倉持技研2番研究所所長スネイルです   作:蓮太郎

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ゴールデンウィークなのに、かなり時間空いたのに出来たのが一話だけ、だと…………?


33.背負う者と自由人、そして動き出す虫

 

 技研そのものみたいな技術が出てきて感嘆しているスネイルです。

 

 私の技術はアーキバスグループ基準の物のみなのでコーラルを使わないとは言えど複雑機構すぎる技研の技術の再現まではできてませんでした。

 

 ベイラム等の内燃型ジェネレーターや武装系統はほぼゴリ押しで造りはしましたが、それ以上の物は作れません。

 

 やはり篠ノ之束博士の技術は未来を生きている。

 

 あとはまあ、人間性は今からでも育てたら間に合うでしょう。

 

 せいぜい今までの行いを黒歴史くらいに感じるくらいにしなければ。

 

『スネイル、見たか?俺もあれが欲しい』

 

 そう考えていたらこちら側の馬鹿が余計な事を言っています。

 

 一応この通信も記録されており、後の教材になるかもと言われているのですが、まあ無理でしょう。

 

「フロイト、何を遊んでいるのです。貴方に負けはない、分かっていますね?」

 

『ああ、そうだったなスネイル。で?』

 

「本人に直接頼みなさい」

 

 馬鹿なことをしていないで早く終わらせなさい。私にも仕事があるんですよ。

 

 明らかにパワーアップした織斑千冬の専用機をQBでいなしてはいるが光波の斬撃や不規則に揺れる光のミサイルにやや翻弄されていますね。

 

 しかし、それもフロイトが慣れてしまえば些細なこと。

 

『これがAC、なのか。何という兵器…………!』

 

 IS側の攻撃をそれなりに機体で受け止めているにも関わらず、機能停止どころか動きの停滞すら見せていないACに誰かが畏怖している声が聞こえました。

 

 戦っている者達には聞こえていませんが、私には各国の重鎮や軍人らの会話が聞こえています。

 

『あれほどの兵器があればISなんぞ簡単に…………』

 

『しかし、あのような動きをしては人体に影響がないのか?』

 

『これはあくまでシミュレーション。負荷は本来よりもある程度抑えられているとはいえど多少はかかっていると聞いたが…………』

 

『実践では非常に負担になると考えられます。はっきり言って、あの動きは不可能かと』

 

『では、我々の目の前で起こっているのは何なのだ!?アレを人間がやっているのだぞ!』

 

 いい具合に混乱を生じていますね。悪くない、これも計画のうちです。

 

 規格外の二人の動きを見たところで一介の軍人がまねできるようなものではない。

 

 …………いや、出身も来歴も一般人なフロイトが異常と言うべきですが。

 

 各国がACを購入したところで私のアーキバスを超えられるわけもなく、独自のACの開発が終わるまでアーキバスを頼らざるを得ない。

 

 つまり、軍事力及び開発力も我々アーキバスが握ることになる。

 

 そうならないためにはAC及びMTを0から独自開発もしくは代用できる物を開発しなければならないのですが、そんな事ができるのは篠ノ之束博士しかいません。

 

 強いて言うなら亡国機業、技研が怪しい部分もありますが、各国の協力を得られたので時間の問題でしょう。

 

『なるほど、こう言う動きも…………もっとだ、もっと見せてくれ…………!』

 

『もう追いつくか。伊達に第一隊長の座に着いた奴だ!』

 

 と、勢力図のことを考えているうちにフロイトが『進・白騎士』の突進攻撃(ゴッドバードアタック)に合わせてレーザーブレードを掠らせれるようになってました。

 

 避けるのはともかく、よくまあ相手の攻撃に合わせて攻撃をしようと思うものだ。

 

 私のオープンフェイスであるなら、その身で受けきりレーザーランスで突破するという方法は取れますが、ロックスミスの中量機だと無視できないダメージを負うので取れない選択です。

 

 そもそも私だと初見で避けられるかどうか。重量機故の悩みと言えるでしょう。

 

『仮想空間と言うのが残念だ。もっと揺れを、風を、空をお前と共に感じたい。もっと戦いたい、そう言う気分だ』

 

『な、何を言ってるんだお前は!?』

 

 フロイトの告白じみた台詞に織斑千冬が困惑しています。

 

 精神攻撃かと思われがちですが、フロイトの本心でしょう。あのクソボケは稀に無意識にこういう勘違いじみた事をほざくので面倒な事態になる事がしばしばあったのですよ。

 

 外見はいいので本性を知らない相手だと惚れられたり、それ関連で事件が起きて私が火消しに回ったりと…………思い出すだけで苛立たしてくれる。

 

 真面目に働く場面以外は本当に問題児としか言えませんが、それら全てカバーできる戦闘の才能に魅せられたのは、私だけでは無いでしょう。

 

『AP残り30%』/『エネルギー残り20%』

 

 管理AIの音声が同時に重なり、勝負は佳境に差し掛かった。

 

 無論、装甲も体積もあるロックスミスが有利です。仮想空間とは言えど私の設計で造られたACが簡単に壊れるはずがありませんので。

 

『まだだ、もっと動けロックスミス!これからもっと面白くなる!』

 

『戦闘狂かこいつは!』

 

 織斑千冬は叫ぶ。しかし、その声色は喜びを含んでいることを隠せていない。

 

 織斑千冬は『織斑計画(プロジェクト・モザイカ)』によって作り出された超人。特殊な産まれと能力のせいで友人は篠ノ之束博士のみであり、他はビジネスか慕われる、もしくは嫉妬される立場にあった。

 

 だが、ここには天然物で自分と同等、もしかしたらそれ以上の人間が対等に接している。

 

 だから喜んでいるのか?相手はフロイトだぞ?

 

 それを察してか私と織斑千冬にしか聞こえない通信に篠ノ之束博士の、書き出すことのできない怨嗟の呟きが無限に流れてくるんですが?

 

 待ちなさい、私今どう言う板挟みになってるのです?

 

 模擬戦闘とはいえ面倒な相手同士が上辺だけいい感じになっているのにその友人が悪霊になりかけているのを私が執り成ししないといけないと?

 

 …………まあいいでしょう。篠ノ之束博士をある程度制御するのも私の仕事。

 

 お互いの技術は共に利益になる。彼女が今回見せてくれた技研に引けを取らない技術とフロイトのデータ、この交換でいいでしょう。

 

 散々フロイトのデータを出し渋るだけありました。フロイトのデータは再現AIでは1割程度しか実力が出ないので本人の操縦でなければ正確なデータが取れないのです。

 

 なので篠ノ之束博士が企業からデータを引っこ抜こうがフロイトと私の企業たるACのデータは簡単に取れないのですよ。

 

『これで…………いや、もっとだ!もっと力を示せロックスミス!』

 

『負けるものか!もっと出力を!』

 

『ちーちゃんがあの男に取られるちーちゃんがあの男に取られるちーちゃんがあの男に取られるちーちゃんがあの男に取られるちーちゃんがあの男に取られる』

 

 そして再び2人は衝突しあう。

 

 常人では再現できない伝説を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し遡る。

 

 時間で言うならフロイトと織斑千冬が衝突する30分前、ロシア某所にて。

 

「手を上げろ!抵抗するとっ!」

 

「撃ってきた!許可は出てる、反撃しろ!」

 

「もうこの場所を突き止めてきたか…………!」

 

 ロシアの秘密裏に動く部隊が亡国機業の拠点を摘発していた。

 

 広い荒野のど真ん中、しかし地下を作り巧妙に隠していたがとうとう見つかったのだ。

 

 戦闘員と研究員は抵抗するが、この部隊にはIS搭乗者も参加していたため、ただの人間では抵抗の余地もない。

 

 そしてテロリストには人権もない。次々に射殺されていく戦闘員に逃げようとする研究員。

 

「ここまでよ!大人しくしたら貴様らはこの荒野に埋まる事になるわよ」

 

 しかし、研究員は逃げられるはずの隠し通路すら抑えられて袋小路に逃げ込んでしまった。

 

「手にあるものを放棄しなさい!今すぐに!」

 

「それとも、手足の一本が無くなってもいい訳?」

 

 誤解しないでほしいが、ISで参加している彼女達は男しか居なかった研究員を見下している訳では無い。

 

 男女以前にテロリスト、しかもアーキバスの協力を得て政府内に存在した『虫』を炙り出し悉く処刑してきたのだから慈悲を与えるつもりが無いだけである。

 

「どうせ引き渡されても死ぬだけだ」

 

 諦めであり、しかし何らかの強い意志が込められた言葉を吐いた研究員が手に古臭い縦長のスイッチを握っていた。

 

 無論、行動を起こさせまいと研究員は手を撃たれスイッチを落とすのだが…………

 

「我々が、『技研』が、積み重ねてきたものが小僧に負けるはずが無い!」

 

 落ちたスイッチを別の研究員が死に物狂いで奪う。

 

 突発的な行動ではあったがロシア部隊も軍人、研究員らに発砲して身体に穴を開けていく。

 

 数秒銃声が鳴り響き、殆どの研究員が射殺された。

 

 だが、研究員の想いは止められなかった。

 

 コロコロと転がる押されたスイッチ。

 

「我々の…………計画は…………」

 

 朦朧とした意識で呟く瀕死の研究員。

 

「人類の進化の可能性、を…………」

 

 最後まで紡げず事切れた瞬間、部隊全員、いやIS操縦者意外が大きな揺れをその身体で感じ取った。

 

「退避しろ!何かが来る!」

 

 ハイパーセンサーで捉えた『何か』が恐ろしい勢いで接近してくる事を全員に通達し、退避を促す。

 

 もう遅い(・・・・)

 

 結論から言う。

 

 生存者、IS操縦者3名のみ。

 

 死者、テロリスト及び研究員(人数不明)と部隊参加者12名。

 

 敵性勢力未だ健在。

 

 名称不明、しかし、ロシア政府が(勝手に)命名した識別名がある。

 

「なんだ、この化け物は…………!?」

 

 衛生写真からでも巨大と分かる厄災。人類が太刀打ちできぬと諦めるほどの存在。

 

 識別名アイスワーム。技術進歩の名の下に生まれた怪物である。

 





 最強と最強の決着の行方はどうなったか?続きはコーラルをガブ飲みしてからwebへ!

 冗談はさておき、ここで私が結論出すと死ぬほど論争が起こりそうで日和らせて頂きました。申し訳ない。

 2人とも強いのは間違いないんですが、大元の用途がかなり違うし長所短所もかなり違うので2人がかち合う状況によって変わると思うんですよ。

 千早もフロイトも例外とは言え、実力もそうだし結局は戦法がものを言うからどちらが優れてるか論争できる知能を作者が有してないので。

 そして満を辞して登場、みんな大好きルビコニアンデスワーム。

 こんな変態兵器を作り出す技研は何なんだ(困惑)。そして彼らはどう立ち向かうのか。
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