アーキバス大勝利である(事実)
倉持技研を下地に発足した企業、アーキバスは大きく躍進を遂げた。
兵器開発は続けられているが作業用のMTを世界各国へ輸出し、その名を轟かせる事となる。
代表であるスネイル・秋葉は仕事量は大きく増えたが満足しているように見える。
しかし、影には彼の躍進を快く思わない者は多く命を狙われることとなる。
世界に勢力を広めつつも他企業を過去のものにするアーキバスはISを研究していた企業からは非難された。
世界規模で利益を奪いかねない彼の行いは経済界にも大きな影響を及ぼした。
まず最初にISの利権が女性のものだけでなくなること。
MTと未だに未知となっているAC、そしてISを共同開発しているという話がスネイルの口から直接言われた時は信じる者は少なかった。
だが倉持技研2番研究所に篠ノ之束本人が何度も出入りしている場面を目撃されていることで事実だと知れ渡る。
なお、束は束でアポを取って来る時もあれば突然にんじんロケットで襲来する事もあるためどうしても目撃情報は出てしまうのだ。
世界を動かす天才と世界を変えた天災がタッグを組んだら止められる企業、国はない。
次に世界中のIS関連企業の衰退が始まったこと。
MTも作業用とはいえ軍事にも使える部分はあるため、軍にすら手広く購入されるようになった為、兵器としてもISの立場は完全なものでなくなっていった。
故に困るのはISの兵器を開発している企業である。
競技用という建前で開発していたソレらの開発費用は需要が減るごとに減っていくため勢いが落ちるのも当然。
規模を縮小することを余儀なくされるのも仕方ないためスネイルに文句を言うしか無い。
買い手が付かなくなり解散する企業も見られたが、技術者の殆どはアーキバスへ流れ着く事となる。
ただでさえ忙しいのに人手が現れたら取り込むのは自然の理。こうして技術者を取り込み続けアーキバスは更に拡大していく。
企業から流れ出る技術は世界各国を蝕み、もはやアーキバス製品を使用しているか否かで差が付いているという場面も少なくはない。
もはや世界が彼を中心に回っていると言って過言では無い。
そして巨大兵器であるAC、そしてアーキバスバルテウスの存在。
倉持技研2番研究所に隠されていた最終兵器であり、特定の物に対応するために作成されたとスネイルは語っている。
すべて公表されたわけではないが、ISに並ぶほどのオーバースペックの産物かつ篠ノ之束とは違い、個人でなく組織力を用いて作成されたと言う事実が世界を震撼させた。
極秘記録ではある筈なのだが、アメリカで研究していた無人ISを撃墜されたと言う話が広がっているためIS神話を殆ど崩した産物である。
現時点ではアーキバスでしか配備されていないが、これが世界に配備された暁には勢力図が大きく変わるだろう。
その技術を盗もうとする輩も居ない訳ではないが、気づけば消えているため裏事情にも精通している事が知られている。
噂では日本の暗部との繋がりやイタリアの地元組織へ支援を行っているなどと話題には尽きない。
そして僅か数ヶ月、優秀な宇宙飛行士を乗せたロケットが飛び立とうとしていた。
名実共に企業となったスネイルです。
現在、宇宙進出の足掛かりに月面開発を目的として宇宙飛行士を乗せた宇宙船を月へ飛ばす直前のロケットを眺められる場所へ居ます。
今回の打ち上げはもちろんアーキバスグループが主に出資しており、他企業も僅かながらおこぼれをもらおうと出資しています。
宇宙飛行士も現在はISを扱える女性のみとなっていますが、男性に装備できるISを篠ノ之束博士と共同開発しているため近いうちに男性も増えていく事でしょう。
ここ最近の技術革新の速さは著しく、私の思うように事が進むのは喜ばしいこと。
しかし喜んでいられないのもまた事実。未だに根強い裏社会、ほぼ殲滅したにも関わらず未だに湧き続けるテロリスト、識別名エンフォーサーを開発した謎の科学集団、そしてコーラル…………
フロイトや篠ノ之束博士も相当な問題児ですが、長期的に見るとこちらの方が遥かに問題です。
生産性もない、ただ迷惑をかけて権力を維持することに固執した害獣が未だに
おっと、余計な思考を挟むのは今はやめておきましょう。
そろそろ発射されるロケットをただ眺めているのもいいですが、仕事もあります。
『こちらV.Ⅷペイター、レーダーに侵入者を検知した』
無線からペイターの声が聞こえる。
私がいる
『こちらV.Ⅶスウィンバーン、敵性MTと接触。次から次へと不法者…………よくもまあ飽きない事だ』
鬱陶しそうに、しかし声には見下しと優越感が含まれている。
『こちらV.Ⅵメーテルリンク。スネイル閣下、こちらの人員はやはり過剰でした。増援は別の部隊へ回してください』
こちらからは戦火の音が聞こえる。外部からの発砲音とパルスが放たれるのを近くで、しかし音を減衰させて集中を切らさないようにしている。
もうその戦闘も終わりそうですが。
『V.Ⅴホーキンス、あと数分で接敵する。何故こうも未来を潰したがるんだろうか』
普段とは違い鋭い声のホーキンスが呟く。
私にも分かりませんよ。奴らは戦争の火種をばら撒こうと、最後には滅ぶだけという事を知らない猿ですから。
『聞こえるか?こちらラスティ、上空に敵ISらしき影を見つけた。盗難があった物と似ている、こちらで対処させてもらう』
ブースターを吹かせる音と共にラスティの声が入る。
未だに根強く活動するテロリストには呆れますよ。
その結果が空を翔ける英雄に潰されるだけという事を知らずに。
『こっちで待機していて正解だった。ヤマが当たった、対処する』
V.Ⅲとなったオキーフの声がややノイズが走った状態で聞こえる。
何故ノイズが走ったかというと、アメリカにIS争奪の為にMTを送り出すという情報を入手した私がオキーフをアメリカに向かわせたからです。
ACの運搬も一度解体して小出しに、しかし多量に送り出し現地で再び組み立てたのでテロリストの方もACがいる事を知らなかったでしょう。
古巣でやりにくいかもしれませんが、恩を売る為に働きなさい。
『スネイル、こっちは片付いた。まだ足りん、そっちへ行くぞ』
一報も入れずに敵を殲滅したV.Ⅰフロイトが不満気に言ってきます。
「貴方は自分の立場を弁えなさい。仮にもアーキバスグループ所属部隊ヴェスパー第一隊長です、部下がマネしたらどうするのですか」
『スネイルが何とかしてくれるだろう?』
「仕事を増やさないでください、ACに乗せませんよ」
どこまでも我が儘で困る第一隊長だ。最後とはいえ完成したロックスミスで遊びたいのは分かりますが任務中です、弁えてほしい。
『あと30秒でロケット飛ぶよ!全員ちゅーもーく!』
明るく、子供のような口調で話す篠ノ之束博士がロケット発射までのカウントダウンを始める。
ようやくISを使用した宇宙開発が始まるので彼女も心躍っているのでしょう。
止まっていた時計が動き出したように、本業への身の入れ方が相当変わりましたよ、彼女。
惰性で使っていたものを我が社と協力して開発する姿勢、素晴らしい頭脳と技術を持っていますが10徹は止めてください、私以外止められないので。
さて、では私もそろそろ始めましょうか。
レーダーに敵性反応、違法改造して鉄の棺桶と化したMTがゾロゾロと…………
一部は無人らしいですが問題ありません。無人機も使える場面はありますが、戦場では人の知恵が光る物。
我が社、アーキバスの躍進に妨げとなる敵がノコノコやってくるのは好都合。
私は発射されたロケットに背を向けて来る敵に備えてシステムを動かす。
我が愛機であるオープンフェイスで殲滅する栄光を与えましょう。
「仕事の時間です。私に粛清されること、光栄に思いなさい」
メインシステム、戦闘モード起動。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
AC二次創作で621やモブ関連の主人公が多い中、スネイルに目をつけた結果ここまで伸びるとは思いもしませんでした。
本編ではヘイト買いまくっていましたが、よく考えるとAC世界が常に世紀末状態に等しいから「普通の世界だと堕ち切った倫理観が割とマシになるのでは?」と考えて本作品を作りました。
そこでクロスさせたのがインフィニット・ストラトス。女尊男卑界に新風を吹かせる天才が現れたらどうなるかです。
こっちの世界も民度終わりすぎて大丈夫かと書きながら思ってましたが何とかなりました。
自分の中で特に印象に残っているのは束に「スネイルさん」と呼ばせた事です。原作の性格が終わりすぎてるからめっちゃ勘ぐられてて変な笑いが出ました。
でもまともに叱ってくれる人も今まで居なかったし、仕方なかったと言われたら精神の成長も止まるというもの。スネイルの皮肉も新しい刺激になったでしょう。企業戦士万歳。
未だに多くの謎を残してますが人物紹介と安いおまけを付けますので許してください。