地に立ちて_見上げる天に_藍見えず   作:黒兎可

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2回で書きあがらなかった……


正義の在処(中)

 

 

 

 

 

 朽木白哉にとって、その死神について直に聞くのは初の経験である。

 痣城剣八。現在より3つは前の十一番隊隊長であり、歴代で最も就任歴の短い剣八。そして父や祖父に聞けば、歴代で最も好き嫌いが分かれている剣八であると言われている。

 

「痣城隊長はまあ、何と言うか……。ある目的のために刳屋敷隊長を()()形で八代目剣八に就任されたんですけれど、その目的以外のことに関しては無頓着どころの話ではなかったんですよね。最初は最低限、隊士たちから信頼を集めようって素振りはあったんですけど、あまりにも目的以外の事柄を捨て去りすぎていて、周りを置き去りにしてしまっていた、というのが正しいかもしれませんが」

「聞かせてもらえないかなぁ僕にも。痣城君については、刳屋敷に次いで君が詳しいはずだからね。八代目剣八時代に副隊長を務めていた、君が」

 

 そう、そんな話も初耳であった。彼、虎徹志道の話のみならず、あの京楽春水の反応や、彼の細君の苦笑いを見るに、真実そうなのであろう。語る彼の表情も、どこか懐かしんでいる……というよりは、まるでつい昨日のことを、今日も当たり前のように語っているような仕草である。

 痣城剣八もまた、白哉の叔父とは異なる理由で投獄されている。こちらは特殊な事情がなかたせいもあってか、地下監獄最下層「無間」領域にて。

 

「聞かせるとおっしゃられますと……、んー、隊長の目的もそうだけど、人となりについて、ですか? 京楽隊長だっておおむね理解はしてらっしゃるかと思いますけど」

「それでも、僕らが見た彼と、君から見た彼が決して同じと言う訳ではないさ。立場、関係性で人間の見え方なんて、万華鏡で遊ぶよりもころころ変わっていくものさ。お酒飲んだ前と後みたいに、平子元隊長が当時副隊長だった藍染隊長と仲良くなるのに苦労していたみたいに」

「京楽隊長からはそう見えていますか。……んー、といってもなぁ。結構単純(シンプル)な人だし、あの人は」

 

 単純? と白哉。

 

「隊長曰く『死神はただ、世界の為に回る歯車であればいい』。自分自身すら含めて人間性すら求めていませんでした」

「そうだねぇ。無茶無鉄砲とは言わないけど、死神と言う使命に忠実『すぎた』せいで、逆に使命から背く形になってしまった」

「?」

「錫音ちゃんは、ちょっと待ってて。んー、だから隊長はある意味で最も死神らしく、死神らしくな――――」

 

「使命から背く、とはどういうことなのだ?」

 

 訝しむ朽木白哉の違和感に、しかし過不足なく虎徹志道は答える。

 それこそ先ほど彼が言っていたような、痣城が求めた()()()()()()()ような単純明快な答えをもって。

 もっとも、その単純明快さが朽木白哉の受け入れられるものかどうかを、あえて勘案しないのが虎徹志道ではあったが。

 

「死神の役割というものについて、局所的にしか見ることが出来なかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だからこそ……、朽木前隊長の言葉も聞こえはしていても、理解はできていなかった。単にそれだけの話です」

 

 

 




 

 

 

 

 

 瀞霊廷の地面からそびえたつ虚。円柱状のそこにはそれぞれ上下に三つの顔があり、それぞれが独立してバラバラに左右に回転している。白い髄に大きな仮面紋で形成されたその姿は、一見してトーテムポールだがれきとした虚の類である。

 巨大虚(ヒュージホロウ)という呼び名が妥当であはるだろうが、遮魂膜の内側――――霊存在の出現を常時妨害しているような場所にこの程度の虚が現れるなど到底ありえることではないため、叫びながら斬りかかる青年は内側の不手際だと判断していた。 

 とはいえ状況はそう遊んでいるわけにもいかない。斬魄刀を解放している席官の比率から考えても、部隊で大きく動くときでない現在、斬魄刀を帯刀していない隊士が多い状況では悠長に構えている暇はない。既に十数人は隊士を巻き込んでいるのを遠目に見た青年のその判断は、嫌に早かった――――そして、その決着も。

 

「――(ささや)け、村正!」

 

 振り下ろす斬魄刀。紫の目貫に覆われた刀は一見して未解放のそれであるが、わずかにその刃に赤と紫の怪しげな光が燈っていた。

 

 虚の頭上から、最下段の五段目まで一気に斬り下ろす。もっとも、その斬撃で虚の表面は傷つきはせず。

 ただ、斬り払うように動き鞘へと納めれば――――。

 

『『『『『――――――――!!!!!』』』』』

 

「また詰まらぬものを斬ってしまった……、いや本当に詰まらぬな。そして、後で十二番隊に苦情だ」

 

 どこぞの鉄を斬る侍がごとき発言を意識的にしながらも、小恥ずかしく笑い出すようなこともしない。背後で上から下まで「粉々に」「内側から」切り裂かれたように八つ裂きになる虚を背に、青年はため息をついた。 

 どっと、周囲の隊士が湧く。流石隊長! とほめそやす声が多く聞こえるが、そんな言葉にどこか居心地悪そうに青年は頭をかいていた。

 

 他の死神と異なり、白ではなく鮮やかな赤の襦袢。首には銀白風花紗(ぎんぱくかざはなのうすぎぬ)と呼ばれる白い布と、その下に数珠に繋がれた「手作りのような」歪な勾玉。頭部には牽星箝(けんせいかん)と呼ばれる貴族のみ着用を許される髪留め。何より死覇装の上から着用する半袖の隊主羽織が、青年の立ち位置を如実に示していた。

 

 響河(こうが)、としゃがれた声がかかる。後ろを振り向けば、死覇装を纏った老齢の死神が、渋い顔をして歩いて来た。

 

親父(おやじ)ど……あーっ! しまった失礼、義父上(ちちうえ)、如何なさいましたか!」

「ここではそう呼ぶなと……いう以前に脇の甘さが全くとれておらんではないか! 何度口調を叩き込めば理解するかッ!」

「ひぃ!? 大変失礼をッ!」

 

 わははは、と先ほどの響河の強さに湧いていた隊士たちも、彼のその様子に笑い出す。そんな隊士に「喝!」とばかりに怒鳴り散らす老人に、蜘蛛の子を散らす様に各々の持ち場や職務に戻っていく隊士たち。調子が良いのか真面目なのか、判断が難しい彼らの動きに、老人は――朽木銀嶺は深く深くため息をついた。

 

「儂が治めていた頃はどの隊士もより厳格であったろうに、どうしてこんなことに……」

「物事は緩急が大事にございますれば、銀嶺殿。銀嶺殿が治めていた頃も、無理をしていた隊士が多かったのもちらほら見ておりましたし。何、必要に応じて姿を変えるが真の生真面目」

「己が隊主の情けない姿を指さして笑い飛ばす姿のどこに生真面目さがあるかッ!」

「ハッハッハ! ……しかし親父殿(ヽヽヽ)、あれは付き合いにございますよ?」

 

 お道化(どけ)る上司の調子に合わせるなど円滑な運営には基本中の基本にございますが、と笑う義息子(むすこ)相手に、銀嶺はまたもやため息。言ってる言葉が完全に間違っているわけでもなく、それでいてこの男は「貴族としての振る舞いで立ち行く場」であるならばその振る舞いを大きく変えることができることも知っているため、あまり強くは言えないのだった。

 実際、隊士同士の連携は自分の頃よりも円滑に進んでいるようには見える。その上で、この男がしかと隊士たちから信頼されているだろうことも、辛うじて理解はしている。実力と、その度量と言うべきか…………。

 

 とはいえその、お前本当は朽木(うち)ではなく志波(よそ)の家の人間だろうと言わんばかりの振る舞いには、やはり色々思う所はあるのだが。

 

「まあまあ、()()()()()義兄上(あにうえ)もその辺で」

「蒼純、お主までそう呼ぶか……」

 

 そしてその悪影響(?)を受ける自分の実子に、頭痛の種は増えていく父親であった。

 線の細い、若かりし頃の自分の顔立ちに似た青年。左側にいくつか牽星箝で縛った横髪を垂らし……、義息子の悪影響なのかこちらも瑠璃色に自らの襦袢を染めている息子。そのような阿呆な振る舞いは後々自らの首を絞める黒き悔恨となるぞ、と幾度か注意したことはあるが、現在は諦観の域である。

 朽木蒼純。男にとっては義弟にあたり、自らの副隊長である。

 この両者がそろって現れたことで、青年は――朽木響河はなんとなく要件を悟った。

 

「銀嶺殿もようやく休隊ということか。……寂しくなるな、銀嶺殿の宴会での長い長い昔話はもっと聞いてみたかったのだが」

「どちらかというと、(けい)が父上と戯れている姿を見られなくなるのが、私は寂しい」

「好きかって言ってくれるな、お主らは……」

 

 ため息をつく銀嶺であるが、響河の言葉自体は否定しない。休隊――――年齢を理由に、護廷十三隊としての()()()を終いにするため、現在彼は方々に手続きを行っているのだった。

 朽木響河が隊主となり、朽木の家の当主となってから幾数十年。引継ぎと後見として残っていた彼も、いよいよ潮時と考えた。人格言動ともに未だに心配な点は多いものの、本当に必要な際の隙は一切見せずに「掟を守る」その動き。少なくとも、自分の跡を一応は任せて良いと判断する程度には、銀嶺はこれでも響河のことを信頼していた。

 まあ実子の蒼純もいるし、彼がフォローもするだろうという見込みもかなり多いのだが、それはそうとして。

 

 あまり遊びすぎるなよ、と幼子でも叱るような言い回しを残して、瞬歩にて瀞霊廷を駆ける銀嶺。そんな彼に頭を下げて見送り、響河は深くため息をついた。こころなし覇気がない。その理由を、蒼純は知っていた。苦笑いをしながら、そっと響河に告げる。

 

「寂しくなりますな、我が父上(先代当主)の薫陶がもういつでも聞けないというのは」

「容赦というものをどこかに置き忘れたか、この義弟は」

「いや、これは本心だ。……恥ずかしがって茶化すから、父上に伝わり辛いのです。(けい)の言う父上の昔話を楽しみにしているというのは、本心だろうに」

 

 にこにこ微笑みながらそう断じる蒼純の言葉に、響河は「答える義務はない」とそっぽをむく。少しばかり耳が赤く見えるのは、決して気のせいではないだろう。

 

 さて。報告……というより連絡あるいは苦情ばかりに十二番隊に出向く二人であったが、隊舎の方から何やら色々と絶叫が聞こえて来る。「何でウチがアンタの使いなんてせなアカンねん()()()!」とか、少女の声で聞こえるものだから、二人そろって顔を見合わせる朽木の子供(?)たち。

 

「そう言われても一応、頼めるのが曳舟隊長くらいしかいないというか……。条件だけで言うと、()()()()()()()()()()()()()()みたいなんだけど、ツテがないのとあんまり顔出ししたくないというか。修多羅研の系譜を多少なるとも踏んでるとなると、天月元所長も行方知れずになってしまったし――――」

「訳わからんわッ! シンジのハゲもそうやけど、ウチの曳舟隊長のこと便利屋か何かと勘違いしとるやろメガネ! それにどうせ留守です~、ベロベロバ~!

 そっちの隊長も能面みたいなツラさらしとらんで、何か言えや自分んとこの副隊長に!」

「時間の無駄だ」

「ほれ見てみィ! わかったら一昨日きやがれって話やなァ虎の――――」

「猿柿七席の会話は、尾ひれはひれが多く効率が悪い」

「隊長、非効率でも多少は容赦を……」

「――――って、いてまうぞワレ二人そろって、あァ!? ()()()()逝かせちゃうわい、そこ直れ!」

 

 絶叫する少女のような隊士の言葉に合わせて、何故か正座する黒ずくめの青年隊士と、これまた何故か一緒に正座する長髪をまとめた隊長。そろっての謎挙動に「お、おおぅ……?」と一瞬怯んだ少女隊士。流石にそこまでいきなりやってくると思ってなかったのだろうが、とはいえ気を取り直して息を吸い――。

 

「いや流石にちょっと意味がわからねェぞ!?」

「義兄上、口調が……」

 

 思わず話し言葉が崩れ突っ込んだ朽木響河に、苦笑いしながら蒼純は指摘した。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 黒ずくめに眼鏡の柔和な青年は、十一番隊副隊長・虎徹(こてつ)志道(しどう)

 長髪にどこか雅な雰囲気の無感情な青年、十一番隊隊長・痣城剣八。

 

 各々が護廷十三隊最強の戦闘集団とされる十一番隊そのトップであったという事実が、十二番隊の席官の一人の言葉に猿回し的な「反省のポーズ」をとっていたことの意味不明さを加速させていたのだった。

 とはいえ直後に響河たちの姿を見て「うぇ!?」とヒキガエルが潰れたような声を上げた少女隊士がそそくさと逃げ出した後、座っていた彼等から事情を聞けば何と言うことはない。

 

「どうも、曳舟隊長に僕たちを会わせたくないみたいで。誰に吹き込まれたのか、()()()()()()()()()()()()()()()()みたいな風に思い込んでるらしいですね」

「隊の仕事ならば、思い込みで無碍にして全く会わせないのはいささか問題なのでは?」

「どちらかというと局所的な業務効率化のための相談だったので、んー、実物がないから伝わり辛いかなぁ」

「なるほど、半分は私用ということであるか。…………それはそうとして何で正座してんだ? あのちびっ子、困惑してたじゃねーの」

「義兄上、口調が……」

「おっとっと」

「あはは……、まあ経緯については理解してますから、他言はしませんよ? 霊術院だと割とずっとタメ口で授業してたけれど

 で、そうですね。――――あれが一番混乱すると()()が出たので、うやむやにしちゃおうかなと。あっ、むしろ隊長までどうして正座を?」

「虎徹副隊長がああして理解できない行動をとるならば、何かしら最短効率を目指していると考えた」

「あー、そこまで効率的に動けている訳でもないですけどね、僕……」

 

 信頼が厚い、と若干苦笑いが引きつる副隊長に、痣城は無表情のまま三者を一瞥する。なお地味にこの場の三人は、死覇装の襦袢に手を付けている妙な面々である。それぞれが赤、瑠璃、黒と三者三様に個性が光っており、若干壮観に見えなくもないような、そうでもないような。

 

『剣の字も染めたら似合うんじゃないかい? キハハハハ! まあオシャレしても見せびらかす相手とかいないけど! せっかくなら、さっき()()()()()()が言ってた通り、本気で狙っちゃうかい? あの美人の隊長サン。おっぱい大きいし、優しいし、頭も良いし、甘えがいあるんじゃないかい?』

「……必要はない」

『あっ照れてる! マジで照れてるじゃないかい剣の字! キハハ、まあアンタは甘えたいと時に甘えたい相手も――――』

「必要はないと言っている」

「それ以上は隊長が変な人になっちゃうので、どうかご容赦を」

『キハハハハハ! 仕方ないねぇこの色男』

 

 蒼純には不可解な、響河は「お前も苦労してんだなぁ」と言わんばかりの同情のような心境が湧きたつような、そんな謎の独り言の応酬のようなやりとりはともかく。

 痣城剣八は、朽木響河を見据える。より具体的にはその台頭している腰の刀、村正を。

 

「妖刀『心斬り』の村正、か」

「その呼び方はあまり好まない。我が村正は、ちょっと寂しがり屋な子供のようなものなのだ、年頃の青少年の自尊心を扱う様な丁寧な対応が望ましい」

 

 なお「非効率だ」と感想を語る痣城の目の前で、若干だが村正がぷるぷると震えていた。もっとも響河が、刀の柄尻を、まるで子供をあやす様に撫でたため表面上は分かりづらい。

 

「しかし弱った……。あの調子だと我々も、面通しはさせてもらえぬだろうな」

「義兄上、苦情はまあいつでも書面にまとめられますので」

「書類仕事面倒くせぇんだよな~」

「義兄上、」

「おっとっと」

 

「貴族らしい言い回しが面倒ならば止めれば良い。そのような感情は積み重ねればパフォーマンスを下げる。非効率、虚退治には不要だ」

 

 隊長、と志道が声をかけるが、痣城は無表情のまま朽木両名を見つめるばかり。

 蒼純は困ったように微笑み、響河は疲れたように肩をすくめた。

 

「…………仕方なかろう、婿入りの条件に最低限、貴族らしく振舞うようにと付けられてしまったのだから」

「義兄上、姉上にいわば()()()()ですからね」

「うるせぇやい」

 

 そっぽを向く響河に、この時は蒼純も無粋な指摘はしなかった。なお「姉上もまた惚れさせたのでお互いがお互いにこの調子で」と追い打ちはかけられ、それはそれで狼狽することにはなるのだが。

 

「そういう貴公とて早い所、家内を見つける必要があるだろう、蒼純殿」

「そうであるが、(けい)のお陰でいささか猶予があるのだ。……できればこの病が、私の生を蝕み終える前に繋ぎたいものであるが」

「ままならぬなぁ」

「ままなりませぬなぁ。……義兄上は夜の方は意外と奥手で」

「うるせぇやい」

 

 ともあれ理由はあるという話ではあったが、それを聞いた痣城は「やはり不要だな」とぼそりと呟いた。

 

「虎徹副隊長含め、理解が出来ない」

「僕の場合はこう、策にはめられたと言うか、女の情念は怖いというか……」

「情念と言うと、先日そちらの家に厄介になったとき長女に――――」

「いや本当、申し訳ございませんでした……!」

「不要だ。そして、特に感想はない。蛙の子は蛙、と言うだけの話だ」

「錫音ちゃんも、ただただ色欲の獣って訳じゃないと思うんだけどなぁ……」

『キハ……流石のアタシでも、一目惚れしたその日の夜に夜這い仕掛ける年頃の娘はちょっと引くからねぇ。教育はちゃんとしてるだろうに、思い切りが良すぎないかい? お宅の所のお嬢ちゃんは』

「はい……、はい…………」

 

 顔を青くする志道に「オイオイ……」と言いながらも同情的な目を向ける朽木響河。

 閑話休題。

 

「はて……、せっかく顔を合わせたのだ。この場で解散というのも、いささか面白みに欠ける」

「面白味は求めていない」

「そう言ってくれるな、痣城隊長。貴公とは少し話してみたかったのだ。……というより、私が話したいのだがな。刳屋敷先代隊長の話を」

「…………?」

「罵倒や侮蔑の意図はない。ただ、会ってすぐその場で決闘し打倒したと聞いている。であるならば、本来なら刳屋敷元隊長から引き継ぐべき多くのものを、貴公は受け取れていないのではないかと。まあ、そう思うのだ」

 

 そうか、そうである、とお互いに言い合う痣城と響河。

 そして痣城はちらりと志道を一瞥し、改めて響河の方を見て。

 

 

 

「虎徹副隊長、囲え(ヽヽ)

「卍解、無間裂詠(むけんさきよみ)――――」

 

「っておいおい、いきなり意味わからねェぞ!?」

「義兄上、口調を……」

 

 

 

 いきなり部下に卍解を指示した痣城のはちゃめちゃさに、思わず口調が崩れざるを得なかった。

 

 

 

 

 




 

 


・転生…というか憑依響河:

 憑依タイミングが流魂街に来た頃かつBLEACHに関する知識はほぼ原作流し読み程度だった。流魂街の出身地域から現在までひたすら志波適性の高い人格のまま来ていたりするが、これは憑依者生来のもの。結果、自覚無く原作響河が抱えていた悩みやわだかまりに、ことごとく喧嘩を売っている。

 ただし憑依なので、貴族的な振る舞いも出来るのは本来の人格がほんのり影響している(無意識で作用している)。なので浅打に写し取られた村正もアニオリ通りの湿度と生真面目さ。戦闘用にあえて調整され直した自分の能力ももどかしく思い、もっと自分(本来の響河)の力を出して良いと思っているアンジャッシュ。

 

・志道と錫音の長女と痣城双也:

 丁度ティーンエイジャーくらいの年齢の時に父親が上司の若いイケメンを連れてきて、何かがビビっときてヤろうとした。両親に捕まってお説教を喰らったが反省も後悔もしていない。

 ただビビッと来たのは痣城双也個人の何か寂しそうな精神を感じ取ったのと、雨露柘榴がナニカ手を回したかもしれない。

 

 

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