FAIRY TAIL~もう一人の火竜~   作:ドラグニル

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第19話

「なん…だよ、これ」

 

 

「ナツさん」

 

 

ナツはフレイヤの周りの惨劇を見て言葉を失った。

それもそのハズ、フレイヤの周りにはおよそ人とは思えない肉塊のようなものが散らばり、そこには赤いカーペットのように血塗れの床となっていたのだ。

ナツはバニッシュブラザーズを1人で倒し、そして気絶させた後にフレイヤのもとへと向かっていた。

しかしそこに映っていたのは仲間が人殺しをした現場であった。

 

 

「お前!何してんだよ!!」

 

 

「何って、仇討ちですよ。この人たちはねあの失われた化身の傘下の闇ギルドのメンバーだったんです。こうなって当然ですよ」

 

 

「それでも殺すことは無かっただろ!!」

 

 

「え?」

 

 

フレイヤはナツの言葉に驚きを隠せなかった。

フレイヤにとってナツは師匠の弟であり、そして仲間であり、何より自分にとっての兄のような存在でもあった。

だからこそナツの発言に苛立ちを隠せなかった。

 

 

「それでも?だったらなんで、なんであの人は!!師匠は殺されたんですか!?」

 

 

「っ!!」

 

 

フレイヤはそう言うと人間であったその周りのものを何度も何度も、足で踏む。

 

「誰もが好きだった。誰からも愛されていた。家族を思い、仲間を思い、エルザさんを思い、そして、貴方の兄だった!!何故貴方の口からそのような事を」

 

 

それ以上の言葉をナツは遮るようにフレイヤを殴った。

もちろん魔力のないただのパンチだ。

それでもフレイヤの頬は真っ赤に腫れ、そして鼻血も出ていた。

 

 

「殴るんですか、殴って黙らせる。貴方はそれしか出来ないんですか」

 

 

「うるせえ、、ごちゃごちゃ!!皆であの事は乗り切ろうって決めたじゃねえか!!なのになんでまだその事を」

 

 

「まだ!?そのこと!?実の弟である貴方が!!何故それを」

 

 

そう言い切る前に急に二人の間に巨大なメイドバルゴが走りさる。

それを見たふたりはバルゴに捕まるとふたりは光につつまれる。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ルーシィとエバルー公爵は睨み合っていた。

先程エバルー公爵はルーシィを見つけ捕まえようとしたがそこでハッピーとココアに妨害され今に至る。

そのハッピーとココアというとハッピーはルーシィを助けた際に下水の水が思いのほか気持ちよく体の大半が浸かっていた為汚いと思ったココアはなんとかハッピーを引き上げるので必死である。

 

 

「猫が2匹増えたくらいで我輩の魔法土潜《ダイバー》はやぶれんぞ!!」

 

 

「これ…魔法だったのかぁってココア何するの!?」

 

 

「何するはこっちのセリフです。いい加減に下水から出てルーシィさんを手伝いますよ」

 

 

「あい」

 

 

言葉と裏腹にハッピーは下水の近くの鉄柵から手をはなそうとしなかった,

 

 

「この本に書いてあったわ!内容はエバルーが主人公のひっどい冒険小説だったの!」

 

 

「なんだそれ!?」「最悪ですね」

 

 

ハッピーとココアがドン引きしていた。

 

 

「我輩が主人公なのは素晴らしい。しかし内容はくそだ!ケム・ザレオンのくせにこんな駄作を書きおって!!けしからんわぁ!!」

 

 

「無理矢理書かせたくせになんて偉そうなの!?」

 

 

ルーシィとエバルー公爵の戦いは止まらなかった。

戦いの中エバルーは語った。

ケム・ザレオンに強制的にエバルーを主人公にした物語を書けと。

そしてそれを書かなければ親族全員の市民権を剥奪すると。

そして彼は苦悩の果てに書いた。自尊心を砕き、家族の仲を引き裂いたエバルーをルーシィは許さなかった。

 

「自分の欲望のためにそこまでするってどうなのよ!!独房に監禁されてた3年間!!彼はどんな想いでいたかわかる!?」

 

 

「3年も……!?」

 

「我輩の偉大さに気付いたのだ!!ボヨヨヨヨヨ!!」

 

 

「違う!!自分のプライドとの戦いだった!!書かなければ家族の身が危ない!!だけどアンタみたいな大バカを主人公にした本なんて……作家としての誇りが許さない!!」

 

 

その言葉にエバルーは額に汗を浮かべた。

こいつはまさか、私の今までの悪事などを書いた本にするように仕組んだのか?と。

元々ケム・ザレオンは魔導士だった。彼ならばそれも容易い。

だがルーシィはそれを否定した。

 

 

「発想が貧困ね…確かにこの本が完成するまでの経緯は書かれていたわ、だけど!ケム・ザレオンが残したかった言葉はそんなことじゃない。本当の秘密は、別にあるんだから!」

 

 

そういうとルーシィは巨蟹宮の鍵で星霊キャンサーを呼んだ。

ハッピーはそれを見た瞬間カニが来たと大喜びするがキャンサーの一言でがっかりする。

 

 

「ルーシィ、今日はどんな髪型にする"エビ"」

 

 

「エビーー!!??」

 

 

「空気読んでくれるかしら!?」

 

 

「やれやれ」

 

 

ハッピーは語尾がカニと思い残念がり、またルーシィは倒して欲しい相手がいるのにヘアスタイルのことを聞かれ、ココアはそれをみたしまらないなあと思いながら頭を抱える。

そしてエバルーはこれまでの悪事を評議会にバレてはいけないと思い、エバルーもまた星霊を呼び出す。

その名は処女宮の扉バルゴ。

そう、先程ナツとフレイヤが一触即発となる時にいた巨大なメイドである。

 

 

「お呼びでしょうか?御主人様」

 

 

「バルゴ!!その本を奪え!!」

 

 

ルーシィとハッピーとココアは驚きを隠せないでいたが、さらにその後驚くことに、ナツとフレイヤがバルゴの背中を掴んでいた。

 

 

「なぜ貴様達がバルゴと!?」

 

「あんたたち!?どうやって!?」

 

 

「どうってこいつが動き出したから掴んだらいきなり……わけわかんねー!!」

 

 

「同じくです、」

 

 

ルーシィは人間が星霊界を通過してきたことに汗が止まらなかった。

そして即座にルーシィはナツとフレイヤに命令してバルゴを倒してもらいキャンサーとの連携でエバルーを倒すのであった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

カービィ・メロンの家にナツたち一行は戻る途中ナツとフレイヤの間にはなんとも言えない空気が流れていた。

それを見兼ねたココアは口を開く。

 

 

「貴方達、一体何があったのですか?」

 

 

「「ココアには関係ねー(ない)」」

 

 

「はいはい」

 

 

諦めたココアは依頼主のもとへと戻った。

 

 

「こ、これは一体…どういうことですかな?私は確か破棄して欲しいと依頼したハズです」

 

 

「破棄するのは簡単です。カービィさんにだってできる」

 

 

それを聞くとカービィはルーシィの手元から本を奪い焼却しようとする。

それを見たルーシィはカービィに本を読んだ事があるかを尋ねる。

カービィはこの本を読んだことは無いが駄作であると父が言っていたとこたえる。

 

「だから燃やすって?」

 

 

「そうです」

 

 

「つまんねえかは燃やすってそりゃああんまりじゃねーのか!?お?父ちゃんが書いた本だろ!!」

 

 

「ナツさん落ち着いてください!!」

 

 

フレイヤ達はナツをとめようとする。

しかしそれでもナツは足を止めようとはしなかったがカービィの言葉で止まる。

カービィの口から語られたのはケム・ザレオンが31年前3年ぶりに帰ってきた話である。

ケム・ザレオンは作家をやめると言い、そして自らの腕を切り落とした。

カービィは父に何故書いたのかと問いただした。

父は金がよかったと嘘をつき、そして謝罪を語っていた。

それに信じられないと思ったカービィは父に辛辣な一言を放つのであった。

 

 

『作家やめて正解だよ。誇りのない奴にはつとまらない。父親もね』

 

 

カービィのその一言が父との最後の会話となるとも知らず……

 

 

「しかし、年月が経つにつれ、憎しみは後悔へと変わっていった……私があんな事を言わなければ父は死ななかったかもしれない…と」

 

 

そう言うとカービィはせめてもの償いとマッチ棒で本を燃やそうとした時に、本は光る。

本の文字列は変わり、DAYBREAKという駄作はDEARKABY《親愛なるカービィへ》というカービィへの手紙という最高の本へと変わる。

すると中身の文字もバラバラになり空へと広がる。

 

「おおっ!」

 

 

「きれー!」

 

 

「すごい…」

 

 

「これはなんとも美しい…」

 

 

ナツ、ハッピー、フレイヤ、ココアと4人は綺麗に輝くその本に、そしてその中から溢れる文字に心を踊らせる。

 

 

「彼が作家をやめた理由は最低な本を書いてしまった事の他に、最高の本を書いてしまったことかもしれません。カービィさんへの手紙という最高の本を」

 

 

ルーシィがそう言うと空に舞う文字はまたもとの本へと戻っていくのであった。

その時父の一言をカービィは思い出す。

 

 

『いつも、お前の事を想っていたよ』

 

 

それは勘違いかもしれない、しかしそれでも勘違いと言うにはあまりにも懐かしく、そして自分にとって聞き覚えのあるケム・ザレオン本人の声が自分に聞こえたように思えた。

 

「父さん…。私は…父を…理解出来ていなかったようだ…」

 

 

「当然です、作家の頭の中が理解できたら本を読む楽しみがなくなっちゃう」

 

 

ルーシィは笑顔でカービィに答えた。

そしてフレイヤはその様子を見て笑みを浮かべながら、そしてどこか儚げな様子で見守るのであった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

結局その後ナツ達は報酬を貰うことは無くそのまま帰宅することになった。

そしてそこでルーシィは小説家を目指していることをナツにバレてしまう。

ルーシィは顔を真っ赤にしながらナツに怒るがナツは笑いながら帰宅する。

 

 

「あ、そーだフレイヤ」

 

 

「どーしたんですか?ナツさん」

 

 

「あの時殴って悪かったな」

 

 

「あ…」

 

 

ナツは歩きながらフレイヤに謝る。それを聞いたフレイヤも思い出すように口を開く。

 

 

「僕も、あんな事を口に出して、すみませんでした」

 

 

「別にいいけどよ、後1つ、あの事だけどよ一つだけ訂正すると俺だってまだちゃんと乗りこえられてなんかいないからな」

 

 

「え、」

 

 

ナツ達との会話にルーシィは1人疑問を浮かべながら会話を聞く。

それは悲しく、そして妖精の尻尾のメンバーにとってはすごく辛い話であった。

 

 

「俺だって兄ちゃんが死んだのは辛いし、本当にあの時はどーなるかと思った、いや、今でもたまに夢に見るからよ」

 

 

「ナツさん…」

 

 

「お前は自慢の弟だって言ってくるんだよ。けどその度に起きると涙を流して辛い気持ちが止まらねえ」

 

 

「僕も…そうです」

 

 

フレイヤはナツの言葉にぐしゃっと胸のあたりの服の布を握る。

思い出すのは常に修行の時のレツの真剣な顔、そして一緒に歩いてる時の笑顔。

 

 

「でもさ、前に兄ちゃんが言ってたんだ、辛い時ほど仲間が支えてくれるって」

 

 

「あっ」

 

 

「だからさ、あんまりよく分かんねえけど、でも、それでも仲間が、フレイヤがそういう事するのは俺も見てられねえんだ。だから、これ以上もうあんな事はするんじゃねえぞ」

 

 

ナツのその言葉はいつものふざけた口調とは違い、真剣にそれでいてフレイヤをちゃんと見た言葉であった。

それを聞いたフレイヤは辛い気持ちもありながらも、それでもぎゅっとこらえ、返事をする。

 

 

「はい、わかりました、やっぱりナツさんには敵わないですね」

 

 

「そんな事ねえよ!お前もじゅうぶん強いしなあ!少なくともルーシィよりは」

 

 

「ちょっと!いきなりなんで私に話題をふってくるの!!てかけなしてるし!!」

 

 

ルーシィ達はそういうと笑いながらまた歩き出すのであった。

 

「(それでも、それでももし、仲間の、そして何よりナツさんの身に何かあった時には僕はためらわず相手を殺ります…。)」

 

 

フレイヤは密かにその気持ちを胸にまた歩くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして少年、フレイヤはまた同じ過ちを繰り返す。

それを語るのは少し先の話になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第19話『炎と水は交わることはできない』

 

 




ルーシィ「0点ね」


作者「え?」


ルーシィ「今まではサブタイトルちゃんと書いてから物語が始まるって感じだったでしょ?なんで急に変えるの?」


作者「それは、」



ルーシィ「そもそも今まで更新しなかったくせになんで急に変えたの?そんな事したら読者の人ついていけないでしょ?」


作者「ルーシィちゃんちょっと、落ち着いt」

ルーシィ「てかね!感想にもかかれてるけど新キャラ多いとか、挿絵ないの?ってよく言われるのよ!」


作者「ルーシィちゃん、あの、まだ君はライトくんとはあまり関わってない設定だから呼び捨ては…」


ルーシィ「それより、フレイヤくんこのままじゃあ闇堕ちまっしぐらよね?私のフレイヤ君に何してるの?」


作者「君のじゃないんだけどね、、えっとまずは更新遅れてすみませんでしたああああ!!」


ルーシィ「あ、あとこれからもFAIRYTAIL~もう1人の火竜~は続くので不定期ですがよろしくお願いします!」


作者「最後に一つだけチロっと言うとね、僕個人的にとある人を妖精の尻尾に入れたいんですよ。個人的に好きなキャラなので」

ルーシィ「何ネタバレしようとしてんのよ!!ルーシィキック!!それじゃあまた不定期ではありますがよろしくお願いします!」

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