第3話『妖精の日常』
「な、なぁレツ」
「どうした、エルザ?」
エルザは朝レツをたまたま…いや、エルザはレツを朝から尾行し、レツがギルドに行くより一足先にギルドに向かい、ずっとレツを待っていた。
「今日、暇か?」
「……ひまだけど?」
レツは今日はこれといった用事もなく、エルザの質問に素直に答え、するとエルザは心の中で喜んでいた。
「(今日はレツは暇…ということは!!)な、なら今日、も、ももももしお前が良ければでいいんだが…その…」
「…?何だエルザ?」
「(頑張れ私!!)今日一緒に仕事行かないか!!」
「いいぜ別に、二人で行くか?」
エルザはレツの言葉に喜びを隠せないでいた。そうエルザとレツの二人で…。
――――
一方こちらでは…ライトがどの仕事をしようか迷っていた。
「どの仕事にしようかな…」
……正直、チームは組みたいけどラクサスはもう雷神衆とかしてるし、レツはエルザと仕事いったし…姉さんも10年クエスト行ったきりだし…どうしようかな…
「よおライト」
「うん?……おお!ガルムか!!」
ライトがそう言うとそこには野性的な感じを見せるが容姿がちゃんと整っている少女がいた。彼女の名はガルム・スティンガー。
「……そうだ!!ガルムお前俺と一緒に仕事行こうぜ!!」
「別にいいぜ俺は…」
「……ガルムその喋り方やっぱやめねえのか?」
「何でだよ?」
ライトは不思議そうにそう訊ねる。それもその筈、彼女は女なのに一人称が“俺”だからだ。
「知ってるだろう?俺はあの人にもう一度会うまではこのしゃべり方なんだよ」
「…お前の兄さんに会うまでか?」
「あぁ…」
「なら、強要はしねぇよ…」
二人には何か共通するものがあるかのように二人は空を見上げる。
――――
こちらではリサーナの姉、ミラジェーン・ストラウスが修業をしていた。
「はぁはぁ!!(こんなんじゃ駄目だ!!これじゃエルザに先を越されちまう…いや、今は越されている、か…)」
ミラは今焦っていた。同世代のエルザが先に自分より早くS級魔導師になっていることに。
彼女の実力でならS級魔導師になれる可能性は充分にある。ただ時期が悪かった。
エルザはミラより早くギルドにいるためそのぶん経験の差もある…そ以外ではミラがエルザに劣る要素はなかった。ミラの下にある一人の女性が現れる。
「一人で修業するより、二人で修業した方が効率が良いですわよミラ?」
「……ちっ!!帰ってきたのかよシャウト!!」
「あらあら、口が悪いこと…」
ミラはそう言うと彼女、シャウト・ハウバーの顔を睨み付けていた。
「こんなところにいていいのかよシャウトさんよ、出来の悪い弟君があんたの帰りを待っているぜ…っ!!」
「おやおや、いつから私の弟を馬鹿にできるような実力を身に付けたのかしら?」
そう言うとシャウトの周りからは魔力があふれでていた。
その量に驚愕したミラはさすがに謝罪を口にした。
「悪かったよ!だからその魔力を止めてくれ邪魔くさいからさ!!」
「ふふ、分かれば良いのです♪それとは別に修業をしていた貴女の姿を見て私も疼いてきたので久々に勝負しますか?」
シャウトの申し出にミラは応え、二人は山奥で激突する。
――――
ギルドの仲間達が全員集まりそこにはレツ達もいた…
マカロフはギルドの一員に前代未聞の事を皆に伝える。
「皆のもの今から重大発表をする!!」
皆は何なのか不思議そうにしていた。なぜならマカロフはわざわざ夜になってから皆に集まるよう伝えたからだ。
「今日からレツ・ドラグニルを…S級魔導師とする!!」
マカロフの言葉に皆は口をあんぐり開けて驚く。
『な、何ー!!』
「なぁエルザ、S級魔導師って何?」
「あ、あぁS級魔導師というのはだな、今までなら下のギルドの依頼しか受けられなかったが、S級魔導師になると二階の依頼も受けられるんだ!!」
レツはエルザのS級魔導師の説明にあまり良く分からなかった。だが後ろから痛いほどの視線が二つあったが、レツは見て見ぬふりをした。
「納得いかねえぜじいさん!!」
「そうだぞじっちゃん!!いくら兄ちゃんが凄いからっていきなり試験もなしにS級魔導師は卑怯だ!!」
「全くだぜ!!理由を説明してくれマスター!!」
上から順に、グレイ、ナツ、ライトは納得がいかなかった。それもその筈、本来S級魔導師は、数々の依頼を受け、そしてそれをこなしマスターに認められて試験を受けることが出来る。
そして、その試験でも難易度はエルザ曰く死ぬほどきついらしい。それをクリアしてやっとのおもいでS級魔導師になれる、そういうものなのだ。
「まず1つ目にレツはS級のラクサスと同格の力を持っている。」
「うっ!!」
その一言にナツは黙り…
「二つ目にレツはエルザと一緒にS級の依頼を達成しておる。」
「なっ!?」
その事にグレイは黙り…
「そして、最後に、どの魔導師よりも被害届が少ない!!寧ろ感謝されるぐらいじゃ!!貴様らにこのようなことができるか?」
「…無理だな…」
最後の一言にライトも黙る。
「レツ・ドラグニル!!お主を今日よりS級魔導師と認定する!!」
その一言にたくさんの人々が驚く。
「すげえ!!これで何人目だ?」
「えーと、確かギルダーツにラクサス、エルザにシャウト、でレツだから5人目だ!!」
レツの一言に皆が驚き深夜になる。
そういえば、レツの家はナツの隣に建ててもらったのである。
「そういえばナツ!!ハッピー!!今月の食費大丈夫なのか?」
「やべぇー!!」
「あいさー!!」
レツはナツに呆れながら食費を渡す。
「ほれ、50万J、これでなんとかしろ!!」
「ありがとう!!兄ちゃん!!」
「やっぱりすごいね、ナツのお兄ちゃんは違うね、ナツとはお金も心の器も違うね!!」
ハッピーのトゲのある言葉にナツは…
「うるせえよ!ハッピー!!お前なんか、兄ちゃん来てから一々トゲがあるぞ!?俺もいつか兄ちゃんみたいになるんだ!!」
「ナツじゃ無理じゃない?ブフッ…」
ハッピーが笑いを堪えずに吹いてしまう。
そしてそれを見てナツは怒り、レツも笑ってしまう…
レツもナツもこんな日常がこれから毎日続くかと思っていた…
しかし現実ははそう上手くにはいかなかった。
今より近い未来X782年レツ・ドラグニル…ここに死す…
――――先の近い未来 X782年
「兄ちゃんはこんなところにいねえ…そうだろ?ハッピー、ココア、フレイヤ…」
「あい…」
「そうですね…彼はこんなところにいない…」
「そうですねナツさん…師匠はここにはいない…」
『いつだって、約束の場所にいるんだ…』
ナツ達はそう言うとその場で泣き出してしまった。
「(…あれほど、私の前からいなくなるなと約束したではないか!!やっと、やっとお前にこの想いを伝えられると思っていたのに…)馬鹿者が…」
エルザは雨の中一人そう呟き涙を流した。
X782年レツ・ドラグニル…隣のX781年リサーナ・ストラウスと同じく…突然の発光体になり体ごと消え変死する。
な、何とこの作品の主人公が死ぬ!?
まあ、勘の良い人はその先の展開も分かるんでしょうけどね!!
感想などよろしく!!
それと前回に続きココア出番少なすぎ!!
話の都合上次回からはX781~782に突入します!!