五条悟を救いたい!   作:Tsutsutsuki

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最初は前編後編だけにしようと思ったんだよホントだよ!信じてよ! でも戦闘シーン入れたら長くなっちゃった……!
ということで、雪菜の昔話は前編、中編、後編の3本でお届けします。
来週もまたみてくださいねー(不定期更新)。
じゃんけんぽんっ!
うふふふふ~


第7話 雪菜空白の12年間【中編】

 ちょっと待って。

 虚式茈だとか調子に乗って飛ばしたただの呪力の弾が、黒閃だった時の私の気持ちを10文字以内で答えよ。

 

「確率どうなってんねん」

 

 告白します。

 実はこの黒閃、人生2回目では無いのです。

 ある時は範馬刃牙の真似をして、巨木に初速最速ゴキブリパンチを繰り出そうとした時。

 またある時は、HUNTER × HUNTERでとあるゲームを遊ぶハンターさんが得意そうな、呪力の勢いだけで飛ぶ垂直跳びの練習により足首を挫いた帰り道、道端の小石を思いっきり蹴り飛ばした時。

 

 今世で撃てた黒閃の回数、実に34回。

 あ、今の虚式茈(笑)で35回か。

 

 改めて思う、黒閃さん確率バグりました? 

 いや最初はね、1度黒閃を経験すると、ゾーン状態に入りやすくなったり呪力の核心に触れたりで2度目以降の黒閃が出やすくなるのかなぁ、と思ったりもした。

 実際に作中でもそんな描写があった気がする。

 

 しかし、回数を重ねていく毎に変だなと思うようになった。

 別に集中してる時に撃ったわけでもない。

 完全にランダムで誤差0.000001秒以内の確率が、年に3,4回出るものなのかと。

 私ってばなんて幸運なの! で終わるほどお気楽思考では無いのです。

 

 そこで学校が休校になった記念に一度自分の立てた仮説を立証してみようと、私史上最大の大博打を決行した。

 

 この説が正しければ、私の目標その1である「強くなる」は完全に達成。

 次なる目標に行けるのだ。

 それこそが私の真の目標。

 この世界に転生した意味と言っても過言では無い。

 

 私はさささと軽く遺書をしたためて、自室の机の引き出しにセット。

 電車を乗り継ぎ、県内のそこそこ有名な心霊スポットへ足を運んだ。

 

 到着。

 

 場所はとある稲荷神社。

 管理人は不在で長い間手入れはされておらず、完全に放置されて廃れている。

 神社の瓦屋根は所々剥がれていて、本来朱色で立派だっただろう鳥居は、色が禿げおちて虫食いに侵されていた。

 

 ここは常に悪い噂が絶えない。

 怖いもの見たさで入っていった学生たちが行方不明になるなんて日常茶飯事。

 土地開拓事業によって本殿が取り壊されそうになった時、ショベルカーの運転手が突然姿を消した。

 その後、本工事で重要な役職に着いている何名かが同時に行方不明になり、この工事は一時中断という体で無期限の延長がなされた。

 

 絶対いるよね。

 1,2級レベルの強い呪霊。

 

 軽く準備運動してから、私は帳を下ろした。

 

『闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』

 

 今回の帳の効力は主に2つ。

 1.呪術師はこの帳を観測出来ない。

 2.帳内の呪力は帳の外側に認知されない。

 

 この帳を下ろすための縛りも2つ。

 1.この帳は誰でも通行可能

 2.この帳は無色透明、誰でも帳内を見ることができる。(音は遮断される)

 

 あくまで立証が目的なので、窓とか呪術師に呪力探知されたらちょっと恥ずいし。

 こんな山奥まで誰も来ないでしょ! ということで、帳内を肉眼で見ることはできる代わりに帳自体の存在を薄くした。

 

 有名な心霊スポットなら人来るのでは? 

 呪術師じゃなかったら私が一人で遊んでいる変な人に思われるだけだから何とかなるでしょ。

 

 さて準備万端、早速鳥居の()()()()をくぐり抜けてみた。

 

 そう、鳥居を、くぐり、抜け────。

 

 しゃん。

 

「ッ!?」

 

 私はその場を一瞬で飛び退いた。

 私の元いた所が青い光で埋め尽くされて、爆発する。

 

「あ、危な……」

 

 一体何なの、今のは。

 突然のことに青い光と表現したが、青い揺らめく炎? 

 

ササゲヨ

 

 しゃん。

 

「うぐっ」

 

 今度は、大きく右方向に回避した。

 すると、私の真横で再び青い炎が爆発する。

 

「……ふーん、なるほどね。立証ついでに祓おうと思ったけれど、これはなかなか。骨が折れそうだね」

 

 ふと顔を上げると、本殿の入口に音もなく佇む姿。

 

 頭部は真っ白の毛並みに赤い瞳の化け狐、しかし人間のように二足歩行で斎服に身を包んでいる。

 袖から見える獣特有の体毛に覆われた腕、その手の先に伸びる鋭い爪。

 そして何より目を見張るのは、化け狐本体の身長の倍位はありそうな尻尾が九つ。

 うち一つの先端には、青い炎が揺らめいていた。

 

「君がここの主人ってことだよね」

 

『呪力操術、術式順転、三眼(サンノメ)

 

 術式を発動し、自身の瞳各部に呪力を集結させる。

 動体視力の強化、狐呪霊の呪力総量の計測、他に隠れた呪霊がいないかの索敵、3つのことを同時に行う。

 

 呪力を原子レベルで観測する六眼のような、繊細且つ膨大な情報量を扱うことは出来ないため、六眼の半分程の性能ということで三眼。

 

 普段は薄い茶色の瞳をしている私でも、これを使うと蒼色に変わる。

 鏡で見た時はそうだった。

 推しとお揃いのカラコンを着けなくても良いの助かる。

 

 呪力総量計測完了。

 えっと……私の呪力量の軽く3倍くらいありますね。

 ほう、強敵登場だな。

 

 呪霊は反転術式を使わなくても、負のエネルギーで自身を回復できる。

 よって呪力量で負けてるなら、ちまちま削る耐久作戦はまず無理。

 回復出来ないような強烈な攻撃で畳み掛けるのが吉。

 

 幸いにも狐呪霊の呪力の濃度が濃すぎて、他の弱い呪霊たちは近寄ることすら出来ないようだった。

 ならば、この狐呪霊をだけに集中できる。

 奴を祓う前に私の呪力が尽きたら負け。

 シンプルで良いね。

 

ササゲヨ

 

 でもこの狐呪霊、人語喋るんだよなぁ。

 原作に登場した喋れるタイプの呪霊は、みんな強かった気がする(バッタは考えないものとする)。

 

 気を抜いたらやられる、気張っていきましょう。

 

 しゃん、しゃん。

 

 鈴の音が2つ。

 私は即座に大きく後退した。

 直後に青い爆発が2つ。

 

「……段々と掴めてきた」

 

 三眼で見えた。

 かなり短い時間だが、鈴の音と共に出現する小さな青い火粉、それに狐呪霊の呪力が宿ると青い爆発が起きる。

 攻撃の軌道が分かれば、回避に割く動作を小さくできる。

 回避に専念するしかなかったところに余裕が生まれれば、それはもちろん。

 

「反撃開始だ!」

 

ササ、ゲヨ! 

 

 しゃん、しゃん、しゃん。

 

 鈴の音と共に目の前に現れる3つの火粉。

 私は両脚に呪力を集めて脚力を強化し、地面を踏みしめて急加速する。

 火粉の間をすり抜けて更に前進、直後私の後方で3度の爆発音。

 

 まずは距離を詰める。

 地面に転がる小石を拾って呪力を込める。

 急激に呪力を込められた無機質はその力に耐え切れず自壊するけれど、私の術式で行えば最速で壊れない程度の呪力を石に込められる。

 軽い呪具レベルに到達した小石を、狐呪霊に向かって全力で投擲する。

 小石がリリースされる際に人差し指と中指に呪力を集めて、リリースと同時に軽くスパークさせる。

 

 実験1つ目、

 

『私の術式で意図的に黒閃を撃てるか』

 

 まあ、おおよそその答えは分かっている事ではあるけれど。

 

 イメージするのは常に最強の……じゃなくて、私が初めて黒閃を撃ったシーン。

 

 不器用な突きに不安定な呪力操作、しかしその中の揺らぎにあった確かな打撃によるエネルギーと呪力による負のエネルギーの一瞬の合致。

 あの0.000001秒間を再現する。

 

 某二刀流野球選手のフォームを真似して私の全体重が乗った良いスローイング(体感)に加えて、術式による完璧な呪力ブースト(こっちは実際に完璧)付き。

 

 狐呪霊は投擲物から身を守ろうと、9本の尻尾の内1本を自身と石の間に滑り込ませた。

 

 着弾。

 その瞬間、暗い闇の歪みから1輪の黒い火花が、凄まじい威力轟音と共にその花弁を咲かすのであった。

 

『呪力操術、術式順転、黒閃弾』

 

 たった今名付けた黒い光を放つ砲弾は、狐の尾を1本消し飛ばすことに成功した。

 

「さて、黒閃出なくなるまで帰れま10、はーじまーるよー」

 

 私はいそいそと、そこらに転がる小石を集めるのであった。

 

 実験1つ目成功。

 実験2つ目、開始。




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みんなお話ししてくれてありがと……ありがと……(成仏)
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