おいでよ、犯罪者デュエリストたちの蠱毒の村!!(外界隔絶)   作:SOD

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井守乱(いもりろん)(14)

原作遊戯王でAIBOにゲームで勝ったヤバいやつの子孫。

なんか負けたら壺に封じられる龍の札のヤツ。これで多分大体通じる。通じない人には何言っても通じない。


義理人情をあまりご存知ない方


おいでよ、今まで振るったことの無い快感(チカラ)へ(音痴歌唱)

 

 「「ーーデュエル!!!!」」

 

 名蜘蛛矢尊 LP4000

 

 騒象寺我音(そうぞうじがおん) LP4000

 

 

 「オレのターンだ!

 蜘蛛男を攻撃表示で召喚!」

 

 蜘蛛男 ATK700

 

 「ターンエンドだ!」

 

 

 「蜘蛛男……? 知らないカードだ」

 

 

 夜遊が自分のディスクを操作して、目の前のデュエルの情報を映し出す。そして、蜘蛛男のテキストを確認した。

 

 

 蜘蛛男 ☆3

 地属性 昆虫族

 ATK700 DEF1400

 

 

 

 

 「……………………?」

 

 首を傾げながらポチポチとディスクを操作する夜遊に、麻由里があざ笑うかのように話しかける。

 

 「言ったでやんしょ? 暇つぶしにもならないって」

 

 「…………おかしいなぁ。モンスター効果が表示されないバグが起きている」

 

 「コイツ認めない気か!? 現実を直視しましょうや変態ドS野郎。

 お兄さんのいるこのサテライトでは、この程度の雑魚モンスターで組まれているデッキが殆ど。

 目くそ鼻くそでヤンス。ケッケッケッケッケ〜」

 

 

 麻由里が笑い声を上げている中も、デュエルは進行し続ける。

 

 「オレのタァーン! 『カエルスライム』を召喚ンンンー!!」

 

 カエルスライム ATK700

 

 「………………」

 

 

 

 カエルスライム ☆2

 

 水属性 水族

 

 ATK700 DEF500

 

 カエルの頭の形をしたスライム。ゲコゲコひどい歌を効かせて攻撃。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 「………………うーん。これは酷いなぁ」

 

 苦笑顔になった夜遊は、近くにあったボロいベンチに腰掛けていた麻由里の隣に座って、肩に腕を回してそのまま手を服の襟の中に突っ込んだ。

 

 「ーー!!???」

 

 そのまま丁度良い位置にある麻由里の頭に頬を乗せて、退屈そうにしながら、視線だけは一応デュエルに向ける。

 

 「お、おいっ!? 外ではしない約束でしょうがっ!

 乳首摘むな! こねるなぁ!!」

 

 「ねえ、この村のカード事情がここまで落ちぶれているのは、キミの徴収のせいかい?」

 

 麻由里の話を聞くことなく好きなように指先を動かしていき、しまいには覆いかぶさるようにして、裾からも手を差し込んだ。

 

 「いっ!? ちょ、それは違……ちょ、どこ触ってんでゲス!? ひっ!」

 

 「でも、キミのデッキとこの村の人たちのデッキは……格差なんて言葉じゃ言い表せないくらいの違いがあるよね?

 

 ただ違うって言われても……ちょっと納得出来ないかなぁ……?」

 

 「だからってコッチに八つ当たりすんなぁ……!

 

 アッシはこれでもこの村のトップスみたいな立ち位置のデュエリストだったんでゲスよ!!」

 

 「………………でも、それなら中間があるはずだよね?

 

 いくら落ちぶれたって、ああはならない。ここが下層でトップスが上層なら、中間層があるはずだ」

 

 クニ……クニ……っ。

 

 「ぐう〜〜っ……!? そ、それが何の関係がぁ!?

 

 ひっ!? ちょ、お尻に押し付けんな! ここでヤリ始めたら本当に許さないでゲスよ!?」

 

 「許さないって何が出来るつもりでいるのか興味はあるね。

 

 

 けど、今はこの退屈なデュエルだ……僕は詰まらないことが嫌い。

 

 その元凶があるのなら…………壊してしまわないとね」

 

 

 麻由里を見る瞳が、途端に冷たいものになった…………。

 

 

 「…………ヒィ…………っ」

 

 それまで乳頭に伸びていた手が、首と股ぐらに向き直る。

 そこにそれまでのセクハラじみた物ではない。死神の鎌のような殺気が宿る。

 

 

 「ねえ、どうしてトップスから落ちたキミが、サテライトにいるの?」

 

 「………………あ……アッシ、は……ただ、新しく来るヤツから……強いカードを……っ、ま、巻き上げてぇ……トップスに、戻るために、強いカードが来やすいサテライトに来た……だけ……で…………」

 

 麻由里はそれまでの嫌悪感とは違う本物の声にならない悲鳴を上げて、ガクガクと身体を震わせている。

 

 恐怖心が全身を刺して来る。魂が凍えそうになる。

 

 一秒先には殺されるかもしれない怯え。その生物としての根源的な畏れが、麻由里を完全に包み込もうとしたその直前。

 

 

 「ーーああ、なるほどね〜。そういう事か。

 

 つまり、トップスとサテライトの中間ではトップスで勝てるカードが手に入らないから、敢えて新しく来る人間のカードに可能性をかけたわけだ。賢いね。麻由里」

 

 「へぁ……っ??」

 

 涙と鼻水を垂らして意識が飛びかけた瞬間。夜遊の雰囲気が一気に弛緩した。

 

 「うんうん。そういう目的なら、サテライトの住民から弱いカードを徴収したって仕方ないだろうし。彼らが弱いのはキミのせいとは言い難いね。

 

 ゴメンね、痛くもない胸……じゃなくて、腹を探るようなことして。

 ほ〜ら、いい子いい子〜」

 

 「うぁ……?」

 

 その後、命の危機と変態の緩急で脳が壊れそうになっている麻由里に、夜遊はチャンスとばかりに、いけない『いい子いい子』をし始めたのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 そして視点はデュエルへ戻る。

 

 「ふへへへぇ!! そしてこれが、レッド派閥に入ったことだ得たオレの力ぁ!!

 

 永続魔法『強者の苦痛』を発動Yey!!!!」

 

 「きょ、強者の苦痛だと……!?

 

 トップスの奴らが使う超レアカードじゃねえかよ!!」

 

 「フゥハハハハ・HAー☆

 

 最近レッドの寝首掻こうとしてた側近の証拠を偶然掴んでなぁーお零れを頂戴したってわけさー!

 

 ところでこのカードの効果を知ってるかぁ? 相手のモンスター全てレベル×100ポイント攻撃力が下がるんだぜぇヒーハー!!」

 

 「ちっ……!」

 

 蜘蛛男 ATK400

 

 「バトルだぁ! カエルスライムでガニグモに攻撃!」

 

 カエルスライム ATK700 VS ガニグモ ATK400

 

 名蜘蛛 LP3700

 

 「ヒーハーハーハーHA☆ これでもうお前に勝ち目は切れ目! パキッと歯ごたえ、ウィンナールーザー!

 諦め降参サレンダー公算!」

 

 「ゴチャゴチャ言ってねえでデュエル進めろや! ゴミカス糞音痴がぁ!」

 

 「アァン!? オレサマが音痴だとぉ!? 耳クソ『ラビリンスウォール』かテメェ!!

 

 カードを伏せてターンエンドだ!」

 

 「オレのターン、ドロー!

 

 来たか待たせやがって! 魔法カード『古のルール』発動。

 

 手札から『ハンター・スパイダー』を召喚!!」

 

 ハンター・スパイダー ATK1600

 

 「て、テメエ……いきなり攻撃力1600を出して来やがるとは、やるじゃねえかよ!」

 

 「新しいカード手に入れてんのはテメエらだけじゃねえんだよ!」

 

 「だが、強者の苦痛の効果でレベル5のハンター・スパイダーは攻撃力が500下がる!」

 

 ハンター・スパイダー ATK1100

 

 「それでもテメエの糞スライムをブチのめすには十分だ!

 バトル、ハンター・スパイダーでカエルスライムに攻撃!!」

 

 

 ハンター・スパイダー ATK1100 VS カエルスライム ATK700

 

 「グオオオオオーー!! ガッデム!!」

 

 騒象寺 LP3600

 

 「へっ! 強者の苦痛があっても、攻撃力1000を超えるモンスターなんざそうそう出ねえだろ!

 

 ターンエンド!」

 

 「フハハハ!! バカめ!

 

 エンドフェイズに『人海戦術』を発動! 

 このターンに戦闘で破壊された自分のレベル2以外の通常モンスターの分だけ、デッキからレベル2の通常モンスターを特殊召喚出来る!

 

 来い! マーダーサーカス・ゾンビ!!」

 

 

 マーダーサーカス・ゾンビ ATK1350

 

 

 「な……!? 攻撃力1350!?」

 

 「コイツがオレの切り札『マーダーサーカス・ゾンビ』だぁ!

 

 オレのタァーン、ドロー! 召喚(カモン)ハリケル!」

 

 ハリケル ATK900

 

 「ぐっ……!!」

 

 「バトルフェイズ! マーダーサーカス・ゾンビでハンター・スパイダーに攻撃!」

 

 マーダーサーカス・ゾンビATK1350 VS ハンター・スパイダー ATK1100

 

 「ぐぉっ……!?」

 

 名蜘蛛 LP3450

 

 「ハリケルでダイレクトアタック!」

 

 ハリケル ATK900

 

 名蜘蛛 LP2550

 

 「ぐおお……っ!」

 

 「アハハハ! ターンエンドだぁ!」

 

 

 「名蜘蛛! 諦めるな!!

 まだ逆転は出来る!」

 

 「分かってる! オレのターン、ドロー!!」

 

 名蜘蛛は引き込んだカードを見て、苦虫を噛み潰したような顔になる。

 

 「コイツじゃどうにも……モンスターをセットしてターンエンド……」

 

 「名蜘蛛……っ!」

 

 

 「フフハハハハ・HAー!!

 

 『森の屍』を召喚ー!」

 

 森の屍 ATK1000

 

 マーダーサーカス・ゾンビ ATK1350

 ハリケル ATK900

 森の屍 ATK1000

 

 「さあ行くぜー!ハリケルでセットモンスターに攻撃!」

 

 ハリケル ATK900 VS バット DEF300

 

 「まだだ……っ!」

 

 「モンスターニ体でダイレクトアタックー!」

 

 マーダーサーカス・ゾンビ ATK1350

 森の屍 ATK1000

 

 「オレは、まだ負けねえぞおおおーー!!!

 

 うおおおーっっ!!」

 

 名蜘蛛 LP200

 

 「ゼェ……ゼェ……!」

 

 「名蜘蛛ぉ、次で最後だぜ!

 テメエは負けて、この村の掟に従いカードは没収!

 

 普通なら一枚のアンティだが、お前にはケツモチが無いも同然!

 よってデッキのカード全てを頂くぜぇ!!

 

 力の無い羽蛾なんて三十代間近のババアなんぞに着いちまった不運を呪って死んで行きなぁ!」

 

 

 (まだだ……まだオレは死んでねえ!

 あのカードさえ引ければ!!)

 

 「オレは……負けねえ。

 終わりですはいそうですかって諦められるくらいなら……最初っから上にヘコヘコしてんだよぉ!!!!」

 

 「……っっ!! テメエ……っ!!!!」

 

 その言葉に、騒象寺が憎々しげに名蜘蛛を睨む。

 

 「………………ふふ……。イイね」

 

 そして名蜘蛛の咆哮はそれまで麻由里で遊んでいた夜遊の興味も誘った。

 

 そして、ピッと人差し指を名蜘蛛のデッキに向けて指した。

 

 

 「オレのターン! ドロー!!」

 

 引き込んだカードを見る。それは

 

 「…………『B・F 毒針のニードル』……? なんだこのモンスター……こんなの知らねえぞ……?」

 

 「僕からの報酬だよ。名蜘蛛」

 

 「クルーシャ……報酬だと?」

 

 「うん。退屈なデュエルだったけど、キミの在り方は面白かったからね。

 

 だから……『諦めなくて済む』だけのチカラをあげる。後は自分で掴み取りなよ」

 

 「………………上等だ。

 

 来いや! 毒針のニードル!!」

 

 B・F 毒針のニードル ATK400

 

 「えっと……毒針のニードルの〜効果! で、デッキから『B・F』モンスターを手札に加えるーー…………お、これか!

 

 『B・F 連撃のツインボウ』を手札に加える」

 

 「しょ、召喚しただけでモンスターを手札に加えるモンスターだと……!? バカな……何でお前がそんなトップス連中みてえな真似を!?」

 

 「…………トップス連中……?

 

 ってか、毒針のニードルって、チューナーモンスターだよな…………まさか?」

 

 名蜘蛛は期待半分、あり得ないと常識半分で自身の空っぽのはずのEXデッキを確認する。

 

 「……………………マジ……かよ。ハハ……」

 

 信じられない物を見た。笑いが込み上げる奇跡だ。人生で一度も触れたことの無い物。チカラだ。

 

 「チカラ……シンクロモンスターだ…………!」

 

 「今……何て言いやがった、てめえ……?」

 

 

 「ふふひひひひ!? アハハハハハハ!!

 

 て、手札から連撃のツインボウの効果発動!? コイツ自身を特殊召喚!」

 

 B・Fー連撃のツインボウ ATK1000

 

 「い、行くぜ!? 行くぜ行くぜ行くぜえええー!!!!

 

 B・Fーツインボウに、B・F毒針のニードルをチューニング。

 

 シンクロ召喚! レベル5『B・Fー霊弓のアズサ』!!」

 

 

 ☆2+☆3=☆5

 

 B・Fー霊弓のアズサ ATK2200

 

 「ば……バカな…………そんなバカな……!? 何でレッドにも他のトップにも属してお前がシンクロ召喚なんか使えるんだよ!?」

 

 「は……はは……トップスになら属してるさ…………そこの白いトップス……『レッド』とも他のトップスとも違う……言うなれば『ホワイト』……ふはは?」

 

 「何だテメエ……イカレちまったのか?」

 

 「あははは!! イカれたくもなるさ!

 

 フハハハハ!! 魔法カード発動! 『思い出のブランコ』!

 

 蘇れ『蜘蛛男』!!」

 

 蜘蛛男 ATK700

 

 

 「今更そんな雑魚1ターンだけ呼び出してどうなるてってんだよぉ!!!!」

 

 「こうなるんだよぉ!!!!

 

 シンクロチューナー『B・Fー霊弓のアズサ』と『蜘蛛男』でシンクロ召喚!!!!」

 

 ★5+☆3

 

 「チューナーの…………シンクロモンスターだと……????」

 

 「地を這う蜘蛛に空高く飛ぶ羽根が生え、天空より矢を降らし魔を貫く!!

 

 シンクロ召喚!! レベル8『B・Fー降魔弓のハマ』!!!!」

 

 

 B・Fー降魔弓のハマ ATK2800

 

 

 「レベル8の……シンクロモンスター……っ」

 

 騒象寺の目が嫉妬に染まる。反対に名蜘蛛の目には、希望が溢れ出ていた。

 

 「だ……だが……強者の苦痛の効果で、ハマの攻撃力は800下がる……」

 

 

 B・Fー降魔弓のハマ ATK2000

 

 「このターンさえ凌げれば……っ、まだオレにも……!!」

 

 「いいや、このターンで終わりだぜ!」

 

 

 騒象寺 LP3600

 

 マーダーサーカス・ゾンビ ATK1350

 ハリケル ATK900

 森の屍 ATK1000

 

 「ボケてんじゃねえよおおおおおおー!!!!

 

 ハーッ! ハーッ!! オレの場にはモンスターが三体も居るんだよ!

 シンクロモンスターとは言え、攻撃力2000でどうやってライフ3600削るってんだアアアアアーー♫ ン!?」

 

 「装備魔法『火器付機甲鎧(かきつきインセクトアーマー)』をハマに発動」

 

 「ア……?」

 

 B・Fー降魔弓のハマ ATK2700

 

 「バトル! B・Fー降魔弓のハマで、ハリケルを攻撃!!

 フレイム・アロー!!」

 

 

 B・Fー降魔弓のハマ ATK2700 VS ハリケル ATK900

 

 

 

 「オバゥワアアアアアアーーー!!??」

 

 騒象寺 LP1800

 

 「そして、ハマが戦闘ダメージを与えた時に効果発動!

 相手モンスター全ての攻守を1000下げる」

 

 マーダーサーカス・ゾンビ ATK350

 森の屍 ATK

 

 

 「だ……だが、もうお前には攻撃出来るモンスターが…………!!」

 

 「シンクロモンスターを素材にしたハマの効果!

 このモンスターは、2回攻撃出来る!!」

 

 「」

 

 名蜘蛛の宣言に、騒象寺はもう何も言い返せなかった。

 

 「これで終わりだ!! B・Fー降魔弓のハマでマーダーサーカス・ゾンビに攻撃!!

 

 フレイム・エンド!!!!」

 

 B・Fー降魔弓のハマATK2700 VS マーダーサーカス・ゾンビ ATK350

 

 「ああああああああああああああああああああああああああーー!!!!?」

 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーー!!!??♡♡♡」

 

 

 騒象寺 LP0

 

 

 

 「オレの勝ちだ……騒象寺!!!!」

 

 

 騒象寺のライフがゼロになったことで、このデュエルは決着した。

 

 このシンクロモンスターは、フローシャのおかげなのだろう。

 そう思いつつも、名蜘蛛は決して夜遊の方を見なかった。

 

 勝利の余韻に浸りたいのもあった。だが何より…………。

 

 

 「お……おお………………♡♡」

 

 「………………すぅー…………」

 

 何か今、無性に後ろを振り返りたくない気がしたからだ…………。

 





名蜘蛛(……………………………気の所為だ。全部気の所為だ。

 本当なのは、このシンクロモンスターと勝利と……あと……一応アイツへの感謝だな)
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