を始め、サオリも困惑しながら前に出る。ゴールドンキョウリュウレッドはザングラソードとガブリボルバーを両手に走り出し、地面に向けて引き金を引く。

 

『ガブリンチョ!アロメーラス!』

 

踊る様に回りながら火炎を振り回し、スケートリンクは徐々に消えていく。逃げ場を無くし滑れなくなった所に殺到されれば斬撃、打撃、射撃のオンパレード。キョウリュウレッドがすれ違いざまに切り裂き、オニシスターのフルコンボウで頭、胴体を殴られながら横合いからサオリが的確に撃つ。

 

「お前達、これで動け」

 

攻撃の最中、キョウリュウレッドはちょうど近くにいた氷漬けの脳人に気が付き、火炎を調節しながら炙る。

 

「助かったぞ、桃井タロウ」

「お前、いつの間に戻ってきたのか」

「ああ、どうにも役目があるらしい」

 

その一言に疑問符を浮かべる脳人二人だが、ヒトツ鬼がオニシスター達と戦闘を続けているのを見て意識を切り替える。

 

「おりゃおりゃおりゃー!!」

「射線を遮るな!」

「あっ、ごめん!」

 

夢中になってフルコンボウを振り回し、サオリがなんとか合わせる。訓練された軍隊と行き当たりばったりのチームでは本質的に相性は良くないが、その程度では負けない対応力も持ち合わせている。無限回転鬼の顔に射撃を浴びせ、顔を腕と鬼険銃で隠した隙に、オニシスターが胴体にフルスイングを一撃。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁ!?」

「よっし!」

「最後まで気を抜くな、鬼頭はるか」

「わかってるっての!」

 

相手が吹き飛ぶ姿に片手でガッツをするオニシスターをサオリはたしなめる。反論はするがそこに不快感は無いだろう。

 

「ケンケーン!」

「リーダー!あらかた片付きました!」

 

「やはり彼女達も強いな」

「あの装備で対応できるあなた達も」

 

「すごいねワンちゃん」

「いや離せよ!だっこするんじゃねえ!」

 

無限回転鬼がダウンするのと同時にアノーニ達を片付けたドンブラザーズとスクワッドのメンバーが集結し、それぞれのリーダーの周りに立ち並ぶ。そしてアーマーの胸部がタイマーよろしく点滅、元に戻ったドンモモタロウが叫んだ。

 

「お供達!必殺奥義だ!」

「分かりましたー!」

「行くよサオリ!」

「そこで見てろ」

「彼女達も参加するのだろうか」

 

慣れないスクワッドを置いてドンブラザーズは配置につく。4人が持ち手の付いたハンドルを回すと、ドンモモタロウ達の立つ地面がせり上がり、キヴォトスにおけるアリウス分校旧校舎を模した灰色の舞台からヒトツ鬼を見下ろしていた。

 

「桃代無敵……」

『ドン!ドン!ドン!ドンブラコ!』

 

ドンモモタロウの周りに立っていたスクワッド達は困惑しながらも武器を構え、照準を合わせる。

 

「vanitas vanitatum.」

「アリウスアバター乱舞!」

『モーモタロ斬!モモタロ斬!モーモタロ斬!モモタロ斬!』

 

これは不味いと鬼険銃を乱射する無限回転鬼だが、それよりも精度の高いヒヨリの狙撃で銃を弾かれ、ミサキのロケットランチャーを正面からモロに喰らう。抵抗手段が奪われれば後はお供達とアツコに連射を浴びせられ何もできない。

 

『必殺奥義!モモ!タロ!斬!!』

 

最後を飾るべく灰色の世界で七色に輝く刀身が躍り出し、同時に激情を込められたコバルトブルーの弾丸が鋭い銃声を伴って飛び出す。片や不規則に、片や直線に、その身を斬り、穿ち、削り、刀身は正面から迷いなき一太刀を、弾丸は背後から容赦無き一射を叩き込む。トドメを終えたドンモモタロウは肩に刀を乗せて、その背後でサオリは敵から視線を逸らさず二種類の銃を手に佇む。

 

「シーズンベスト……うわぁぁぁぁぁぁ!!」

「「ドン!ドン!ドンブラザーズ!!」」

 

「決まったな……!」

「任務完了」

 

無限回転鬼は斃れ爆発、それを前に勝どきを上げるドンブラザーズ。サオリは淡々と戦闘の終了を確認し、ドンモモタロウは振り返らず手応えをその手に握っていた。

 

しかし爆風が晴れると同時に《蟾ィ螟ァ蛹》と警告色の囲いが現れ、その周囲の風景が電子的な都市と重なり合う。

 

『うぅあぁぁぁ!へいらっしゃーい!!』

 

欲望が暴走してスキン「特上インフィニティー」を纏ったヒトツ鬼ング「無限回転鬼ング」は左手のひらに右手で握りを作る姿勢で構えを取った。

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