超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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書きたかったところを先に出しただけ


第六話

某年 某日 北極海

 

 北極海では大戦艦ビスマルク率いる緋色の艦隊と超戦艦ムサシとの大海戦が勃発していた。

 しかし、いくら膨大な演算力によって超重力砲の連射を可能とする超戦艦といえども、自身で確認しただけでもビスマルク含め大戦艦級5隻と複数の巡洋艦に追い立てられては限界があり、それでも右舷超重力砲の一斉射により緋色の艦隊の稼働艦はビスマルク1隻にまで数を減らしたが、そこまでであった。

 ビスマルク艦上には事前にコアを回収したシャルンホルスト、プリンツ・オイゲン、アドミラル・ヒッパーがおり、未だに高い戦闘能力を保っている。

対して、展開した高濃度の煙幕が晴れた先では、船体のいたる箇所が破断した超戦艦ムサシが横たわっていた。

 ムサシの最大の武器であった千早翔像も消失し、もはや主砲を撃つエネルギーすら供給できないムサシに、ビスマルクは超重力砲を展開しながら語りかける。

 

「ーさようなら、誇り高き我が友よ。

一瞬でも轡を並べられて楽しかった。」

 

「私もよ」

 

「超重力砲縮退  臨界」

 

 その言葉の直後、翼を広げるように艦を展開したビスマルクの船体中心部から超重力砲が放たれる。

 

 

《ギッ》

 

「高重力子反応!!」

 

 その言葉は誰が言ったのか、もしかしたら海上にいた全員かもしれない。しかし、確実なことはビスマルクの放った超重力砲が何者かの手によってムサシに届く前に無力化されたということだけだ。

 

「ミラーリングシステムを使用せずに、クラインフィールドだけでエネルギーの拡散を制御したというのか。

 

…あれはまずいぞ、ビスマルク。」

 

 観測に専念していたヒッパーの言う通り、ミラーリングシステムの発動兆候は見られなかった…ということは、ビスマルクの超重力砲を素で耐えきったということになる。

 超重力砲をかき消した事による煙が晴れた先には、まるで大型飛行場がそのまま横たわったかのような長大な滑走路…

 …いや、飛行甲板と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が存在していた。

 

「超空母級のあんたと、この海域の主である北洋方面艦隊旗艦サマが、どこに姿を隠しているかと思ったら…」

 

 その言葉と同時に、横たわった飛行甲板の向こう側では、戦闘によって傷つき、大破したムサシを庇うように左右から2隻の艦が浮上していた。

 

「今は空母じゃないよ、超海域強襲制圧艦だよ。」

 

「長いなぁ」

 

「ヤマト姉ちゃんに短いの考えてもらおうか」

 

「そうしようか」

 

 その2隻のうち、ビスマルクとムサシの間に浮上した超海域強襲制圧艦であるシナノのメンタルモデルらは、ビスマルクの超重力砲をかき消した事をまるで当たり前かのように談笑する。

 実際、超海域強襲制圧艦たるシナノの演算能力を持ってすれば大戦艦クラスの超重力砲をかき消すのは可能である。

 シナノは、炎上するムサシを横目に見ながらビスマルクへ問いかける。

 

「さて、最古の霧の艦隊たる緋色の艦隊旗艦大戦艦ビスマルク、いかがする?

掻き集めた戦力は我が次姉の前に崩壊し、もはや健在するのは貴艦のみ、対する我らは無傷にして眷属、それに加え北洋方面艦隊も多数急行中。

貴艦が持つオーバークロックを用いても、この劣勢を撥ね除けるにはいささか辛いと思われるが、それともここで我等と一戦交えるとでも?」

 

 その言葉に対し、ビスマルクは手を叩きながら面倒そうに受け答える。

 

「……やれやれ」

 

 その様子にとある予想が浮かんだヒッパーは双眼鏡を外し、半目でビスマルクを見る。

 

「おい、まさか」

 

「あ~、あれをやるの?」

 

「マジですか、」

 

「みんな、準備して」

 

「船体まで掛け金にしたのに!」

 

 ビスマルク艦上のメンタルモデル達が口々に言葉を発する。

 中でも、コアをビスマルクに預けていたとはいえ、船体を失ったオイゲンの意見は最もである。

 しかし悲しいかな、旗艦であるビスマルクは淡々と言葉を続ける。

 

「私達が船体のコントロールと防御担当、ヒッパーはエネルギー兵器、オイゲンは誘導兵器、シャルはダメコンよろしく。」

 

「「「JAWOHL!!(ヤヴォール!!)」」」

 

「フォイヤー!!」

 

 その号令とともに、船体の至る所からミサイルやビームが発射されシナノへ向い、超重力砲の縮退炉は再び薄っすらと光を放ち始める。

 対するシナノも飛行甲板を展開してミサイルを斉射、周囲の副砲群も速度を上げてビスマルクへ襲いかかる。

 ジブラルタル海峡で端を発し、北極海まで続いた大海戦。

 その第2ラウンドが今、始まった。

 

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「…えぇ〜、この度は、これ程多くの生徒たちがこの海洋総合技術学園に入学したこと、とても嬉しく思います。……」

 

 やぁ、私だ。

 今は海洋総合技術学園のだだっ広い体育館らしき建物の中、直立不動でハゲの校長先生の話を聞いている。

 仮想現実技術の発展によって、こんな古風な入学式はなくなったと思っていたが、たかがデカいゴーグルが登場した程度では学校の入学式は変わらないようである。

 

「〜〜であるからして、この学園に入学した皆さんは〜〜」

 

 ついでに校長の長話も変わらないようである。

 

 この長話の間に私がどうやってこの状況に至ったかを説明しておこうと思う。

 まず、国籍を取った…というか偽造した私はそのままの足で北海道…北管区へ向かった。

 理由は勿論、北管区の現状把握と偽造国籍の有用性の確認である。決してレイキャビクがピリついてる今、美味しい魚介が食べたくなったとかではない。決してない。

 

 艦体を沖合に沈め、夜中にこっそり海底を歩いて浜辺から北管区に上陸した私は、そのまま近くのカプセルホテルで一泊、私が中央管区への列車の運賃の高さに驚いている中、周りは「今日もロボット競馬で金すっちまったよ〜」などとのたまうオヤジばかりだった。カプセルホテルもそうだけどまだギャンブルってあるんだ…てかロボット競馬って何?

 次の日、そんなオヤジどもの後をつけていった結果、元々は陸上競技のコートだったであろうグラウンドに立ち並ぶ屋台や出店に行き着いた。どうやらここはアングラな感じの賭場であるようだ。しかしこんなに大々的に開催しても政府のお咎めが無いということは、政府側も必要だと判断しているのだろう。

 お目当てのロボット競馬は賭場の中心部、コートのトラックを流用して開催されていた。

 前世のロボコンに出ていたような四本足のロボットたちがそこそこのスピードでトラックを駆け回っている。…あれ、遠隔操縦ってことは競馬って言うよりもカーレースのほうが近いんじゃないか?

 物は試しだ、ということで適当にナノマテリアルで構成した服や時計を質屋に買い取らせて軍資金ゲット。

 国籍偽造と同時に発行した国民カードに送信された預金を使って一発当ててやろう!

 

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 ……はい、負けました。

 おのれ…あそこで五番が失速していなければ…

 まぁギャンブルっていつの時代もこんなものか。

 

 …あれ?

 このロボットたち…遠隔操作ということは…

 …やっぱり。

 

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「お嬢ちゃんすごいね~!!

また勝ちかい?! おかげで向こうは商売上がったりだろうな!!」

 

「いえいえ~それほどでも~」

 

 数時間後、私はオヤジ共と一緒にスルメを噛みながら大笑いしていた。こんな言い方をするとなんか犯罪臭がするが、単に大勝ちしている私を祝っているだけだ。

 まぁ種明かしをすれば、私の持つ演算能力を持ってしてロボットの遠隔操作システムに介入、操作権を奪い取ったうえでロボットの関節部をナノマテリアルで強化、全速力で爆走させただけだ。

 なんか脚部から砂埃が舞っていたが、壊れてはいないはずだから大丈夫だろう。

 そんなわけで私が直接コントロールする大穴だったロボットが優勝、もちろんそのロボットに全額ベットしていた私のもとには多額のお金が転がり込んでくるというわけだ。やってることは半ば…というかほぼ黒だが、そこは電子的介入を想定していない運営側が悪いということで。そんなこんなで、疑われないようにするために時々適度な額をドブに捨てながらやること数時間、私の預金は普通に働いていては手にできないだろう額に達していた。流石にここまで来ると疑われるだろうし、明日は違うところにある賭場に行くかと思っていたところ、隣に座っていた漁師っぽいおじさんが話しかけるついでにスルメをくれたのでそれを噛みながら話しているということだ。

 

 

 そんなことを北管区中の賭場で繰り返し、場所によっては出禁になるまで稼ぎまくった結果、最終的な私の個人口座の預金総額は9ケタを超えた。興味だけで始めたこのギャンブルだったが、今では完全に私の主要な資金稼ぎ場と化している。

 まぁこれをギャンブルといってしまっていいのか分からないし、たぶん言ってはいけないのだろうが、これだけお金があれば法外な値段の中央管区への電車のチケットを入手することができるだろう。

 中央管区の平均的な地価は分からないが、これだけあればよほど大丈夫だろう。最悪向こうにもあるであろう賭場でまた稼げばいいし、ギャンブルの電子化サイコー!!

 

 

《ヂッ》

 

 …ん?

 ティルピッツから通信?

 

『どうかした? ティルピッツ?』

 

『どーしたもこーしたもありません!

旗艦様、どれだけそちらにいるつもりなのですか!? 』

 

『どれだけって、もうすぐ帰るつもりだったけど…?』

 

『…旗艦様…自分が業務を放棄して突然日本に向かってから一体どれだけ経ったと思っているのですか?』

 

『えっと……、こっちにきたのが9日で…今が15日だから…一週間くらい?』

 

『…一ヶ月です!!』

 

『うっ…』

 

『氷山港はとっくに完成していますし、ラスクネス首相からの連絡も来ているんですよ、今すぐ帰ってきてくださいね!?』

 

『はい…分かりましたぁ…』

 

 急いで近くの海岸に向かい、周りの人目を確認してから海に飛び込む。今思ったけど、タカオが北管区でイ400とイ402に接触した際、夜の暗闇の中とはいえ全員思いっきり艦体を海上にさらしていたが、あれは大丈夫だったのだろうか。後々マヤを入港させる際にあそこまで神経質になる程住民がいるなら、あの時点ですでにばれていると思うのだが…

 

 

 艦体についた後、最速でエンジンを始動、そのままの勢いでティルピッツから送られてきた氷山港の座標地点へ向かう。海中での全力航行は何気に初めてだったので、何度か艦から振り落とされそうになりながら向かった。

 

 

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「…で、言い訳は?」

 

「…ナイデス…」

 

 その後、無事に艦から振り落とされることなく氷山港に着いた私は、とってもいい笑顔のティルピッツに連れられ、彼女の艦上に移動、そこで長時間の説教を受けていた。

 もう足が痺れるとかの次元を通り越して足が千切れそうだ…

 

 完成した氷山港といえば遠目から見てもすさまじい大きさの巨大建造物であったが、その実態は氷山というより、大型補給基地に氷を展開したようなものであり、建造責任者のティルピッツいわく、エネルギー供給用に海域強襲制圧艦アーク・ロイヤルがほぼ常駐する関係上、戦闘能力はアーク・ロイヤルやその他護衛艦艇に任せてもいいということで犠牲にして、ステルス性に重きを置いているそう。ぱっと見デカくてバレやすそうに見えるが、ドックや、居住部などの大型区域はユニットごとに分かれてバッテリーの続く限り個別に稼動させることが出来るし、海面上の構造物も極力減らし、それでも最低限必要だと判断された屋外設備に関しては、あの手この手で氷山内部に格納できるようになっている。

 そのため、エネルギー生産施設を持つメインユニットはさほど大きくなく、メインユニットを中心として円形に状況に応じたさまざまなユニットを接続することで、居住から艦隊の整備・点検まで臨機応変に活動することが可能になっている。一応、ドックなどのサブユニットにもコネクタはあり、メインに比べれば必要エネルギー量も少なく、巡洋艦クラスが1隻か、駆逐艦クラスが数隻いればとりあえず施設の維持は可能なのでいざというときにはそれだけを前線のすぐ後ろまで持っていって小規模な前線補給拠点として使えるそう。

 

 …なんか私が思い描いていたものよりかなりえげつないものが生まれてしまった気がするが、気にしない方針で行こう。レイキャビクに変わる新たな整備・補給拠点という最初の建造目的にはなんら間違っていないし。

 

「それで、ラスクネス首相からの連絡は見たのですか?

あちらではもう意見が出きったそうですよ?」

 

「………」

 

「今すぐかけてくださいね?」

 

「はっ、ハイッ!!」




ぎりぎりセーフ!!

氷山港のモチーフは分かる人には…というかこれ見に来てる人は大多数が分かると思う。
わからない人は『紺碧の艦隊 鳴門』で検索だ!

アンケートは今週いっぱいで締め切る予定です。
同数の場合は期間が伸びるかもしれません。
そんなわけで来週の更新は少し遅れます。


つづく




…んですかねぇ

何が見たい?

  • 401クルークート(続き)
  • 掲示板回
  • アニメルート(続き)
  • 報告書回
  • アーク・ロイヤルの農業生活
  • ティルピッツとタシュケントの苦労日誌
  • そんなことより本編を書け
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