おかしいな、閣下を企業にしたい為に書いたけど本来なら短くしようとしてたんだ。
話数が…………それまでの話数が増えていく…………?
銀の福音をオープンフェイスでもって撃墜させて先に帰投したスネイルです。
無人機とはいえ第3世代型の軍事ISをレーザーランスで突破できた事は上出来と言えるでしょう。
とはいえ、私のオープンフェイスは重量型。ラスティに配備予定のスティール・ヘイズのような軽量型に比べるとスピードは圧倒的に劣る。
僚機となったISが多かった事も撃墜の一因となるので私単体だともっと時間はかかったでしょう。
さて、そろそろ砂浜に近づいてきましたが…………
おや、どうやら篠ノ之束博士だけでなく教員、それにこっそり様子を見にきて捕まったような生徒達が居ました。
銀の福音を私が撃墜したと言うことを聞いて出てきたのでしょう。生徒の方は騒ぎになった際に外に出たと思われます。
『メインシステム、通常モードに移行』
巻き込むといけないので一度飛行モードを切り、ブースターによる飛行からホバーで海上を移動する。
篠ノ之束博士だけが大爆笑し、他は驚愕もしくは呆然としてオープンフェイスを見ていました。
とはいえ離れてもらわないとハンガーヘリに乗り込めないので退いてもらうことにしましょう。
「そこ、邪魔になるので離れなさい。轢かれるとどうなるか、分かっていますね?」
通信が聞こえない相手用に備え付けていたスピーカーを通じて警告する。
すると通り道になる砂浜及びハンガーヘリまでの道のりを、蜘蛛の子を散らすように開けていく。
「それでいい。整備班、私が戻りました。オープンフェイスの整備をしなさい」
そのままホバーでヘリの前まで移動し、到着したら歩行で中へと入っていく。
ハンガーヘリとは名の通り、ACを吊るし整備する為に造られた移動式ガレージ。その大きさもビルと同じくらいあります。
そこにオープンフェイスを仕舞ったら、私は口止めでもしに行きましょうか。
整備班も私が揃えた人材。裏切りも何もありません。
肩をハンガーで掴まれ宙吊りになるオープンフェイスの感覚を味わいながら、コックピットが開くまで少しの休息を取りましょう。
「スネイル所長!あれなんですか!?」
「何あのヘリ…………空母か何か?」
「一機しか出てなかったけど、流石に量産は無理だよね」
「あそこにいるのって篠ノ之束博士じゃない?」
「じゃあ、あれも新しいIS?」
「あんなの作れるのは他に居ないよ」
有象無象の言葉はさておき、束はこれ以上ないほどニッコニコである。
自分が暴走させた無人ISを高高度にて、支援があったとはいえ難なく撃ち落としたのだ。
(勝手に)貰ったシミュレーターのデータ通り、しいて言うならもう少し時間がかかったかもしれないところをISを僚機としてサポートに回すことにより時間短縮を可能にしていた。
僅かとはいえ予想よりも上回った結果を見せてくれたスネイルに束の機嫌は速やかに上昇していく。
「束、アレも想定のうちか?」
上機嫌な彼女に近づいてくるのは親友である織斑千冬。
その顔は険しく、そして警戒していつでも捕らえられるように身構えているようにも見える。
「いーや?本来の目的は箒ちゃんの紅椿のお披露目だったよ?まさか、こんなサプライズで潰されちゃうなんてぷんぷんなんだよ?」
「その割には楽しそうに見えるが」
「そう?じゃあ楽しんじゃってるね!」
ケラケラと笑う束は、千冬の目からしても本当に楽しそうにしているのが分かる。
だからこそ千冬は表情をほとんど変えてはいないが本気で驚いた。
自分がどれほどしばこうとも他人に興味を持つことが出来なかった束が興味津々になっている。
あの馬鹿が考えたような巨大兵器を、それを作り上げたであろうスネイルという他人に興味を持っている。
先ほどの巨大ヘリに収納された兵器からした声、あの神経質で陰湿そうな言い方はスネイルで間違いない。
一科学者があの兵器に乗っていること自体がおかしいのだが、それを作り上げることが出来たことも十分におかしいのだ。
「だってさぁ、クソデカ兵器作った上にISを倒しちゃったんだよ?笑わないわけにはいかないじゃん!」
「馬鹿なことを言うな!これがどういうことか分かってるのか?」
「もちろん。たった今、スネイルさんは1人で世界情勢をひっくり返したんだよ」
「今まではISがあったからこそ世界の均衡はかろうじて保たれていた。それを破壊できる兵器があるとなれば」
「あんなものはスネイルさんしか作れないよ。というか、多分まだあれ一機しかないよ?」
どこまでも能天気そうに言うが、二人の指摘は間違っていない。
スネイルは様々な手法で資金繰りをして、ようやく完成させた一機こそオープンフェイスなのだ。
その次にものすごい勢いで急かしてくるであろうフロイトのAC…………ではなくホーキンスのACことリコンフィグである。
何故かというと、スネイルの持ち込んだ知識はアーキバス製品に特化しているためオープンフェイスの次に造りやすかったのだ。
ちなみに、このことも隊員たちには通達済みでフロイトに平坦なテンションで詰められた。
それはさておき世界情勢の話なのだが、米軍が丹精込めて作った軍事ISを堕としたACは世界的に注目されることになるだろうと予測は付く。
だが考えて欲しい。自国で作った試験中とはいえ最高戦力が暴走した上に他国を襲おうとして謎兵器に返り討ちに合いましたと報告できるのか?
馬鹿正直に報告すると管理能力と戦力に疑問を持たれるのは間違いない。
そのリスクを背負いスネイルのACを報告できる度胸があるなら分からないが。
「まあ確かに日本人が技術の英知を持っているってなったら盗もうとか抹殺しようとするよねー?あ、でもスネイルさんはハーフだから取り合いになっちゃう?」
「笑い事じゃないんだぞ…………!」
「笑い事だよ。ちーちゃんには悪いけど、スケールの差が違いすぎるんだよね」
束が『天災』と呼ばれるように、もはやスネイルは世界という箱に収まらない。
今は倉持技研に収まっているが試運転を終えた今、もはや残っている意味もないだろう。
というよりも、予算がどこから湧いたのか追及されるのが決まっている。
これは今まで極秘研究という事で他の研究所も機密を守る為にある程度の概要を出しつつ研究する為に予算を出してもらっていたりする。
その半分は私服を肥やしたりする場合もあるが、スネイルもその予算の申請はしていた。
女尊男卑が蔓延る今であってもスネイルの開発したものは技研に大きく貢献していたので、他研究所の面子に出してスネイルには出さないという事は出来なかったので額を減らしながらも出してはいた。
そしてMTの開発中に中抜きしていた。
実はMTは2番研究所に割り振られる予算よりも安く作れてしまい、さらに『ある場所』に売る事で利益もあった為、余裕が出来たのだ。
その予算の誤魔化しはスウィンバーンが全てやった。
オキーフやホーキンス、スネイルも手伝おうかと考えていたのだが…………
『私は会計担当だ、シミュレーターの成績が高いだけでこの部隊に居るというのはプレッシャーが凄すぎる!だからせめて重要な役はやらせてくれ!』
そういう熱意はあったのでフォロー出来るように下準備していたのだが、全て杞憂に終わった。
スウィンバーンが居なければACの完成まで更に時間を要しただろう。
「こりゃあ、私も負けてられないね。でも帰る前にいっくんと箒ちゃんの顔だけ見て帰るね!」
「待て束!話はまだ終わってない!」
「待てって言われて待つもんかー!」
砂浜での追いかけっこのように2人は砂を撒き散らし走り出す。
どちらも陸上オリンピック級のスピードなのだが気にしている者は殆どいない。
「きょ、巨大ロボ…………ロマンが、ロマンがあそこに…………!」
そして下手したら家すら捨ててスネイルについて行きそうになるミサイル少女がいた事も記す。
生徒会長「あれ?あの、家の事もあるんだけど?ちょっと!?戻ってきてー!?」
これが懐柔工作ですか(違う)