トレセン学園に通うウマ娘、ヒーローレジェンズ。通称ヒロちゃん。お友達を作るために、今日も頑張っています!

でも、ヒロちゃんは人付き合いがちょっぴり苦手。人とうまく話すことができません。

だけどヒロちゃんはめげません!いつかきっと友達を作るために今日も頑張ります!

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いつぞやだったかの亡霊ウマ娘のプロトタイプです。大分設定が違います。あっちの方の短編がね……思いつかないんじゃ。


不思議なウマ娘ヒーローレジェンズ

 トレセン学園に通うウマ娘、ヒーローレジェンズちゃん。彼女には大きな野望がある。

 

 

「ききき、今日!こそ、は!おお、おはな、し、頑張る、ぞ!」

 

 

 それは、お友達を作ること!お友達を作るためにヒーローレジェンズちゃん──通称ヒロちゃんは今日も山から元気にトレセン学園へと通います。

 ただ、ヒロちゃんはちょっぴり人付き合いが苦手。

 

 

「あ、おはよ~うヒーローちゃん」

 

 

「ッ!?!?」

 

 

 他の子に挨拶されただけで大慌て。視線はキョロキョロと動いてて、手をわたわたさせています。とっても挙動不審。

 

 

「お、お、お……」

 

 

「うん?どうしたの?」

 

 

 不思議そうに顔を傾けるウマ娘。ヒロちゃんはなんとか頑張っています。

 

 

「おあ、よう!ござい!すぅぅ……

 

 

「うん、おはようヒーローちゃ」

 

 

 なんとか挨拶を返せたヒロちゃん。でも、ヒロちゃんは恥ずかしがってどこかへと走り去っていきました……挨拶してくれたウマ娘を置き去りにして。

 

 

「え~っと。挨拶返された……のかな?」

 

 

 そうだよ。すぐにどっか行っちゃったけど。

 ヒロちゃんの挙動不審は授業中も。先生に当てられた時はいつも以上に頑張らないといけません。

 

 

「え~と、じゃあこの問題を……ヒーローレジェンズさん。お願いできますか?」

 

 

「ッ!?はは、は……ひゃい!」

 

 

 椅子が倒れんばかりの勢いで立ち上がって、というか実際に椅子を倒してヒロちゃんは問題を解きに行きます。歩いている間は、勿論挙動不審。ずっと視線をキョロキョロさせて何かを警戒しているように歩きます。黒板への短い道のりも、ヒロちゃんにとっては大冒険なのかもしれません。

 なんとか黒板に辿り着いたヒロちゃん。ヒロちゃんは頭は普通。だけど問題を解くぐらいなら訳ありません。

 

 

「でで、でき、でき!まし、!」

 

 

「……はい、正解です。頑張りましたね」

 

 

 先生の微笑みに嬉しくなってヒロちゃんは小さくガッツポーズをします。にへらと笑って席へと戻るヒロちゃん。あ

 

 

「ふぎゃっ!?」

 

 

 ……どうやら椅子が倒れていることを忘れてそのまま座ろうとしたみたいです。尻もちついてちょっと痛そう。ただ、ヒロちゃんにとって一番重大なのは。

 

 

「クスクス」

 

 

「ふふっ」

 

 

「ッ!!あ、あ、あう……」

 

 

 ヒロちゃんのやらかしにちょっと笑ってしまうクラスメイト達。勿論彼女達に悪気はありません。思わず吹き出してしまった、それだけのことです。ただ、ヒロちゃんはそうは思わないみたいで。

 

 

「ピギィィィィィィィィ!?!?」

 

 

 顔を真っ赤にして、奇声を上げて教室から出ていっちゃいました。クラスメイト達は慌てて後を追いかけます。

 

 

「わー!?ゴメンゴメンヒーローちゃん!」

 

 

「私達が悪かったから待ってー!?」

 

 

 逃げ回るヒロちゃんを捕まえるのは至難の業。結局この後ヒロちゃんは捕まりませんでした。

 お昼休み。ヒロちゃんはどこでお昼を取るのかというと。

 

 

「え、えへへ……マイベストポジション……」

 

 

 めったに人が寄り付かないようなくら~い場所。階段の死角になるところ。ここをベストポジションにするのはどうなの?ヒロちゃん。ただ、ヒロちゃんはニッコニコでお弁当を広げます。

 

 

「かか、カフェテリア。人、多い、から。ちょちょ、ちょっと、苦手」

 

 

 どうやらカフェテリアは人が多いから苦手のようです。

 

 

「そ、外は!人目、つき、やすい。だから、ここ、マイベストポジション」

 

 

 外もダメ。なら仕方ないか。

 ヒロちゃんはちょっと不思議な子。ヒロちゃんは時折、お昼ごはんの時みたいに誰もいないところで喋り始めます。

 

 

「きき、今日!は!選抜、レース!だだ、だから。がんばら、ないと!」

 

 

「とと、とにかく!がんばる!みみ、みんなが!鍛えて、くれた……から!」

 

 

「だだ、ダメ!こここ、今回、は!私が走る……よ!?」

 

 

 何やら気合を入れているみたいです。握りこぶしを作って気合を入れてるヒロちゃんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わってトレセン学園のレース場。選抜レースが開催されるためか大人数です。

 

 

「お、あの子良いな。現段階であれだけのスタミナを保有しているか」

 

 

「出遅れないようにしないと!有力ウマ娘は逐次チェックだ!」

 

 

「切れる末脚を持っているな。ただちょっと不安要素ありか?」

 

 

 トレーナー達は才能あるウマ娘達を見極める。ウマ娘達はスカウトされるように頑張っている。みんな必死になっているためか、少々気が張っているようです。

 そんな中、ヒロちゃんはというと。

 

 

「ひひひひ、ひぃぃぃぃ……ッ!?」

 

 

 体操服に着替えて、身体を縮こまらせていましたとさ。気が立っているウマ娘達を見て、顔を青くしてガタガタと震えています。せっかくの大きな身体が縮こまっています。

 

 

「ここ、こないで~。じ、順番来ないで~」

 

 

 そんな風に思っていても現実は非常なもの。すぐにでもヒロちゃんの出番はやってきます。

 

 

《それでは、次の第5レース。芝2000mに参加するウマ娘は速やかにゲート前へと……》

 

 

「ピギィ!?」

 

 

 おっと、どうやらヒロちゃんの出番が来たようです。またキョロキョロと視線を動かすヒロちゃん。顔色は悪く、表情も不安げ。だけど気合を入れて立ち上がります。どうやら、選抜レースに出走するようですね。ゲートへと歩いていきました。

 

 

「……?あの5番の子、大きいな」

 

 

「あぁ、凄いな。だが……何故あぁも挙動不審なんだ?」

 

 

「5番の子はメンタル面に不安あり、と。それにしても落ち着きがないな」

 

 

「ずっとキョロキョロしてるわね。他の子は逆に落ち着いてるみたいだけど」

 

 

 出走前のウォーミングアップ。ここでもヒロちゃんは挙動不審。元より人付き合いが苦手なヒロちゃん、周りからの視線を常に気にしています。

 

 

「ぴ、ピギィ……」

 

 

 不安そうにあたふたおろおろ。身体も心なしか震えているように見えます。先程入れた気合は、もうどこかへといってしまったみたいです。そうしている間にも刻一刻と迫る時間。

 

 

「それでは、各ウマ娘はゲートへと入るように」

 

 

 ゲート入りの時間がやってきちゃいました。ヒロちゃんは……おっと。ゲートにはすんなり入るみたいですね。ここは問題ないみたいです。ただ、ゲートでも挙動不審気味に動いています。

 

 

「よっし!勝つ、勝つ!」

 

 

「ゼッテー負けねぇ!」

 

 

「ひ、ひぃぃぃ……!」

 

 

 両隣の子達が気合十分ということもあってヒロちゃんはさらにビビっています。視線を忙しなくあっちこっちへキョロキョロと。トレーナー達もその様子を見て呆れ果てていました。

 

 

《各ウマ娘がゲートへと入りました。第5レース芝2000mはまもなく発走です》

 

 

 身体が震えていたヒロちゃん。凄く焦っていたのでしょう。

 

 

〈ガァン!〉

 

 

「ピギィ!?」

 

 

「お、おい!?5番の子ゲートに激突したぞ!?」

 

 

「開く前に出ようとしたのね。大丈夫かしら?」

 

 

「おいおい、どんだけ慌ててんだよ?」

 

 

 ヒロちゃんはゲートにぶつかってしまいました。不幸なことはさらに続きます。なんと、ヒロちゃんがゲートにぶつかった後にゲートが開いたのです。ヒロちゃん以外のウマ娘は一斉にスタートを切ります。

 

 

「あ、あ、あああぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 ヒロちゃんもこれには大慌て。ヒロちゃんも慌ててスタートを切ります。ヒロちゃんの走る姿を見て、トレーナー達はまたも落胆。

 

 

「スタートも苦手、ペース配分もダメ、フォームもガタガタ。よくこんなので選抜レースに出ようと思ったな」

 

 

「酷い走り。あれじゃ最下位ね」

 

 

「他の子見てる方が有意義だな」

 

 

「あの5番の子は終わりかもしれんな」

 

 

 ヒロちゃんは慌てているためか、フォームも酷く不格好。一生懸命さだけは伝わるような走りです。加えてヒロちゃんはなんとしてでも先頭に立ちたいのかペース配分ガン無視で走っています。トレーナー達が落胆するのも無理はありません。

 

 

「ひぃっ!?」

 

 

「こっわ!?」

 

 

 でも、他の子達はヒロちゃんを恐怖の目で見ています。それも無理はありません。トレーナー達も、すぐにヒロちゃんの状態に気づきます。

 

 

「おい5番の子──額から血が出てるぞ!?」

 

 

「さっきゲートにぶつかった時か!おい、誰か救護班!」

 

 

「それよりもレース中止を……!いや、この状況じゃダメそうね!」

 

 

 ヒロちゃんはさっきゲートにぶつかった影響か、額から血を流しながら走っていました。そんな状態で、しかも鬼気迫る表情で後ろから来るものですからウマ娘達も思わずビックリします。だけどヒロちゃんはそんなことお構いなし。先頭に立って走ります。

 

 

「ヒィ、ヒィ……!に、逃げなきゃ、逃げなきゃぁぁぁぁ……!」

 

 

 だけどヒロちゃん、ペースを一切緩めません。まだ1000mも通過していないのに、かなりのオーバーペースです。他のウマ娘達は勝手に自滅してくれると思っているのかペースを下げました。そうしている間にもヒロちゃんは後続との差をどんどん広げていっちゃいます。

 芝の2000m。最後のコーナーへと入ります。現時点での着差はというと。

 

 

「おいおい嘘だろ!?なんで垂れねぇんだよ!?」

 

 

「あんな走りでどうして最後まで持つわけ!?」

 

 

「ば、化物過ぎる……!」

 

 

 なんとヒロちゃん。後続との差を20バ身はつけようかという勢いです。他の子達も必死に上がってきていますが、ヒロちゃんには追いつけないどころか差はつく一方。

 

 

「ち、ちょっと待ってよ!どうなってんの!?」

 

 

「なんで落ちてこないわけ!?」

 

 

「スタミナお化け!」

 

 

 でもヒロちゃんはそんなこと露知らず。必死に頑張って逃げています。額から血を流して、頑張って走っています。

 

 

《5番のヒーローレジェンズが逃げる逃げる!出遅れて!怪我をして!これだけの差!これだけの差だヒーローレジェンズ!かつて選抜レースでこれほどのウマ娘がいたでしょうか!?ヒーローレジェンズ逃げる残り100を切った!後続との差は縮まらない開いていく!そして今!30バ身はつきそうかという勢いでゴールイン!》

 

 

 ヒロちゃんは見事に一等賞。1着でゴールしました。しかも圧倒的大差勝ち!ヒロちゃんは息も絶え絶えに喜んでいます。

 

 

「ややや、やったぁ……!」

 

 

 ただ、そんなヒロちゃんに近づく影。それは救護班の方達です。

 

 

「君!大丈夫かい!」

 

 

「ピギィ!?」

 

 

 トレーナー達は近寄りません。当たり前です。スカウトしたい気持ちはやまやまですが、それ以上にヒロちゃんの怪我が心配ですから。そこはちゃんと良心が働いたのでしょう。

 

 

「ひとまずこっちへ!すぐに応急手当を」

 

 

「……」

 

 

「?どうしたんだ?早くこっちに」

 

 

 来なさい。その言葉を告げる前に。

 

 

「ピギィィィィィィィィィ!?!?」

 

 

 奇声を発して、ヒロちゃんは逃げちゃいました。救護班の方達は呆然としています。レースを見ていたウマ娘達は必死にヒロちゃんを追いますが、誰も彼もが追いつけません。ヒロちゃんはそれほどまでに早く、スタミナがあるのです。どちらかというと、必死に逃げているだけかもしれませんが。

 ヒロちゃん初めての選抜レースは見事に1着。ただ、苦い思い出になるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ、よし。応急処置完了」

 

 

 逃げ切ったヒロちゃんは1人、傷の手当てをしていました。しっかりと傷口を洗って、消毒して、ガーゼを貼って完璧です。

 

 

「か、勝ったけど……きき、今日も、ダメだったなぁ……」

 

 

 ここはすでにヒロちゃんのお家。山の中にポツーンとある小屋です。ヒロちゃんは、ここで1人で暮らしています。

 

 

「で、でも!ああ、挨拶!返せた!この前、かか、返せな、かっ、た!だから!いい、一歩、前進!」

 

 

 果たしてあれを挨拶返せたにカウントして良いのか分かりませんが、ヒロちゃん的には返せた判定のようです。

 

 

“あれを返せたって言えんのかよ?テメェ最終的に逃げただろうが”

 

 

「こ、この前は!返す前に逃げた!だだ、だから!一歩!前進!」

 

 

“半歩どころか十分の一歩でも怪しいとこじゃない?”

 

 

 ……ヒロちゃんは不思議なウマ娘。他のウマ娘とは明確に違う点があります。

 

 

「そそ、そんなこと!ない!私!頑張った!す、凄く!頑張った!」

 

 

“まぁ其方がそれで良いというのであれば我は構わぬ。だが、それでは其方の野望が成就する時は一体いつになるのやら”

 

 

“10年とか20年あればできるんじゃな~い?とりあえずぼくは早いところ休みた~い”

 

 

 彼女は誰もいないところに話しかけている……それはちょっと違います。正確には、普通の人には見えないウマ娘と会話をしているのです。

 人数は、4人。4人のウマ娘はヒロちゃんと会話をしています。

 

 

「そ!そこまでは、ぜ、絶対に!かから、ない!きき、きっと、だいじょぶ!」

 

 

“何を根拠に言ってんだよテメェは。つーか、今日のレースもなんだあれは!”

 

 

“ゲートにぶつかるわフォームもガタガタだわ着差もあれだけだわ……もっと頑張れやおい!アタシが教えてんだからよ!”

 

 

「ピギィ!?」

 

 

“そう威嚇するでない。ヒロが怖がっておろう”

 

 

“とりあえず大声出さないでようるさいな~”

 

 

 ヒロちゃんは不思議なウマ娘。彼女は──

 

 

「つ、次は!がんば、る!」

 

 

“頑張ってもらわなきゃ困るんだよ!俺様が教えてやってんだから!”

 

 

“そんなのアタシもそうだ!もっと着差つけろヒロ!”

 

 

“野蛮よのう。そうかっかするでないわ。我の可愛いヒロが怯えるであろう”

 

 

“ふわ~あ。ぼくもう寝ていい?ヒロちゃんもそうした方がいいと思うよね?”

 

 

 1つの身体に、5つのウマソウルを持つウマ娘




大体こんな感じです。

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