どうも、私は倉持技研2番研究所所長スネイル・
名前は見ての通り日本人とのハーフで現在も日本に在住し倉持技研にてISパーツの開発を…………まあそれなりに進めています。
分かっていると思いますが私は転生者。コードネームならともかく本名にカタツムリを突っ込む親はどうかと思いながらアーマードコア6の知識及び
容易いことの…………筈なんですが。
「ええ、書類の通り量産すれば従来の重機よりも拡張性が…………はい?メインフレームの作製依頼が届いてる?いえ、今話してるのはMTの…………分かりました、検討はします。それではMTの…………っ!」
出した案件の話が上から全く降りてこないため、私から態々進捗を聞こうとしたはずなのにぶつっと電話を、しかも話している最中に切られた。
スマートフォンを握り潰し叩きつけたい衝動に駆られるが、我慢です。
確かに篠ノ之束博士が作り出した『欠陥品』は素晴らしいものです。
常時パルスアーマーを着込んだ状態で宇宙活動を目的としたスーツ…………でしたか?
自由自在に飛行を可能に、さらに小型であるならある程度は収納できる拡張領域も素晴らしいものです。ええ、宇宙開発だけに使われるなら。
最初の理念はその筈だった。だが、世界はこれを兵器としか見ずに限られた数のコアを巡って争い続けている。
幸いな事といえばAC世界のように堂々と虐殺が行われていない事でしょうか?謀殺は多々ありますが。
ただ、女性しか乗ることが出来ないのはあからさまな『欠陥品』であることは間違いないでしょう。
私が先程出された無茶振りの合間に作っているACも乗る人を選ぶというでしょう。だが、決定的な違いはある。
ISは全ての女性のみに、対してACは性別問わず選ばれた人間のみ。
数が限りあるとするならACの方が優位でしょう。数が限られている以上、全人類の半分しか選べないのと全人類から選べるのは天と地の差がある。
シミュレーターで私がISに乗れると仮定しても、現在倉持技研内では上位パイロット以外で負けはありません。
残念な事に現実では私はISに乗れない。だからACを作成しているわけですが…………
「全く、上層部は何を考えているのか。名声に目が行き利益に目がいっていないとは」
我々は企業の一員、事業の拡大のためには最大限の手札を使い、そして他社を排除して地位を万全にすることが目的でしょう。
ISが登場する前は私も社会人となって倉持技研で数年働きMTの実現、そしてACと『あるもの』を独自に作るという夢を持ち頑張ってきました。
だがISが登場してから流行りだした女尊男卑の傾向を受け倉持技研…………気づいているでしょうが技研という単語に惹かれてここに就職したわけでこれから省略させていただきますが、技研も上層部が軒並み女性と入れ替わり、研究所も女性が地位を獲得する傾向にありました。
ええ、分かりますか?男でありながらこのご時世に所長に成り上がることが出来た私の努力が。
いくら女性といえど、本来持ち合わせている醜態は決して消えることは無い。それが権力に取りつかれた『元』上司は分からなかったのでしょう。
様々な手段を用いて2番研究所所長となった私ですが、やはり上層部は男である私が気に喰わないようで…………
「私です。MTの増産はやはり却下されました。その代わり新たなフレーム作成の依頼です。
どこまでも足を引っ張りたいようだ。虫唾が走る。
自分でいうのも何ですが、私の持ち込んだ知識を才能と見たことで差を感じて嫌がらせを行ってくるのです。
最初は面倒と思っていましたが、どのような嫌がらせをしてくるかの傾向を掴むことは出来たので取れる手段は可能な限り取っています。
私とて自分の仕事があるのです。それに、ACの作製も私の使命と言って過言ではないでしょう。
極秘に開発しているパルス武器も出来は間違いなく優秀であると言えるでしょう。
ちなみに、EN武器やパルス武器はISでも使おうと思えば使えるが、エネルギー負荷が非常に高く発射するごとにISコアでも負担が大きく産廃扱いとなり第一段階として不必要と誤解されるよう仕向けたのが正解でした。
今ではEN武器、他人から言うとレーザー兵器に当たるものを、もはや誰も見向きもしない。もしかしたらどこかで細々と作っている者も居るかもしれませんが、それこそ篠ノ之束博士ほどでなければ単独で作ることは不可能でしょう。
私の機体、オープンフェイスの完成は間近である。
「さて、そろそろ夕食でも取りましょうか。根を詰めすぎるのも身体に悪…………通信?いつから?」
『スネイル閣下!よかった、応答してくださいましたか』
「何事です。細事であるなら懲罰です」
『ニュース見てなかったんですか!?見つかったんですよ!』
「何がですか。自己増殖するエネルギーでも?」
『そ、そこまで大規模なものではないです!男性の適合者です!』
「そうですか、では」
『閣下!?待ってください閣下!?』
長い目で見ればいずれ現れるものをわざわざ騒ぎ立てる、全くもって神経をいらだたせる。
実際、ISに乗れる条件は女性と言うのが常識であるが、そこさえ誤魔化すことができたら誰でもなろうと思えば乗れる筈。
開発者が天才を超えて天災と呼ばれる存在故に難易度は非常に高いが、例えば搭乗者を本人と誤認させる。何を元に資格を得るのか未だ不明だが、外見、動作、思考、DNAを誤魔化せればできないことはない筈である。
現時点では比類無き兵器として確立したISではあるが、いずれ対策も取られる。
我が研究所にて開発したパルス兵器を使えばあっという間にシールドエネルギーを枯渇させることは可能です。
乗っ取ると言う手も有用ではありますが、いつまでも天下を取れるとは思わないことです。
そう言えば倉持技研でも日本代表候補生のISを開発中でした。
現時点ではミサイルを多発させて手動で誘導するというコンセプトは興味はあります。
どうしても『あるもの』を連想させてくれるのですが、私はEN武器を専門にしているのであくまで参考程度には。
完成させるまで時間は掛からないでしょう。いずれデータを取る時は私も同行しましょう。
私は倉持技研2番研究所所長スネイル。ふざけた世界でACを造る技術者です。
そこだけは、決して譲れない。