飛羽真と上條は、同じ仮面ライダーセイバーへと変身していた。
その手に持っている武器も、また同じ火炎剣烈火。
だが、その差は明らかに大きすぎる。
「ぐっ」
それを現すように、飛羽真は、その手に持つ火炎剣烈火を構えながら、眼前からの、上條からの攻撃を受け止めるのが精一杯だった。
元々、剣士としての力量では上條の方が上である。
それに加えて、飛羽真が変身に使用しているブレイブドラゴンは、セイバーの基本的な姿である。
だが、上條が変身しているドラゴニックナイトは、そんなブレイブドラゴンをより力強くした姿。
それによって、上條は現状、剣士としての腕でも、変身に使うワンダーライドブックの質においても、飛羽真よりも上である。
その上、今この場には、二人の戦いを見守る俺達は、それを見守る。
「勝てると思いますか」
「このままでは、無理だろうな」
その言葉と共に、飛羽真と上條の戦いはさらに激化していく。
だが、それでも、飛羽真の劣勢に変わりはない。
飛羽真はまだ、火炎剣烈火の力を完全に引き出せていない。
「そして、この試練がそれが目的だろう」
だが、それが出来ない理由がある。
その理由とは──―。
飛羽真が、上條から距離を取り、火炎剣烈火を構える。
そして、上條もまた、それに合わせるように、構える。
「神山飛羽真、お前は、何を信じて戦う」
「っ」
そう、上條は問いかける。
その言葉に対して、飛羽真は一瞬だけ、目を見開く。
「お前の、物語の力を信じる心は素晴らしい。だからこそ、ワンダーライドブックもお前に多くの力を貸す。
だが、それと共に、お前は火炎剣烈火の事を信じられているか」
「火炎剣烈火の事を」
その言葉と共に、飛羽真はゆっくりと火炎剣烈火を見つめる。
これまで、多くの戦いを共にした飛羽真の相棒。
だが、飛羽真は、本当の意味で信じられるのか。
「剣士は、聖剣に選ばれる為にたゆまぬ努力を続ける。お前は偶然で、その聖剣を手にした。
それは、お前が聖剣に選ばれるだけの素質があるが、それと共に今のお前にその聖剣をどこまで信じられるかだ」
「……俺は」
その言葉と共に飛羽真は構える。
「覚悟を越えた先に希望はある。俺が、最も心に残るのは、上條さん、あなたがくれたあの言葉だ。そして、その言葉と共に燃え上がる火炎剣烈火の事は、今でも残っている」
それと共に飛羽真の手にある火炎剣烈火の炎が燃え上がる。
それはこれまで以上に純粋な赤い炎。
それが刀身に宿っている。
「だからこそ、見ていて下さい! 俺の覚悟を! その先にある希望を!!」
赤い炎を舞い上がりながら、飛羽真はそのまま火炎剣烈火を上段に振りかぶる。
それに対し、上條もまた、火炎剣を振り上げる。
互いの力がぶつかり合う。
激しい爆発が起きると同時に、辺り一面に砂煙が上がる。
だが、そんな中でも、飛羽真は立っていた。
そして、そのまま倒れそうになる体を必死に抑え込む。
「はあぁぁぁ!!!」
互いの火炎剣烈火がぶつかった事で、衝撃が生まれ、それによって発生した衝撃波によって吹き飛ばされたのだ。
それでも、飛羽真はまだ戦える。
そんな飛羽真に対し、上條もまだ倒れる訳にはいかない。
この程度で倒れるようなら、上條にとって、この戦いの意味がないからだ。
しかし、既に飛羽真も限界に近いはずだ。
このままでは決着がつく前にどちらかが倒れる。
だからと言って、どちらも引く気はない。
だからこそ、上條はこの一撃にかける。
「うぉりゃああぁ!!!!」
「負けない!! 俺は絶対に諦めたりしないんだ!!!」
二人の思いを乗せた必殺の一撃が放たれようとした瞬間だった。
その空間を揺るがす程の衝撃音が響いたのだ。
それと共に、その戦いの決着がついた。
既に2人の変身は解除されていた。
「……どうやら、聖剣は覚醒したようだな」
その言葉と共に、飛羽真が見つめた先には、火炎剣烈火は確かに赤く燃え上がっていた。
「上條さん、あなたは一体」
「俺は上條であって、上條ではない。この姿は、お前にとって、この剣の象徴になった人物の幻影に過ぎん」
それと共に上條の姿はゆっくりと消えようとしている。
「忘れるな、その覚悟を、物語を信じる力を」
「……はいっ!」
その言葉を最後に、上條はその姿を完全に消える
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