シンフォギア×ファイズ ー狼は奏者とともに戦うー 作:A.S マフルガ
「え?わたしに親友なんて…もういませんよ?」
「え?」
「なんだって?」
響から発せられた以外な言葉に巧と麻那は驚いた。
立花響というと本編において親友となる小日向未来というキャラクターがいた。
だが、目の前にいる響は親友が居ないと言った。
これはあからさまに歪だ。
二人にとってこの歪に身に覚えがある。
(翼さんと同じパターン?)
風鳴翼も本来であればあそこまでの重症を負うことはなく戦い続けている。
響と同じく本来の流れとはかけ離れている。
その軸を修正しなくてはならない。
BLUSTに頼まれたことだ。
(なら今回も歪になる過程の中にこの世界とは違う別の要素が関わっているのかもしれないな)
巧がそう思っていると二課のメンバーがやって来た。
♢♢♢
巧、麻那、響の三人は二課によって学校に連れられてきた。
「どうして学校に…?」
不思議そうに思う響だったがすぐに訳を理解した。
二課にエレベーターに乗るように促され巧と麻那は手すりを持った。
「響、手すり持った方がいいよ」
「え?」
麻那がそう言う合間にエレベーターが締まって動き出した。
「ーーーーー!?!?」
急な速さで。
響は声にならない叫び声をあげた。
エレベーターは地下数階に辿り着いた。
「はぁはぁ…」
響は四つん這いになって地面に伏せた。
すると、いくつものクラッカー音が鳴った。
「な、何っ!?」
「ようこそ二課へ」
エレベーターの先に二課のメンバーが待っていた。
天井付近に響と巧の名前が書かれた張られた物があった。
「初めましてだな、立花響君」
声をかけてきたのは二課の司令官をやっている風鳴弦十郎だった。
「よろしくな」
「これはたいそうな物を。よろしくお願いします」
自己紹介をされた上で響は彼と握手を交わした。
「そして、こうして素顔を拝める日がやって来るとは思わなかったぞ」
「OTONAにはそのうち捕まると思っていたが、決して所属するつもりはないからな」
巧はそっぽを向いた。
「巧は私のボディガードだもん。誰にも渡さないよ」
麻那は自慢げに巧の腕にくっついた。
独占欲の発揮だ。
響はそれをいいなーという眼差しで見つめていた。
「ファイズのこと色々調べたいんだけどなぁー」
そう言うのは櫻井了子。
この組織の開発者でシンフォギアを初めとする異端技術聖遺物を動作させる櫻井理論の提唱者。
「ほいほい見せてもいいなんて許可はもらってない」
「べー」
巧と麻那は断固として拒否する。
見せてしまえば悪用されかねない、スマートブレインとも繋がりがあるかもしれない、それが巧の考えだ。
何を隠そうこの人はラスボスだからだ。
二課では正体を隠して人間としてやっているが二人からしたらお見通しである。
「響君、早速我々のことについて説明をしよう。付いて来てくれ」
「あ、はい…」
響はとある部屋に連れて行かれた。
「用事も済ませたことだし帰るか」
「そうだね」
「えーもう帰っちゃうの?」
「俺たちは俺たちで調べ物があるからな」
巧と麻那は二課の施設を出て行った。
♢♢♢
二課の施設を出て、巧は後ろに麻那を乗せた状態でオートバジンで街を走っていた。
「ねえ、巧、さっき言っていた調べ物って何?」
巧がやろうとしている事を麻那も知らなかった。
「響のことだ」
「へぇ…」
麻那にハイライトが無くなるのを巧は顔を見なずとも感じた。
「か、勘違いするな。決して浮気とかじゃないからな」
巧は必死に誤魔化した。
「もうわかってるって。巧は私のこと大好きだもんね」
麻那はぎゅーっと巧を力強く抱きしめた。
「確かに親友がもう居ないって気になるよね」
「ああ。もしかしたらあいつにもこの世界とは違う要素が」
巧はバイクを止めた。
「どうしたの?」
「言っている側からお出ましのようだ」
巧が指す方向からオルフェノクがやってきた。
「くっ、鼻がいい。流石は狼護巧だな」
「スマートブレインで俺の噂でも出回っているのか。お前の顔なんて見たことがない」
巧はバイクから降りた。
「頑張ってー」
麻那の声援を受けながら巧はファイズボックスから取り出したドライバーを装着してファイズフォンを開いた。
【STANDBY】
「変身」
【COMPLETE】
巧はファイズに変身していつものスナップを決めてオルフェノクとの戦闘を始めた。
「はっ!」
ファイズはオルフェノクを殴ったが金属を殴ったような感覚があった。
「痛そうな音ーっ!」
「こいつ硬いな。頑丈そうな体には何が詰め込まれてるんだ」
ファイズはファイズフォンでオルフェノクを撃ったが向かって来たオルフェノクに吹き飛ばされた。
「ぐっ…」
ファイズは吹き飛んだがまだ変身解除にはなっていない。
「しっかり巧!」
「このままだと俺がお前を倒してしまうぞ」
オルフェノクはファイズに向かっていった。
「まだ手はある」
ファイズはホルダーからファイズショットを取り出してメモリーを刺して手に持った。
「はぁーっ!」
ファイズは接近したオルフェノクに叩き込んだ。
【XCEED CHARGE】
「終わりだ」
「なっ、ぐぁーっ!」
ファイズはその後にファイズフォンのエンターキーを押して必殺技グランインパクトを放った。
「ぐっ…」
オルフェノクは砂のように崩れ落ちた。
「…ん、何この切れ端?」
麻那は飛んできたメモを手に取った。
広げて見てみたがすぐに閉じてファイズの変身を解除した巧に近づいた。
「行くか」
「行くかってどこへ?」
「あいつの親友を探しに」
すると、扉が出現した。
そんな芸当ができる二人の知り合いは限られている。
「言ってる間にBLUSTのお出ましだ」
「凄くいいタイミングでやってきたけどどこかで見られているのかな。その技、参考にして…」
「麻那」
「う、ううん、何でもないよ」
巧と麻那は扉に入って行った。
♢♢♢
その頃
高級なレストランでバイオリンを弾いている男がいた。
「〜〜〜♫」
演奏が終わって観客たちからの拍手合切が流れた。
男はバイオリンをケースの中にしまった。
「凄く良い演奏だったけど親がバイオリニストだったりするの?」
「…俺に親はいない」
男はケースを持って絡んできた女を無視してレストランから出ようとした。
「あ、待って。私は甘祢。せめてあなたの名前だけでも聞かせてよ」
「俺は…」
男は一瞬黙り込んだ。
「……」
「あ…」
男は何ごともなかったようにレストランから出て行った。
甘祢は男から名前を聞けなかった。
(俺に他人は必要ない。俺にあるのはただ戦いだけだ)
男はバイクに乗ってレストランから離れて行った。
♢♢♢
巧と麻那が門を通ると中にはこの間会った男が待ち構えていた。
「あ、待っていたよ」
男は読んでいた本を閉じた。
「何の本を読んでいたの?」
「これは僕の大切な人が書かれたものでね。時々読むことでその人たちのことを思い出しているのさ」
「…人間らしいところがあったんだな」
巧がそう言うと男は頬を膨らませた。
「失礼だな。僕はれっきな人間だよ。まあ、BLUSTは人間じゃない種族も受け入れると聞いているけどね」
男は笑いながら言う。
巧は「そ、そうか」とやや困り気味であった。
麻那はそんな様子の巧を見て不思議に思っていた。
「それで君達がここに来た理由はシンフォギアの主人公である立花響に起こったいる歪についてかな」
「そうだ」
「よくわかったね」
「この世界では彼女と親友の絡みはツヴァイウイングの事件以降途絶えてしまっているようだ」
男は巧と麻那にそれ以降のあれこれも教えた。
「そこで何かがあったのは間違いなさそうだな」
「歪には二種類ある。一度起こると修正はできないタイプと修正できるタイプだ。後者はかなり限られているがないとは断言できない。今回のケースだってそうだ」
「じゃあ修正して元の流れに戻す必要があるんだね」
「そうだね。頼んだよ」
「わかった」
「またね」のやり取りをして二人は入ってきた扉を使って元の世界に戻って行った。