感想欄にチャティ構文やブルートゥが出てきたりして嬉しいこの頃
今から大規模な説明会と言う名の売り込みを行おうと画策しているスネイルです。
そう、私はここ最近本当に話題に上げすらされないMTについて真剣に考えていました。
防護服さえ装着すれば、あらゆる、いや、無重力はまだ対応できていないので殆どの環境下において、活動可能な重機は重宝されるのは間違いない。
人型という点では重心の問題はあれどACを私が開発している時点でないに等しいリスクを重点的に述べられ今まで増産を却下されていました。
ですが、どんな地形でもバランスを取って立ちながら剛腕で作業できるという利点はあまりにも大きい。
未開発であったり開発途中で足場が悪い場所でも重量さえなんとかすれば作業が可能なのだから売れない理由がない。
もちろん兵器転用も考えられます。だが簡単にいくとは思わないでもらいたい。
私がその事を想定して安全装置を大量に仕込んでいたり、置換不可なパーツを腕部や関節に組み込み武装化をし辛くしています。
それに、兵器転用の恐れがあると言われても、使い手次第と言いますので。
ISだってそうだ、元は宇宙開発用に造られたものが今では兵器としか見られていない。ここだけは篠ノ之束博士には同情しましょう。
それを強く訴える事もなく、抗うこともなく放置するのだけは最大の悪手でしょう。
『白騎士事件』の主犯も篠ノ之束博士と私は睨んでいます。そして、彼女が単独で起こす可能性はありますが、あれには共犯者もいる筈。
その1番の候補が織斑千冬、いや、候補でもなく彼女しか居ないでしょう。
全く、そのようなくだらないことをするなら別の方向へ力を入れたら良いものを。
その結果も予測できた筈でしょう、篠ノ之束博士。だから貴女は『天災』止まりなのです。
まあ話はこれくらいにしておき、私は説明会で配る資料を入念にチェックしています。
僅かな不備も許されません。私がある程度の説明文を作り広報担当のペイター、その上司のホーキンスがそれを元に資料を作成。そして今が最終チェックの段階です。
やはりあの2人は宣伝の才能がある。ペイターの方も順調に行けばホーキンスと代替りで我が社広報部のトップになれるでしょう。
さて、私の方も本格的に上映スライドを完成させるとしましょう。
チェックし終えた資料を元に私個人のパソコンで作り上げる。
残念な事に、事前に上層部に報告して行うと言う事をしているので妨害は入るでしょう。
何事も入念に、手を抜かずに。そして確実に。
さあ、私の戦いを始めましょう。企業のため、名前で選んだ技研の為に。
「長い説明会だったなスネイル。待ちくたびれたぞ」
MTの開発説明を終えたスネイルは会場のスタッフルームを歩いていると無精髭の男が待ち構えていた。
「オキーフですか。どうでしたか?私の説明会は」
「退屈はしなかったな。おかげで不審な人間を絞ることは出来た」
「それは良かった。ですが、わざわざ私に顔を見せたということは重要な報告でも?」
スネイルの鋭い目つきにもオキーフと呼ばれた男は臆すことなく語り掛ける。
「ああ、相当な大物もこの場に居た」
「…………私の記憶では各子会社及び興味を持った重役くらいしかいないと思っていましたが」
「嘘をつけ。お前も数人は見つけているだろ。いや、そういう安い人間じゃない」
「では誰ですか、その大物とやらは」
中々もったいぶる言い方にスネイルの眉間のしわが深くなる。
わざわざ2番研究所お抱えの諜報部長が居るのだ、十割の確率で厄介ごとと決まっている。
「スコール・ミューゼルの名を聞いたことはあるか?」
「確か、先日の作戦にあった亡国機業の…………!」
「その顔ではピンと来たな?顔は昔と変わっていたが、あの雰囲気だけは忘れられない」
どこか遠い目で昔を思い返しているオキーフではあるが、よりによって幹部の一人が侵入してきた事実を知ったスネイルは眉間を押さえた。
では何故オキーフがスコールの事を知っていたのかというと、彼もまた軍人上がりなのである。
記録上は10年以上前に戦死した人間ではあったが当時の強者であったことをオキーフは知っており、また彼女からの教育を受けていた彼だからこそ気づくことが出来たのだ。
「捕える準備は?」
「勘弁してほしいな、昔ならともかくISがある今じゃあ俺とて勝ち目はない」
フロイトなら分からんがな、と付け加えていつ購入したか分からない缶コーヒーを開けて口に含む。
彼にとって苦い現実は、まさに口の中に広がる
「件の倉庫のやつも、襲い掛かってきた専用機は彼女の部下だろう。お前が堂々とMTの発表をすると言い出したから、向こうも堂々と出向いたのだろう」
「それはいいです。どこの企業として出席していましたか?」
「確か…………BAWSと言ったな」
「BAWS…………だと?」
ジャンク用品でありながら品質は保証されているロボットをメインに販売している企業だということをスネイルは記憶している。
前世からACの記憶を持ち込んだ故に似たような名前の企業は警戒していた。
幸運だったこととしてベイラム及びRaDが存在していなかったためまともなライバル企業は居ないと安心はしていた。
その代わりにBAWSを見つけてしまったので過干渉せず、されど最低限の監視はするように心掛けてはいたが真っ黒という事実も掴んでしまったことに歯噛みする。
「よりによってあそこですか。金さえ積めば顧客を選ばない企業ならではの発想です。テロリストから金を巻き上げ、危なくなったら簡単に尻尾を切れる」
「随分堕ちたと思っていたが、腕は全く衰えてなかった」
「撒かれたのですか。貴方ともあろう人が」
「過大評価だ、俺にだって出来ないことはある」
冷笑するようにオキーフはそれだけ言って再び缶コーヒーを口につけた。
オキーフだって選りすぐりの人材だ。諜報員が欲しかったスネイルがわざわざ腐っていた彼を拾って雇うくらいの価値があると認めるほどだ。
だからこそスネイルは苛立ちを見せる。
裏切り者騒動から本格的に亡国機業が目をつけてきたのだ。2番研究所のセキュリティは可能な限り引き上げておいたのだが、もしかしたらそれでも足りなくなるかもしれない。
特に、物理でごり押しされると少々分が悪い。専用機持ちなのはメーテルリンクのみであり、他にも試験用ISはあるのだが対テロリストとなると心許ない。
かといって部隊の面々に対応に当たらせようとするとフロイト以外が危ない。
「新たなセキュリティの構築が必要になりますね」
「それともう一つ」
「まだあるのですか」
「目の見えない奴が一人混じっていた」
「盲目の人間がこの会場に居たと?」
「お前の説明は資料を見なくてもある程度は把握できるものだ。だが、詳しく知ろうとなると資料を見なければならない。そいつだけは資料を見るそぶりは一切なかった…………いや、ずっとお前を『映していた』と言った方が正しいか?」
オキーフは思い返す。目を閉じた銀髪の少女を。
目的も不明な相手であり、そして
オキーフはスコールを追ったため銀髪の少女は部下に任せたのだが、そちらもまんまと逃げられてしまったのだ。
「残念なことに、全部俺の失態だな」
「そうですね。減給措置を取らせてもらいましょう」
やれやれと言った風にオキーフは肩を落とすが、そもそも危険な任務に就く立場で他と比べると高給取りなのでさほど影響はない。
「ではあなたはBAWSとその少女について調べてきなさい。ある程度情報を精査出来たら、そうですね…………食事にでも連れて行きましょうか」
「遠慮しておこう。俺達は格式ばったのは苦手なんでな」
それだけ言い残すとオキーフはスネイルの前から立ち去って行った。
「…………チェーン店でも良かったんですがね」
真面目に食事に誘ったつもりでいたスネイルは残された寂しさを胸に、1人で食事を取りに行くのだった。
確かに閣下は外食だと高級な店に行くことは多いですが、開発に追われているので手早くファストフード店で済ますこともあります。
IS武装の開発にMTとACの開発、それに上層部の嫌がらせの仕事もぶっこんでくるので超絶多忙です。
あとフロイトを動かした後の後始末。表に出してないけど確実に成功させなければならない任務案件が多すぎるよこの世界。