倉持技研2番研究所所長スネイルです   作:蓮太郎

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ちょっとした箸休め回と言う名のフロイト。


16. 好きな物こそ

 

 オープンフェイスの試運転は大成功と言って過言ではないので嬉しく思っているスネ「スネイル、何故俺にやらせてくれなかった」…………ん゛ん゛っ!

 

「フロイト、オープンフェイスの搭乗者は最初から私に決まっていました。それに現地にいたのも私です」

 

「シミュレーターではない実戦でのAC、そこに試験担当の俺を呼ばないわけにはいかないだろう」

 

「貴方は警備部門です。あと試験担当はありません」

 

「だとしても何故俺ではなくメーテルリンクを呼んだ」

 

「彼女しか専用のISを持っていないからですフロイト!そもそも何故居るのです!」

 

「ACを乗せたヘリが動いてたからだ。飛び立つ前に外壁に張り付いて侵入した」

 

「申し訳ありません閣下!閣下の出撃まで閉じ込めておいたのですが…………」

 

「…………いえ、貴方は悪くありません。この馬鹿が頭のネジを無くしているだけです」

 

 むしろ良くそれまで閉じ込めていたと褒めてあげたいくらいです。口に出しませんが。

 

 ハンガーヘリを飛ばす為には広いスペースが必要。そもそもハンガーヘリをどこに収納していたのかというと、野外試験場の地下に隠していました。

 

 ロボットアニメでよくある地面が二つに割れて出てくるアレです。

 

 地上にスペースがなければ地下に作るのは自然でしょう。

 

 それよりもフロイトです。何でヘリにしがみついて密航したんですか?

 

 少なくともあの巨体を他の建物に当てない為に高く飛んでた筈なんですが??

 

 え、途中で窓に張り付いてたのを整備班の1人が発見して入れてもらえた???

 

 何でそれまで気絶せずに外に居たんですか????

 

 考えるだけ無駄です。この男も篠ノ之束博士と同じような人種、私には到底理解が出来ないのです。

 

 しつこく迫ってくる馬鹿を放置しておき、私は耐Gスーツを脱ぐ。

 

 ようやく気を少し抜けると思った瞬間に疲れが押し寄せてきました。

 

 少しふらつき、身体に相当な負担をかけていたことに今となって気づいたのです。

 

 動かしている時は多少の衝撃程度と感じていましたが、アドレナリンが相当放出されて気づいていなかっただけでしたよ。

 

「閣下、大丈夫ですか?」

 

「この程度問題ありません。ACの方はどうです?」

 

「戦い方がよかったのでしょう。装甲の損傷は殆どありません。ジェネレーターの負荷がやや高かったようで焦げ付きが見られました」

 

「改善点ですね。容量を増やしても供給過多にするのはいけませんでしたか。他の損傷及び改善点となりそうな個所を上げていきなさい」

 

「はっ!」

 

 整備班の男が敬礼して私の元から離れる。

 

 近くに工具を入れるための大きな箱があるのでそこに座り込みます。

 

「どうした、やっぱり負担が大きかったのだな」

 

「上に立つ者として情けない姿は見せられないんですよ。好き勝手動く貴方と違って」

 

「運動不足だな。たまには一日を研究と書類仕事以外で使ったらどうだ?」

 

「この…………っ!」

 

 やはりフロイトとの会話は疲れる。どこまでも自分の尺度でしか動かない癖に気遣おうとは、その気遣いも的外れなことを言うのですから。

 

 それでもフロイトは私に乗り心地や動きについて、そして武装を使用した感想を聞いてくる。

 

 いい加減にしてくれ、私はもう疲れたんだ。

 

 もはやこの男を篠ノ之束博士や織斑千冬にぶつけたらいいのではないかと思ってきました。

 

 後処理はメーテルリンクに任せましょう。あとついでにフロイトには篠ノ之束博士が侵入してこないように言っておきますか。

 

 全く、どいつもこいつも厄介な人物が出そろいますね。

 

 少しの休息くらい頂いてもいいでしょう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フロイトだ。ここにいる奴ら全員がIS乗りなのか?」

 

 その男は目の前で騒いでいる生徒たちに言った。

 

 見た目はどこにでもいそうな金髪の男なのだが、何かつかみ取れない異様な雰囲気がある。

 

 しかもクソデカヘリから出てきたうえに整備士でもない格好をした人間が出てきたからこの男以外は困惑している。

 

「えっと、誰ですかあなたは?」

 

「フロイトだ」

 

「あの、何しに来たんですか?」

 

「篠ノ之束という女が来たら足止めしておけとスネイルに言われてな。で、その篠ノ之束は誰だ?」

 

 何気なく言っているが、そんなことできたら誰だって苦労しないと一部を除いて全員が思った。

 

 周りを見渡しても誰も答えないのでフロイトは一つ考えこんでから呟いた。

 

「誰も知らないか。まあいい、適当に探す」

 

 そう言って離れようとした矢先だった。

 

「すみません!あの巨体ロボットについて何か知ってますか!」

 

 勇気ある生徒がフロイトに質問した。

 

 機密の塊でもあるACなのだが、フロイトにとってはおもちゃのようなもの。

 

「アーマードコアだ」

 

 好きなことにはめっぽう口が軽いのだ。

 

「あーまーど、こあ?」

 

「聞いたことないよね」

 

「たしか、倉持のところってMTとかいうのも作ってたよね?アレの大きいやつ?」

 

 巨大ロボの名称をサラッと口にしたことを皮切りに各々の考察を口にし始める。

 

 かなりの大騒ぎがあったのだが時刻は深夜である。本来なら子供は寝る時間なのにこのようにはしゃぐのは若さゆえなのか。

 

「アーマードコアに乗ってるのはスネイル所長なんですか?」

 

 この質問をするために苦手な人前に立ったのが、スネイルの支援を受けて専用機を完成させるに至った更識簪である。

 

 最初の頃は疑念を持っていたが支援を受け続けることにより対応は軟化、そして今回のACの起動を見たことによって情緒が爆発してしまった可哀想な子である。

 

 何故、彼女が銀の福音討伐時に出ていなかったのかというと単純に戦力データが不足していたからである。

 

 それにミサイルの多弾撃ちに対して遠方からのエネルギー弾のばらまきという相性が最悪に近い存在が敵であったために出撃できなかったのだ。

 

 なお、そのことを今回の騒動の最初にスネイルより伝えられたため黙らざるを得なかった。

 

「ああ、俺が乗っていなかったら他はスネイル以外居ないな。いや、メーテルリンクも居たか?」

 

「メーテルリンクさんはスネイル所長の付き添いで一緒に出撃したと思います」

 

「そうだな、ISに乗っていたら小回りが利く。あいつはよくシミュレーターで僚機として動くことを訓練していたな」

 

「そんな訓練してたんですか!うらやましい…………じゃなくて訓練施設もあったと?」

 

「所詮はVRだがな。実地訓練をしたいと何度も言ったが、スネイルはお楽しみを先に味わった」

 

「ずるい…………私もアレに乗ってみたかった」

 

「だろう?俺の機体も作るとは言っていたんだが、後回しにされてな」

 

「ほかにも製作予定なんですか!就職したいな…………」

 

 (本人からは)半ば縁切りが近い姉から全力で止められそうな発言をしているが、残念な事に止める者はいない。

 

「つまり、倉持はあれを量産すると?他に武装とかあったりは」

 

「いずれ作るという感じだな。俺が使いたいパーツは制作に時間がかかると言ってたな。重ショットガンも実際の反動はどうなのかと試したかったんだが」

 

「その話詳しく」

 

 巨大ロボにデカ武装、一体何と戦うのか分からないが興味を引きすぎてフロイトに詰め寄るが、フロイトはフロイトで機密をベラベラと喋っている。

 

 お互いに興味ある分野だからこそ口が軽く、そしてマシンガンのように語り合う。

 

 後にスネイルから叱られるのだが、今はそんな事はどうでもいい。

 

 今は、この語り合いを大事にしよう、そう思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません!遅れました!」

 

 ようやく目覚めた男性操縦者が駆けつけてくるまでは。

 

 





シミュレーターに入り浸ってる人間に食いつける更織の妹、やはり強者。

そしてようやく登場の原作主人公。もう終わってるよ全部。
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