頭部:
コア:
腕部:
脚部:
ブースター:
FCS:
ジェネレーター:
これを基本に、ミッションごとにアーキバス系列のパーツで組み替えていきます
「第9隊長、間もなく作戦領域に入ります」
C4-621独立傭兵レイヴン改め、V.Ⅸレイヴンはヒアルマー採掘場へ向かう輸送ヘリの中で何度目かの機体の確認を行っていた。ヴェスパーに所属した際に最初に言われたオーダーこそ、「機体構成をできるだけアーキバス系列企業パーツで揃えること」である。企業を背負って戦う企業所属のパイロットは、企業が販売するパーツのプロモーションも兼ねた作戦行動を行うらしい。自社製パーツでミッションをこなすことにより、そのパーツの信頼性と威力を戦闘ログによって広めることも仕事の一環である。故にファーロンやタキガワなどはともかく、敵対企業であるベイラムのパーツを使うことなどは、よほどの例外出なければ認めないらしい。
このオーダーに対して、621は当然苦悩することになった。なにせ、今まではミッションごとにパーツを組み替えていたのだし、その中にはベイラムのパーツも当然ながら入っていた。アーキバスはEN技術に優れた企業であるが、それらの武器は短時間で高いACS負荷を与えるのには向いておらず、それこそがベイラムが販売している実弾兵器である。マシンガンやアサルトライフル、ショットガンなどでスタッガーにさせてからブレードで確実に仕留める戦法こそ今までの621の基本戦術であり、それらを封じられた621はミッション直前までアセンブルで悩むことになってしまったのだ。
「作戦領域に侵入しました。どうやら戦闘はすでに始まっているようです。これより投下します、第9隊長。ご武運を」
企業所属は早計だったかなどと考えていると、ヘリのパイロットからの通信が入ると同時にヘリのハンガーが起動し、機体がヘリの後方に吊り下げられる。そしてランプが赤から緑になると、機体が投下された。企業所属としての初ミッション、その幕開けだ。
【メインシステム、戦闘モード起動】
『ミッションを開始します、レイヴン。どうやらベイラムは採掘場奥の調査ドローンに優先して戦力を回しているようです。まずはそちらの対処に当ることを推奨します。』
エアの言葉を受け、即座にアサルトブーストを起動。最速で奥のドローンに向かうための行動を開始する。一番手前にあるドローンにもMTが向かっていくのを確認したが、そちらは友軍MT部隊に足止めを食らっているらしい。ブースターを噴かしながら右手の
「敵襲!増援のACが来たぞ!」
「識別名はV.Ⅸ、レイヴン……!?馬鹿な、何故レイヴンがヴェスパーに!」
聞こえてくる通信を軽く聞き流し、ひたすら奥へ。第2のドローンがある手前上り坂でジェネレーターを休ませ、ついでにドローン離隔に向かう敵MT数機をを左手の
「ACを確認、独立傭兵、いや、ヴェスパーのレイヴンだ!」
「アーキバスに鎖を繋いだことを後悔させてやれ!」
まずは楽な方から片付ける。621は通常MTをターゲットとし、アサルトブーストで一気に突っ込んだ。右肩に装備した
4脚MTはブレードを搭載している機体でなければ、接近してしまえば小回りがきかず距離をとることしかできない。アサルトブーストで再度突撃した621はグレネードを回避し、通りすぎたあとクイックターンで急反転し、背後に張り付いた後左肩ハンガーに装備した
『施設奥のドローンはこれで問題ないでしょう。後は友軍の協力して残りのMTを――』
『通信失礼します、第9隊長。こちらはヴェスパー第1部隊のオペレーターです。ベイラムの襲撃に際して、現在本部に観測データの受け渡しを行っていましたが、その地点に敵性ACが向かっているのを確認しました。マーカー情報を更新しますので、残りのドローン防衛はMT部隊に任せ、至急そちらに急行しACを迎撃してください』
『――そう簡単には終わらないようですね。続けましょうか、レイヴン』
マーカーは近くにある巨大風力発電施設の奥、崖の少し手前に設定されている。アサルトブーストを起動した621はオペレーターの言うとおり、敵残存兵力を味方に任せ、最短ルートでマーカー地点に向かう。途中でMTを数機落としてアーキバスの好感度を少しでも上げることも忘れない。マーカー地点に621がたどり着くとほぼ同時、レーダーが敵ACの反応を確認した。
「見つけましたよ、独立傭兵レイヴン……。いえ、今はV.Ⅸレイヴンでしたか?まあどちらでもよろしい。あなたを気に入っているミシガン総長には申し訳ありませんが、ここで墜ちていただきましょう」
『アリーナから機体情報を確認。アリーナDランクの22位、AC鯉龍。識別名、G3五花海です!』
五花海はこちらを確認するとホバリングモードになりミサイルを放って攻撃してきたが、621はハンドガンである程度撃ち落とし、残ったミサイルを回避しながら右手のライフルで射撃する。しかし相手の左に装備されたパルスシールドに防がれ、ダメージを激減されてしまう。AC鯉龍は分裂ミサイルを2つを4脚ACの滞空性能をもってばらまきつつ、接近戦にはマシンガンとアサルトアーマーで対応、中距離ではシールドで攻撃を防ぐミサイラーACだ。無論パルスシールドには冷却が必要であるし、そもそもベイラム系列企業のフレームはEN防御性能にそこまで秀でていない。ミサイルを避けながら、こちらも中距離からハンドガンとライフル、プラズマミサイルを打ち続ければ問題なく勝てる相手ではある。
(だが、それでは自分の価値を証明するには不十分だ)
あのV.IIからの評価を獲得するのは、生半可な戦闘では難しいに違いない。相手がレッドガンであろうと、危なげなく迅速に処理してこそ評価を上げる好機。そう判断した621は、なるべく短期決着をつけることを決めた。鯉龍に向けて、オーバーヒートしない程度に両手の武器を連射する。ホバリングモードの4脚ACは、弾速が早いレーザー武器をクイックブーストで避けるのは直撃のリスクがある。商売人であり詐欺師である五花海はそのリスクを許容するはずもなく、シールドを展開して受け止める。返す刀で右肩と左手の分裂ミサイルの発射しながら、五花海は通信を繋ぐ。
「全く独立傭兵の立場は羨ましいものです。どうやってヴェスパー部隊に加入までしたかは分かりませんが、こうも易々とアーキバスの紐付きになれるとは。」
五花海はベイラムという泥船にいつまでも乗っているつもりはなかった。商売を教えていたG4ヴォルタを壁越えにおいてベイラムが捨て駒のように扱ったのは、記憶に新しい。ベイラム上層部は外様であるミシガンへの嫌がらせのようなミッションと、コーラル獲得を両立するという控えめに言って無謀なことをしている。今はミシガンが懸命にやりくりして持たせているが、いずれは持たなくなるだろう。万が一ミシガンが死亡するなどでレッドガンが壊滅した場合、五花海はアーキバス上層部に交渉して鞍替えをするつもりだった。
しかし、このレイヴンだ。壁越えというアーキバスの覚えを良くするミッションをこなし、徐々に頭角を現しつつあるパイロット。仮にレイヴンが存命であるならば、コーラル争奪戦の果てで戦力が疲弊していようと、元詐欺師かつ元レッドガンである五花海をアーキバスは迎えようとは考えないだろう。五花海はサブプランのため、全力でレイヴンを排除する必要があった。
そんな事情など621は知ったことではなく、等間隔に両手の武器で射撃しながら、シールドの展開時間を数える。鯉龍が装備するパルスシールドは621ショップで買える状態であり、その際基本性能はカタログで確認していた。無論、その展開時間と冷却時間もだ。タイミングを見計らってプラズマミサイルを発射。そのミサイルは、展開時間が終了し収納された直後のパルスシールド、そのすぐ上付近で爆発する。それと同時にFCSをマニュアルエイムに変更しライフルをシールドに向けて発射。見事命中し、爆風とライフルの同時攻撃によってシールドは破損、爆発した。そしてそれは、ホバリングモードを解除しようとしていた鯉龍を巻き込み、左腕の損傷とスタッガーを引き起こす。
「何……!?狙ったというのですか!?」
すかさずアサルトブーストで突撃しながら、オートエイムに戻しつつライフルとハンドガンで射撃を行う621。ジェネレーターによって威力が引き上げられ2丁のレーザー武器によって鯉龍のAPと装甲はみるみる削られ、焼かれていく。スタッガーから復帰したとき、すでに621はブレードの射程圏内に入っていた。
「アサルトアーマーを……!」
マシンガン1丁ではどうにもならないことは理解しているため、焦りを抱えつつアサルトアーマーを起動する五花海。しかし621は動じない。ブレードの距離には入れば必ずアサルトアーマーを展開すると分かっていて、あえて攻撃モーションには入らなかったのだから。軽く後ろにクイックブーストをしてアサルトアーマーの効果範囲から逃れる621。後に残るのは、大きな隙ができたただの的である。チャージし、出力をあげたパルスブレードが鯉龍のコアを貫通する。脱出の隙もなく、五花海もそれに巻き込まれた。
「……やはり、すでに泥船、だったか……。ミシガン総長、あなたも今のうちかも、しれ―」
『G3五花海の撃破を確認。レイヴン、お疲れ様でした。……!?待ってください、上空に大型の熱源反応。ちょうどデータ受け渡し地点の上空です!』
鯉龍撃破も束の間、後ろを振り向く一体が暗くなっている。上を見ると、エアの言うとおり巨大な船らしきものが浮いているのが見えた。それは艦首から地上に向けてレーザーを発射し、データの受け渡しをしていたMT達を焼き払っていく。
『第9隊長。あれは惑星封鎖機構の強襲艦です。船体下部後方には、MTやLC機体を降下させるためのハッチがあります。戦力を投下される前に、まずそちらを狙ってください』
いつの間にか通信していたオペレーターに驚くも、すぐに指示に従い船体後方に向かう621。みれば言葉の通り、ハッチが開いて機体が吊り下げられているのが確認できた。降下される直前にハッチ下にたどり着いた621はアサルトアーマーを起動。降下する機体達は展開直後のアサルトアーマーの効果範囲に自ら入っていき、次々撃墜されていく。残った機体は盾を持った人型、恐らくオペレーターが言ったLC機体だろうが、そちらもアサルトアーマーの直撃を食らって無防備をさらしている。621はパルスブレードを展開して2連撃を繰り出し、LCを盾だけ持ったダルマにすると、閉じようとしているハッチに向けてブーストキックで蹴飛ばした。閉まったハッチのなかでLCは爆発したらしく、ハッチが壊れ内部にそれなりのダメージを負ったらしい強襲艦は、航行スピードが目に見えて遅くなる。
『第9隊長、艦橋を破壊してください。強襲艦は、艦橋付近に動力系統の設備を搭載しています。艦橋を潰せば撃墜にもっていけるはずです』
『レイヴン、あちらに垂直カタパルトが設置されています。あれを使えば艦橋を撃てる高度に到達できます』
カタパルトを起動させ急上昇する621。強襲艦はちょうどカタパルトの上付近を通過しようとしていたが、さっきの攻撃でスピードが落ちている強襲艦の甲板に取り付くのは用意だった。チャージをしたレーザーライフルを挨拶と言わんばかりに直撃させ、ハンドガンを連射しながら艦橋に近づく。途中機関砲が狙ってきたが、一直線に艦橋前に向かった621に対して、わずかなAPを削ることしかできなかった。艦内にいる逃げ惑う人間を尻目に621はパルスブレードを横に振るうと、これまでの射撃で装甲が脆くなっていた艦橋はあっさり上下に分断される。聞いていたとおり爆発を起こしながら地上に墜落していく強襲艦を見ながら、621はゆっくりと着陸する。
『今度こそ、ミッションは終了――いえ、熱源多数。これは、さっきの強襲艦と同じ……!?』
見上げると、先ほど撃墜した強襲艦と同型のものが大量に見える。ドローンと共にルビコンの空を覆い尽くさんばかりに確認できるそれの数の多さに、621は思わず息を飲んだ。
『ルビコンに不法侵入した全ての勢力に告ぐ。ただちに武装解除し、封鎖圏外へと退去せよ。これ以上の進駐は惑星封鎖機構への宣戦布告と見なし、例外なく排除対象とする。繰り返す。例外はない』
『この、艦隊は……』
『……我々企業は、いささか時間をかけすぎたのかもしれません。ともかくミッションは無事終了しました。お疲れ様です、第9隊長。帰還してください』
【新着メッセージ 1件】
V.IIスネイル
【レッドガンの一人と、封鎖機構の強襲艦……。まあ初任務にしてはまずまずと入ったところでしょう。とはいえ、調子には乗らないことです、駄犬。ヴェスパーの一員になった以上、この程度はこなしてくれなければ困る。今回の1件だけでは、あなたの評価には何も影響しないことを理解しておきなさい。これからもアーキバスのために身を削って働くように】
『ウォルター、なにやらややこしいことになったみたいだよ』
『621のことなら把握している。こちらにもメッセージが入っていた。』
『あんたはビジターの自主性を重んじていたみたいだが、結果的には大失敗だったわけだ。少なくとも086で留めておけばこんなことにはならなかっただろうに』
『……621を使っていたのは、コーラルの集積場所が分かるまでに俺が死ぬわけにはいかなかったからだ。コーラルの場所が分かれば、後は企業が道を作る。俺たちはその隙の狙って焼けばいい。そのための火も用意した』
『……安全弁かい?上手く持ち込めたんだね』
『最後の最後で封鎖機構に発見され、こいつを使わざるを得なくなった。だが、良好だ。この性能なら十分コーラルを燃やすことができるだろう』
『アーキバスにいるビジターを巻き込んで、か?私はまあどっちでもいいけどね』
『……コーラルの危険性に関しては、燃やす直前に621に伝える。後は、あいつの選択次第だろう』
ヴェスパー第1部隊オペレーター
ヴェスパー第1部隊、フロイト専属のオペレーター。フロイトが任務中指示をほぼ聞かず、そのくせ任務は必ず成功させてくるためほぼ無職になっている。621がヴェスパー部隊に入ったことで、フロイト用のオペレーターをこの際無くし、代わりに621のオペレーターにする動きがスネイル手動で進められている