その作品のキャラクターたちを大事にしようと思えば思うほど、喋り方や所作の描写が難しくなっていくものなんだなと思いました。
二次創作やられてる方ほんとすごい……。
もちろん原作者様も偉大です!!
「なぁ、傑」
「なんだい、悟」
教室にて、白髪碧眼でサングラスを掛けた少年、五条悟は机に突っ伏しながら、隣の席に座る黒髪を後頭部でまとめ上げた切れ長の瞳の少年、夏油傑に話しかけた。
「今日ってココに俺たち以外で特級来るって聞いたか?」
悟の問いに傑は少しの間の後、口を開いた。
「いや、私は特に聞いていないが……」
「じゃあ、硝子は?」
「私も~」
悟は傑の返答を聞いた後、更に隣の席に座るショートカットで気だるげそうな少女、家入硝子にも同様に質問する。
しかし、返答は傑と同じ。
その質問に対して今度は傑が疑問に思ったのか、悟に質問を返した。
「急にどうしたんだい? 悟にしてはえらく真剣じゃあないか」
悟は机から顔を上げると、少し目を細めて答えた。
「呪力だけでも俺たちレベルのヤツが先生と一緒にこっち来る」
「この時期に転校生か。なるほど、それは楽しみだ。私たちの任務も少しは楽になるかもしれない」
「御三家でもここまでのヤツは情報が挙がってない。傑と同じスカウトかもね」
「クズども2人でも大変だってのに……反転術式使える女子来ないかな」
「私たちはクズか……ふふっ、まあ反転術式のアウトプットは稀有だ。硝子以外でそう簡単にいるわけないだろう」
3人がやいのやいのだべっていると、教室の扉が勢いよく開け放たれた。
この呪術高等専門学校の教師、夜蛾正道が教室に入るやいなや、後ろに連れた人物の紹介を始めた。
「全員いるな、今日はお前らへの任務を伝える前に転校生を紹介する。入って来い」
「はははは、はいっ!!」
扉の外で過度の緊張によってスタッカートを刻み、ハイトーン過ぎる上擦った返事が木霊した。
3人の視線が教室の扉に注目する。
そこから入ってきたのは、3人の中で1番身長の低い硝子よりも更に小さな背丈。
ふわふわな栗色の髪を肩下まで伸ばし、赤みがかった薄茶色の瞳のお人形さん……では無く少女であった。
少女は教室に入ると3人とは一切目を合わせず、両手両足同じ方を交互に前に出しながら、ガションガションと錆びたロボットのような動きで教卓の横まで移動した。
「ほら、自己紹介だ」
「はっ、はい。ええと、夕霧せちゅ……雪菜です。よ、よろしくお願いします!」
噛んだ、と悟は思った。
噛んだな、と傑は思った。
噛んだね、と硝子は思った。
雪菜は赤面し、目をぐるぐると回した。
口元がもごもごと動き、はっきりとは聞こえないが、あうあわあわあわわ、と謎言語を無限に呟いていた。
傑は既に満身創痍な雪菜へ助け舟を出そうとしたが、これはこれで面白いか、と考え直して静観の構えを採った。
硝子は自分以外の女子が来たことにより、眠たそうな目はいつもより2割増開いていて、口角は10度ほど上がっている。
悟は表面上、雪菜の奇行に呆れで徹していたが、内面では慌ただしく目の前の情報を分析していた。
呪術高専指定の制服に身を包んでいるが、それ以外は明らかに場違いな緩い雰囲気。
まるで呪霊との戦闘を想定していないような身のこなし。
体の何処にも傷らしきものはなく、顔立ちはかなり整っている。
呪い呪われるこの世界とは、何処か違う世界からやってきたような、言葉にし難い要素をもつ少女。
しかし保有している呪力、これが予想外且つ規格外。
現在彼女は体に纏う呪力を一般の呪術師の量に抑えているが、悟の生まれ持った才能【六眼】の前では、どんな騙りや嘘を越えて真実を見抜く。
まるでこの世の全てに恐怖し、憎悪し、憤怒しているかのような。
それらの負の感情を全てを火にかけて、蓋をしてドロドロに煮詰めて濾したような。
そんな恐ろしい呪力の濃度と量を保有しているのにも関わらず、あの小さな少女はそれを表に一切出さず平静を……いや、平静では無く奇行におよんでいる。
「呪術師としての才能は有り……か」
高専側も厳正な調査の末にスカウトに至ったはずだ。
何かあれば俺と傑がいる、そう思った悟はひとまず新入りにちょっかいを……訂正、
「行くぞっ! フォーメーションA!」
と悟が叫ぶと。
「おうッ!」
と傑が。
「お~」
と硝子が。
この3人が呪術師としてどれだけ優れていようと、中身は年相応の高校生。
おふざけや悪ノリでも無類のチームワーク力を発揮するのだ。
「えーと、お前。夕霧
まずは先手必勝。
悟が雪菜に【無下限呪術、術式順転、蒼】で急接近、そのまま雪菜の後ろの黒板に思い切り右手で壁ドンをかました。
左手でサングラスをずらして、宝石のような碧眼を雪菜に披露することも忘れない。
間髪入れずに傑が動く。
雪菜から見て左側は悟の壁ドンにより逃走不可能、よって右側からの逃走を図るだろう。
しかし、傑は既にそれを予想して先回りをしている。
そのまま今度は傑が雪菜を左手で優しく壁ドン、いや壁トン。
悟は俺様系の強めのあたり、ならば。
「もし? 怪我無いかい、悟は少し乱暴だからね。私は夏油傑、悟と同じ最強だ。そうだ、私が君のナイトになろう。何者も君を触れさせない。誓うよ」
結っていた髪を下ろしてイケメンスマイル。
傑は俺様系の対抗馬として、王子様系をチョイス。
【呪霊操術】により、甲冑騎士型呪霊を2体自身の後ろに配置させて、呪霊は剣を交差させて鉄のアーチを作った。
最後に大トリの硝子。
高身長の二人の隙間を縫って雪菜の目の前に潜り込む。
「私は家入硝子、反転術式が得意なんだ。怪我したら直してあげるから何時でも呼んでね。お金は取るけど」
いつも通り、普通の硝子だった。
いや、この悪ノリに参加してる時点で新しい仲間(女子)にテンションが上がっていることは伺える。
三者三葉の自己紹介。
初対面でこのノリに着いてこれるはずは無い。
夜蛾も顔で手を覆い、天を仰いでいる。
肝心の雪菜はどうだろうか。
「…………」
「あれ、反応無し?」
「流石にやり過ぎたか?」
「固まってる」
数秒後、雪菜は突然目を見開いた。
「ぎやぁぁぁぁ!! さしす組が目の前に!??? てか何この人たち顔が良過ぎないか?? なんだ作画が神過ぎる尊いマジ無理ぶべらッ」
急に謎言語で喋りだした雪菜は、謎の力(顔面強強パワー)によって黒閃並のクリティカルヒットを受けた。
目を擦り、ほっぺをつねり、夢では無いことを確認した雪菜は、再度3人のご尊顔を間近で拝見した。
しかし、その威力は軽減されなかったようだ。
あまりの顔の良さに雪菜の身体は衝撃に耐えられない。
吐血し、きりもみ回転して空高くぶっ飛んで行き、そのまま地面に臥した。
死因、尊死。
夕霧雪菜、2度目の絶命。
しかし、雪菜の顔はなんとも満足そうであった。
「…………え?」
悟はその眼を持ってしても、今起きたことの理解が出来なかったという。
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後、皆様のキャラクターのイメージを崩したらごめんなさい。
さしす組はずっと一緒にいて欲しいな。
そういえば、雪菜ちゃんの外見って描写無かったね……。