超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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書き始めた当初は主人公ちゃんってアズレンビスマルクモチーフだったんですけど…いま思うとなんだコイツって感じ。


後遅れてすみません…
読者様方のあまりに凝った説明に私の文才が追いつかず…正直嬉しい悲鳴ですがこれからも頑張っていきます。


第一六話

「お姉ちゃん!はやく〜!!」

 

 落ち着いた雰囲気の『金獅子亭』の扉の向こうから響いたのはそんな大声であった。

 その大声と内容からはその主と連れを容易に想像することが出来る、なんてったって、彼女らこそがこの氷山港に常駐している私の直轄艦隊所属の2隻なのだから。

 

「久しぶり〜コンカラー、いつもの紅茶ちょうだい」

 

「私はコーヒーで」

 

「おお、お二方いいところに、ちょうどそこの――」

 

「あっ!!旗艦様じゃん!どうしたの?こんなところに」

 

「いや、適当に散歩してたら見つけてね、まさかコンカラーがやってる店だとは思わなかったけど」

 

 そんな風に元気よく私に声をかけてきたのは重巡洋艦『クラマ』、そしてちょうど窓際の席で渡されたコーヒーに無言で口をつけ始めたのがクラマの姉妹艦である重巡洋艦『イブキ』である。

 見て…というか聞いて分かる通り、彼女らの艤装はかつてwowsに存在していた重巡伊吹に準拠している。クラマ―恐らく漢字に直すと鞍馬だろう―なんて艦はいなかったような気がするが、私の知らない間に追加されたのかもしれない。

 そもそも私は日本艦ツリーは春雲しか作ってなかったし。

 それよりもやっぱ副砲よ、高レート副砲こそが正義なのだ。

 

 閑話休題、と言うわけで彼女らに付いてだが、まず転生では無い…と思う。直接は聞いてないが、いくらなんでも現代で生きていてコーヒーを飲んだこと無いなんてあんまり無いだろう。

 ちなみにコーヒはクラマからは苦さが不評だったが、イブキはそのまま愛飲している。艦上でもホントにどこからともなくセットを取り出して自分で豆を挽いているときもある。

 艦のイメージだけがコアに焼き付いたものだと思われるコンカラーを割とすんなりと受け入れることができたのはこの2人(2艦か?)の影響が強いと思う。

 

 見た目としては銀の入った紫系の髪色に前世でも結構高い人気を得ていたオッドアイ、髪型は異なるが、ここまでは2人ともそっくりで、正直見分けがつかない。信じられないかもしれないが、身長や体重もミリ、グラム単位まで一緒だ、まぁ実際に測ったのではなくて体積からの逆算だけどそれでも信じられない。

 だがしかし、こうして対面してみると割と見分けることは容易である。何故ならオッドアイの色が姉妹で反対だからである。

 姉のイブキの目の色は左が森の様な深緑で右がこの北洋の海のような藍色となっている、クラマはその逆だ。

 

 ……やっぱりこんな例え方は似合わないな、やめておこう。

 ちなみに基本彼女らの服装はペアルックである。イブキによるとクラマがどこからか勝手に持ってきて着せ替えられるとのことだが、実際彼女らの服装は見るたびに異なっており、クラマが一体どこから衣服を調達しているのか、そして着終わった後の服をどうしているのかがとても気になるところだ。

 

 それで、2隻をコンカラーのように常設の巡航艦隊に組み込まずこの氷山港に常駐させている最大の理由は彼女らの持つ異質な特性にある。

 

 突然だが、霧の艦隊に姉妹艦という概念は似合っているのだろうか?

 私含めた霧の艦隊に所属する(していた)艦艇はそもそもが出所の分からない超技術の産物である。第二次世界大戦時の戦闘艦艇に類似している点と言えば見た目であり、その艤装は超重力砲などに代表されるハイパーSF兵器である。

 その上、そもそも竣工すらしていない私やコンカラー、イブキなどはともかく、ティルピッツを筆頭とする実際に二次大戦の戦闘に参加した艦艇を模した艦もそのときの記憶があるわけでもない。

 言ってしまえば血の繋がりも分からないし、艦によってはメンタルモデルの見た目も似ていないことも多い。

 だからといって、東洋方面艦隊のタカオとアタゴやうちのイブキとクラマの様に血の繋がった姉妹のような振る舞いを見せる艦も少なくない。

 特に、これから横須賀港沖で見せることになるであろうハルナとキリシマの合体挙動は別の組み合わせでは成し得ないだろう。見た目や火力を似せることは出来るだろうが、それでもやはり同型艦の方がコアの同調率が高まるためだ。

 つまり何が言いたいのかというと、霧の艦隊に姉妹艦という分類は適切ではないのかもしれないが、同型艦同士で戦力が上がりやすいのは事実であるということだ。

 

 なぜこんなことを説明したのかと言うと、眼の前のイブキ達の戦闘能力はこのシステムと大きく関わっているからである。

 ほとんどの場合、同型艦同士であってもコアの同調率は高くても98.9%ほどであるが、イブキとクラマの同調率は群を抜いている。

 その数値はなんとイレブンナイン、99.999999999%にも及ぶのである。

 ここまで来るともはや一隻の艦であると言って良く、その戦闘能力はデルタコア持ちのティルピッツにすら比肩しうるものだと推測される。

 しかしその性質上二艦合同での運用が常…というかほぼ必須であり、そういうわけで重巡の強みである柔軟性が若干失われているのは痛いところだ。

 

 あと…私がこんなことを言うのもなんだが、若干メンタルモデルの性格に問題…というより特徴がある。

 イブキはまぁいい、若干面倒くさがりの気質はあるが、やることはちゃんとやってくれる。

 問題はクラマの方だ、彼女はなんというか…重度のシスコンである。具体的に言うとイブキと一緒じゃないときはコアをシャットダウンしている時間の方が多いくらいにはシスコンである。

 先程はイブキの着た服のその後の行方について軽く疑問を呈したが、正直なんとなく予想がついている。合ってたら合ってたで若干恐ろしいのでこの胸の内に留めておくことにするが。

 ナノマテリアルだし銀砂に分解して処理しているのだろう、そうだということにしておく。

 

 そんなわけで、彼女を動かすにはイブキと同じ任につかせるのが必要であるため、おいそれと動かすわけにはいかず、結局ここ氷山港の防衛役として常駐させているというわけだ。

 

 今後の運用法としては、それこそコンカラーあたりと組ませて三隻で遊撃艦隊でも作ってみようかと考えている。いや、正直やるならイブキ達だけでもいいのだが、下手にこのまま半ば宙吊りの様な状態で放置させているのも良くないと思うのでこの際にしっかりとした編成を作っておこうというわけだ。

 

 それにこれが成功すれば貴重な外征戦力を保有することができる。そもそも私達北洋方面艦隊は地球が丸い以上仕方ないことであるがほぼ全方を海、ひいてはその海域を支配している霧の艦隊に囲まれている。

 そのためティルピッツらが指揮する警戒用の巡航艦隊から下手に引き抜くわけにもいかず、戦力的にも現在まともに南下が可能なのは私とタシュケント、それにタシュケントの護衛役のアラスカ位である。

 アラスカに関しては今回の実験が成功し次第ミズーリの第二艦隊の常設巡航艦隊から外して専属艦にする予定であり、これに関してはミズーリも了承済みだ。

 現在第二艦隊は索敵を試験的ではあるが海域強襲制圧艦のビット散布に委任しており、ミズーリらは結構暇を持て余しているらしい。だからといっておいそれと引き抜くわけにはいかないのであるが、太平洋方面にタシュケントを派遣するときのみという条件で同行してもらうことにした。それ以外の時は第二艦隊の付属艦の様な扱いになるのだろうが、これから太平洋方面ではタシュケントに馬車馬のように働いてもらうことになると思うので、アラスカも休む暇は無くなるだろう。

 大西洋方面に関してはまだいまいち決まっていないが、おそらくティルピッツ麾下のアドミラル・シェーアあたりになるだろう。

 あれは分類上大戦艦級であるのでもう少し小型の艦になるかもしれないが、どちらにせよ急いで決める理由はないだろうということで保留中である。

 

「それで、旗艦様はこれからどうするんですか?」

 

 イブキ達のテーブルにコーヒーと紅茶を運んだコンカラーはそのままの足でこちらのテーブルに近づきつづ話しかけてくる。

 この隠れ家じみた店の配置は意図していたところなのかは分からないが、少なくとも現在私とイブキ達以外には客はいない。ミズーリは今太平洋の筈なのでこちらには来ないだろう。いや、大戦艦級のエンジン出力を持ってすれば来れるだろうが、いちいちこんなことで呼ぶつもりはさらさら無い、彼女…というか北洋方面艦隊の所属艦は私の様な一部の奴を除いて皆本当にクソ真……コホン、勤勉であるので、現在進行系でティルピッツから-273.15 ℃の視線を向けられている身としてはこれ以上そういう目を増やしたくないという事もあるのであるが。

 

「そうだねえ、なんか最近日本周りがきな臭いからね、そろそろ一目見に行ってみようと思うよ、かつての学び舎にも行ってみたいしね」

 

「あぁ、東洋方面艦隊のヒュウガの件ですか」

 

 少し前に、東シナ海あたりから大出力の平文で『東洋方面艦隊第二巡航艦隊旗艦大戦艦ヒュウガを撃沈した』という旨の信号が発信された。

 やったのは間違いなく群像らの401であろう。平文で打電した理由は…多分まともに受信解析設備が備わっていない場所でもその知らせを受け取れるようにする為だろう。

 それこそ霧の艦隊の海上封鎖によりどの国も真偽を確認することが不可能であるため、正直世界が信じているかは微妙な所であるが、こちらに関しては事実であることが確認できている。

 

 その通信の直後、ミズーリから東洋方面艦隊の巡航艦隊の艦数が著しく減少しているとの報告を受けたのである。

 今の状況でナガトが艦隊を減らす理由はどこにもないし、そうなれば残る原因は『少なくとも一個艦隊規模の戦力が丸ごと停止状態に陥っている』ということになる。

 流石にどんな奇跡があろうともたかが巡航潜水艦一隻で艦隊を全滅状態に追い込むことは不可能であるが、こと霧の艦隊相手においては、一つだけその手段が存在する。

 

 それは、該当艦隊を指揮している旗艦を撃沈すること。

 もっと細かく言えば、旗艦のコアを停止させることである。劇中のコンゴウ戦ではコンゴウのコアを停止まで追い込むことができなかったが、ヒュウガの際は撃沈に成功したとあるので、それに伴ってヒュウガの指揮していた第二巡航艦隊は停止を余儀なくされたのだろう。恐らくだが現在はヒュウガが撃沈の上行方不明という状況なので、ナガトがそのまま第二巡航艦隊を引き継ぎ、コンゴウがナガトに代わって第一巡航艦隊を率いる形になるのだろう。

 

 個人的には、ナガトと同じデルタコア持ちであるムツに任せればいいのではないかと思ってしまうが、そこら辺がナガトのいう『可愛がりすぎた』ということなのだろう。

 

「そうそう、聞けば人類が撃沈したそうじゃないか。ま、どっちかっていうともっかいカニを食べに行きたいってのもあるんだけどね」

 

 こうやってコンカラーと話していると、彼女との出会いの際に食べていたカニ屋へもう一度行きたくなってきた。

 ある程度の月日が経っているのでまだあの店が存在しているかは分からないが、あるならまた行ってカニを食べてみたいし、もし無くてもあの国は腐っても日本である。その辺をぶらぶらしていればどこか美味しい店にたどり着くことが出来るだろう。

 

「……カニ…ですか?」

 

「うわっ!?」

 

 ちょうどそこまで考えたところで、後のテーブルでコーヒーを楽しんでいた筈のイブキから唐突に声をかけられ、思わず少し大きな声を上げてしまう。幸い店には他の人がいなかったので良かったが、もしいたらと思うと…その場で銀砂に溶けていただろう、間違いない。

 

「カニ…食べてみたいです。今まで食べたことなかったので」

 

 そうイブキは理由を言うが、それもそうである。

 ここ氷山港にはカニを扱っている店はあまりなく、いいことではないのだろうが、私が暇を使って各地に食べ歩きに行っていることは艦隊の中では有名な話だからだ。

 『今まで』というか、そんなことを言ったら北洋方面艦隊所属艦にはそれほど食べているのはいなかったような気がするが。

 

「ま、まぁいいけど――」

 

《ヂッ》

 

 めったに見せないイブキの要求に押されて私が了承しようとしていた矢先、概念通信で連絡が舞い込んでくる。

 

 なになに…発信元は…タシュケントか、とすると海域強襲制圧艦絡みかな?

 内容は…え?

 

『定期哨戒ルート上にて捕捉した東洋方面艦隊第一巡航艦隊から大戦艦ハルナとキリシマの反応が消失している』!?

 

 これ…横須賀要塞港海戦(原作もう開始済み)ってこと!?

 

「コンカラー!これ代金!ちょっと私は急用ができたから行ってくる!イブキはまた後で誘うから楽しみにしといて!!」

 

 そう言うとともに私は机に硬貨を何枚か置き、店を飛び出す。

 コンゴウの艦隊がタシュケントの索敵圏内に入っているということはハルナとキリシマを分離してからある程度時間が経っているだろう。

 今から向かっては間に合わないか…?

 

 いや、函館なら間に合う!

 

 タシュケントとアラスカには臨時で横須賀要塞港海戦のデータ取得に動いてもらおう。

 流石にタシュケントを失うわけにはいかないのであくまで安全第一を厳命しておく。

 

 やっと…というかもう始まってしまっていた原作に追いつくため、私は南に向かって艦体を滑らせた。




そんなわけでガンバスター様より、重巡イブキとクラマです!

マジで…アレだけで小説書けるのでは…?
という説明とにらめっこしながら書きましたが、どこか間違っていたらそっと教えてください…



どうでもいいですけれど霧の艦隊のモガミ級って()()()なんですかね?
ナガトの艦隊に所属していたモガミは15cmの軽巡時代っぽいですし、ムサシやヤマトの様に撃沈時の状態で模倣されているのなら20cmの航空巡洋艦じゃないとおかしい気もするし…

これにてリクエスト艦は一旦区切りです。
出すつもりの艦はまだまだありますが、前にも言った通り場所とか立場とかの都合でもう少し後になります。
リクエスト自体もとりあえず打ち切ります。

つづく…


…よ!

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