五条悟を救いたい!   作:Tsutsutsuki

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遅くなってごめんなさい!

作者が人生をかけて推している作品が、異次元の世界で夢のコラボをしまして……2日間東京ドームでボロボロになりながら供給を全身で浴びました……ちょっと情緒不安定なまま書きました。


第20話 制服と果実と小包と

「あ、あれ……私、は……」

 

 目を覚ますと、そこは高専保健室のベッドの上だった。

 

 この既視感は正しい。

 あれは呪術高専に初めて来た時だったな。

 さしす組の自己紹介を思い出して、思わず口角を上げつつ上体をゆっくりと起こした。

 

「おはよ。急に倒れたと思ったら、元気そうじゃん」

「……硝子、おはよ」

 

 私のベッドの横には、硝子が丸椅子に座っていた。

 いつもの飄々とした様子で、言葉少なに挨拶をしてくれた。

 けれど、目の下には大きな隈と涙の跡、そして布団の中に隠れた私の右手は、硝子の両手がしっかりと握られていた。

 

「私、どれくらい寝てた?」

「丸3日」

「そう……いま治療受けてる術師さんはいる?」

「いない、さっき最後の一人が帰った」

「なら、聖域解いていいよ。私の為だよね?」

「……もう体調は大丈夫?」

「うん、元気元気!」

 

 そう言って私は笑顔でサムズアップして見せた。

 

 ほんとは身体がだるおもだけれど、これ以上硝子を憔悴させてはいけない。

 ここは空元気先輩の出番ですよ。

 まあ、彼女の聖域内だから、私の体調がほんとはあまり良くないことなんて、既にバレているんだろうけど。

 

「……わかった。雪菜がそう言うなら」

 

 硝子は渋々といった感じで簡易聖域を解いてくれた。

 

 彼女は私の体調の更に先にある思いに気づいてくれたみたいだ。

 本当に優しい子だ。

 

 私は硝子の両手を優しく離して、ベッドから出た。

 身体を軽く動かしてみる。

 

 うん、だるおも以外は問題ないな。

 しかし、体が汗臭い。

 3日間寝てたなら仕方ないけれど、これは乙女に有るまじき美意識、よろしくない。

 まずはシャワーでも浴びてこようか。

 

「看病してくれてありがとう。ひとまず寮に戻ってお風呂に入ろうかと……あれ?」

 

 身体を捻って、腰周りの可動範囲を確かめようとした時に何やら目に入った。

 

 私が今寝間着なのは、硝子が着替えさせてくれたからだろう。

 硝子が座る場所と反対側のベッドの横に小さな机がある。

 その上には、綺麗に畳んである私の制服。

 それとは別に大きな籠に入った、一人では絶対食べきれないであろう沢山の果物たち。

 その横には上質そうな紫の布で包まれた、小さな……箱かな? 

 とりあえずベッド横の机の上には、制服と果物と小包が所狭しと鎮座されていた。

 

「硝子、これは?」

 

 私はその言葉と共に、机の上の物を指差した。

 硝子はゆっくりと立ち上がると、その机の前まで来た。

 順番に3つの物を持ち上げて、ひとつひとつ説明してくれた。

 

「まずは雪菜の制服、私がこのままでは寝辛いだろうと思って着替えさせた」

「うん、ありがと。おかげでよく眠れたよ」

 

 次は果物の入った籠を持ち上げた。

 

「これは夏油から、お見舞いの定番として持って来たって言ってた」

 

 彼らしいな。

 後でありがとうと言っておこう。

 

 最後に紫の布で包まれた怪しげな小包。

 

「これは五条から、雪菜が起きたら開けてって言ってた……アイツのことだからなんかヤベーの入ってそう」

 

 うっ……推しからのプレゼントなのに、素直に喜べない。

 一体何が入っているのか。

 

「私も中に何入ってるか聞いたんだけど、お守りとしか言われなかったよ」

「お守りか、五条家の家紋の付いた布で包まれてんのすっごい怖いんだけど……」

 

 そう言いつつも、硝子も中身が気になっていそうなので、この場で包みを解いて箱を開けると──。

 

「わあ、きれい……」

「宝石か……クソたけーだろうなぁ」

 

 ブルーダイヤモンドで作られたネックレス。

 まるで、彼の瞳のような美しい蒼。

 

 箱の中には1枚のメッセージカードがあった。

 手に取ってみる。

 

『呪いによる身体への負荷を軽減させる特級レベルの呪具だ。肌身離さず持っておけ』

 

「特級レベル!? このネックレス一体何物……?」

「なるほどね、そういう事か……」

 

 何か分かったらしい硝子は、箱からネックレスを取り出して私の後ろに回ると、私の髪を上げて首にネックレスを着けてくれた。

 

「うん、似合うね。ちゃんと着けておきなよ」

「あ、ありがと……なんか私には不相応な気がするけれど、そうだよね。せっかく貰ったんだもん」

「それももちろんあるけど、雪菜はこれをつけてないといずれ死ぬかもしれんから」

「えっ!? ……どどど、どゆこと?」

「雪菜が今回倒れた原因、多分呪い……それもかなりヤバいやつ、天与呪縛だ」

 

 私はそこから衝撃の事実を知った。

 私は自分の前世について話そうとしたところから記憶がなかったが、その後に急にぶっ倒れて私の身体全体を黒いモヤモヤが包んで身体の端から灰になっていく現象が起こったという。

 

「雪菜がこの世に生まれた瞬間から、天より結ばれた縛り、それが天与呪縛。雪菜の人生に何かしら制限をかけることで、ある分野の能力を突出させる」

「へ、へぇ……」

 

 もちろん、よく知っておりますとも。

 パパ黒のフィジカルギフテッドとメカ丸の超ロングレンジ術式&出力ブースト。

 それに伴い肉体に課せられる強制、呪力0や半身不随。

 私にもそれがあったということか。

 

「雪菜の術式は使い勝手良すぎるから、その術式が体に刻まれてるのが恩恵で、制限は雪菜の口からある情報を他人に言うこと……私の予想はこんなもん」

 

 いや、違う。

 正確には半分違う、かな。

 多分後半は合ってるはず、前世関連のことを他人に言うと灰になって死ぬ。

 魔女さんたちから好かれる体質を持つ、天下不滅の無一文さんとおなじパターンだと思う。

 しかし前半、恩恵の方は術式関連ではないだろう。

 強い術式ってだけなら、他の登場人物にも天与呪縛がないと釣り合わない方々が沢山いらっしゃるからだ。

 

 私の予想は、『前世の記憶を保持したままこの呪術廻戦の世界に転生すること』だ。

 

 知識は力なり。

 

 この言葉の持つ意味は、世界の真理と言っても差し支えない。

 

 私が呪術廻戦という作品を知らずに、もしくは前世の記憶を保持せずにこの世界に転生していたならば、今頃お母さんと一緒に天国で仲良く暮らしていただろう。

 

「やはり、原作知識チートはタダではなかったか……」

「チート? 何言ってるの、雪菜」

「あっ!? いや、なんでもないさ~心配無いさ~」

 

 独り言を誰かに聞かれて、そのまま縛り発動お陀仏なんてシャレにならないな。

 気をつけねば。

 

「強さには代償が付き物なんだなって……」

「何カッコつけてんだよ、こっちは雪菜を治すために命かけたんだから」

「いやあ、その節はどうも……っては!? は、え? いいい、命!? えなに、硝子死んじゃうの???」

「今は死なない。雪菜が死んだら私も死ぬ。私が死んだら雪菜も死ぬ」

「ええと、なんでそんな縛りを……?」

「私は黒閃打ったことは無いから、反転術式・辿の手順省略して発動した。そしたらバカでかい縛り結ばされた。以上」

 

 な、なんの説明にもなってない!! 

 一体どうしちゃったんだ、硝子。

 いつの間にクール系有能美少女キャラから、無気力系美少女キャラになってしまったのか。

 

「つまり、これからは運命共同体ってこと?」

 

 

 

「ふふ、そーゆーこと」

 

 

 

 

 カーテンの隙間から差し込む太陽光が、家入硝子の微笑みに一輪を添える。

 

 いつも通りに私をからかうながら笑う彼女、でもその表情だけはなんだかいつも通りでは無いような気がしたのは、見間違いだろうか。




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