超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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旅行に行ってきた先輩からサルミアッキを貰いました。


…なんで?


第五話

『ティルピッツ! 状況は⁉』

 

『旗艦様が宣戦布告をした直後、レイキャビクを含む海域全体にミサイル、及び魚雷による攻撃が加えられました!!

着弾時間から逆算すると……()()()()()()()()()()()()された模様です!!

現在レイキャビク駐留の艦による臨時の応戦用艦隊を編制中!!』

 

『宣戦布告と同時⁉

それは本当か!?』

 

『えぇ、実際にこちらで宣戦布告の通信を傍受した直後に攻撃を受けました!

反射的に展開したアーク・ロイヤル所有の武装による広域クラインフィールドにより住宅地は保護できていますが、初期攻撃分のミサイルによる非居住区の被害が多数報告されています!!』

 

 なぜ、こんな早さで攻撃が…!?

 それだけの戦略性はまだ獲得してなかったはず…

 

 

 

 

 

 …いや、()()()()()か!!

 戦略や戦術とか言うものじゃない、状況の判断とそれに対する対応こそが()()が最も得意とすることの1つじゃないか!!

 そう考えてみると大西洋方面艦隊の量とあの不自然なタイミングの太平洋方面艦隊群の攻撃にも説明がつく。

 あれは人類側とか霧の集結を待っていたんじゃない、大西洋方面艦隊の攻撃準備を待っていたのか…

 とりあえず今回の襲撃の真相はおぼろげながらつかめた、次はこちらの対応の番だ。

 

『ワスプ! ホーネット! 今の通信は聞いていたな⁉

もう一度海流の加速! タシュケントとわた…

 

いや、もう戦力の温存とか言ってる場合じゃない!

ティルピッツ!! 敵艦隊の位置情報を送って!』

 

『了解しました!』

 

《ヂッ》

 

『来た!!

 

反射衛星群、敵大型艦に各自で指向、ルート形成開始!!

ティルピッツ! 着弾観測行ける!?』

 

『今潜航観測艦を向かわせています、あと5秒あれば詳細な観測が可能!』

 

 

 上空高くの反射衛星群がそれぞれの反射鏡を展開、それとともに私も主砲へのエネルギーチャージを開始する。

 初めに読んだ説明書によると重力子兵器以外なら反射可能出力に上限はほぼないそうなので撃ち損じを防ぐために最大出力射で攻撃する。

 エネルギーチャージが完了したので、次は主砲塔ごと仰角をとる。

 主砲塔の下部分からアームのようなものが出て主砲塔を持ち上げ、海面に砲が垂直になるように展開する。

 

『目標 大西洋方面艦隊!!

 主砲、射てぇぇ!!』

 

 

 私の艦体の側面に展開した主砲塔から合計12条の光線が撃ち出される。

 この反射衛星群は反射すればするほど出力が上昇する特性をもつが、現在は衛星の絶対数が足りない上、反射後は数十秒の冷却時間が必要なので今回は大戦艦相手は2回反射、重巡洋艦相手には1回反射で撃ち込む。

 

『ティルピッツ! 着弾報告!』

 

『報告します!

敵大型艦6隻に命中、命中した各艦は一発目の段階でコアがシャットダウンしていたので次弾からは各艦に対し一発ずつで良さそうです!』

 

『了解!!

 

第二射、射てぇぇ!

 

大型艦の数が一桁になり次第、ティルピッツは編成した艦隊を率いて掃討戦の準備に入って!』

 

『あとワスプとホーネットは海流加速の準備!

損傷が酷いミズーリとアラスカ、それとそれらの護衛に巡洋艦群も残す!その他の大戦艦とタシュケントだけでいい!

急いで!』

 

『こちらアラバマ、我が艦隊直下を潮流によって移動している大型潜水艦を検知、恐らくイ400級と思われます。何故かクラインフィールドの反応がありません!』

 

 クラインフィールドを貼ってないイ400級…原作開始か!!

 だけど今はそれにかまっている余裕はない!

 

『無視して!

どうせ潜水艦1隻でできることには限界がある!

それより母港優先!!』

 

『『『了解!!』』』

 

 

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 太平洋にミズーリやワスプたちを置いて、先行した私と大戦艦群、そしてタシュケントが到着する頃には、レイキャビクを襲った大西洋方面艦隊は殆ど壊滅していた。

 現在は大西洋方面艦隊所属の駆逐艦や潜水艦クラスが大型艦のコアとナノマテリアルの回収にてんやわんやとなっているらしい。

 今ここでコアを完全に破壊して戦力を減らしてもいいが、少なくとも私が読んだところまでの原作では、コアの完全破壊の描写は出ておらず、コアという依代を失った演算能力という強大なエネルギーがどう作用するかが分かっていないからだ。

 万が一大西洋海域全体で重力異常が起きた時には対処のしようがない。

 そんなわけでコアの破壊は極力しない方針で行くことにした。

 襲ってきた艦隊の数からして彼女らが元の航路を疎かにしているわけはないようなので、この襲撃によって霧による海上封鎖が緩まることはないだろうが、それ以上にレイキャビクが襲撃されたということは強い意味を持つ、それは霧がメンタルモデルを得る前から起こるであろう問題への対処策を用意する程度の学習能力を持っていたと言うことだ。こうなった以上、もうレイキャビクはいつ攻撃を受けてもおかしくないだろう。

 そうなると、攻撃を一々防御しているわけにもいかないし、レイキャビクは放棄せざるを得ないだろう。また、次に拠点にする場所は臨機応変に拠点ごと移動することができるものである必要も出てきた。

 

 代わりの拠点港はもう目処がついている。少し前に案の一つとしてあがっていた氷山港である。

 あれ、というか史実のハボクック計画ではパイクリートの融解を相殺するだけの冷気を生み出すエネルギー供給の目処が立たず頓挫したが、レイキャビクに交渉に行く前に念のために計算してみたところ、空母級がコネクタをつないでエネルギーを供給すれば十分維持できることが分かっていた。

 まぁ、その頃はまだアーク・ロイヤルも広域クラインフィールドの能力を獲得していなかったし、ただでさえ艦隊規模が小さい北洋方面艦隊から空母級を出すわけにはいかない、ということで却下されたが、いまはそれどころじゃないし、広域にクラインフィールドを展開できる武装をアーク・ロイヤルが生み出したことで拠点の維持と防御を両立できるようになり、物資保管拠点として再協議の卓上にあがっていた。

 それを拠点港に流用しようということだ。幸いこれ以上の大西洋方面艦隊の攻撃はすぐには来ないだろうし、急遽建造している氷山港が完成するしばらくの間、市民たちにはレイキャビクで移住の準備をしてもら……

 

 いや、なんで私はレイキャビクの市民が私のもののように考えているんだ。

 彼らも同じ星に住む同じ命だ、まず一番に優先するべきは彼らの意思であるべきだろう。

 そうと決まればラスクネス首相に連絡だ

 

『…というわけで、我々はこのレイキャビクを放棄する予定です。

条約を結んでいるとは言え、この状況下で我々はあなた方の居住権を無理矢理どうこうする権利は持っていません。そちらの市民がこちらについてくるかどうかはあなた方の判断に一任します。勿論、ヨーロッパ本土への移住を望む人は私達が送り届けることを約束しましょう。

最も、ないとは思いますが大西洋方面艦隊が強引にレイキャビクに進出、攻撃を加える可能性があります。』

 

『…それは実質一択というものではないのですかな?

まぁそちらの事情は了解しました、しかしわが国も立憲制国家、つまり私にも国民をどうこうする権利はないのです。国民の意思に任せるとなるとそれ相応の時間がかかると思われますがそれでもよろしいでしょうか?』

 

『えぇ、こちらも民主制国家における決断に時間がかかることは承知してるつもりです。

こちらの代替用の港の整備にも相応の時間が必要になりますし、先の攻撃規模から判断して、大西洋方面艦隊にすぐ再度の攻撃を行う余力はないでしょう。しかし念には念をと言いますので、レイキャビク駐留の艦隊は増やしておきます。』

 

『それは有難い。こちらも一刻も早い決断をできるように善処します。』

 

 …と、こんなもんでいいかな。

 あ、あと帰艦途中のミズーリたちにアラバマとマサチューセッツをつけた補給艦隊を派遣、合流したらそのまま反転して北太平洋航路の哨戒に戻ってもらおう。太平洋の艦隊もすぐに戦力は再編できないだろうし、大西洋方面艦隊の被害を鑑みて再編してもすぐに攻撃を仕掛けてくることはないだろうが私の旗艦装備である反射衛星群は他艦からの共有データを元にしても発射できるので、そのための()があるに越したことはない。

 

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 あのあと、補給艦隊は無事にミズーリ達に合流、そのまま北太平洋航路の哨戒に入った。

 ティルピッツ達は氷山港の建造のために北極点に赴いている。

 私も手伝おうとしたがティルピッツに速攻で却下された。

 曰く、『前科がある』そうである。

 全く心当たりがないな。

 そんな私はといえば、前回の戦闘で反射衛星砲による多角攻撃の便利さや、射程を殆ど気にしなくていい便利さに惚れ込んだため、現在もせっせと1人で反射衛星の打ち上げに勤しんでいる。

 現在、何故か最初期に打ち上げた反射衛星が落とされていないのもあって、大西洋と太平洋の北部は反射衛星砲による多角攻撃が十分にできる範囲に収めることはできているので、これ以上どうするのかという話もあるが、あんなことがあった手前、備えるだけ備えておくに越したことはない。

 反射衛星が撃ち落とされていない件については、ある程度の仮説は立っている。

 それはズバリ、ナノマテリアルの特性が関係している説である。

 原作でも、ナノマテリアルと既存物質のハイブリッドで建造されたオプション艦がナノマテリアル純製艦に比べて静粛性などで劣る、ということが言及されていたため、そこから『表面上は同じ物質でもステルス性などの細かい性能でナノマテリアル製の方が優れているのではないか』という説が浮かんだというわけである。

 実際、私のレーダー上でも反射衛星群は反射波がまだ残っている数少ない人類製の衛星に比べて微弱だ。

 そんなわけで恐らくレーダーにはビームを反射するときまでまともに映らないだろうというわけである。

 しかし、あくまでこれは私の仮説であり、逆にもう探知されていてせっせと撃墜準備が進んでいることも否定できないため、今のうちにできるだけ打ち上げておこうというわけだ。

 とりあえず、私達の管轄海域分は網羅できているので、哨戒用の艦隊を削減、その分を氷山港の建造に当てて急ピッチで進めている。

 前述の通り艦隊規模が他艦隊に比べて弱小のため、現在の哨戒艦隊は引き抜かれた結果ほぼ駆逐艦と潜水艦のみとなっているが、敵艦を感知できれば私がすぐに攻撃できるためそれでもいいと現状判断している。実際、時折威力偵察に来る駆逐艦や軽巡洋艦は今のところこの方法で撃沈できているし、潜水艦に関しては独立してベルファストと共に行動しているタシュケントに探知、そのまま撃沈されている。流石に総旗艦艦隊所属のイ400級とかには抜かれる可能性があるが、今はそんな事気にしてられないし、こちらが探知されたとしても氷山港は作り直せばいいし、そんじょそこらの武装ではアーク・ロイヤルのクラインフィールドを貫徹することはできないだろう。

 

 

 ちなみに、太平洋でアラバマが探知したクラインフィールドを展開していないイ400級は予想通りイ401だったようだ。日本国政府内でも『重大な戦果』として最高機密に当てられているようだが、そんなもの私には関係ない。サーバーから無事に抜き取ってきた情報によると、一応隔壁も開くし危害を加える意思はなさそうだが、こちらからの呼びかけにも一切応じず、検査器具も測定不能を示すため政府も扱いに困っているそう。

 そんなだから、原作でも諦めてブラックボックスのまま運用することにしたのだろう。

 

 また、日本国内では、分散首都への権力分散が本格化し、それに伴って各地で戸籍の再整理が行われているようだ。あと海洋総合技術学園が設立された。場所は原作どおり横須賀港である。

 いつか行ってみたいものである。

 

 

 ……あれ?

 私日本国籍もってなくね?

 そんでもって今日本では戸籍の再整理中…

 今が取るチャンスなのでは?

 

 後々学園に行く直前にとっては流石に怪しまれるだろうし、万が一見逃されたとしても、イオナの件で再検査が入るのは間違いないだろう、敵勢力が国内の一大軍事教育拠点に一時的とはいえ潜入を許していたとあっては面子は丸潰れだからな。

というわけでもう一度政府サーバーにレッツゴー!

 

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 アップロード完了…と。

 これで私の情報が政府に登録された、名前はエレオノーレ・ミラ・フュルスト、生年月日は2038年10月9日、両親は船での移動中に幽霊船…つまりは霧の艦隊の攻撃により死亡、その後自身は船員に救助され日本国内の孤児院にて育つ…といった感じだ。

 名前に関しては、一応自艦の名前からフュルストだけとって後はわざわざドイツのサーバーにも忍び込んで戸籍からシャッフルして作成した。

 ご想像のとおり何も考えていないが、自分で考えるよりは遥かにましだろう。

 生年月日は最早黒歴史になりつつあるあの大演説の日付だ。

 

 そんなことはともかく、これで海洋総合技術学園に自然な形で入学できるだろう。

 …試験?

 演算能力でどうにかする。というかするしかない、私前世でも頭いいほうじゃなかったし。

 まぁ超戦艦の演算能力があれば、よっぽど難しいものでない限り余裕だろう。

 

 

 …そういえば、群像っていつ入学するの?

 




広域クラインフィールド

海域強襲制圧艦アーク・ロイヤル固有の武装、小型ビットによりクラインフィールドを延伸する。伸ばせる距離は演算能力に依存するが、本人曰く「今のところ困ったことはない。」そう。



もうすぐ定期試験があるため、少しの間投稿頻度が落ちます。
週1と文字数は最低限維持しますのでなにとぞ…



つづく…




ことができると思いますか?

何が見たい?

  • 401クルークート(続き)
  • 掲示板回
  • アニメルート(続き)
  • 報告書回
  • アーク・ロイヤルの農業生活
  • ティルピッツとタシュケントの苦労日誌
  • そんなことより本編を書け
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