あくまでこの二次創作の中だけの設定なので、ほんとに気にしないで頭空っぽで見ていただけると幸いです。
※また、この作品は未成年の喫煙・飲酒を肯定推奨しているわけではないです。あくまでフィクションです。絶対にやめてください。百害あって一利なし!!
私はこの世に生まれ落ちた時から、何不自由無く生きてきた。
両親はどちらも医療従事者だった。
無駄に裕福だったせいで、小学生の頃から都内で1番の進学率を誇る塾に通わされた。
周りの子はみんな遊んでいる。
しかし、私には両親に歯向かう力なんて無かった。
子供らしい遊びは何一つ知らなかったが、中学受験は都内最高峰の中学校に首席で入学した。
両親は当然だと言って褒めてくれなかったが。
家族での食事も苦痛だった。
リビングではクラスのみんなが見てるようなテレビ番組は見せてくれない。
食事中のテレビは厳禁。
聞きたくもないクラシック音楽が、何十万もするレコードプレーヤーからゴミのように流れてくる。
料理に使った食材はどれも高級な物で、健康面で必要な栄養素が計算されて作られている。
しかし、そのどれもが私の舌はお気に召さなかったようだ。
もちろん残すなんてできるはずは無い。
会話なんてあってないようなものだ。
「硝子」
「……はい」
「今日はテストの返却日だったな」
「全て、満点でした」
「そうか、なら私が過去使っていた医学書を硝子の部屋に置いてある。読んでおきなさい」
「はい」
私に自由は無かった。
そんな親の敷いたレールの上を歩く人生から一変したのは、中学校3年の時。
「ねぇねぇ家入さんてさ、頭めっちゃ良いじゃん? 今年受験じゃん? ちょっと勉強教えてくんない?」
同じクラスの前の席の女子が話しかけて来た。
クラス内のカースト上位、いつも複数人囲まれてるが今日は一人だ。
ていうか、香水キツイな。
学校につけてくるなよ。
人付き合いは苦手だった。
何故なら、ずっとして来なかったから。
いつもの私なら、すぐに適当言って逃げたのに。
その日の私は少しおかしかった。
別に体調が悪いとかでは無い。
朝両親と顔を合わせる時に、ちょっとでも体調が悪い顔をするとろくな事にならないから、そういうのは隠すようになった。
直ぐに私の病院でとか、体調管理が出来ないなんてこれから医療の道に進む者としてとか。
多分、ストレスが溜まっていたのだろう。
自室に勝手入って医学書を置いていく親が何処にいるんだよ。
「ええと、○○さんだっけ? この後塾だからその時間までで良いなら」
「えー、家入さんって頭良い上に優しいとか神じゃん! マジ助かるわ~」
人に教えるには3倍理解してなければいけない、と言うし。
何か別側面からの刺激になれば良いと、自分に言い聞かせて。
時間にして30分程、数学の入試問題のひとつ、空間図形の解き方を軽く手解きしただけ。
本当にただの気まぐれだった。
「硝子ってば、教えるのめっちゃ上手いじゃん! 喋る前は無表情で怖かったけどね。将来はどっかの先生になれるくね?」
どっかのってなんだよ。
てか急に名前呼びかよ、馴れ馴れしいな。
……でも褒められて悪い気はしなかった。
「てかまだ時間ある? その塾って駅前のだよね。反対側にクレープ屋さん出来たの知ってる? マジ助かったから奢るわ!」
知ってるよ。
でも行けなかった。
あそこはいつも行列ができてる。
別に時間がない訳では無い。
でも、並んでる人の中に、
独りはいなかった。
2人組、多人数のグループ。
話し合って、駄べって、喋って。
まるでクレープを買うのがついでみたいに。
私にはいなかった。
塾には同年代もいたけれど、みんながライバルで敵だった。
一緒に行こうなんて、言える雰囲気すらない。
チャンス、そして好奇心。
私はついて行ってしまった。
手には初めて持つ暖かな感触と、鼻の奥まで通り抜けて食欲をそそる甘い香り。
「ほんとに良いの? 私出すけど」
「良いの良いの、硝子は勉強を私に教えた。私は硝子にクレープを奢った。労働には対価、でしょ?」
バナナチョコカスタードクリーム。
初めて食べたクレープの名前は覚えているが、味はよく思い出せない。
何故だろう?
そして2人でクレープに舌鼓を打っていると、彼女のケータイに電話が鳴った。
「えー? 今から? うん行く行く! あー、もう1人連れて行っていい? えー、大丈夫だって! ……んー、わかったから。平気平気! じゃね」
ケータイを閉じて、こちらに振り返る。
「ねぇねぇ、今友達がカラオケいるんだけど一緒に行かない?」
「え、でも塾が……」
「えー、1回くらいサボったってバレないよ! 今日だけっ! お願い!」
勉強を教えただけでクレープを奢ってくれた。
そんな彼女の頼みを無下に出来ない。
ダメだ。
頭の中ですらもう塾をサボる言い訳を考えていた。
しかも、私は知っている。
クラスにいじめられている子がいることに。
理由は簡単、付き合いが悪くなった。
たったそれだけ。
これから受験が控えてる。
いじめに屈する程私は弱くないが、それに付き合う労力を割きたくなかった。
今回で最後。
明日からは普通の私。
今日だけだ。
この選択が私を人生を狂わせた。
彼女に着いてやって来たのは、駅から少し離れた人通りの少ないビルの2階。
そのまま中に入ると店員に彼女が、
「中に友達いまーす」
とだけ言って奥の部屋へ入っていく。
その扉を開けた瞬間に感じた不快感。
そして刺激臭と視界に煙。
カラオケボックスの中には、他校の男女が4人。
テーブルの上には明らかにアルコール度数表示の記載がある缶飲料。
そして学生らの手には、
「……タバコ」
「え? 何? 硝子タバコ無理なの?」
「無理って言うか……喫煙は20歳未満の場合、未成年喫煙禁止法で罰せられるし、飲酒だって──」
「硝子、大丈夫だって。硝子ぐらい頭良かったら分かるでしょ? ここでコレはバレないんだよ。楽しいよ?」
クラスメイトの言葉が私の体に巻き付いて離れない。
青少年期に喫煙を始めると、成人後に喫煙を始めた場合に比べて、がんや虚血性心疾患などにかかる危険性が高くなる。肺がんによる死亡率も同様。
青少年期に飲酒を始めると、発達途中の脳細胞にダメージが蓄積し、学習能力の低下を引き起こす。さらに肝臓をはじめとする臓器への影響や急性アルコール中毒の発症、性ホルモンの異常など、身体へさまざまな影響を与える恐れがある。
こんなの保険の教科書にすら書いてある。
ダメだ。
「大丈夫だって、試しに1回だけ」
ダメだ。
子供だってわかる。
法律で禁止されてるんだ。
「あ、そういえばさっき一緒に食べたクレープみたいに、甘~いフレーバーもあるんだよ?」
ダメだ。
両親にバレたらすごい怒られる。
「みんなやってるよ? 硝子何怖がってるの? ビビりじゃん」
ダメだ。
……えーと、後はなんでダメなんだ?
「ほら、初回サービスで1箱あげるよ」
ダメだ。
なんであんな親の言う事を聞かなきゃいけないんだ?
「私たち、
チャンス、好奇心。
親への反抗心。
そして……友情……?
硝子回が終わると言ったな。
あれは嘘だ!!
誤字脱字評価感想なんでもどうぞ。
いつもみんな素敵な感想をくれるけど、今回は流石に硝子が好きな人もいるだろうからなぁ……覚悟はしてます(尚、メンタルは豆腐)