今回、雪菜が術式と向き合ったキッカケについて書いたらちょっと長くなってしまった。
雪菜が市内呪霊全滅させた理由は後半で!
反転術式が成功し家族に平和が訪れてから、私は幼稚園に通うこととなった。
私は転生してからの3年間を目標もなく適当に生きて来たけれど、この世界が呪術廻戦の物語に沿っているものだと気付いてから、いくつか目標を立てることにしたんだ。
人は目標という分かりやすい道標が無ければ、楽な方へ更に楽な方へと流れて行ってしまう生き物である。
前世で県内偏差値最低値の高校もどきに通っていた私が証拠よ。
ちなみに私の目標設定の方法は、まず大きな目標を立てる。
その後に大きな目標と現在の私の間に、ロードマップの要領で小さな目標を敷き詰めていく。
つまりはステップアップ用法ってことよ。
これで大抵のことは出来る……はず!
いきなり大統領になれって言われても無理な話ですよ。
まずは政治関連の知識を取り入れて、現在法の穴を見つけて、より優れた代案を草案し、支持層を増やして台当するのだ。
え? 日本に大統領制は無い? そんなー。
閑話休題。
私が立てた大目標その1は、『家族を守れる程度に強くなる』だ。
これは最低条件の話だ。
家族とは、私自身を含めたお父さん、お母さん、弟の核家族4人のことである。
あっ、そういえばみんなに言うのは初めてだけど、私に弟ができました。
超嬉しい! かわいい!!
私が13歳の時に生まれたから、もしこの世界に植物トリオが存在していたら、同年代だね。
前世で親友だった朱音には弟くんがいたけれど。
「リアルの弟なんてウザイだけよ」って言ってたのに、全然そんなことないじゃん。
目に入れても痛くないと思える。
名前は
うん、いい名前だね。
まだ2歳だけど、将来はイケメンさんになるね(家族贔屓)。
さて、この世界での「強くなる」の意味は、元の世界と意味が異なる。
こちらでは命を脅かす存在が常日頃に存在しているのだ。
そんな魑魅魍魎どもに大切な人を奪われたくないので、呪力的にも体力的にも強くならねばならない。
だが、当時3歳の私が筋トレをするのは良くない。
というか年齢的に言えば、高校生になるまで体に大きな負荷をかけるトレーニングは好ましくない。
筋トレは第二次成長期が過ぎてから、体が成長する前に過度な運動はめっ!
ということで怪我しないように柔軟を、体力作りに有酸素運動を習慣付けた。
そんなんで強くなれるのですか?
もちろんなれませんので、その分を知識と呪力でカバーします。
まずは知識。
幼稚園から解放されたら、お家のパソコンでこの世界のありとあらゆる格闘技の動画ひたすらに見まくった。
その中から共通項の多い体捌きや重心移動、体術の基礎をピックアップしていって実践し吸収していった。
両親からは、
「お、プリキ〇アごっこか? お父さんが悪者役をやってやろう! グハハハ、食べちゃうぞー」
「あらあらまあまあ、助けてぇ……キュアセツナー!」
なんて言われたのでたまに遊んであげた。
楽しかった。
お次は呪力面。
こちらは家でなくても、自分の体ひとつで事足りる。
なんだったら園内でもできる。
幼稚園児と知能レベルを合わせ(いつもと変わらない気がしたけれど)、他愛もないやり取りをしつつ、暇さえあれば他人に見られないようにしてひたすらに呪力について研究の日々。
研究内容は、主に私の生得術式である呪力操術の可能性についての試行錯誤が大半を占めていた。
思い返せば、色んなことやったなぁ。
両手の指先のみに呪力を集中して、十種類の指人形を象った呪力を動かして遊んでみたり。
呪力を体から切り離して、何十個かに丸めてお手玉として遊んでみたり。
肩甲骨の延長線上に翼の形をした呪力を固定させて、ちょっと高めの段差からフライアウェイしてみたり。
最初は全然飛べなかったけれど、呪力の密度をより濃く凝縮した翼にしたら滑空できた。
後は呪力を全力で出している状態と完全に引っ込めた状態を瞬時に入れ替えること10秒間に何回できるかチャレンジとかもしてみたっけ。
100回を超えてから数えるのめんどくさくてやめてしまったけれど。
呪力で遊ぶようになってから分かったけれど、花御の種子攻撃を受けた時、瞬時に呪力をoffにした東堂葵の呪力操作の熟練度マジでエグい。
とまあ、そんなことをひたすらに続けて10年。
ちょうど、蒼真が生まれた年だった。
小学校でテストは満点笑顔も満点の神童ターンは終了し、人生2回目の中学生。
前世で全然勉強してなかったので、中学校あたりの科目あんま分からん!
今度こそ真面目に授業を聞きながら、眠気にも負けず、先生の板書を一言一句丁寧にノートに写す日々。
そんな時に事件は起きた。
私がいる教室にでっかい蜂が迷い込んで来たのだ。
これには1年B組(私の組)は大パニック。
先生すらもビビる始末。
女子はひたすらに悲鳴を上げて逃げ惑う。
男子は授業が止まったことに奇声を上げて喜ぶ。
中学生ってこんなもんよ。
しかし、私は飽きていた。
主に続けている日課に。
最近は柔軟で開脚180°して床に上半身全部つけられるようになったし、有酸素運動としてフルマラソンを走ったけれど息が切れること無くなった。
体術研究は刃牙シリーズを読破した。
呪力操作の実験は、呪力を用いた新しい遊びを考えることすら億劫になった。
なので、「学校の屋上から飛び降りてギリギリまで呪力をoffにし、地面に衝突する瞬間に体を呪力で覆う」という一人チキンレースを行い、スリルを楽しむくらいしかなかった。
どの分野もすごく成長したけど、どれも伸び幅が短くなってきた気がした。
たまに近所の呪霊さんがご自宅訪問したりするのだけど、3,4級呪霊ばっかりで呪力を纏ったビンタ1回で祓えるようになってしまった。
唯一まだやった分だけ伸びるものが勉強だった。
その授業がたった1匹の蜂によって進行を止められてしまったのだ。
ちょっとフラストレーションが溜まっていたのかもしれない。
私の術式は、あくまで呪力の操作に留まる。
だから別の術式のイメージをして呪力操術を発動しても、イメージ通りの術式は発動しない。
ていうか出来ない。
だが、術式というイメージに沿った規模の呪力操作は行えてしまう。
私の術式はとてもいい子だ。
思い描いたイメージを汲み取って、結果がそれっぽくなるようにあくまで呪力操作で実現させることもできる。
私が術式を発動する呪力さえ残っていれば、その術式効果に上限は無い。
私はどうせ発動しないだろうと、後先考えることなく適当に右手を逆さデコピンの形に構えた。
呪詞を絶賛混乱中のクラスメイトたちに聞こえないボリュームで詠唱する。
『九網』 『偏光』 『烏と声明』 『表裏の間』
軽いジョークのつもりだったんです。
蜂に軽く呪力を当てて追い出してやろうと思っただけなんだ。
私の席が窓側最後列で良かったと、これ程思った日は無いね。
たまたま飛んでいた蜂の位置は窓付近。
クラスメイトは男女共に怖がって教室の廊下側に退避。
窓側の席は私以外誰も居なかった。
幸運だった。
極微量の呪力を指で弾く。
そしてお決まりの必殺技セリフをボソリと呟いた。
『虚式 茈』
今回は極小量の呪力、さらに六眼&無下限呪術を使えない私が、イメージでは最強の五条悟を妄想してる。
私の術式はこの現実とかけ離れた妄想をどう汲み取ってくれたのでしょうか。
瞬間、
蜂の影すら残らず消し飛ばし、1年B組の教室の耐衝撃用ガラス全てが木っ端微塵に吹き飛んだ。
あるぇー? あの黒い光見覚えあるぞー。確かあれも呪力操作の中で最強だったような……ハッ!?
学校が1週間お休みなった。
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