誰か私のヤル気スイッチを押してほしいなって、あとあと、ヤル気の出力を最大にして欲しい!
ていうか本誌の内容がかなり絶望的なのですが!!
これ宿儺に勝てる人、高専陣営にいるの?
硝子と運命共同体になった事に、尊みと衝撃のダブルパンチを受けてぶっ飛んでいった私だったが、それでも世界を救わなければ、結局バッドエンドが待っている事に変わりはない。
ならば、何としても強くならねばならない。
私の体は天与呪縛により、前世の記憶を保持して転生している恩恵がある。
代わりに前世の記憶の内容、もしくは転生したこと自体を他人に伝えること禁ずる縛りが結ばれているようだ。
縛りを破れば、待っているのは死。
これは硝子からの証言で確定。
硝子がいなければ、死んでいたよ。
ありがとう。
では次にこの縛りの判定が、どこからどこまでなのかを探らなければならない。
そうしなければ、ただの日常会話の途中でうっかり命を落としかねない。
今まで何も考えずに15年間生きてこれて良かったよ……いや、ほんとに。
探ると言っても、ある程度の予想を立ててそれ以上のワードや内容を言わないように心掛けるくらいしか対策はとれない。
なぜなら縛りを破った際のペナルティが死だから。
試すことすら出来ない。
たしか硝子から「何故私を強くしたのか」という問いに対して、私が伝えようとした内容は全部で3つくらいだったはずだ。
1.私は前世の記憶を持つ転生者であるということ。
2.前世ではこの世界が創作物であり、私はその作品を読んでいたから今後の展開が分かっていること。
3.この先起きるであろう最悪な展開に対抗するために、さしす組と私を強化する必要があるということ。
最初の1つ目を伝える前に、私の意識が途切れたことを考えると、転生した事自体を伝えるのは確定でアウト。
そして転生をほのめかすような、2つ目の内容の転生に繋がるような話はグレー目のアウトかな?
縛りを結ばれた私の感覚的に、未来の出来事を転生や原作等のワードから遠ざけて伝えることは、縛りを破る判定にはならなそうなのだけれど。
「……」
ある特定の発言で死ぬ縛り、自覚してから生活するとなると中々に手強いかもしれない。
でも呪力0だったり、半身不随の方が天与呪縛の縛りとして大変そうなので、まだ私の天与呪縛さんは優しい方なのかも?
「……あの、雪菜?」
よし、ひとまず今後は転生やこの世界が漫画である等のお話は他人に話さないこと、そしてこの世界が辿るであろう未来について他人に話す際も、なるべくぼかしながら伝えることを心がけよう。
「なあ、雪菜。私たちは何故北海道にいるのか、そろそろ教えて貰ってもいいかい?」
私が今後の方針について考えていると、私の視界に入るように夏油傑がこちらを覗き込んで来た。
「あっ、ご、ごめんっ! 夏油くん、考え事をしていて……」
おいお前、わかっているのか。
自分の顔面が、私みたいな幼気な少女にとって凶器になり得ることに。
目の前に突然イケメンが現れてみろ、死ぬぞ。
まあ、今のは私が考え事していたのが悪いのだけれど。
硝子とお互い絶対老衰以外で死なないようにしようと約束をして別れた次の日、私は夜蛾先生に緊急で許可を得て(今後、反転術式で高専に貢献したくなくなってきたなぁ……等の文句を沢山垂れ流した)、夏油傑と1ヶ月間の強化期間を設けることに成功した。
硝子には、「2人きりは色んな意味で危険過ぎる、私を連れて行け」と言われた。
そうだよね、夏油くんが常に私の近くにいる空間で、オタクの私が耐えられるはずないもんね。
でもこれは世界を救うために必要なことだから!
硝子が高専離れたら、誰が術師の皆さんを治療するのか、と何とか説得に成功した。
夏油傑魔改造作戦は原作を知ってる私にしか出来ないんだよ。
役得なんて思ってないよ、 微塵たりともねっ!
彼はこの世界の仕組みをかなり深い所まで理解してるみたいだ。
六眼持ちだからだろうか。
五条悟が生まれてから、世界が均衡を保とうとするかのように、呪霊の強さが格段に上がった。
彼も自分なりにかなり鍛錬を積んでいたようだ。
でもそれだけじゃ足りない。
それはこの時点では、
だから私は自分が知ってる未来の話を少しぼかして伝えた。
『少し遠い未来、夏油傑は五条悟の手によって死ぬ。それは来年の初夏、ある任務の失敗が原因……です』
『雪菜、お前それ本気で……いや、本気だな。この眼で分かる。断片的な未来視、天与呪縛の恩恵か』
なんで分かるんだよ……キッsとは言わない。
話が通じるのはとてもありがたいが、推しは顔も良いし、目も良いのに頭も良いの?
じゃあ逆に何を持ち得ないの?
やはり五条悟は最強だったか……。
でももっとだよ、更に他者の追随を許さないくらいに強くなって貰わなきゃ。
さしす組&私で世界を平和にするのだ。
そのためにはなんだってやってやる。
「というわけで、夏油くんを魔改造大作戦開始ィィィ!」
「うわぁ、急に叫ぶなよ」
今回の魔改造作戦のロードマップはこちら。
1.日本全国を巡り、つよつよな呪霊を片っ端からゲット。
2.呪霊操術の解釈を広げて強化を図る。
3.呪霊操術と体術の並列行使、良い組み合わせを見つける。
「北海道に来たのは、夏油くんの修行の一環だね。この土地にいる呪霊さんをゲットするためだよ」
「なるほど、硝子から聞いているよ。修行になると君は性格変わるらしいね」
「えっ、そんな事あったかな、自覚なかったよ」
「君が硝子に魔改造と言ったか、その修行をつけていた時に、たまに別の任務で高専に居なかった日があっただろう? 私と悟はその度に硝子から集合をかけられてね。君についての愚痴を延々と付き合わされたよ」
へえ、硝子がそんなことを、ちょっと修行期間を詰め過ぎたかな。
ストレスを抱え過ぎてないと良いけれど。
次会った時は沢山優しくしてあげなければ。
「まあ、内容はほとんど惚気話みたいなものだったが」
「ん、なにか言った?」
「いいや、何も」
夏油くんが何か最後にボソリと呟いた気がしたけれど、彼が何も言ってないと言ったのだ。
ならば、追求はやめておこう。
「さて、そんなこんなでやって来ました。目的の場所はこちらトムラウシ山でございます」
「ここにたどり着くために、私たちは延々と雪に埋もれたけもの道を歩いてきたのか」
私たちの目の前には、雪帽子を被った大自然をこれでもかと感じさせる雪山。
標高は2100mくらいで、富士山とかには全然敵わないがそれでも十分に高い山だ。
「登山をするには天候に恵まれていないな。日を改めるか?」
夏油くんが言った通り、現在の天候は曇のち雪。
視界やや不良。
気温もかなり低いので、私は【千変万化・暖】を体に纏って歩いている。
夏油くんにも千変万化マフラー巻いてあげようか、とちょっかい兼提案をしたら、私は鍛えているから大丈夫だとそっぽを向いて断られてしまった。
もう照れんなよぉ、かわいい奴め。
よしよし、いつもの仕返しができたって感じだ。
いつまでも尊死してる私だと思うなよ。
「いや、むしろ悪天候が良かったんだ。ある特級呪霊の出現条件なんだよね」
「ほう、私はその呪霊を取り込むわけか」
「正解! そのためにこの山で悪天候時に遭難すれば、出会えるって情報なのだけれど」
「それ、呪霊に会う前に私たち死なないか?」
「大丈夫大丈夫、お菓子もいっぱい持ってきたし。
いざとなったら千変万化コートで夏油くんを包んであげるよ」
そんな感じで、少しずつ強くなる吹雪を肌で感じながら、狭まる視界の中、ゆっくりと山頂アタックを開始するのだった。
誤字脱字感想評価なんでもござれ!
これからやや間隔空く更新が増えると思うので、気が向いたら読んで頂いて感想も書いて頂けると作者はめっちゃ喜びます!