前回のあらすじ
V.Ⅱ「私こそが企業だ!」
テロリスト「?」
民間人「?」
自衛隊「?」
V.Ⅷ「あー…………」
V.Ⅴ「カウンセリング必要なのでは?」
『どこまでも噛みついてくるか、害獣!』
『黙れエエェッ!』
アーキバスバルテウスの登場によりISC兵器エンフォーサーは追い詰められていた。
強化人間となったエムを元とした兵器でも、最初から技術力と土台がマトモな倉持技研から極秘に開発されたバルテウスでは相当な差があった。
最初から使い潰されるつもりで造られた彼女の敗北は見えていた。
『我が研究所に侵入したのも貴様でしたね。負け犬風情が何か成せると思っていたのか?』
『ウルサイウルサイウルサイ!私ハオリムラノ、失敗作ジャナイ!』
『合ってない機体のフロイトに負けている時点で貴様は雑魚同然だ!』
もはや話し合いが通じないレベルでお互いキレ散らかしているため弾幕の応酬となる。
エンフォーサーがたまにレーザーブレードで切り掛かるが、高速で動くバルテウスに当てられることはない。
装甲の殆ども破壊され、残されたのは本体と武器のみ。
本体のエムも深刻な火傷により機能不全も近い。コーラルによって生かされていると思われるが、止まるのも時間の問題だった。
『そろそろくたばりなさい、貴様も楽になるだろう!』
『オマ、エガ…………ガフッ!』
その時間が来た。
エムの思考が鈍る。体内から焼けこげた血が溢れ出る。
肉体の限界が遂に来たのだ。
『ふん、ようやく終わりですか。ですが、もはや貴女の身体に焼きついたそれは…………排除しなければならない』
空中で動くことができないエンフォーサーにスネイルはレーザーをチャージし始める。
一息に消滅させる。もはやコーラルに汚染され切ったエムも消すようにスネイルは慈悲もなく動く。
その時だった。
『-・・-・ ・・- ・- ・・・ ・-・ ・- 』
『何…………パージしただと!?』
エンフォーサーが搭乗者であった筈のエムを切り離すかのように落とした。
人が居なくなれば動かなくなる筈のIS、なのに、そこに当てはまるかのようにジェネレーターが顔を出す。
拡張領域からわざわざ姿を現し、大破しているとはいえまだ動くパーツが連結し始めてISC兵器エンフォーサーは有人機から無人機へと変貌する。
『なるほど…………そういうことか』
学園に一度目、海の上で二度目の誕生を果たした無人IS。失敗作を含めたらさらに多くなるだろうが、三度目がここに来て現れた。
『見つけたぞ、この星を燃やす火種!』
そこには確かに意思があり、目の前の敵を排除せんと力を振り絞る。
レーザーの乱射、ブレードを振り回しバルテウスのパルスシールドに掠らせていく。
一見、盛り返したかのように見えるが先ほどと大した差は無い。しいて言うならば死の恐怖が無くなった分、動きが緩慢になっている。
『貴様はこの世に存在してはいけない兵器。大人しく燃やされるといい!』
いかにも悪役のように聞こえるスネイルの台詞。これでも世界を守るために必死に働いているのが泣ける話である。
エンフォーサーに放たれるパルスは弾幕と化し、その合間を何とか縫おうとした際にレーザーで薙ぎ払う。
無敵と呼ばれたISも、遂に終わりが訪れる。
『-・・- -・ ・・ ・-・-・- -・- -・ --・-・ -・・・』
『終わりだ、害獣!』
一瞬の隙、体勢を崩したスタッガー状態をスネイルは見逃さない。
最高出力で放たれた極太のレーザーはエンフォーサーに吸い込まれるように放たれる。
動くこともできず、そのままレーザーに飲み込まれて装甲とシールドエネルギーを溶かしていく。
何度目かの限界に到達したその時、ジェネレーターがレーザーに焼かれていく。
内部に充満していたコーラルが焼かれていく。
原形を保てずに引火する。
エネルギーとして循環していたコーラルは、瞬く間に回路から火を噴き始める。
『--・-・ ・・- ・---・ ・- --・-・ ・-・ -・-- --- -・・・ ・・』
最後のきしむような機械音が響く。
そして爆発。
『…………ようやく終わりましたか。花火としては美しい、とは思えない、か』
空に紅く残る爆炎を見上げたスネイルは感慨深くつぶやく。
こんな兵器が下手すると世界中にばらまかれているかもしれないと考えたら気が狂いそうになる。
だが、一息は付いた。
今後、この手のモノが現れたらバルテウス、もしくは他のACにチューニングした兵器を積んで向かわせることで何とかなると証明は出来た。
『やることが多い…………!』
スネイルはバルテウスの中で頭を抱えた。
上層部の対処、コーラル兵器という厄ネタ、ルビコン解放戦線との連携、国連への申し開きetc…………
『あの、すみません』
ある程度は考えていたプランを動かそうと考えていたらペイターから暗号通信がかかってくる。
『何ですか、これからのことを考えていたというのに』
『公開通信になってます』
『…………なんの冗談ですか』
『独り言、全部漏れてます』
『……………………………………………………』
それ以降の会話は、公開通信が途切れたことにより当事者以外に聞かれることは無かった。
こうして、京都における亡国機業が行ったテロ騒動は終止符を打たれた。
一体何故テロリストが京都で暴れたのか、何故MTを使っていたのか。
その出処は倉持技研と言う話で持ちきりである。
残念なことにスネイルが設計したMTを改造した代物であることは間違いなく、倉持技研が真っ先に疑われた。
幸か不幸かその疑いは早く晴れることとなる。
急遽駆けつけた巨大兵器が改造MTを破壊し、テロリストに対して即座に制圧を仕掛けた。
戦闘の余波で街の一部が破壊されたが速やかに行われた事と、後に現れたIS兵器に対して迎撃を行った。
2機あったうちの1機が戦線離脱せざるを得ない損傷を負ったが、僚機となった学生のISと共に食い止めた。
そして何よりもIS兵器を殲滅するかの如く飛来してきた倉持技研2番研究所所長スネイルが乗り込んだ兵器がテロリストを撃墜した事が大きな要因となる。
何らかのミスで公開通信となったスネイル迫真の独り言により少なくとも開発元とテロリストは敵対関係にあると理解された。
とはいえ、このような兵器の開発を極秘に行っていたこととMT情報の流出、それに対しての説明を倉持技研は求められた。
しれっと学生によるテロリスト殲滅という馬鹿が考えたような作戦については知らぬ間に闇に葬られた。
肝心の上層部が居たらスネイルを切り捨てて技術だけを奪うのではないかと一部では危惧されていたが、上層部は既にスネイルお抱えの部隊の手により捕えられている。
さらに言うと倉持技研2番研究所から京都上空までに続いていた赤い物質を何故焼いていたのか。
これについてもスネイルは説明を求められた。
正直なところ、その物質についてはスネイルは専門ではない上に肝心の保有していたはずの組織が激怒したことにより裏方もてんやわんやとなっている。
もはや状況が面倒な方向に転がり続けている時点で一度冷静になったスネイルも再び怒りのボルテージが上がっていく。
様々な取り決めの元、スネイルは記者会見を行うこととなった。
多くの醜態を晒した男が一体何を言うのか世間は楽しみにしていた。
そして、記者会見当日…………
「倉持技研2番研究所所長スネイルです。私の記者会見に臨めたこと、光栄に思いなさい」
最初から爆弾をぶちかましていくスネイルだった。
超尊大スネイル降臨である。簡単に怒りがはれることないよね。
後始末、大事。裏方もはちゃめちゃに動くし世界全体に影響を及ぼすから仕方ないね。
守るべきものはしっかり囲んでおかないと散り散りになるかもしれないからね。
聞いているか篠ノ之束。