五条悟を救いたい!   作:Tsutsutsuki

3 / 23
自分が呪術廻戦の世界に行けたとして、どんな術式ならこの理不尽な世界を生き残れるだろうか。いや、どんなつよつよ術式があっても、あの単眼猫様の前では無力……悔しいよ私。


第3話 私は知っている、この世界の真理を。

 この化け物おじさんの容姿になにか引っかかりがあったが、それの謎が解けた。

 確かニセ夏油こと羂索さんが、女性に憑いていた呪霊を取り込んだシーンがあったが、まさに姿形がまんまその呪霊に近い。

 

 ということは、この世界は呪力や呪霊が存在するあの『呪術廻戦』の世界ということなの!? 

 

 その事実に感動を覚えるが、一瞬で脳を切り替える。

 

 このままでは、私の母親が呪霊に呪い殺されてしまう。

 

 しかし、目の前の呪霊の呪力の圧によって、私の体がブルブルと震えて言うことを聞かない。

 

「まずい、かも……」

 

 こちとら精神年齢は高校生だけど、現世に生まれてからまだ3歳だよ。

 こんなぷよぷよのちっこい身体でどうすればいいの? 

 

 そうこうしてるうちに、お母さんの体には黒い斑点ができ始めて、彼女は辛そうな表情で呻き声をあげている。

 

 これはヤバい。

 確か呪術廻戦0巻で、小学校にいたドデカい呪霊に食べられてた子供に着いてた斑点と同じタイプのやつだ。

 つまり時間を掛けてたら死ぬやつ。

 よって、助けを求める時間はない。

 ならば、選択肢はひとつのみ。

 

「今、お母さんを助けられるのは、私しかいないっ!」

 

 覚悟を決めるのよ、雪菜。

 もしも、ここが本当に呪術廻戦の世界であるならば、貴方にも勝ち目があるかもしれないのだから。

 

 何故ならば、私には呪霊が見えている。

 この事実は、私に呪術師としての才能が少なからずあるということ。

 呪力さえ、操ることが出来れば、呪霊を祓うことができるはずだ。

 

 そして思い出すのよ、雪菜。

 前世で読んだ呪力の性質と扱い方を。

 

 たしか呪力とは、人間の負の感情がエネルギーとなったものだ。

 

 私があの呪霊を祓うためには、奴が纏っている呪力以上の呪力を獲得することが必須だ。

 ならば、一か八かやるしか無い。

 成さねば、お母さんと私は死ぬ。

 

 私は大きな負の感情を解放した。

 

 まずは、恐怖。

 目の前の呪霊は化け物じみた見た目に、メラメラと纏う呪力の圧。

 お母さんの後はお前だと言うように睨みつけてくる、ギョロギョロとした真っ黒で大きな瞳。

 その全てが私に恐怖感を抱かせる。

 

 次に憎悪。

 もう見た目が気持ち悪い。

 前述した憎たらしいフォルムは、まさに誰もが憎み嫌う存在であるだろう。

 なんか近くにいたら気分悪くなるし、百害あって一利なし。

 

 最後に憤怒。

 何故私とお母さんが、こんな目に遭わなければならないのか。

 前世で電車に轢かれることもあったが、現世では3歳で呪霊に襲われるというこの不運ぶり。

 なんとも腹立たしい。

 理不尽だ。

 この世界ごと呪ってやる。

 

 瞬間、身体の奥底から迸る、冷たい冷たい力。

 他のジャンプ作品のようなアツい燃え盛るようなパワーでは無い。

 人間のドス黒いドロドロとした感情をかき集めてできた、忌み嫌い呪うための力。

 

 肌を静かに這う呪力を感覚で捉える。

 

「これが呪い、これが呪力……!」

 

 今は虎杖悠仁みたいに、呪骸を起こさずに映画を見れる程、呪力を操れるようになったわけではない。

 

 だから、今はただ、感情のままに。

 今はただ、本能のままに。

 この小さな拳に呪力を込めて。

 すると全身にまとわりついていた呪力は、少しづつゆっくりと右腕に流れて集まってゆく。

 

 よし、呪力は十分……なのかな? 

 もしも私にも六眼があったら、この呪霊と私の呪力量にどれぐらいの差があるのか分かるのになあ。

 そんなことを思ったりもするけれど、今はないものねだりする暇すらない。

 

 私は右腕に纏った黒いオーラを何とか霧散しないように繋ぎ止める。

 

 呪霊は私の呪力を感知したのか、目線をお母さんからこちらに向けた。

 そして私に狙いを定めて、両手を広げ飛びかかってきた。

 

『うぇ! ゔぇ! ……ああああああああ!!』

 

 さっきからその気持ち悪い奇声ばっかりあげてからに。

 

「行くぞ、化け物おじさんめ……はぁッ!!」

 

 その飛びかかりに対してカウンターを決めるように、思い切り呪霊の顔面に右ストレートを振り抜いた。

 

 さて、読者の皆様。

 あそこまで憎悪やら憤怒やら心理描写を色々してみた訳だけれど。

 呪霊なんて初エンカウントなわけで。

 呪力なんて漫画で読んだだけで使い方を知っていても、いきなりちゃんと扱えるかと言われたら微妙なわけで。

 

 正直に言うと、恐怖7割、憎悪&憤怒が3割。

 めちゃくちゃビビっていました。

 突き出す拳もブルブルで、纏っている呪力も不安定。

 

 俯瞰してみると、そんなんで3~4等級の呪霊に3歳の子供が勝てるのか。

 こんな疑問が浮かぶわけですね。

 私もまた死ぬのかと思いました。

 

 ただ、結果から見れば、それが逆に良かったのかもしれない。

 極度の緊張状態から繰り出した、型のない非合理的な突き。

 不安定故に、波打つようなまとまりの無い呪力。

 飛び掛ってきた呪霊のタイミングや飛距離、角度。

 

 もちろん、そこに私が計算した要素は一切無い。

 たまたま、偶然。

 

 しかし、黒い火花は、微笑む相手を選ばない。

 

 例えそれが、特級呪物を取り込んで呪術師となった少年であっても。

 魂に干渉し、人の形を変えてしまう、人から生まれた特級呪霊であっても。

 例えそれが、呪術廻戦の世界に転生してきた、まだ3歳児で中身はオタク気質な女子高校生だったとしても。

 

 目の前が()()()()に塗りつぶされる。

 そして身体全体に広がる大きな衝撃。

 

 その空間の歪みから生まれる2.5乗の破壊力は、変態おじさん型呪霊が存在していた痕跡すら残さず、この世から綺麗さっぱり消し飛ばした(祓った)




誤字脱字感想等お待ちしてます。

黒い光って眩しいのかな?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。