超戦艦 Großer Kurfürst 作:U・K・Owen
…ところでなんでこんなにも続いているんでしょうか(自問)?
某日 北管区 函館
先日の401との戦闘後、401に武装をロックされた状態で太平洋に撤退したタカオは401が乗せていた『人間』というユニットを獲得するためにそのまま北上。
現状穏やかな北管区沿岸に位置する函館新市街までやって来ていた。
闇夜にまぎれて上陸、付近を探索していると北海道の寒い夜中には似つかわしくないような薄着のワンピースを着た少女が現れた。
「あら…?
人間…じゃないわね、何者?」
「あれ、こうもすぐばれるとは思わなんだ。」
そう答えた少女は、「やっぱりこの服目立つよなぁ」とぼやきながらタカオへ近づく。
「もしかして、もう諜報部隊がかぎつけたかしら?」
「いやいや、私はあの子達とは別筋だよ」
無断で哨戒海域を飛び出していたタカオの頭には一瞬総旗艦直属の彼女らの姿がよぎる。
しかし、タカオのその予想に反してワンピースの少女は軽快にその関係を否定する。
だが、『あの子達』と形容したということは400や402を主とする霧の諜報部隊、ひいては彼女らを直轄する総旗艦ヤマトとも深い関わりを持つ可能性があるということ。
なんにしろ霧と関係があることは間違いないだろう。
「まぁあんたが何者かなんてどうでもいいわ。
私に何の用?」
「切り替え早いね…
ところで貴女はこれからどうするつもり?
401の拠点…そうだね、硫黄島辺りに行くつもりかな?」
「…ッ!
なぜそれを!?
…気が変わったわ、あなたは誰?」
自分で401から勝ち取れたと思っていた情報が目の前の存在に仕組まれていたかもしれないと考えたタカオは数秒前の自身の言葉に反して問う。
「うーん、そうだな…
ケイ…とでも呼んでくれればいいんじゃないかな?」
「あくまで正体を明かすつもりは無いってことね…」
「そうだね。
あぁ大丈夫大丈夫、貴方に危害を加えるつもりは無いよ。
私も貴女と同じ…彼らの未来を見たいんだ。」
「ふぅん、最終的な目的を教えるつもりも無い…と。」
少女としては本当にそれが目的なのだが、抽象的な言い方にタカオは適当にはぐらかしていると判断したようだ。
「そういうわけじゃないんだけど…まいっか。
とにかく、何度もいうけどべつに戦いに来たわけじゃない。
貴女がこれからどうするつもりなのかを聞きに来たんだよ。」
「じゃあ答えさせてもらうわ。
貴方の言うとおり私はこれから硫黄島に向かって彼らを先回りするつもりよ。
これでいいかしら?」
「そうかい、でも、あそこがもぬけの殻ではないことは忠告しておくよ」
具体的にはヒュウガがいるだろうが、あえてぼかして伝える。
「それはどういう…」
「じゃ、そういうことで~」
そのあまりにも軽薄な別れの言葉と共に少女の身体は崩れ、地面には銀砂が残された。
「銀砂…?
やっぱメンタルモデルか…!?」
地面に残った銀砂を拾い上げたタカオはそこから先ほどの少女がメンタルモデルではないかと推測する。
実際それは間違いではないし、ヤマトと関わりがあることも事実だが、彼女がそれを知るのはもう少し後になる…かもしれない。
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どうも、私だ。
数年前のヤマトとの会話の後、無事に着せ替え人形にされた(今回来てきた服もその時の中の一着だ、しかしこの精神年齢であのワンピースはいろいろ辛い)私はほうほうの体で氷山港へ帰還し、それからは氷山港の整備や海域の管理、あと居住区の人気店巡りをしていた。
あのお店のサンドイッチ…ほんとに滅茶苦茶美味しかったな…
そのおかげでタカオ戦を見逃してしまったが、まぁいいだろう。
決して悔しがってはいない、決して。
その代わりに函館でタカオにも会えたし、ついでに美味しい蟹も食べられた。
やっぱりこういう謎の人物の名前って言ったらケイっていう感じあるよね。
大戦艦同士の合体機動のデータは取りたかったが横須賀にはアラスカを護衛に付けたタシュケントを向かわせたのでよっぽどのことがない限り大丈夫だろう。
というか、タカオはやはり硫黄島に向かう予定か…
ヤマトと私の関係はヤマト配下の艦艇には伝えていないらしいし、下手にばれたら不味いだろう。
いっそのことタカオより先に硫黄島に向かうか?
『旗艦様、大西洋方面の早期哨戒艦が謎の艦影を探知しました、データ送ります。』
ん?
ティルピッツからの連絡…ふむふむ…
こっちのほうが面白そうだな…
『了解した。
これよりそちらに向かう。タシュケントとアラスカにも任務を終え次第帰還するように指令を出す。
くれぐれも彼の艦を刺激しないようにね。』
さーて、それじゃあゾルダン君に会いに行くとしますか。
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「で、今どんな状況?」
「北洋方面艦隊第一艦隊に所属する早期哨戒艦、スコーピオンが海中を航行する中型の潜水艦を検知、その後それに追随する多数の小型艦を検知しました。
現在はデューク・オブ・ヨークが足止めを兼ねて戦闘しています、また中型艦については探知した直後マスカーを展開し現在まで所在が掴めていません。」
間違いなく2501だな…いや、一瞬とはいえゾルダンが自身の座乗艦をそうやすやすと探知されるような場所に置くとは思えない。
「ティルピッツ、件の中型潜水艦からと思われる攻撃はあった?」
「いいえ、観測データから推測するに戦線の後方に位置していると思われ、水上艦に対する攻撃はすべて小型艦によって行われています。」
…やっぱり探知したのはミルヒクーだろう。
もしかしなくてもこれ群狼戦術の実験されてるな…?
まぁデューク・オブ・ヨークが一方的にやられるとは考えづらいし、逆に大戦艦一隻ごときに2501がやられることも無いだろう。
「その中型艦は本体ではないね、たぶん補給艦か何かだ。
面白そうだし私も行くよ。」
「なっ!?
まってください!」
探知深度最大…そこか。
海底渓谷と変温層が重なり合った地形…潜水艦が隠れるには最適すぎる場所だよね。
「デューク・オブ・ヨーク、私が代わる!
いったん引いてティルピッツと合流して!」
「了解しました!
しかし旗艦様!」
「大丈夫!」
直後に2501が魚雷を一斉射、これまで前線のすぐ後方においていたミルヒクーと思われる艦を最後方まで下げ、ゼーフントを全面に押し出してくる。
ゼーフントの中でもソナーを発信するタイプを優先して艦底部魚雷で沈める、あれ等は意図的にソナー波を出しまくることによって海中をうるさくかき乱すことも可能であるかもしれないため、2501を逃がしてしまう原因になりかねない。
たった今艦尾にゼーフントからの侵食魚雷を食らったけどそんぐらいは必要経費。
狙うは本丸、2501本体だ
そんでもって向かってくる魚雷を迎撃する騒音に紛れて主砲を起動、高速で動き回る2501の未来予測位置の艦後部に落とすように右舷に艦体ごと俯角を取って斉射。
それと同時に左舷の副砲群を分離して海中に突っ込ませる。
あれ、主砲は全部避けられたか。流石は水中高速型Uボート。
うーん、私もまだまだだね。
だが!残念ながら私の超重力砲を除いた最大火力は主砲ではない!
回避機動によって速度の落ちた2501の周囲に副砲群が取り付き、攻撃を開始する。
実際これって射程短くなった代わりに継続火力がえげつなく向上したゼーフントだよな…
所詮単発火力はあまりないので現状2501はクラインフィールドで防いではいるが、いずれ限界が来るだろう。
左舷の副砲のみだし、レーザー故の水中の威力減少を含めるとあと30秒ってところかな。
さてと、その間に私はゼーフントの掃討をしますか。
お、2501が浮上を開始…潔いね。
ちょうどデューク・オブ・ヨークが後方に合流するための回頭を終え、増速を始めた直後、私の正面の海面に一隻の潜水艦が浮上し、艦橋上面のハッチが開かれる。
「これはこれは、お会いできて光栄です。
北洋方面艦隊旗艦、超戦艦グローサー・クルフュルスト殿。」
「こちらこそ会えてうれしいよ、U-2501艦長ゾルダン・スターク君。」
いやぁ、ゾルダン君やっぱりイケメンだね。
「で、我々北洋方面艦隊の管轄海域に一体何の用かな?
ただ新戦術の実験に来たわけじゃないんでしょ?」
それだったらそっちのムサシとかビスマルク相手にやってくれ。
「そうですね、確かに我々の目的は新戦術の実践訓練ではありません。
ですがそう安々と目的を明かすわけには行きませんな。」
そうだよね…でも残念、こっちは一応未来をある程度知ってるんだよね。
まぁ眼の前の2501がどういう存在なのかは未だによくわかってないけど。
この目で見てはっきり分かったけど確かに2501は純正の駆逐艦コアを使ってるわけではないようだ。
だとしても駆逐艦クラスのコアでどうやって動かしてるんだろうか、やっぱりムサシが関わってるんかね?
とにかく、現時点の2501の目標は…
「ま、十中八九401だろうけど。」
「…!
流石は超戦艦、全てお見通しですな。」
いいえ、バリバリ原作知識です。
にしても、流石に2501の部隊だけで我々を突破できると考えていたとは思えないんだけど、どうしてわざわざ北海航路で太平洋を目指したのかな?
「ですが、どうしてわざわざこの航路を?
喜望峰を回ったほうがより安全なんじゃない?」
あとこっちの負担も軽くなる。
たまたま北洋方面艦隊の経験値が高かっただけで潜水艦とはいえその戦闘力は余裕で並みの大戦艦級に迫るだろうし、そうは言ってもこれのためにいちいち戦力を割けるほどうちは裕福ではない。
「確かにあちらの方が安全ではありますが、時間がかかりすぎる。
その間に401の彼らは世界を完全に動かしてしまうでしょう。」
それはそうだ、というかもう十分すぎるほどに動かしている。
「それもそうだね、でもそれはこちらを攻撃する理由にはならないのではないかな?
ティルピッツは探知と同時に攻撃を受けたって言ってたけど?」
「現在は小康状態にあるとはいえ、未だ貴女方は霧と敵対しています。
仮にも霧の艦に乗る者として、攻撃するのは自然なことと思いますが?
まぁ本番前の腕試し…という意味も無くはありませんでしたが。」
あったんかい。
「で、これからどうするつもりかな?
まさか先ほどの大戦艦を沈め切れなかった手前、私を沈めて先に進むとは言わないだろう?」
「えぇ、ですからどうにか太平洋へ「いいよ」…今、なんと?」
「だーかーら、ここ通って太平洋に出て良いよっていってんの。
私があてた部分の修復用ナノマテリアルも提供するよ。」
「ほんとに…よいのですか?」
「うん、勘違いしてるかもしれないけど、私たちは別に401の味方ってわけでもないし。
どっちかっていうと私たちはこの世界の未来を見たいんだ。
それに401と君たちは霧…ひいては世界に対しても大きな影響を及ぼすだろうしね」
「では…その予想を上回って見せようとも。」
「おー、その意気その意気。
がんばってね。
あ、そうそう、401はついさっき大戦艦2隻と交戦を開始したそうだよ。」
この会話の間にタシュケントからその連絡が入っていた。
彼女らは戦いの結果を観測してから帰還するらしい。
「それはそれは、まぁ特別急ぐ必要は無いでしょうね。」
「あれ?その様子だと401が大戦艦2隻に勝つとお考えで?」
「あの程度退けられないようでは我々の骨折り損ですよ。」
「なかなか言うねぇ」
ま、それもそうだろう。
彼らは401の試練も兼ねているのだろうから。
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横須賀要塞港、白鯨と共になんとかハルナ、キリシマを撃沈した401はそのまま自身の整備拠点である硫黄島に向かっていた。
「右舷約20000mに機関音、これは…重力子機関…?」
401の耳であるソナーを担当する八月一日静は小さな声でそうつぶやく。
「…イオナ、観測データを出してくれ。」
静の疑問混じりの声を聞いた群像はイオナに機関音の主についてのデータをパネルに移す様に伝える。
「了解、反応は2つ、重巡クラスと駆逐艦クラスが1隻ずつ。
…この重力波は…戦術ネットワークに情報がない。」
「情報がない?
霧の艦艇ではないということか…?」
現状未だに霧の戦術ネットワークにアクセスすることができているイオナの口から出たデータがないという言葉に群像は聞き返す。
「いや、音紋のデータがないのもそうだが、それぞれ重巡と駆逐艦に
具体的に言うと…それぞれの艦種の基準エネルギーより放出量が多い。」
「一般的な艦種ではないということか…」
群像が思い浮かべたのは香港を拠点に運び屋家業を行っていた頃の警戒の対象であった霧の東洋方面艦隊に所属していた巡洋戦艦レパルス。
彼女も戦艦と巡洋艦の中間的な艦種のためどちらとも異なる独特な機関音を持つ。
そのようなことを考えていると、静が新たな報告をする。
「対象艦増速、海域を離脱します。」
その後、機関音の主がソナーの探知範囲から離脱すると、艦橋の緊張は弛緩した。
こういうときばかりは401従来の索敵能力が恋しいと感じる群像であったが、霧と戦う以上仕方のないことだと考える。
「観察者も帰ったことだし、硫黄島への道を急ぐとするか。」
今年も拙作をよろしくお願いします。
つづく
…よ!
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