超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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か、会話文がムズい…


第三話

 私が時間をかけて作り、それでもなお文法がぐちゃぐちゃだったあの演説によって、艦隊内の混乱は一旦の収まりを見せた。

 だが、問題となってくるのはここからだ、人類側からの攻撃があったということは霧の艦隊の稼動数が都市伝説で処理できないほどに増大しているということ、つまり今すぐにでも霧による本格攻勢が始まる可能性があるということを示す。

 恐らく今年度中、遅くても来年3月までには始まるだろう。

 そうなってくると、私たちも実態はともかく表面上はアドミラリティー・コードに従っているように見せる必要がある。

 幸い、私たちの管轄である北方海域は海面が上昇したとはいえ、まだまだ冷たく漁船や観光船も少ないからそもそも目標数が少ないとは思うけれど、向こう…というか総旗艦艦隊には超戦艦クラスの索敵能力をもつイ400級が存在する。メンタルモデルが普及していない。

 今、総旗艦がどう出てくるかは不明だが、少なくとも視察…名目上は巡回に来るであろう彼女らの目を欺く必要があるのは確かだ。

 そこで役に立ってくるのが、先日演算能力を貸し与えたタシュケントである。彼女は、私から渡された演算能力を使って、自艦の強化を行った。その強化とは、ズバリ《索敵能力の広範化》である。

 彼女は、先日の攻撃の結果を踏まえ、「見つからない」ではなく、「相手より先に見つける」をモットーにしたようだ。

 その索敵範囲は通常状態でも大戦艦級に迫り、重力子機関もシャットダウンした状態なら超戦艦である私に並ぶ程となっている。

 その代償に失ったのは反撃能力である。

 武装は演算能力に負荷がかからないVLSと魚雷発射管のみ、それらの弾数も必要最低限であり、常に随伴艦と共に活動することを前提としている。

 だが、彼女の索敵能力はそのデメリットを補って余りあるレベルであり、これからも重要になって来るだろう。

 例えば、彼女を上手く運用することができれば、イ400級の観測範囲に入る前に発見、対応することができる。

 流石に超戦艦相手には発見と同時に兵装を叩き込まれて終わりだろうが、それでもそれ以外に有利が取れるのは大きすぎる。

 あの後旗艦直属に移管したので、今後は索敵用に大西洋と太平洋を駆け回ってもらうことになるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから4ヶ月、遂に霧の本格攻勢が開始した。

 予想通り、北洋艦隊の標的は少なく時折攻撃してくる軍艦を反撃で撃沈するに留まっている。最初は、軍艦も見逃していたが、人類側のネットワークにその情報が掲載され、それを霧の艦隊が傍受、心配…というか疑いの連絡を受けたので、仕方なく攻撃している。一応彼らも軍人だ、機関部のみを攻撃するように指示しているし、攻撃される覚悟も持っているだろう。しかし、初っ端から総攻撃している他方面に比べれば、被害は少ないのではないだろうか。

 そんな中、いくつかの課題も浮き彫りになってきた。

 そのうちの1つは、整備用の港の欠乏である。

 東洋方面艦隊管轄のハシラジマの様に、艦隊の整備、再建造ができる場所が圧倒的に足りない。

 解決の目星は一応ついている。

 要するに、母港が無いのならば、手に入れればいいのだ。

 氷山港も考えたが、前回の艦隊内の混乱の件も考えるとメンタルモデル達が人間との交流になれるために、人が居る場所の方がいいだろう。また、私達のことを秘匿するためにも、外界とは隔絶した島の方が望ましい。

 

 それらの条件と、港としての利便性を考慮して選んだ結果、候補地が1つ上がった。

 

 

 アイスランドの良港、レイキャビクである。

 といっても、海面上昇により本来のレイキャビクは完全に水没、今の海岸線の位置に遷都、再びレイキャビクの名を冠しているようだ。

 海面上昇のおかげで、住むことができる地域も減少し、ここ数年で人口が大きく減少している。

 そんなわけもあって、現在のレイキャビクは嘗ての活気はなく、寂れた田舎のようになっている。

 ここなら、減少したとはいえ人は多いし、メンタルモデルたちの経験の取得にも繋がるだろう。

 そうなると問題になってくるのは艦隊規模で比較的とはいえ、平和主義を掲げている私たちがどうやって港の使用権を得るかであるがそのあたりはもう目星がついている。

 というわけでさっそくレイキャビクに出発する。最初は私一人で行くつもりだったのだが、ティルピッツに慌てて止められ、彼女らと行くことになった。

 

 

 

 

 

 念のためにタシュケントに索敵してもらった後潜水航行で向かっている。

 アイスランド政府には交渉の要望も入れたので少なくとも問答無用で攻撃されることはないだろう。

 

 

 

 

 出発してから数日、予想よりもはるかに早くレイキャビク沿岸へと到着した。

 いまだに霧の艦艇の速力を過小評価していたようだ。

 

 

 

 予定の時刻になったので、ティルピッツと共に浮上、港へ向かった。

 …せっかくだし何かインパクトのある登場をしたいな。

 そうだ!機関全開、公海最速戦艦ドリフト!!

 あ、やべ、沿岸沿いの家々に尋常じゃない量の水が…あと後ろから追いついてきたティルピッツの視線が痛すぎる…

 とりあえず手ごろな場所に接舷して、タラップを降ろそう…

 

「ふむ…とても興味深いパフォーマンスを見せてくれてありがとう、霧のお方。私はこのアイスランドの首相をやっているエギル・ラスクネスといいます。」

 

 タラップを降ろした先の黒塗りの車から出てきたのは、ぱっと見好々爺然とした初老のおじ様だけど…

 めっ、全然目が笑ってない…

 

「いっいえいえ、そちらこそ首相自らお出迎えに来ていただけるとは。少なくともあの連絡をイタズラだと無視されていないことがわかって光栄です。」

 

「そりゃあ私の私用端末にダイレクトに送られてきましたからね、そんなふざけたことをする奴は知り合いにはいないですし。

…こんなところで話すのもなんですし、官邸へ案内しましょう。」

 

「おや?首相自ら運転なさるのですか?」

 

「あぁ、もうこの年になるとこういうことしか楽しみがなくてですね。部下には止められているけど今日はこっそりくぐり抜けてきたのですよ。」

 

 部下が苦労してそうだ…

 

 

 

 

「とりあえずこの部屋でよろしいでしょうか。」

 

 車に揺られて数分、着いたのは近代的な白い建物だった。

 いや、実際前世からしたら近未来だけど。

 その中の一部屋に案内され、ラスクネス首相に勧められるままに彼の対面の席に座る。

 

「で、今日ここに来たのは一体全体どういう目的があってのことですかな?」

 

「実は、この港…レイキャビクを私達の整備拠点として使わせてもらえないかと、そういう話をしにきたのです。」

 

「ほう、してその様なものをこちらが素直に呑むとでも思っているのですかな?」

 

「いいえ、全く。ですのでそれ相応の条件を持ってやってきました。」 

 

「その条件とは?」

 

「ズバリ、食料供給の安定化です。アイスランドは元々食料自給率に余裕はなく、我々の海上封鎖によって国内に飢餓者も出ている様子、そこを我々が改善して差し上げましょう。ということです。」

 

「たしかに我が国は食料に余裕はないですが、何処から我が国の国民を満足させるだけの食料を持ってくるのですかな?」

 

「私達の体を構成するナノマテリアルは、おおよそ地球上の全ての物質と互換性を持ちます、ですのでそれを使用して巨大な、場合によっては埋立も行い農場を建造しようと考えています。勿論、海での漁に関しても、攻撃をしないと約束しましょう、こちらから護衛の艦艇を出してもよいですよ。」

 

「護衛は恐らく必要ないだろう、誰かさん達のおかげで海賊もゼロになりましたし。して、農場ですか…」

 

「いえ、そちらの漁船が霧の大西洋方面艦隊に標的として襲われる可能性があります。当然情報はこちらで遮断いたしますが、限界があることもご了承願いたいです、要するに我らも一枚岩ではないのです。片や欧州はそもそも緊張度が高まり、ここにかまっている余裕はないでしょう。」

 

「了解した。その提案、受けさせてもらおう。

だが、こちらも主権国家、少しの条件も付け足してもらいたい。」

 

「こちらも整備状況は切迫していますし、余程の無理難題でない限りは受けますが聞きましょう。」

 

「いや、それほど大したことではないのですが、レイキャビクは民間の漁師も使用する港だ、一度に大量の艦隊を入れるのは勘弁願いたいのですよ。」

 

「えぇ、それくらいのことでしたら。最悪の場合新しく埠頭を作りますし、その際にも勿論交渉をさせていただきます。」

 

「では、発表の日程を決めましょうか…

 

 

 

…ということで、発表は次の日曜日、それまではこの街に滞在されるということでよろしいですかな?」

 

「はい、それまでは存分にこの街を観光させてもらいます。

あ、私たちの艦は入りさえしなければ公開してもいいですよ。」

 

「えぇ、もう隠せるものでもないですしね。」

 

「ウッ…」

 

 

 

 

 あれから数日、私は今、ラスクネス首相と並んで会見の壇上に上がっている。

 

「私はここに、アイスランドと霧の北洋方面艦隊との条約の締結を宣言させていただきます。」

 

 おぉ〜フラッシュが眩しい。急な日程発表だったにも関わらず、会見の会場には多くの記者が詰めかけている。

 それだけ注目が集まっているということだろう、原作より遥かに先に起きてるし。

 また、ここにいる記者たちは全員アイスランド本国の記者たちだ。大陸系のメディアは攻勢開始後いち早く国外へ離脱したらしい。

 まぁこちらからすれば下手にメディア経由で情報が漏れる心配をしなくていいぶん楽なのだが。

 場所は原作を見習って私の艦体の艦首前だ。私のクレストがカメラに大きく映っている。

 

「この度のアイスランドとの条約締結、とても嬉しく思っています。この条約が霧と人類の新たな関係のきっかけとなることを心から願っております。」

 

 

 

 

 

 

 

 会見での電撃発表から数週間が経ち、アイスランド北部に建造した大型農場施設も本格稼動に順調に近づいている。施設の管理者を艦隊ネットワークで募ったところ、とある艦が真っ先に手を上げた、海域強襲制圧艦アークロイヤルである。何でも北方海域は自分が出る必要があるような脅威度の高い目標が少なく、暇していたところでたまたま農業系の雑誌をサルベージしたらしい、そんなわけで今レイキャビクに停泊している彼女の甲板は一面畑となり、農場の本格稼動までの繋ぎを担っている。そのため、施設が完成しだい艦体ごとそちらに移ってもらう予定だ。

 

 

 

 …え?

 私は何をしているのかって?

 もちろん私の旗艦装備の展開ですよ、やっと落ち着ける拠点も手に入ったし。

 今いるのはレイキャビクの中心街だが、艦体は沖合いでせっせと反射衛星を打ち上げている。

 最初はそれ専用の施設を作ろうとしたのだが、農業経営者(匿名希望A・Rさん)から『野菜によくない』と苦情をいたただいたので、私の艦体から直接打ち上げる方式にした。

 この反射衛星は、1度反射した後はある程度のクールダウンが必要だが、そのデメリットは数を打ち上げれば関係ないのだ。

 そして私が中心街に一人できているのは、おいしいものが食べた…ではなく、条約の影響を確認するためだ。

 

「おっ、グローサーの嬢ちゃんじゃねぇか。今日もあんたらのおかげでいい魚が入ってるよ、なんか買ってくかい?」

 

「いえいえ、私たちの中にも肉体と味覚を手に入れてから食の探求を始めた者もいましてね、ここの新鮮な食材には我々も感謝しているのです。というわけで今日はこれとこれを二つづつお願いできますか?」

 

「あいよ! ここんところよく来てくれるから一個まけるぜ。」

 

「ありがとうございます、ではこれお代っと。」

 

「まいど!またいい魚が入ったらおしえるぜ!」

 

 フム…ある程度私たちの存在は受け入れられている様だ。

 実際漁船の護衛任務に就いている駆逐艦たちからも悪い話は聞かないし、私の杞憂だったのかもしれないな。

 予想以上にスムーズに拠点を確保できたことも相まって、次に備える時間もできた。

 海洋技術総合学園には行きたいが、まだそもそもできていない。

 私たちが備えるべき直近の事象は、ズバリ『大海戦』である。人類側の通信を傍受したところ、やはり損害が増え続け、それと同時にところどころ途切れているとはいえまだ生き残っているネットワークを使用した国家間の連絡が増している。これは人類側が超国家的な連携を開始したことを示しており、近く『大海戦』が勃発するだろう。

 問題はそのとき我々がどう振舞うべきか、なんだよな。下手に分かりやすく人類の味方をしすぎても怪しまれるし、かといって我々も他艦隊と同調すると後々各国政府と対話するときにどうしてもしこりが残る。

 時間に余裕があるといってももうすぐにでも起きてもおかしくない状況だし、そもそも私たちの管轄海域に来なかったら、他所の艦隊の海域に無断でお邪魔する訳にもいかないし。反射衛星砲だって弾道からの逆探知の可能性を無視できない以上迂闊にホイホイと撃ち込むことはできない。アレはほぼ不可避の初撃を与えることが出来るから強いのであって、タネが割れてしまえば片っ端から衛星を撃ち落とされて終わりだろう。

 もう会見の映像が残ってしまっている以上、原作のハルナたちのように『あの頃は感情がありませんでした』で済ますこともできない…

 

 

 

 もしかして、これって八方塞がりなのでは…?

 

 もしかしなくても、これって八方塞がりなのでは…?




アンケートは11月7日火曜日の午後八時まででお願いします

続く







…かな?

何が見たい?

  • 401クルークート(続き)
  • 掲示板回
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  • 報告書回
  • アーク・ロイヤルの農業生活
  • ティルピッツとタシュケントの苦労日誌
  • そんなことより本編を書け
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