次は悟編? それとも傑編? まさかのメロンパン編?
実は既に感想欄の返信にて少し匂わせがあります。
良かったら見てみてね。
何より皆さんのツッコミや考察コメントがマジでセンスあるから、読んでいない人は是非読んでみてほしい!そしてこれを読んでるあなたも感想書いて欲しい!(超願望)
あの後、何とか蘇生を果たした私は、硝子に【反転術式・辿】の授業を始めるのだった。
「まずは、普通の反転術式と辿の違いから」
「おー」
保健室の隣の空き教室で教卓に立つ私。
チョークで子気味よく音をたてながら、黒板に2つの反転術式の違いを板書していく。
それに対して、硝子は一番前の真ん中の席に座る。
しかし、授業形式にしたのがマズかったのか、既に半目で船を漕いでいる。
あなたが寝たら、この簡易聖域はどうするのよ。
隣の保健室では、例の張り紙が貼ってあるのに。
内容は、
「保健室に居れば勝手に治るので、ゆっくりしていってね。ヒーラー2人組より」
硝子は上手く縛りを結んで、展開した簡易聖域から体が出なければ、領域内を自由に動き回れるようになったらしい。
簡易聖域の発想元は私だけど、便利に改良したもんだ。
元オタクJKやってた私に解釈(妄想)で勝つとは、恐ろしい子!
……ひとまず、起こすか。
「はい、硝子くん。授業中は寝てはいけません。黒板に書いたことを音読してもらいますよっ!」
「むにゃ……はい。ええと」
教室内にcv遠○綾様の寝起き音読ボイスが響き渡る。
なんて素敵な声質なんだ……唯一無二です。
話を授業に戻しましょう。
普通の反転術式と辿の違いは負傷の治し方にあり、逆にそれ以外はほぼ同一である。
どちらも正のエネルギーを扱うことが大前提。
普通の方は、体本来の治癒力を正のエネルギーで一時的に強化して治癒する。
それに対して辿は、正のエネルギーで対象の魂の記憶をスキャンする。
そして、魂に過去の肉体の情報を上書きして損傷した肉体を修復する。
この呪力操作に関して言えば、魂が先か肉体が先か問題は魂が先、つまり真人説を採用している。
すまんな、パパ黒&羂索。
私は真人&オガミ婆と仲良くするよ。
どちらの反転も硝子にマスターしてもらいたい理由は、どちらにもメリットデメリットが存在しているので、状況に合わせて使い分けて欲しいからだ。
普通の方は、辿より簡単且つ発動者にダメージは0。
しかし、強化した治癒力では治せないほどの損傷も存在するし、対象者が弱り過ぎている場合はそもそも治癒力の強化ができない。
辿の方は、普通の反転術式より圧倒的に難しい。
魂の記憶を読み取るためには、呪力の核心に触れなければならない。
しかもアウトプットする時は、魂に刻まれた負傷時の痛みの記憶まで読み取るので、実際はダメージを負ってないのに、こっちまで負傷箇所が痛く感じる。
その代わりに迅速且つ生命活動が停止した状態でも魂の記憶が消えない24時間以内なら、どんな負傷も無かったことできる。
意味不明だよって方の中に、私みたいに前世の記憶がある人は、私の推しと同じ声の司波達也というキャラクターの再生魔法で検索検索ゥ!
「えー、でも私狙って黒閃出せないから、一生辿出来なくない?」
硝子が口をとんがらせて、不満を垂れ流した。
そう、正に硝子の言う通り。
覚えて欲しいとは言ったけれど、前提が既に難しい。
反転術式・辿は普通の反転術式とは似て非なるもの。
普通が出来たから辿ができるということは一切無い。
上記の通り、辿を修得するには呪力の核心に触れなければならない。
なぜその過程が必要かというと、魂の記憶を読み取るには、そもそも魂を観測しなければならないからだ。
ここで疑問が出てくる。
Q. 魂って真人じゃないと観測できないのでは?
A. 実はそんなことない。
呪力は負の感情から生み出され、感情は魂の代謝物であるから、呪力の源には必ず魂が存在する。
実際に目で見えなくても、形が分からなくても、存在することさえ認識出来てしまえば辿を使う分には困らない。
しかし、魂に近づくには呪力の源を辿る必要があるのだ。
そして呪力の源を辿る行為こそ、呪力の核心に触れるということだ。
呪力の核心に触れる方法で私が知っているのは2つ、1つは黒閃。
もう1つはパパ黒に殺されかけた五条くんの様に臨死体験のさなかで感覚を掴む。
硝子を瀕死させることは絶対あってはならない。
私が隣に居たとしても、100%の確率で治せる状況であっても、硝子にその選択肢は採ってほしくない。
「そうだね、だから私が教えるのはここまで。黒閃を打てたあとの辿の方法だけちょびっと伝授したら、晴れて自由の身だ。おめでとう硝子」
長いようで短かった硝子との修行の時間。
思い返せば硝子には沢山の苦難を乗り越えさせたなぁ……。
「へぇ……そっか、これで終わりか。……まあ、術師としてかなり成長出来たし、呪霊が多い夏も余裕で乗り切れたし、感謝してるよ」
「元々は私自身のためだったのに、硝子に感謝されちゃった。へへ、なんか嬉しい」
そんな私の心から出た素の言葉に、硝子は私に目線を合わせずに少し困った表情で言葉を返した。
「そういえば、ずっとタイミング伺って言えなかったけど、どうして私を強くしてくれたの?」
そうだ。
硝子は普段飄々としているが、ちゃんと人の気持ちを考えられる優しい子なんだ。
硝子は私が言いづらそうにしてることを見抜いて、ずっとその質問をせずにいてくれたんだ。
しかし、私に対して隠し事をしたくない気持ちがあり、修行を終えたこのタイミングで話してくれたんだろうな。
そんな素敵な心の持ち主の彼女には、できるだけ真摯に、そして正直に向き合いたい。
「うん、そう……だね。貴女を強くした理由、それは」
「……それは?」
今、私の全てを彼女に打ち明けよう。
私が実は転生者であり、私が元いた前世の世界では、この世界が物語であるということ。
私はその作品の愛読者で、それ故にこの世界の未来で起こる数々の大事件が予め分かっているから、私自身が強くなって大好きな登場人物らを守ろうとしたこと。
しかし、硝子1人に保健室での任務を任せ切りにしてしまうから、1人でも余裕もって任務を回せるように、硝子のスキルアップを図ろうとしたこと。
硝子は信じてくれるだろうか、まだ出会って7ヶ月しか経ってないけれど。
いや、彼女なら信じてくれるだろう。
私が真剣に話せば、家入硝子は必ずちゃんと聞いてくれるはずだ。
いつもの調子で少し茶々を入れてくるかもしれないけれど、彼女はそういう人だ。
よし、話そう。
「実は私ね、転せ────」
その瞬間。
キ──────ン。
耳の奥で響く、不快な音。
そして頭の中を貫く、強い鈍痛。
「雪菜っ!?」
硝子の声が何処か遠くで聞こえたような、そんな気がした。
この感覚、前にも何処かで……?
しかし、耳鳴りと共に私の視界はテレビの砂嵐のようなものに阻まれ、ただ黒く黒く染まっていく。
そこで私の意識は途切れた。
誤字脱字感想評価を是非お願い致します。
雪菜、がんばってね。