それが今。
※本作品は不定期な時間に投稿されます。ご注意ください。
後、私の作品を読んで且つ感想を書いてくれている方、大切な時間を割いてくれてほんとに感謝。なんと評価もしてくれている方がいらっしゃいました!!
ほんとに優しい世界。
「ねぇねぇ、雪菜。帰りスタバ寄って帰ろー?」
「いいね、行こ行こー!」
季節は春。
暖かで柔らかな日差しと、少しだけ冷たさを残したそよ風。
その風によって、校舎に咲く桜の花びらが、ひらひらと舞う。
沢山の花びらたちが、通学路を綺麗な薄ピンク色の絨毯に染め上げる。
高校に入学して数週間が経った。
前世ではJKだった私が、今世でもJKになれました。
ほんとに良かったよ、
こんな理不尽な世界で、よくここまで生き延びる事ができたよ。
大したもんだ。
読者視点から考えてみれば、私がお母さんに反転術式を施してから既に12年。
一瞬で3歳児が高校1年生になっちゃった!? といったところかな。
もちろん描写していないので、色んなことがあったと言っても何も伝わらないと思う。
だからこれまでの辛く険しい、そう聞くも涙、語るも涙の経緯を事細かにお話したいのですが……。
「下校中に申し訳ありません。夕霧雪菜さんですね、少しお時間よろしいでしょうか?」
入学早々ウマが合い、友達となったクラスメイトとの下校中、突然黒スーツに身を包んだ黒髪ショートの男性に声を掛けられた。
目を
彼は呪力を纏っている。
良い呪力操作だ。
体全体に均一、淀みもない。
しかし呪力の総量が一般呪術師に比べて、やや少ないようだけど……まあ些細なことだね。
普通の人間ならこうも行かない。
夏油様リスペクトとして、心の中では言わせて貰おう。
『猿』の方々は、呪力という存在自体に気づいていない。
人であれば誰しも少なからずある呪力を、知らず知らずのうちにダダ漏らしているのだ。
ああ、もったいないお化けが……いやこの世界ではもったいない呪霊?
そんなことはどうでも良くて、重要視する点は彼がお猿さんでは無いという点だ。
これは呪術師関連かな。
服装からして、呪術高専の人間っぽい。
少なめの呪力総量からして、補助監督辺りかも。
「あっ、ええと、そろそろ来ると思ってましたよ」
知らない人との会話にて、「あっ」って会話の前につけるの辞めたい。
「っ……ご理解頂けているようで、感謝致します」
私がこの展開を予想していたことを、黒服の彼は驚いていた。
でもこれは私が意図して作り出した状況だ。
予想よりも少し遅かった気がするけれど。
呪術廻戦の世界の窓さんたちは、至る所にいらっしゃるとの描写があったけれど、やはり呪術師と同じく常に人手不足なのかも。
友達はキョトンと顔を傾けて「もしかしてパパ活?」と怪しげな言葉を口にしていた。
急いで訂正。
そしてこの後、大変申し訳ないけれど用事が出来たということで解散となった。
ごめんね、スタバは
場所は変わって、人気の少ないカフェテラスにて。
「先程は突然すいません。私は呪術高等専門学校から派遣されて来ました。補助監督の佐藤と申します」
「えっあっご丁寧にどうも、夕霧雪菜……です。高校生です」
転生前の年齢と合わせたら、もうアラサーなのに人見知りは一切直らない。
だからあなたは前世でも今世でも友達少ないんだよっ!
佐藤さん、慣れてきたらいっぱいお話できると思うので、根気よく話しかけてくださいね。
もちろん受け身だけではいけないので、天気の事とか好きな食べ物、時事問題について軽く触れて彼との心の距離を測ってみた。
会話デッキの環境が古い……いや、現在は2005年だから逆に古くはないのかも?
私と彼が座るテーブルにココアと珈琲が運ばれてきた。
私はもちろんココア、珈琲とか苦い以外の何物でもない。
みんなよく飲めるよね。
私と佐藤さんはそれぞれの飲み物を喉に通す。
佐藤さんは備え付けの砂糖とミルクを入れずに飲んでいた。
意味が分からない。
名前が
「さて、早速本題に入らせて頂くのですが、先日に〇〇県✕✕市を担当していた窓……ええと、呪霊を観測する仕事に就いている方々の複数名から、その地域の呪霊が全て姿を消したとの連絡が高専に届いたそうです」
まずは探りかな、もう既に私に接触している時点で絞れているのは分かっているのに。
もっとこう、貴方がここら辺の呪霊全部祓ったの? ってハッキリ聞けばいいのに。
そっちがその気ならば、こっちは情報を沢山与えて、本当に言いたくない(言えない)ことは情報量の多さで隠してしまおう大作戦で行くか。
「はい、それがどうかしましたか? 何か、そちらの不利益になってしまったのでしょうか」
「いえ……呪霊の存在は認知している、と受け取っていいですね」
「はい、あのお化けたちのことを呪霊と呼んでいるのならそうですね。この辺りの呪霊を全部倒したのだって、私が一人でしたことでしたので」
またまた、佐藤さんの表情が驚愕に染まる。
ちょっと面白くなってきた。
佐藤さん、ちょっと強面で無骨な人かなって思ってたらめちゃめちゃ表情が顔に出てきてギャップなのだけれど! これは推せます。
素の自分で話すの緊張しちゃうから、ちょっと強者オーラ纏ったキャラでお話してみたけれど、佐藤さんとお話しするときは、常にこのキャラで行こうかななんて。
「この市内の呪霊を、全て君一人だけでッ……!? それが本当なら──」
その後、すごい勢いで全然聞き取れん独り言を連射した彼は、高専に指示を仰ぐとのことで携帯電話を持つと、席を外します! と宣言するや否や脱兎の如くお店を出て行ってしまった。
私の座るテーブル席は、道路側に面していたので、一面大きな窓ガラスからお店の外を見ることができる。
外の景色に目を向けると、佐藤さんが耳に携帯電話を当てながら虚空に向かって頭を下げたり上げたりしている様子が見て取れた。
電話先にはその誠意は伝わらないのに、頭下げちゃう佐藤さん可愛い。
これは推せます。
あ、目が合った。
佐藤さんめっちゃあわあわして、何を思ったのか色んな方向に頭下げてる。
えっ……成人男性が慌てているところめっちゃ可愛いが?
さて、そんなこんなで佐藤さんが少し赤面しながら戻ってきてから、二つのお話をした。
一つ目は、市内の呪霊を全滅させた事の経緯、目的について。
二つ目は、その力を是非とも呪術高専で役立ててみないかということ、つまりはスカウト。
「つまり夕霧さんは、幼い頃に呪力に目覚めて、呪力が見えない母親を助けてから自力で呪力について研究し、研鑽を積んで来たと」
「はい、だいたいそんな感じです」
私は転生者であることと、この世界が別の世界では漫画の中の物語であることは伏せて、私が3歳から15歳までどのように生きてきたか話す流れになったのだった。
みんなも佐藤さんと一緒によく聞くんだよ。
誤字脱字感想評価等お待ちしております。
次回は雪菜が強キャラ感を醸し出している理由や目的を交えた空白の12年間のお話……なはず。