超戦艦 Großer Kurfürst 作:U・K・Owen
ありがとうございます!
というわけでこの小説にもゆかりさんときりたんがやって来ました。
読み上げにすると誤字脱字が非常に分かりやすいので重宝してます。
某日 北極海
地球温暖化による海面の上昇に伴っても、未だ数多く残っている流氷の中を超大型の艦が航行している。
その様子は艦自体の白銀の塗装や静けさもあって、さながら氷で創られた城のようだった。
その艦―超戦艦ヤマトの最上部、本来は主砲の射撃指揮所が鎮座していた場所には、学生服らしい装いの少女が立っていた。
突然、その少女の視線が艦の右舷側に振られると、その視線の先の海面がまるで槍で突き上げられた布のように膨れ上がる。
その中を突き破って出てきたのはヤマトと同規模…いや、わずかに上回るであろう超巨大戦艦だった。
「始めまして、北洋方面艦隊旗艦グローサー・クルフュルスト。
私は霧の艦隊総旗艦ヤマ…っ!」
一礼をして名乗りかけた少女の言葉は今しがた隣に浮上した艦の頂上に置かれた椅子に座る別の少女を見た瞬間、息を呑むようにして止まる。
「まーまー、積もる話はあるだろうけど、とりあえず紅茶飲む?
美味しいよ、これ。」
件の少女は、特に気にする様子もなくヤマトに向かって紅茶を差し出す。
最も、お互い隣り合っているとはいえそれぞれの艦の頂上部にいるので、ヤマトにもかろうじてそれがカップであることがわかっただけであったが。
「え、えぇ。分かりました。今そちらに向かいますね」
その言葉の後、ヤマトは狭い足場で器用に軽い助走を取り、隣接する艦―グローサー・クルフュルストに跳び移る。
「お〜、流石だね。学年首席サマ」
「その前にいくつか質問をさせて。
まず貴女は何者?そして、何故その姿を取っているの」
威圧するような視線と共にヤマトは己の主砲塔を旋回させる。
「怖い怖い、そんなに睨まないでよ。
別に私はエレオノーレを物理的に取り込んだわけではないよ。」
「ではなんでそんな…彼女の姿形そのままをメンタルモデルにしているの?」
「まぁまずは自己紹介をしようか。始めまして…ではないよね、私は霧の北洋方面艦隊旗艦、グローサー・クルフュルスト。またの名をエレオノーレ・ミラ・フュルストって言うわけだよ」
「何を言っているの、メンタルモデルは私が直接データリンクに上げたはず。
…まさか、それ以前から固有のメンタルモデルを持っていたっていうの?」
少しばかり顔を俯けて考え込むような動作をとった後、その可能性に気づいたヤマトはゆっくりと顔を上げながら問いかける。
その質問にグローサーは鷹揚に頷くと共に、手に持った紅茶のカップを立った今生成したテーブルに置き口を開く。
「その通り!
そんで私は、一般人エレオノーレ・ミラ・フュルストとして海洋総合技術学園に通ってたってわけ。
ちなみに北洋方面艦隊に所属する重巡以上の艦艇はほとんどメンタルモデルを持ってるよ。」
「成程ね、じゃあガワは違っても中身は学園時代のままってこと?」
「まぁそうなるね、ガワ…っていうかあの身体は燃えカスになっちゃったし。」
「よかった!
実はあの後、あそこでの被害者をどうにかして治そうとしたんだけどエレちゃんだけ見つからなくって…」
「いやー、まぁ大丈夫だと思うよ?別に身寄りがいたわけでもないし」
「そういう考え方がだめだっていってるの。
…でも、何はともあれ生きてるって分かってよかったよ。」
「これを生きてるっていうのかも微妙だけどね。」
「細かいことは気にしない!『我思う、故に我あり』だよ!」
「確かに、それもそうだね」
励ますようなその言葉にグローサー・クルフュルスト―エレオノーレは笑う。
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はい、どうも私です。
ただいま私の艦上で元海洋総合技術学園生徒会長、現霧の艦隊総旗艦超戦艦ヤマトのメンタルモデルの一人であるコトノとの再開祝いを兼ねたお茶会を楽しんでいる。
半分ドッキリのつもりで全力でステルスして隣に急浮上しながら紅茶を差し出したらすげー威圧感で詰め寄られて主砲を向けられたときはとてもとてもびびった。
ついてきたティルピッツはもう一人のヤマトのメンタルモデルと共になにやら談笑している。
盗み聞きしようと思ったが、「―お互い苦労してますね」という言葉を聞き取った瞬間止めた。
ちなみにこの人、生徒会長時代に『全校生徒と教職員の顔と名前を記憶している』というとんでもないうわさが立っていた。もっといえばこの噂、本当のことである。
「生徒会長たるもの、名前は間違えないようにしなきゃね」
という理由で覚えたと僧君経由で仲良くなったあとに聞かされたときはもしやこのときからメンタルモデルだったのではと疑ってしまったのをよく覚えている。
そして今の会話の話題は私が観測できなかったムサシたちについてである
「――とそんなことがあってね。私としてはあの子を止めるつもりも咎めるつもりも無いし、ひとまずの間は自由にさせておこうと思ってるよ。一応こっそり護衛もつけたしね。」
「護衛?でも並みの艦じゃ先に見つけられちゃうんじゃ?」
「うん、だからあの子には改装を終えたばかりのシナノをつけたんだよ。」
ここでシナノが出てくるか、成程大西洋にいたムサシについていたのか。道理で私が読んだところまでではセリフしか出てなかったわけだ。
でも…、偵察型の潜水艦じゃなくてバリバリ戦闘艦艇のシナノを出すってことは…
「ムサシが行ったのって大西洋だよね?
超戦艦をどうにかできる勢力がいるとは思えないけど?」
「あら、いるじゃない。大西洋と太平洋の北部を管轄していて『大海戦』と同時に霧との縁を切り、今の今まで敵対し続けている一大勢力が。」
どう考えても私たち警戒です。本当にありがとうございました。
真面目に考えれば一個方面艦隊規模の勢力が十数年も霧と敵対して存在し続けてるって脅威以外の何物でもないか。
もしかしなくても太平洋方面の海域強襲制圧艦が改装を終え次第アリューシャン列島とかに回されてるのもこっちへの警戒だったりする?
「正直貴方達と対峙することを考えるとシナノだけでは心もとないと思っていたんだけど…
ま、一番の警戒対象がこんなことになっているとは思いもしなかったし、ヨーロッパはヨーロッパでそもそもきな臭かったからそっち方面への警戒もかねてね。」
「あぁ、あの『霧の回廊』のことか。
確かにあれはよく分からないなぁ」
黒海の沿岸の都市セヴァストポリ周辺に広がる『霧の回廊』については私もよく分からない。そもそも管轄外だし、認識としては『超巨大な通信遮断フィールド』って感じだ。
あれだけでなく、ヨーロッパ全土が史実AIオフにしたHOI4みたいなことになってるからなぁ。
なんだ騎士団って、中世か?
「そんな感じだね、正直私も見てて危なっかしいからそっちでも出来るだけ見ててあげてくんない?」
「まぁいいけど…仮にも自分の姉妹なんだからそこらへんはもっとちゃんとしたほうがいいと思うけどねぇ。私は一人っ子だからそういうのはよくわかんないけどさ」
これに関しては前世含めてもマジである。
正直姉妹艦としてプロイセンとかいたらよかったな…
「うっ…そういえば以前からメンタルモデルを持ってたって、具体的にいつぐらいから持ってたの?
『大海戦』の直前くらい?
というか、どうやって手に入れたの?」
質問が多い多いって
「うーん、私が起動した直後くらいだから、2030年位かな?
方法は分からない、気づいたときにはもう私って言う自我が確立されてたし」
こういうところはちゃんとぼかしとかないと何があるか分かったもんじゃない。
相手は素の能力に加えて主人公補正ならぬ生徒会長補正も持ってる超人だ。
「じゃあ霧の中での最年長はエレちゃんってこと!?
私がお姉さんだと思ってたのに!」
「初めに『大海戦』を引き合いに出した時点で察してたでしょ。」
「まぁね」
「それに最年長といってもメンタルモデルの中での話だからね。
艦としてはもっと先に起動した者もいると思うよ。」
「それもそうだね、そっちではメンタルモデルの受け入れはどうだったの?
こっちでは今ネットワークに上げたばっかりで賛否両論あるんだよね。ある艦は戦略の向上のために採用したりまたある艦は不確定性を問題視して採用しなかったり。正直言ってどちらも正論ではあるからどうにもこうにもね…」
「それはそれは、ちなみにそれぞれどんな艦なの?」
「えーと、例えば東洋方面艦隊だと賛成派がナガトとかさっきも言ったシナノとかで、反対派がコンゴウとかヒュウガとかかな。」
あれ、ヒュウガも反対派なんだ。
そういえば原作でもそんな事を言っていたような気がする。
だめだな、知識が若干薄れてきてる。
「思っていた以上に真っ二つに割れてるね…」
「そうでしょ?
だからメンタルモデルの先達に何か教えを請えないかと思うんだけど…」
「ふっふっふ…教えてやろう…
とはいったものの正直参考にならないと思うよ?
うちは単純に所属艦の中で最も早く起動した私がほぼ同時にこの身体を得たからそのまま即席のネットワークシステムにあげて、私以外の艦はそれを元に初めからメンタルモデルもってたからね。
…あ、そういえば人類との交流も大事かもしれないね、うちの艦達もレイキャビクでの生活はいい経験になったっぽいし。」
実際、この前居住区に行ったら『北洋方面艦隊の皆さんにも大人気!!』みたいな看板掲げてる店もあったし。
もっといえばその店、ガチで艦隊内で人気らしい。ティルピッツもたまに行っているとか。
この話終わったらコトノもつれて行こうかな?
「成程、でもこっちにはそんな人がいる島はそんなに無いしあったとしてももうみんな避難してるからねぇ…」
「それもそうか…
もういっそのこと日本とかに行ってみたら?
少し変装したらいけそうだけど。」
「それはそれで反対が出そうだね…」
「でもそんぐらいしないと変わらないんじゃない?
ちょうど日本に401がいるんだし、試してみたら?」
ここで自然な流れで401の状況を聞いておく。
私が大西洋にいる間に原作始まったらいやだし。
「いやいや、あの子は群像君の艦になってもらうからそんな暇無いよ。」
なんというか…原作中でも割と言動の節々からにじみ出てたけど…
この群像ストーカーめ。
「でもやってみるのはありかな、あの子…というか諜報部門の潜水艦は隠れやすいってことでメンタルモデル採用派が結構多いし。
…活動用のお金どうしよう。」
「それならいい方法があるよ!
実際に私も日本で暮らし始めるときに使った方法だしまだいけるはず。」
「そんな方法あるの?
まさかハッキングとか言うつもりじゃないよね?」
「言わない言わない、まぁちょーっとグレーな所はあるけど法律には一応ひっかかってないはず。」
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「金は集められたが総旗艦、どこでこんな方法を思いついたんだ?
ここにいた頃はこんな所縁がなかったのでは?」
エレオノーレとコトノとの会話からしばらくして、以前と目的は違えど再び日本に上陸した401。
非合法のカジノで大金を手に入れた彼女は、概念通信を通して自身の直属の上司であり、またこのカジノに行くことを指示した超戦艦ヤマトのメンタルモデルの一人、コトノに問いかける。
『確かに私は無かったけどね。
友達が結構こういうところ入り浸ってたんだよ。』
「それは学生としてどうなんだ…」
ごもっともである。
コトノは艦隊内の更なる混乱を防ぐため、北洋方面艦隊の情報は共有していないが、エレオノーレは学園にいた頃も結構カジノや賭場に行っていた。
その上勿論負けもあるとはいえ総合的には勝ちまくっていたため、賭場の運営からはあまりよく思われていなかったが、賭場に入り浸るダメ人間からの人気は凄まじかった。
運営の人が彼女のイカサマを証明するためにその賭場のセキュリティが跳ね上がり、結果として彼女以外のイカサマを見破りまくってその界隈で恐れられる賭場と化したのは常連客の間では有名な話である。
また、噂の域を出ないが『非公式の大規模ファンクラブ』があったという話まである。
『その友達にもいつか貴女のことを紹介してみたいね』
「そんなダメ人間はごめんこうむる。
というか、件の人物が今回の目的の人物ではないのか。」
『うん、群像君とはまた違った子だね
まぁ今は日本にいないから会うことは無いと思うけど、あの子はあの子ですごいからいつかは会うことになると思うよ。
…久しぶりにあそこの料理食べに行こうかな?』
通信の、日本にはいないという言葉を不思議に思った401がコトノに聞き返す。
「日本にいない、とは?
我々の封鎖網を突破したということか?」
『そういう訳じゃないんだけどね…
それも含めてまたいつか紹介するよ』
プロイセンについては割とマジで悩んでた。
でも動かせる文章力が足りないと判断し断念…
誰か書いて…(チラッ)
次回
今度こそ原作突入!
つづ
…けないといけない気がする、流石に。
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401クルークート(続き)
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掲示板回
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アーク・ロイヤルの農業生活
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ティルピッツとタシュケントの苦労日誌
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そんなことより本編を書け