おいでよ、犯罪者デュエリストたちの蠱毒の村!!(外界隔絶) 作:SOD
遊戯王の名蜘蛛の子孫。
切り札はダイヤモンド・ドラゴン……にしようかと思ったけどとてもそんなもんでデュエルなんて作れたもんじゃないので止められた可愛そうな人。
先世のコウジに比べれば誇りとか雑草魂とかを持ち合わせているので、頑張れば成長するかもしれない民度高い寄りのチンピラ。
義理人情はご存知ある。
「ふーん。これがフォレストドミノ村かぁ」
名蜘蛛と井守の案内(羽蛾は後ろで産まれたての子鹿状態)で村への第一歩を踏み出した夜遊は、ざっと周囲を見回して一言。
「まるで街全体が放火されて焼け出された人たちが身を寄せ合っているかのような悲壮感溢れる村だね」
“特に広場のど真ん中にストーブの代わりと思われるドラム缶が置いてあるのが、一層惨めさを加速させている“
ともう一言言うと、心底愉快そうに笑った。
「街全体を放火って、意味分かんねえっすね」
名蜘蛛がバカにするように口にすると、夜遊は首を傾げて返事をする。
「そうかい? 何度かやってみたことがあるけど、焼け出された住人は大体こんな風に集まって絶望的な空気を醸し出していたよ」
「………………やったことある……とは?」
「偶然ガソリンを運ぶタンクローリーを横転させてしまったことがあってね。ガソリンが漏れ始めたんだよ。
そこにたまたま喫煙もしない僕がタバコに火をつけて街で一番高いビルからバラ撒いてしまったものだから、街全体が燃え上がったんだよ。
フフフ……明日も平穏が続くと思っていたトップスの勝ち組達が迫真の『逃げまどう民』になっていたのは、良いエンターテインメントだったよ。カップラーメンの3分の良い暇つぶしになってくれた」
「あ、あの……つかぬことをお伺いしますが……何故街の放火を……? てか、それ放火ですか? テロでは?」
「うん? だから、カップラーメンにお湯を入れてから3分待つための暇つぶしだよ。
みんなだって、カップラーメンの3分は長く感じるだろう? だからちょっと雑誌でも読む感覚でね」
「…………………………(開いた口と見開いた目が塞がらない)」
「…………やっべぇなコイツ……その内、暇つぶしに切腹申し立てられるんじゃねえのか……?」
「アハハハ。名蜘蛛はジョークは上手いね。そんなことしたら床が汚れるじゃないか。
ああ、いや……でも確か将棋盤の裏側は血溜まりと言う斬首後の血液の掃除を楽にするための溜まり場があったね。
買っておこうか?」
「この村の将棋盤は紙なんで……」
「そうなんだ。残念だね」
(残念なのはお前の頭だよ)
「ああ、買うで思い出した。肝心なことを聞いていなかったね。
この村のお店と通貨の概念はどうなっているんだい?」
「ツウカ……?」
「…………ああ、なるほど。
何と交換して欲しいものを手に入れるのかな?」
「ああ、そういうことですか。ツウカ……対価のようなものでしょうかね。
大抵の場合、そう言うのはカードで払うか交換条件になります」
「交換条件か……例えば、女の子でも良いのかな?」
「ーーッッ!??」
夜遊の言葉に、ようやく3人に追い付いた麻由里がビクリと身体を強張らせる。
「ええ。相手が良しとすれば問題ありませんよ。
強いデュエリストの場合なら実質タダですけど」
「実質?」
「ええ。店は大抵、強いデュエリストの傘下に入って品物なんかを上納する代わりにケツ持ちして貰ってます。
だから実質タダ。
中途半端な実力があっても、ケツ持ちにやられるだけだから『カード』『女』『労働』これを通貨の代わりに払っています」
「へえ。無法の村でも経済って成り立つんだね。法を敷くのはいつだって強い側だけど」
「この辺りは雑魚の掃き溜めなんで、店もろくなもんが無いですけど、奥に行ければドンドン良い物が手に入りますよ。ご希望の白いワンピースも」
「なるほどね。
さしずめここは、フォレスト村の『サテライト』かな?」
「ええ。そんな感じです。
奥の方の『トップス』には、村最強のデュエリスト達が縄張り敷いて、国みたくなってます」
「フフフ。さすがは人間。
どんな掃き溜めでも上下を作らずにいられないわけだ。
おかげで、僕みたいな力だけの人間はやりやすいけどね」
一通り話が終わったところで、夜遊はざっと見て回ることにした。
白いワンピースはここには無いらしいので、彼の目下の目的は歩くたびに痛みを感じる麻由里の観察だ。
「ぐう……っ」
「フフフ……唆るね」
「…………ちょ、ちょっと休憩させて欲しいんでゲスが……」
「うん? 『ご休憩』かい?
良いよ。もう一度僕を注ぎ込んで上げるよ」
ヒト前でも構わず滾らせてズンズンと麻由里に迫っていく夜遊。
「こ、こんな人前で冗談じゃねえでヤンスよ!? や、やめ! やめろぉ!!」
「嫌よ嫌よも好き放題するだけさ……」
「ほ、ホントに勘弁してください!!」
「フフフフフフフフ……!!」
「ひいーーっ!??
わ、分かった!! 分かりました!! 代わりに昨夜やりたがってたヤツで勘弁してください!!」
「うん? アレって…………へえ? 羞恥より痛みを選ぶのかい?」
「…………っ……(コクリ)」
「ふふ……これは楽しみが増えたねえ……。流石にアレさ抵抗されながらやると壊してしまいかねないからね」
「だ、だからせめて人前だけは勘弁してくださいでゲス。
ご所望のブツも、奥の支配層が強いトップスなら少数でも手に入るでヤンス…………」
「フフフフフフ……楽しみだねえ。キミの大切な場所にーー」
「口に出さないで貰えませんかねぇ!?」
「そうと決まれば、早速奥へ行こう。
こんな負け犬の姥捨て山に用は無い!」
「え!? ちょ、何で手を繋ぐ必要があるんでゲス!?
痛たたたたた!? お股痛い! まだちょっと出血してる感じあるんだから手加減してもらえませんかねえ!? おいちょっと!! マジでやめて! 引っ張るなって!!
うああああーー!?? なんか今ドロッと出た! パンツがぐっちょりしたぁー!」
「フフフフフフフフ…………おや?」
楽しそうな笑顔を浮かべながら夜遊が振り返り、視界に入っている門へ向かおうとすると…………。
「へへへへ……よお、白い兄ちゃん。随分いい服着てるじゃねえか」
「デュエルディスクも上物だなコリャア」
「レッド様に献上すれば、さぞ良いご褒美が待ってるだろうなぁ……」
四人を囲むように、ボロい格好の男達が立っていた。その場にいたほとんど全ての人間と言って良い。
例外なのは店屋と、ビジュアルの良くない心根も腐っているであろう女達だ。
「おいおいお前らまさかフローシャ様とやろうってのか?
無理だぜ。お前らじゃ逆立ちしたって勝てねえよ」
名蜘蛛が呆れたような声で民衆に言い放つ。それが余計に彼らのなけなしのプライドに火をつけた。
「よお名蜘蛛ぉ。お前、羽蛾麻由里の腰巾着から今度は、新入りの犬になったのかぁ?」
「んだとコラ……?」
「所詮テメエは門番の傘下くれえにしか付けなかった雑魚だ!
オレらレッド傘下とは格がちげぇんだよ!」
「…………上等じゃねえか。
着いてるアタマのチカラを、テメエのもんみてえに勘違いしてるアホがぁ……どっちが雑魚か教えてやるよ!!」
「やってやれ名蜘蛛! オレたちだってちっとはカード手に淹れて力を付けてるってとこ見せつけてやってくれ!」
「任せろ伊森!」
「良いねえ。面白い展開になってきたよ」
「そうでも無いでゲスよ」
夜遊が興味を示した中、麻由里は詰まらなそうな表情をしている。
「うん? どういう意味だい?」
「まあ、見てれば分かるでヤンス。
アッシがこの場所じゃキングとサテライトくらい違う上澄みだってことがね。へっ……」
「……? 勝ち誇ると見せかけて呆れ返ったような声だね」
「そりゃあね……アッシが何でわざわざ門番でカード稼ごうとしたのか、嫌でも分かりますよ。ええ……」
「?」
「行くぞコラァ!!」
「来いや糞がぁ!!」
「「ーーデュエル!!」」
この後、浮浪叉夜遊は知ることになる。この村の底辺の実力を……!!