実際問題、ACは作業には大きすぎるし、ISは力仕事に向かないし、MTは圧倒的個に敵わないからいい塩梅じゃないかと思い始めてる(コーラルちびちび飲みながら)
『ヒャッハー!なぁにがISだ!こっちは重装甲だぞ!』
「何が重装甲よ!そんなにデカければ拡散砲も当てやすくていいわ!」
京都の街に突如現れたMT、それをよく見ると本来の規格よりもやや大柄となっていた。
スネイルがもたらしたMTの技術は、車よりも都合がいい兵器としてテロリストに使われていたのだが、安全装置を付けることが前提の物であったため改造には苦心した…………らしい。
その安全装置の部分を取り外し、無理矢理武装化回路を取り付けるような頭の悪い発想で超えてきたのだ。
なお、その安全装置を取り外した結果、脱出装置や不具合発生時の緊急シャットダウン、防火及び消火機能が十全に発動しないことを搭乗者は知らない。
それを知る時は、死以外ないのだ。
そんな欠陥品となった多数のMTに挑んでいるのは凰鈴音である。
人よりも何倍もの大きさがあり、一発一発が戦車砲級の砲撃をバンバンと撃ってくる相手に生身で立ち向かえるはずもなく、
巨体故に威圧感が恐ろしいMT相手に対抗できるのはISしかなかった。
だからこそ彼らは戦う。
『チッ、すばしっこいぜあいつ!』
『臆するな!こっちの装甲はまだ持つ、奴も人間だ、徹底的に浴びせろ!』
「もう!無駄に硬すぎでしょ…………!」
MTからは鈴音に攻撃が当たらないことに、鈴音からはMTが想像以上に硬く落ちないことに焦りを感じていた。
テロリストの目的は戦力を分散させて男性操縦者の身柄と専用機を確保すること。
どういう原理で男がISを動かせるかのメカニズムを解明するために『どのような手段』を使ってもモノとしたい彼ら、そしてその専用機はシールドバリヤーと倉持技研のスネイルが開発しているエネルギー兵器を無効化できる優れもの。
それもかの有名な篠ノ之束が作り上げたという情報があれば食いつかないはずがない。
実力行使で奪い取れるのならと苦心して改造したMTを乗り回し、建物ごと粉砕しつつ他のIS乗りを始末しようとテロリストは画策しているのだ。
『鈴音!そっちはどうだ?』
「絶好調よ!いいサンドバッグで修行できるわ!」
『そうか、こっちもだ。無駄に硬くて困ってる!これが元は作業用なんて信じられないぞ』
「アンタの剣でも叩ききれないの?」
『装甲が分厚過ぎて中まで届かないんだよ!?』
『喋ってる暇があれば手を動かせ!』
『分かってるって!ごめん鈴音、そっちは任せたぞ!』
「私を誰だと思ってるの!」
通信の向こう側も阿鼻叫喚、むしろ本命故に攻めてくる人数は多いだろう。
この京都に配属されたMTは50台、そのうちの半数が一夏の方へ向かい、他はテロ活動を行っているためどうにかして足止めをしなければならない。
代表候補生はそのために出張って防衛をしているのだが…………
『やっぱ邪魔が入らねえってのは気が楽だな!』
『奴らの大将も簡単に動くことは出来ないからな、やりたい放題だ!』
「この国何やってるの!?まだ増援来ないの!?」
鈴音も流石に呆れたような絶叫を上げた。
街を壊すことを厭わず、民間人の命すら軽視するゴミを排除するどころか緊急通信もしてこない国に腹が立ち始めている。
相手はテロリストなのに国防は何をやっているのか。
様々な情報交錯と亡国機業による妨害によって出撃命令が出ずにいるのだ。
馬鹿みたいな話だが、戦争経済を糧に育った亡国機業は政治の中枢にまで手駒がいる。
意外と闇は根深いのだ。
しかし、その闇を切り裂く光が現れるのもまた事実。
『あん?なんか反応があるぞ』
『ヘリか?戦闘ヘリなら撃ち落とせ、報道ならしっかりと撮影させて…………』
『なんだ、ありゃ。あれは倉持の所の!?』
「倉持のヘリ?まさか!」
かつて銀の福音を撃退した後に見た絶句するほど巨大なヘリを思い出す。
そして、その中に格納された巨大兵器の事も。
『へっ、向こうもMTを投入してきたか。野郎ども、ぶっ壊すぞ!』
ヘリのハッチが開き、テロリスト達は倉持技研が保有する兵器化されたMTが出ると思っていた。
しかし、その予想は簡単に裏切られる。
「友軍タグ…………え、2機も来るの!?」
何かがハッチから飛び出すと同時に鈴音のISに一つの情報が送られる。
『こちら、倉持技研広報部副部長ペイター。敵MT殲滅のため参戦する』
『さて、仕事を始めようか』
ギャリギャリと地面のアスファルトを削りながら着地する2機のACが京都の地に降臨する。
MTよりもしっかりとした2脚の兵器が現れ、テロリストは騒然となる。
『なんだあれ、MTとかじゃないぞ』
『虚仮威しだ。だが先にアレを落とすぞ』
『無駄にかっこいい奴用意しやがって!』
鈴音も無視できない戦力ではあるが突然現れた巨大兵器は武装MTを落としかねない強敵である。
だからこそ砲塔を向けて発砲する。
『おっと、避けるよペイター君!』
『スネイル所長から賜った物を傷付けるわけにはいけませんからね』
だが、そこから放たれた砲弾は横にクイックブーストしたACには当たらない。
テロリストが驚く暇もなく、ペイターはそのままアサルトブーストで接近してMTの一つを蹴り飛ばす。
超高速で飛んできた鉄の塊に蹴り飛ばされたMTは建物を壊しながら後方へ飛んでいく。
『やり過ぎだ!』
『すみません、想像以上に出力が高くて…………』
「うっわぁ、馬鹿みたいな威力」
『全く、閣下も相当なものを造ったな』
予定外の威力に戸惑いながらも、目の前の戦力を片付けようと機体を構える。
この一撃でテロリストの通信は沈黙した。そもそも何故公開通信で喋っていたのかは謎であるが、静かになるだけマシだろう。
既に被害が出ているため、ホーキンスも容赦はしない。
負傷者はもちろん、正確な被害が分からないにせよ死者も出ているはずだ。
作り手もアレだが、使う者が悪党の時点でホーキンスの覚悟は決まっている。
『やってきたことを後悔するといい』
聞く者の殆どが驚くくらい、本来なら温厚な彼の声とは思えないほど冷たい言葉が通信越しに聞こえた。
それと同時に残っているMTにプラズマライフルを放ち、即座に別のMTに肩のレーザーキャノンを放つ。
『ぐあぁ!?き、聞いてねえ…………うわあああ!』
『脱出、できない!?助けっ!』
たった一発で機体を大きく損傷させたMTは爆散した。
他人を何とも思わず暴れるだけのゴミは地上から消え去った。
そしてここに一つ、ある事実が生まれた。
「嘘…………殺した、の?」
『や、やりやがったぞあいつ!』
『死んだ…………一発で?奴ら、MTは最初から囮で…………!』
『流石ですホーキンスさん。この調子で次を仕留めましょう』
その行為を褒めたのはたった一人。耐えがたいと思われた現実に絶句する。
そして目標が残ったMTに向けられた時、MTの動きが止まった。
『こ、降参だ!死にたくないっ!』
『逃げろ…………は、ハッチが開きづらい!?』
『馬鹿だねぇ…………安全装置をまともに組み込んでなければ正常に動かないというのに』
戦士のような声で呟くホーキンスにMTに乗っているテロリストは震えるしかない。
逃げようたって、ただ走るのとブースターを吹かせて飛んでくるのがいるため逃げることすら叶わない。
『中国代表候補生、凰鈴音さん。今のうちに奴らの足と武装を壊してください』
「え、へっ?」
『中にいるテロリストには尋問が必要になりますので、必要最低限は確保したいのですが、我々が持っている武器だと内部まで破壊してしまう可能性があるのです』
なんで私がと言いかけたが、すぐに納得した。
車よりも一回り大きいロボットを一撃で破壊できるような物を握っている巨大ロボが手加減しやすいかと言われたらどうだ?
そう言った小回りが各面ではまだまだISが活躍できるだろう。
『では次のところに行くぞペイター君。ここは二手に分かれて効率よくいこう』
『分かりました。ではあちらの方へ行きます』
『敵勢力が一番多く配置されてる所…………まあ、突っ走らないようにだけ注意だ。君は避難誘導をした方がいいかもしれない、戦闘は我々に任せてくれ』
速やかにMTの武装と脚部を破壊した鈴音にホーキンスは通信で語りかけ、そのままビルを飛び越すように浮上してテロリストが暴れている方へと向かっていった。
「…………何アレ」
自分が端役みたいな扱いになり困惑したが、自分がすべきことを思い出して他の地点へ救援に向かう。
ペイターもいつの間にかいなくなっていた。
倉持技研2番研究所上空にて。
3機のISが地上にいる1機のACと目が合う。
ISに搭乗しているのは識別名スコール、オータム、そしてエム。
スコールは3世代機を、オータムは一時はフロイトの奇策により破壊されたが改修したアラクネ。
そしてエムはイギリスから強奪した上で横流しされた情報を元に新たな武装へ仕上げた超重装IS、名称エンフォーサーに搭乗している。
『捕捉されているわね。まあいいわ、3人ならアレを倒せるでしょう』
『エム、まだ
2人の声にエムは反応しない。
そしてACからも通信は聞こえているはずなのだが反応はない。
だが、お互いにやることは一つ。
『メインシステム、戦闘モードに移行』
どちらかが潰れるまでの闘争だ。
エムのISは黒騎士代わりにカタフラクト型かエンフォーサー型が候補に上がり、結果遠近どっちもバランスよく戦えるエンフォーサーもどきに決まりました。
カタフラクトは側面と背後が強固とは言え正面モロだしなのは…………ねえ?
ちなみに武装の方は倉持技研からリークされた物を弄った感じ。束の協力が得られなかったのでこれに落ち着きました。今の束はエムが居ても協力してくれないよ。
上層部聞いてる?スネイル激おこだよ。