超戦艦 Großer Kurfürst 作:U・K・Owen
「…はい、では後はそちらの日程しだいということで」
はい、予定よりはるかに遅れたラスクネス首相との対談を終えました、私です。
話によると途中でほっぽり出して自分の欲望のままに動いた責任者がいるらしいですねー
ダレノコトダローナー
「勿論あなたのことですよ、艦隊旗艦。」
「あの…その秘書キャラ標準装備みたいな感じの読心能力止めてくれない?」
「お断りします。
これが無ければあなたの素っ頓狂な行いを止められそうにありませんから。
それで、アイスランド住民の氷山港への移住計画はどうなったんですか?」
「まぁぼちぼちかな、氷山港に移住を決めたのはアイスランド全体の6割ぐらいだそうだよ。残りはイギリスとかへの移住を希望する人たちだって、政府が真っ先に政治機能をあっちに移すと宣言したから本島に残る人は殆どいないみたい。
あと、ラスクネスさん今回の計画で政治から身を引くらしいよ、この移住を機に隠居暮らしするってさ。」
思えばあのご老体、大海戦前、私たちがレイキャビクを訪れたころからアイスランドの政治のトップにいるのである。
世が世で場所が場所なら教科書に乗っていたかもしれない。
「ほう、あのお爺さんが引退すると…?
これからの彼らとの交渉事はずいぶん楽になりそうですね。」
「んにゃ、よほどの大事以外を担当する外交官は殆ど据え置きらしいし、次の選挙には彼の肝いりの方を擁立するそうでね、まだまだ油断できなさそうだよ。」
「あら、そうですか。
実務班の皆にはまだまだ苦労をかけそうですね。」
「…え?
実務班の皆って何、そんなの私聞いてないんだけど…」
「あぁ、どっかのバカが交渉を途中で放り出してもいいように少し前に私の指揮下から数隻抽出して編制したのですよ。
それはそれとして、バ…旗艦様はこれからどうなさるおつもりで?」
「今バカって言わなかった?一応私貴女の上司だよ?
そうだねぇ、あと十年くらいは氷山港の設備整えたり艦隊の装備とかを見直しながら過ごそうかな、まぁもちろん他のところもいろいろ見に行くつもりだけど。
それが一区切りついたらとある学園に行ってみたいかな。」
「学園…人類の教育機関ですか。
バカ…旗艦様はそんなところに何の目的で行かれるのですか?」
「バカって言い切ったね!?
いやなに、霧による海上封鎖の上、大海戦で少なくない損害を受けた島国が、正体不明とはいえ霧の艦艇を拿捕してこれから世界の中でどう進んでいくのか見てみたくてね。」
嘘です。ただ原作キャラに会いたかっただけです。
「霧の艦艇を拿捕した島国というと…あぁ、日本ですか。
確かにあそこにはイ401もいますしね。」
「そうそう、潜水艦とはいえ霧の艦艇が無傷で人類に拿捕されるわけないし、そうなると誰…というか総旗艦がわざとやったんだろうけど、総旗艦がどんな真意でそんなことをしたのか気になってね。」
「確かに、あの方が何も考えずにそういうことをするとは思えませんしね。
…で、その間の北洋方面艦隊の指揮はどうするつもりですか?」
「お願いできないかな、ティルピッツ?」
「貴女という人は…本当に…
…分かりましたよ、貴女がいない間の旗艦代行、慎んでお受けさせていただきます。
できるだけ早めに帰ってきてくださいね。」
「ありがとう!やっぱり持つべきは頼れる部下だね!
まぁ今すぐ学園に行くつもりじゃないし、それまではここで海域の見張りするけどね。」
「あれ、貴女のことだから今すぐにでも出ていくと思いましたが、踏みとどまるのですね。
またなにか理由があるのですか?」
「いや、私が持つ日本の国籍って産まれた年が2038年になってるんだよね。いくらなんでも小学生ぐらいの年齢の子が入学は無理あるでしょ。」
「まぁそうですね、いくら精神性が…
…いえ、何でもありません。」
「その後には何が続くのかな…
とりあえず直近の課題はヨーロッパやイギリスへの移住を希望する住民の運び方だね、素直に私達が運ぶ訳にはいかないし、最悪私達ごと吹き飛ばしにくるかもしれないし、そうされたら私達はともかく人間はたまったもんじゃないしね。」
「そうですね――」
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結局、住民達は夜間に駆逐艦部隊から内火艇を使用して移動、それを数回繰り返すことで無事にイギリスへの移住を希望する全員を移動することに成功した。
その後、薄っすらと噂(夜中の沖合に霧の艦隊を見た)が広まったが、概ね何事もなく馴染んでいるようだ。
イギリスも戸籍の整理や霧の艦隊のこともあって混乱中だったこともあるかもしれない。
また、彼らが積極的に広めようとしなかったことも理由の1つだろう。
その後、艦隊の編制の再整理や、氷山港の設備の最適化などの艦隊業務に勤しみつつ数年が経過、今この入学式に至るというわけだ。
氷山港へ移住した住民については、ティルピッツたちが予想していたよりはるかに多い人数だったため、多少の混乱が生じたが、急ピッチで居住ユニットを増設することで何とか対応した。現在ではほぼ完全に必要設備が整っているといえるだろう。私が途中途中で口を出したのもあって、娯楽施設は世界でもトップレベルの自負がある。
入試に関しては…ウン、思い出したくない。
いやね、私そのものが生きるスーパーコンピュータみたいなものだから理工学系はどうとでもなったけど、問題は文系科目。
国語は前世から得意じゃなかったから諦めがついたとしても、史学はヤバかった。
何がヤバいって、ほとんどの年号が絶妙に違うのだ。この世界って物語世界に似せたパラレル地球、もしくはアルペジオ世界そのものが地球に似た異世界だったりする…?
そんなわけで違和感を拭いきれずめちゃくちゃ低い点数をとった文系科目を航法学や理工学系でゴリ押してここの入学枠を勝ち取ったということだ。
ちなみに今使っているこの体は純粋なメンタルモデルというわけではない。
原作中でタカオがコントロールしていた偽群像たちに似たもので、あちらとは違い可能な限り本物の人体に近づけているが、演算力の関係で作りこみは若干浅いので銃弾などにより損傷した場合は銀砂となって崩れてしまうが、まぁこの学園の中でそんな荒事に巻き込まれることは無いだろう。
演算能力の関係といったが、それは私の本体…というかコアの場所に関係する。
流石にヤマトすら上回る馬鹿でかい艦体を持ってこれるわけは無いため沖合遠くに沈める予定だったが、コアは大丈夫じゃないかと思ったが、探査能力に特に優れたイ401が未だに意思を持たないとはいえ存在する横須賀に長期的に滞在するとなると不安があるのではないかとティルピッツに進言され、コアも艦体と一緒に沖合に置いてくることにした。
使い心地としてはなんというか…大きなラジコンを操作している感じだ。
そして、遠くにコアがあるためなのか、はたまた他の理由があるのかは分からないが、ここ学園で私が行使できる演算能力には限界があるのだ。
さて、そんなことを考えていたらくそ長い校長の話も終わり、列ごとにこれからの予定についての資料が配布される。
え~と、出席名簿のページは…と。
さてさて、誰か知ってる人は同じクラスにいるかな……?
…お、あの人が一緒のクラスか。
それにしても原作キャラ見事にクラスバラバラだな…
こうやって見ると如何に群像の情報収集能力が高かったのかが伺える。
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「―では霧の艦艇保有する特殊なフィールド、その原理は所謂『エネルギーの受け流し』にあると?」
「あくまで予想だけどね、彼らだってこの次元に存在する以上エネルギー保存則は無視できないはずだし、一時的に受けたエネルギーを吸収、保存して戦闘の合間や終了後に放出することで私たちから見たら無限に近い耐久力を誇っているんじゃないかな?」
「…なるほど、確かにそれなら説明がつきますね…
それにしてもエネルギーの吸収ですか…ここまでくるといよいよSFじみてきますね。」
「まぁ霧の艦隊自体数十年前まで都市伝説扱いだったしね。」
「なにはともあれ、これで次回の研究内容が決まりましたね。
あとは資料を持ってきてスライドを作るだけです。」
「あー、その辺は僧君に任せるよ。私そうゆうのはあんまり得意じゃないしね。
後は頼んだ!」
「いいですよ、私はこうゆうの好きですし、何より今回のテーマは貴女が主軸でやってましたしね。
これくらいはやらないと立つ瀬がありません。」
というわけで、私と同じクラスだったのは織部僧君だ。
いやー、名簿回すときに特徴的過ぎるマスクが見えたから察してはいたけど…
その後、入学式早々に行った抜き打ちテストの校内掲示もあり、グループでの発表の際に声をかけられ、そこから今でもちょくちょくある研究発表の際は毎回組んでいる。
ちなみに、今回の発表の全体テーマは『霧の艦艇の保持する各種兵装のメカニズム』である。
ご想像通り、この私自身がほぼ答えみたいなものだ。なんやかんやあって発表の主軸はクラインフィールドに決まったが、まだ正式名称が定められていないようで、教科書等にも『特殊なフィールド』としか表記されていない。
同じ様に侵食弾頭弾も『特殊弾頭』としか記載されていないので、もっと上の方で規制がかかっているのか、まだ名称が公開されていないのかもしれない。
とりあえず、うっかり私が『クラインフィールド』や『侵食弾頭』といった用語を出せば、今はともかく今後あらぬ…いや間違ってはいないか…疑いをかけられかねない。
正直クラインフィールドや侵食弾頭を含めた各種兵装については私もよくわかっていない部分が多く、特にミラーリングシステムなどその最たるものだ。いつか展開している様子を観測してみたいものである。2501とかがこっちに来る前に大西洋でシステムの動作確認とかしていたらタシュケントでも派遣して観測データ取ってきてもらおうかな?
それがなければミラーリングシステムの展開シーンを見ることができるのは最速でも恐らく原作前に北太平洋で起こると思われるイ401、ヤマト、ムサシが深く関わる海戦まで待つことになるだろう。なんならあそこの過去描写でもミラーリングシステム展開シーンは明確にはなかった気がするし、そんなに頂上決戦じみた戦場にいくら護衛をつけるとはいえ迂闊に介入して痛い目見たくないので原作でのU-2501の使用まで待つ必要がありそうだ。
あ、そうそう群像君や、天羽ちゃんは別のクラス…というか二人は同じクラスだった。
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「そういえば、君たちが通ってた海洋技術総合学園ってとこ、結構なエリート校らしいじゃん?
君たちってそんななりして人間の中じゃエリートなんだ。」
その質問に、401のソナー手である八月一日静は、私は違いますけどね、と答えるが、ハンモックに寝そべる砲雷長の橿原杏平は、その実情についてそのまま話す。
「エリートってもなぁ、普通に学園内で落ちこぼれもいるし…
本当の意味のエリートは上位数%だけだよ。」
「ほ〜、そういう杏平はどうなのさ?」
「オレ?オレはダメだwダメダメw
年に1度学校全体で総合評価テストをやるんだが、いっつも200位ぐらいをフラフラしてた。」
その言葉に、群像の右腕として副長を務める織部僧はささやかな反論を提示する。
「でも、砲術と水雷はいつも全校で一桁にいましたけどね。」
「エリートってのはこいつみたいな奴を言うんだよ。
こいつはいつも総合4位!」
「ふ〜ん、他のクルーは?」
「最後の評価テストではいおりが6位、真瑠璃が3位、後は…いや、なんでもない。」
「?
どうかしたの?」
「あー、後一人成績総合5位の奴も僧と群像、それに俺とも一応面識はあるんだが…
ここで話すような話題じゃないと思ってな。」
「ふーん、じゃあそんな貴方たちとも関わりがあって優秀な人材がなんでイ401に乗ってないわけ?
まさかスカウトを断られたとか?」
「うーん、なんというかその「死にましたよ。」…おいおい僧、これから飯時だってのに辛気臭い話はせんでくれよな〜」
「分かってますよ。
…ええと、何から話せばいいでしょうか、結末から言えば彼女…エレオノーレ・ミラ・フュルストは死にました。
「…ごめんなさいね。
私…いえ、私達はまだ何かを失う悲しみを上手く理解できていないの。
ちなみにそのテストの一位は誰だったの?
やっぱり群像?」
「んにゃ、あいつは万年2位だったよ―――」
・実務班
北洋方面艦隊旗艦の後始末をするためにティルピッツが新しく創設した部隊。いつも旗艦の尻拭いをしているという共通点からか、旗艦直属艦隊に所属する各艦ととても仲が良い。
…前書きでも言いましたが、遅れてすみませんでした。
こんな駄文をわざわざ見に来てくださってる方がいる限り、失踪はしないつもりです。
つづく
…ぽいぽい〜?
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