超戦艦 Großer Kurfürst 作:U・K・Owen
…あれは嘘だ(震え声)
燃え盛る業火の中からこんにちは、私です
私は今、全方位を炎に囲まれています。
神様、私何か悪いことしたでしょうか?
そんな現実逃避は置いておいて、今のこの状況からも分かるとおり、第四施設事件が現在進行形で起こっている。
ちなみに今は四月一日、もう大筋以外の記憶は割とあやふやだが確か原作でもこのぐらいの時期に起こっていたハズ…
もっと言えば翔像さんはもう行方不明になっていた。
あのシーンにはヤマトとムサシのメンタルモデルも映っていたからてっきり第四艦隊施設後だと思っていたけど…
彼がムサシ艦上で確認されたというニュースを眺めてはじめて知ったから仮にあれがもう起きてたとしてももう観測できないし…
僧君を通して知り合った群像君たちのクラスとの合同授業ってことで現代の高校生なら春休みの日に授業に出なきゃならんモチべを上げてたのに…
ええいこうなったらもうやけじゃ!
目に付く奴全部拾いあげたる!
最悪このボディは捨ててもいい!
幾らでも替えが利くこの体よりも人生一度きりの仲間と過ごす青春のほうが大事!
「…き…ま……か!
…聞こえますかエレオノーレ!?」
「そんなでっかい声出さんでも聞こえとる!
僧!確か上にいたよな!?そっちの様子はどう!?」
「えぇ、こちらも大混乱です。今先生らと一緒に外部への通信の復旧を試していますがまだしばらく時間がかかりそうです!それと群像と琴乃は管制室で避難誘導を試みてます!
そちらは今どこにいるのですか!?」
「私はさっきまで地下4階の右舷埠頭にいて急に火が回ってきたからとりあえず近くの生徒二人抱えて階段全力疾走してる!」
「なっ…防護服もなしに危険すぎます!」
「近くになかったしあってももう燃えてたからしょうがないだろう!?
とりあえず今抱えてる二人はこのまま地上まで連れてくよ!
あと新品の通信機ある!?」
「わかりました、通信機ですか。
あるにはありますが…まさか」
「もちろん往復する!
今ならまだ間に合うかもしれない!」
「危険すぎます!せめて防護服を着てください!」
「あんなゴテゴテ着てないほうが速い!
とにかく急いで!一人でも助けるよ!」
「…分かりました、でも安全第一でお願いしますよ!」
「分かってる、そう簡単に燃えたりしないよ!」
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そんなこんなで地下の埠頭と地上とを何往復して、とりあえず目に付く人は今手に抱えている人だけになった。
この人を届ければ一旦終わりだ…!
もう一方の左舷埠頭は群像達が避難の誘導してるから大丈夫、見逃してる人とさらに下階の潜水艦用の埠頭にいた人は…もうわからない、とっくに炎に飲み込まれているだろう…
ともかく地上まであと少し…
うわっっ!!
前方で天井の大規模な崩壊、間に合わない!
こうなったら…
抱えてる避難者を瓦礫の下を通るようにシュートッ!!
超、エキサイティン!!
完全にふざけているように見えただろうし、実際こんなことしなくても普通に間に合う可能性もあったが、向こう側はすぐに壁があるわけではなかったし、無理に抱えたまま飛び込んで私ごと押し潰されたら元も子もないので多分これが最善だっただろう。
まぁその代わりに…
「エレオノーレ?
そちらで大規模な構造物の損害が起こったようですが大丈夫ですか!?」
「…あー、無理っぽい。
今抱えてた生徒は多分瓦礫の向こうへ届けられたと思うけど…」
そう、私一人だけ瓦礫の反対側に閉じ込められてしまったのだ。
「今どこにいますか⁉
群像達をそちらに「大丈夫!」…なぜ!?」
「群像君達はあっちの避難誘導で手いっぱいでしょ?
ここに残ってるたった一人のために動かすべきじゃないよ。」
実際問題、私はここで溶けても死ぬわけじゃないしね。
「しかし!」
「大丈夫、こっちに残ってる無事な人は多分もういないよ。
少なくとも私が入れた区画の中にいた人は全員担ぎ上げた。
こんだけ助けられれば私も悔いはないよ…
まぁ、強いて言うなら君か群像君の艦で航法担当とかやってみたかったな、ってことぐらいかな。
…もう通信機もヤバいし切…
…ってあ、切れちゃった」
まぁ半分以上溶けかけてたし当たり前か。
むしろここまで保ったほうがすごいと思う。
いやーこの体痛覚とかはあんまないけど流石にあっついなぁ。
…やべっ、洒落にならんほど熱くなってきた。
あー!!体が溶けるー!!
せっかくティルピッツにも手伝ってもらって作った体なのに!!
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「…と、そんなわけで向こうでの私は死亡扱いになったからこっちに逃げ帰ってきたってわけ。
ごめんね?作るの手伝ってくれたあの身体壊しちゃって。」
色々なところに寄りながら久しぶりに帰ってきた北洋方面艦隊所有の氷山港、一通り設備や艦隊の状況を確認した後、艦隊を任せていたティルピッツと紅茶を啜っている。
私の言葉を聞いたティルピッツはゆっくりと紅茶をテーブルに置き、口を開く。
前々から思ってたけど、こういう動作1つとっても絵になる。
「大丈夫ですよ、そもそもあなた一人に作らせたらとんでもない物ができそうですしね…で、どうでした?
彼の国の人々の様子は。」
「そうだね、レイキャビクもそうだけど、島国根性ってやつなのかな?霧の包囲の中でも結構たくましく生きてるよ。
この様子だと、霧側が手痛い反撃を食らうのも、そう遠くないんじゃないかな。
そっちこそ、氷山港…特に居住区の様子はどうだい?」
私がいない間、ここはどうなっていたのだろうか。
ここに来る前に街を見た感じ、あながち悪いことにはなっていなさそうだったが。
「えぇ、こちらも順調ですよ。
特に食料生産系はアーク・ロイヤルが主導しており、この調子だと今季も豊作になりそうです。この紅茶の葉は彼女が直接育てているんですよ、大量生産ではない分値ははりますがそれ以上に品質がいいと好評なんです。」
ここの食料事情とついでに彼女の農業技術も進歩しているようだ。
というか、北海で紅茶の葉が育つのか…科学の力ってすごい。
「いいねぇ、民が飢えないってのはとてもいい。
それにしても、まだ住み始めて数年なのにもう住み慣れている雰囲気だね。」
「はい、この前には御老体の孫も生まれたらしいですよ。
久しぶりに見たと思ったらめちゃくちゃ自慢されました。」
「あはは、いいお爺さんになりそうだね。
そういえば、私が死んだことになっている訓練施設の事故だけど、ちょっとおかしなことがあったらしいんだよね。」
「ほう、それは一体どんな?」
「私のほかにも施設の管制室から避難誘導をしてた子達がいたんだけど、その中から現場で避難の指揮をするために防護服を着用していたとはいえ火災現場に直接向かった子が生き残って管制室で指示を続けた子が死んじゃったみたいなんだよね。」
そう、何を隠そうこの事件…と言うかこれからの世界にとって最重要人物と言っても過言ではない天羽琴乃そのひとについてである。
これは原作を読んだときにも思ったことだが、なぜより安全な管制室に篭っていたと思われる彼女が被害にあったんだろうか。ヤマトのコアが向かったとしてもある程度の時間的な余裕はあるはずだし…
「確かに、それは妙な話ですね。
いくら火が上に向かいやすいとはいえ管制室は地上近くにあったはず。そこにいた人が逃げる間もなく焼かれたというのは少々おかしい…もう一つの火種が近くにあったんでしょうかね?」
「いやー、流石に電子的な精密機器満載の管制室にそんなリスクがあるものは置かないだろうし…」
「それなら…
「うん、私もその可能性が一番高いと思うよ。
それも、
私のその言葉に、ティルピッツは神妙に目を細める。
「…深く関わるとは?」
「実は、火種…というか出火場所の近くで高エネルギー反応を探知したんだよね。
今回の事故…いや、事件は間違いなくそれが原因と思っていいだろうね。」
「ふむ…それだけならあちらの機密兵器とかなのでは?
なぜ私達に関わってくるのです?」
「それがね、その高エネルギー反応、エネルギーの検出パターンが我々のコア…それも私や貴女みたいな上位コアと瓜二つだったんだよね。」
「ということは、鹵獲されていた霧の艦艇のコアの暴走ですか?」
「いや、あの施設…を含めた人類の基地のどこにもにはそんなものはおいてないよ。そもそもあの国が保有…というか拘留しているイ401は確かに総旗艦直轄艦隊所属の大型潜水艦でうちで運用しているM型とかS型みたいな普通の潜水艦と比べると頭一つ抜けた演算能力を持つけど流石にあそこまでの被害が出るほどのエネルギーの放出が起こせるとは考えにくい。
要するに、少なくともあのときあの施設には大戦艦以上の艦種のコアがいたことになる。それも、艦体じゃなくてコアむき出しの状態で。」
「ですが、なんのために?
その施設には人類にとってそんなに重要な物があったのですか?」
「それもない、あそこは確かに機密区画もあったけど教育機関の施設見学が許可される以上そんな大したものじゃなさそうだし、もっと言えば霧の脅威になりそうなものもないよ。」
「…
「うん、たぶんね。
もっと言えば動いていたのは霧の総旗艦たる超戦艦ヤマト、目的は失われたアドミラルティコードに関するんじゃないかな。」
「確かに、もう百年経ちますしね。
総旗艦が新たな上位者を迎えようとするのも頷けます。
とすると、霧の中でも嵐が吹き荒れそうですね。」
その通り、彼女の言葉は言いえて妙だが、これからの地球では人類、霧、そしてそれらの『上位存在』とも言うべき何者かをも巻き込んだ、今ヨーロッパで発生している戦争とは比べ物にならない超弩級の嵐が地球規模で吹き荒れるだろう。
口には出さないが、その中心となるのは間違いなくイ401とコンタクトを取ることになるであろう千早群像と第四施設を保有する日本になるだろう。
「そうなんだ、私達も今までのようにただ彼らと敵対するようなこともなくなるかもしれない。
私達も変化に対応しなきゃいけないってことだよ。」
「そういえば、旗艦様が帰ってくる少し前からあちらからの攻撃も途絶えていますね。」
事実ティルピッツの言うように霧からの攻撃も途絶えている。
最も、激しい攻撃が続いていたのは開戦数ヶ月ほどで、それからは専ら駆逐艦や巡洋艦で編成された艦隊による小規模の威力偵察が殆どだったのでそれだけで第四施設事件と関わりがあるかといわれると微妙かもしれないが、太平洋と大西洋のどちらからも侵入が無いことから霧の艦隊すべてに命令権を持つ総旗艦がかかわっているのはほぼ確定だろう。
「そうそう、もう一ヶ月くらい経つけど、そろそろ新しい行動を起こしてくるんじゃないかな?」
「なんでそういう事を早く言わないんですか。
…っと、太平洋方面に配備していたピケット艦から通信!
太平洋を北上する霧の艦艇を探知したとのこと!」
太平洋から…ということはコンゴウ旗下の東洋方面艦隊かな
「久しぶりのちょっかいかな?
衛星砲撃ち込むから位置情報共有してくれない?」
艦体を展開して発射準備に入る。
「いえ、報告によるとどうやら今回は少し違うようです。
探知した艦艇は1隻…霧の艦隊総旗艦、超戦艦ヤマトです。」
「…噂をすればなんとやらって感じかな?
アレ相手じゃ流石に反射衛星砲はほとんどの効果ないだろうし、私が直接出るよ。」
展開を中断し、降ろしていた錨を巻き上げ、重力子機関を起動させる。
さて、この時期に向こうからの接触、一体どんな用件だろうか。
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公には原因不明ということになっている第四施設焼失事件、それからしばらく経ったある日の出来事。
第二次世界大戦時の潜水艦である伊号401を模した艦の見た目とは似つかわしくない近代的な戦闘指揮室。
白を基調とした床にコンソールと椅子がぽつんと置かれているその場所で、二人の学生が会話を交わしている。
「幾ら昔からの付き合いとはいえ国そのものを敵に回すようなことにつき合わせてしまって申し訳ない。」
黒のスーツを身に纏った少年がもう一人の顔全体を覆うようなマスクを被っている人物に謝罪する。
それを聞いた人物はマスク越しのくぐもった声で
「いえいえ、こちらとしても私の
と返す。
「有難う、というか俺としてもあの席を勝手に埋めるつもりは無いよ。
なにはともあれ、これから頼むぞ。
人類が未だに解析出来ない部分を多くもつ霧の艦艇の一隻であるイ401、そのブリッジに並ぶ席の一つである航海長席。
その椅子は、未だ主人を持たない。
思ったより長引いてます。
ちなみに私はまだ26巻買えてません。
一般学生の財布事情は世知辛い…
つづく
…と思います。
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