誤字脱字感想評価を是非お願いします。
特に感想で皆さんとお喋りするのが、作者は一番の楽しみです。
よろしくね!
修行開始1日目の私たち。
「ほらしょーこー! もっと自分の感覚で捉えることのできる範囲を広げるのだー!」
「雪菜っ、お願いだから、……もっとわかりやすい日本語を使って」
1ヶ月後。
「こら硝子、結界術のようにちゃんと範囲を限定しなきゃダメでしょ? キャンパス無しに空に絵が描けますか?」
「意味わからん例えよりも、具体的な方法を教えろよ……」
更に1ヶ月後。
「いいよ……半径約3m、綺麗な半球型だね。領域の維持も完璧だ。さあ目を閉じて、私がその領域に入りながらどこからか攻撃するから避けてね。せーのっ、はぁ!!」
私の拳は黒く発光した。
「うわぁぁぁ!? 雪菜アンタ今黒閃パンチしなかった? 私避けれなかったら死んでたんだけど」
「でもちゃんと領域に踏み込んだ時点で、こちらと対面できる体勢に変えて、突きが来る前から避けれてたよ。えらい!」
そして更に更に1ヶ月後、修行を始めてから3ヶ月が経った。
「さて、遂に最後の仕上げだよ……。その領域に正のエネルギーを流し入れて完全に満たすのだ!」
「…………」
集中モードの硝子に無視されました。
仕方ないね、集中モードだからね。
……ちょっと泣くか。
硝子は目を閉じて自身の領域を広げた。
修行によって範囲は更に広がり、現在は半径6メートル。
いつしか保健室全部領域で囲めるかも。
「ッ!」
硝子がカッと目を開くと、その瞬間に領域内が正のエネルギーで満たされた。
「あっ、流し入れるイメージしてたけど、瞬間的に満タンになるタイプね、了解」
「だって、そっちの方が早くない?」
「ごもっとも」
そういえば、東堂葵も呪力を流すイメージを持つのは初歩、囚われすぎてはいけないって言ってたっけ。
「その状態キープしつつ目を閉じて。私がちょっと怪我して領域入るから、見ずに治せたらスタバ奢る」
「今までの地獄をフラペチーノだけで清算しようとするな」
「……ご希望は?」
「ピア○ッシモ・メンソール1カートン」
「タバコだめ! 絶対!」
「……けち」
ぐうぅ、なんだそのふくれっ面は。
可愛いだろうがっ! いい加減にしろ!!
しかし、硝子の肺の将来を考えて、ここは心を鬼にしてダメなものはダメです。
私は自身の右手に、【千変万化】で属性を『鋼』に変えた呪力をナイフの形状にして持ち、左手に突き刺した。
ズブリ
痛い。
うん、ちゃんと貫通してる。
しっかり血出てるわ。
片手間に反転術式で回復してあげていた負傷者さんが、こちらを見て小さな悲鳴をあげていたが気にしない。
次にナイフ状呪力を解いた右手の手首を、血だらけ左手の黒閃チョップ!
ゴキン
右手首はしっかり骨折です。
片手間負傷者さんは、こちらを見て涙目でドン引き。
ごめんね、これも硝子の成長を確認するためだからね。
「それじゃあ、行きまーす」
私は硝子の領域へ、
すると、硝子は目を閉じながら、一瞬苦虫を噛み潰したような表情をすると、すぐに治療を開始させた。
彼女は手を触れずに、視界にも入らせずに、2種の異なる負傷を同時に、完全に回復させた。
「……ふふ、成ったな」
私は誰にいうでもなく、独り言ちる。
家入硝子、高専1年。
10月21日、【簡易聖域】修得。
この後、硝子に自傷にも限度がある、もっと体を大事にしろ、ということを小一時間ほどお説教される私なのでした。
それから少しお休み期間を頂いてから1週間後。
硝子は早速【簡易聖域】を保健室で展開した。
おお……負傷者の方々がお昼の牛丼屋の回転速度で回復されては出ていって、回復されては出ていって。
多人数且つ損傷の種類、具合がどれひとつ同じではないのに、全員がちゃんと元通りだ。
すごい。
あれ、私もうやること無くない?
「そういえば雪菜、前に私が3つの事できるまでアンタがほぼ任務やるって言ってたけど」
「うん、言った」
もう片手間に私とお喋りできるほど、【簡易聖域】を使いこなせているんだね……。
ていうか最近硝子が簡易聖域をすぐ展開する。
私はその回復がちょっとでも長引いた負傷者さんを横取り……丁寧に私の元へご案内している。
硝子は気づいているのかな。
私の方が仕事していないことに。
更に硝子は効率的な運用方法を自分で確立したのかわからないが、休憩時間以外はほぼ聖域を出しっぱにしている。
疲れた表情も見せないし、たまに心配でサングラスかけて三眼を使うのだけれど、硝子の呪力量は大幅に減っているわけでもない。
ちゃんと余裕そうだ。
もしかして自己補完の範疇でいつでも新鮮な脳をお届けサービスしちゃってる?
あれって六眼なくてもできるのかな。
何はともあれ、もう独り立ちできる仕上がりになってしまいました。
嬉しいような、寂しいような。
「呪力総量の拡張と簡易聖域とあと一つは?」
私の胸の内など気にもしていないであろう硝子は、そのまま話を続けた。
硝子は右手の指を1本ずつ立てていく。
3本立てたところで、私に続きを求めた。
私は腕を組んで考える。
最初は3つって言ったけれど、今でも充分一人で保健室を回せているから、必要はあるのか疑問になってきたな。
ここまでかなり順調だったけれど、この最後が一番の難関なんだよねぇ。
「正直言うと、出来なくてもいいんだけど、保険的な意味でも覚えて置いて欲しいなって思うんだよね……」
「今更何が来ても驚かないけど」
「万が一、私が死んで理子ちゃんを守りきれなかった時に必要だし……いや、でも硝子の反転術式の解釈と根本から違う考え方だし……」
「何意味わからんこと言ってるの、私に分かるように言えー」
「あばばばばば」
硝子は私にこめかみグリグリの刑を執行した。
前世では電車に轢かれ、現世では高専に入る前に沢山呪霊戦をこなしたけれど、このこめかみの痛みは一生慣れないよね、不思議。
「よし、覚悟を決めよう。硝子が一人でも生きていけるようにするって私は決めたのだから!」
「覚悟するのは、どっちかって言ったら私だし。てゆーか雪菜は私のママか」
「え、硝子はお母さんのことママ呼びなの!? ギャップで死ぬけど?? あばばばばばば」
再びこめかみグリグリの刑。
照れ隠しかわいいね。
「いてて、では硝子には【反転術式・辿】を覚えてもらうよ」
「辿……もしかして、雪菜がたまに使う反転術式?」
「あれ、気づいてたんだね」
「うん、たまにほぼ死んでるもしくは手遅れな術師が運ばれて来るけれど、雪菜が治しちゃうから」
「ふふん、すごいでしょ?」
「雪菜キモって思ってた」
「うっ……人の道を逸れた力を得ると、他人からは同じ人として見られなくなる。強さは人を孤独にするんだよ」
「安心して、初対面の時から言動が既にキモかったから差程変わらないよ」
それを聞いて絶望した私は、そのまま両手両膝を地面につけて項垂れた。
どうやらファーストコンタクト作戦は、大失敗に終わっていたらしい。
過去の失態は一体なんだったのか、どこから間違っていたのか、私は改めて脳内反省会開会宣言をここに行うのだった。
すると、硝子はそっぽを向きながら、ギリギリ聞き取れる程の小さな声で言葉を紡いだ。
「ま、まあ。私も【反転術式・辿】覚えるなら? 雪菜と一緒にキモくなっちゃうのかー、なんて……」
硝子、不可避の速攻。
突然襲来した黒閃の如き衝撃に、私の体は耐えきれなかったようだ。
雪菜は幸せそうな表情のまま息を引き取った。
雪菜、
死因、尊死。
ちょっと硝子のキャラ崩壊具合がががが……
もっと原作を読んで彼女への理解を深めなければ。
でも雪菜ぐらいの同級生で女の子って原作でいなかったから、どんな対応してくれるかあんまり分からないんだよね。
それはそうと、雪菜が急にサングラスかけたら、何事って硝子は訝しむと思うよ。
絶対三眼使ってるのバレてるよ、雪菜隠し事下手なんだから止めなぁ?