超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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お久しぶりです、戦闘描写…ムズすぎんか?


…なんで総合評価が1000行きそうなんですか?


第二十一話

某日 太平洋

 

《――始まったぞ、ショウカク》

 

 艦隊前方にいて警戒を務めるアシガラとナチが戦闘に入った旨の連絡を受け、コンゴウは今回の海戦において単冠湾の打撃群から回航された強襲制圧艦――ショウカクに呼びかける。

 ただでさえ念には念をということで回してもらった艦である、こういうときに役立ってもらわねば困る。

 

 まぁ現状コンゴウがショウカクを呼び込んだ直接的な原因である霧の北洋方面艦隊の反応はなく、よってショウカクにもいまだ役割はないのだが…、北洋方面艦隊の戦力が明らかになっていない以上備えておくに越したことはない。

 

《分かったよ、でも私…というか私等は索敵の方はからっきしだからね》

 

 所変わって件のショウカク艦上、その広々とした飛行甲板の上には場所が違えば学生にも見える幼い見た目をした少女が、その見た目からは想像できないほどの鋭い目つきを持ってして自身の手にもつタブレット状の端末を睨んでいた。

 

「アイツ…何者なんだ…」

 

 なんか物々しげに呟いてはいるが、アイツというのは北洋方面艦隊のことを指しているわけではない。

 

 年頃の男子学生の部屋のような散らかった周囲に無造作に置かれているゴーグル状のデバイスを見てもわかるように彼女は重度のゲーマーである。

 そんな彼女は、つい先程自身がそこそこやり込んでいるFPSゲームにて並々ならぬ腕を持ったプレイヤーと当たり、対戦ではなんとかギリギリ自身の勝利を勝ち取ることができたが、そのプレイヤーはショウカクの見たことのない機動を多数披露しており、それに心惹かれたショウカクはサーバーのユーザー情報をたどって人間のゲーマーを偽ることで接触しようとしていた。

 勿論、そんなことは霧の海上封鎖の前でも後でもバッチリ違法であることをここに明記しておく。

 

「――ッ!? 弾かれた!?」

 

 瞬間、サーバーからたどって個人のデバイス情報にまで手を伸ばしていたショウカクの情報体が強引に電子世界からはじき出された。

 

 霧の海域強襲制圧艦であり、大戦艦とも遜色ない演算力を行使することのできるショウカクにとって本腰を入れたものではないとはいえ電子攻撃を弾き返されたことは言うまでもなく初の事案であり、先程のプレイングと合わせてここに来てようやく相手が物理的に只者ではない可能性を考慮し始めたショウカクであったが、その思考は間もなく中断されることとなる。

 

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 戦闘が行われている海域からそこそこ離れたところにいる私にも重々しい爆発音やそれに重なるように圧壊音が響き渡る。

 重巡ハグロが撃沈―――ここまでは原作通りかな。

 

 群像達が乗るオプション艦の一隻であるマツシマも無音状態で潜航待機中、取り敢えずはコンゴウたちにはバレてないっぽいかな、ここからでは流石にヒュウガの反応は検知できない。そもそもヒュウガは今メンタルモデルだけの存在だし探知が効かないのはしょうがないところがある。やっぱタシュケントはこっちに呼び戻したほうが良かったかな?

 

 なにはともあれ、これでコンゴウ側は貴重な重巡火力を一隻ほぼ一方的に失った。

 だがしかし、我ら北洋方面艦隊におけるタシュケントと同じ様に並外れた索敵能力を持っていると思われるナチを守り抜いたことは隠密性に特化しているとも言える潜水艦戦において非常に大きな意味を持つ。

 

 ここで問題になるのは一体彼女の索敵範囲がどれほどに及ぶのかという話だ。

 少なくとも私に対するアクションを何も起こしてこないということは私やタシュケントには及ばないと思うけど…原作中では動き出した401をノータイムで捉えていたとはいえ先程の攻撃規模を見るにそこまで特化している感じではないのかな?

 

 そうするとこっちでは超重力砲も装備したままなのだろうか、アシガラあたりは装備したままだと思うけどそれも確実ってわけではないし…

 

 そのまま迎撃網をくぐり抜けた魚雷がコンゴウへと向かう―――やっぱあの魚雷の航走機動プリセットしたやつ性格悪いよ、スラスターだけであそこまで滑らかにコブラ機動とかできるもんなんだな。

 

 アシガラはシレトコからの給弾作業を停止して迎撃に―――あれは間に合わんな。

 

 よし、アシガラ撃沈……あれ?

 なんか401の魚雷結構残ってない?

 

 あぁ、こっからアタゴが迎撃するのかな、128発もあれば撃ち漏らすことはないだろうし、そこからあまりで反撃ってことか―――

 

 

 

 全弾401へ航走!?

 

 あれだと艤装変更中のコンゴウに侵食魚雷が…

 

 

 

 ―――何だ、あぁ、そういうことね。

 

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 海上にてアカシからの補給及び艤装の換装作業を受けているコンゴウ、その換装対象となる兵装は霧の艦隊において主力艦の代名詞とも言うべき決戦兵装である超重力砲であり、大戦艦級の演算リソースから見ても大きな部分を占める超重力砲の換装には時間を要し、その間コンゴウは停止を余儀なくされていた。

 

 艤装の換装作業中であるため、コンゴウの戦闘能力は大幅に制限されており、戦闘機動に至ってはアカシと接続している以上不可能という有り様だ。

 そのようなコンゴウの護衛に当たっていたヒエイ麾下の重巡部隊も戦闘によって損耗しており、重巡ハグロは撃沈、アシガラによる突撃もいなされて弾薬の補給のために後方に下げることとなった。

 

 歴戦である401がこの混乱を見逃すはずもなく、既に多数の侵食弾頭魚雷が放たれていた。

 

 しかしその目標はヒエイたち自身ではなく、艦隊中央―――艤装換装中のコンゴウへ向けてのものであった。

 艦隊前方の401迎撃に戦力を振った代償として、コンゴウの周囲には小規模な駆逐艦隊がいくつか展開しているのみであり、401の魚雷を防ぐことが不可能なことは目に見えていた。

 幸か不幸か弾薬補給に下がらせたアシガラが自身の艦体を盾とすることで大多数の魚雷を防いだが、それすらもくぐり抜けた4本の魚雷がコンゴウへと航走を続け、ナガト率いる東洋方面艦隊第二巡航艦隊から派遣されたアタゴがアシガラと入れ替わるように戦闘行動を開始したが、その対象は航走する魚雷群ではなく、それを放った401であった、そのままコンゴウへ魚雷が命中するかと思われた数瞬後、コンゴウの周囲を包み込むようにして大出力のクラインフィールドが展開されそのすべてを微塵の揺らぎもなく受け止めた。

 

 その出力パターンは単冠湾から回航されたものの先程までコンゴウの後方で動きを見せることのなかった海域強襲制圧艦ショウカクのものであり、彼女がその重い腰を動かしてコンゴウの支援に動いたことを表していた。

 直後ショウカクの飛行甲板が展開され、モデルとなった翔鶴において格納庫にあたる部分が露わとなる。

 本来であれば航空機を格納するための空間であったその場所には今や所狭しとミサイルの垂直発射機構が並べられていた。艦上だけでなく周囲にも煙を撒き散らしながら発射されたミサイルの数は先程のアタゴの比ではなく、まさしく海域強襲制圧艦の理不尽さを表しているように見えた。

 

 これによりコンゴウは被害なくこの状況を切り抜け、401は打って変わって自身がミサイルと魚雷に追われる身となってしまった。

 

 一度飛行甲板を戻して再装填を済ませ再びミサイルを放とうと飛行甲板を展開した直後、ショウカクの直上から藍色の光線が降り注ぎ、着弾の衝撃によって巻き上がった水と水蒸気によってショウカクの姿が覆い尽くされた。

 

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同刻 太平洋

 

「初めまして、U-2501」

 

「お初にお目にかかります『レキシントン』、私はU-2501艦長『ゾルダン・スターク』」

 

「知っているわ、アドミラル・チハヤの事もね」

 

 コンゴウが401と雌雄を決する戦闘を行っている頃、その遥か東方の海域においても大規模ではないが大きな意味を持つ戦闘が始まろうとしていた。

 方や千早翔像がムサシとともにヨーロッパに活動の拠点を移した後に建造したという謎多き潜水艦であるU-2501、方や現在西方において一波乱を起こしているショウカクと同じ海域強襲制圧艦であり霧の北米方面艦隊の打撃群一つの旗艦を務めるレキシントン。

 この二組の邂逅の要因はレキシントン率いる艦隊が本来の巡航航路を外れて西方の東洋方面艦隊第一巡航艦隊―――つまりはコンゴウと401の方向へ向かっていた。それを探知したU-2501がそれを阻止しに動いたということだ。

 

「で? あなたの用件を伺いたいわ」

 

「こちらも貴艦とその後方に控えている艦隊の行動目的を伺いたい」

 

「我々の行動目的が貴方に関係あるのかしら?」

 

 そう言いつつ視線を外して顕微鏡を覗き始めたレキシントンにゾルダンが若干の苛立ちを覚えた瞬間、艦橋から通信が入る。

 

《ゾルダン――データの解析が終わったわ、後方の艦隊はおそらく26隻》

 

その報告にゾルダンが目を細めた直後、渋々というふうにレキシントンが口を開く。

 

「…良いわ、我々の目的を教えてあげる。我々は現在戦闘中の東洋方面艦隊第一巡航艦隊を支援しようかと思ってるの」

 

「支援? それは第一巡航艦隊からの要請ですか?」

 

 勿論コンゴウがそういった趣旨の通信を行っていないのはゾルダンも把握済みだ。

その上で聞いているのだからこれは茶番と言っても過言ではない。

 

「いいえ」

 

「では、総旗艦ヤマトの命ですか?」

 

「いいえ」

 

「では、貴方方は独自に?」

 

 言葉のみの通過儀礼を終え、ゾルダンはレキシントンの核心へと迫る。

 明らかにトーンの変わったゾルダンに対して鬱陶しげにレキシントンは言葉を返す。

 

「そう、言いたいことは分かるわゾルダン、管轄海域外の戦闘に我々が勝手に介入する…それは越権行為…そう言いたいのでしょう?」

 

「えぇ」

 

 その言葉とともにゾルダンは視線を上に向けて言外に続きを促す。

 

「簡単に言えば、東洋方面艦隊のやり方がまどろっこしくて。相手はたかだか潜水艦一隻、みんなで囲んでドカーンとやっちゃえばあっという間に終わるでしょ?

()()()()()()()()()?」

 

 あの時―――北洋方面艦隊の反乱時に比べてしまえば今回の401の一件の規模は良くも悪くもたかが知れており、囲んで叩くことが最適解なのは事実であろう、正確に言えば北洋方面艦隊のときも包囲して叩く方法が取られたのだが、あれは近場の艦隊が制圧に急行した結果起こった状況であり、戦術として使用されたかと問われると微妙なところである。

 なにはともあれ、レキシントンがそうした理由のもとに動いているのと同じ様にゾルダンもそれ相応の理由を持って動いていた。

 

「困りました」

 

「何が?」

 

「我々は我がアドミラルより第一巡航艦隊旗艦『コンゴウ』が使用している旗艦装備のデータを取得するように命じられている。貴方がたに介入されてはそのデータが正しく取れるかわからない」

 

 ゾルダンのその言葉にはある程度の虚偽も含めれてはいるが、概ね事実であり、レキシントンを止める理由としては筋の通ったものであった。

 

「面白いことを言うわね、そんなこと401を撃沈できるチャンスに比べれば些末なことでしょ? 北洋方面艦隊の二の舞いは御免なのよ。それに…アドミラル・チハヤはどうしてそんな事を知りたがるのかしら?」

 

 

 日頃のものの扱いが悪いのか折れてしまっていた器具を直しながらレキシントンは問うた。

 

「さぁ、それはアドミラルに伺ってもらいたい。我々は命に従うのみ、どうしても管轄を越えて戦闘に介入するとおっしゃるのならば然るべきところより許可を取っていただきたい」

 

 然るべきところとは一体どこなのか、それをゾルダンが言わなかったのは次のレキシントンのセリフが半ば予想できていた為なのかもしれない。

 

「言うわね、なら我々がこのまま前進すると言ったら貴方はどうするつもりかしら?」

 

 予想と違わないその言葉にゾルダンは一瞬耳につけたデバイスに目線を軽く向けつつそれを通じて艦橋に通信をかける。

 

「たしか我々は()()()()()()()()()()()()()()()()戦闘行為に介入するなと厳命されたな?」

 

《えぇ、そうね》

 

「しかし、それ以外の戦闘行為については禁じられてはいなかったはずだ」

 

《半壊だってこと忘れないでよ?》

 

《艦長がおやりになりたいことを命じてください、艦長は正しいと私は信じています》

 

 その通信に一つ、クルーらからのものではない声が入る。ゾルダンが自身の左前方に視線を向けるとそこには小さな半球形のカメラがせり上がっていた。

 

《艦長は間違っていません…絶対に…出会ったあの時から…》

 

 そこまで言ったところで、ゾルダンが目を向けると怯えたようにカメラを収納しようとする。

 それを制止したゾルダンはゆっくりとその声の主―――U-2501に語りかける。

 

「2501、お前はまだ、戦えるか?」

 

《艦長が、そうお望みなら。》

 

 その言葉に軽くほくそ笑んで、ゾルダンは命令を下す。

 

「戦闘配置だ、2501」

 

 そう命じた直後、2501の艦体から多数の武装が顔をのぞかせ、戦闘艦たる由縁を見せつける。

 その光景の一部始終を目にしていたレキシントンは大ぶりに芝居がかった振る舞いでゾルダンに宣言した。

 

「良いわ、もし我らを単艦で退けられるというのならば、その戦術論に対してこの霧の『レキシントン』が、貴方に学位を授けましょう!!」

 

「…戴こう」




活動報告にて今作の裏設定的なナニカを上げ始めました、細かい設定はそちらをご覧ください。

総合評価の件について、皆さんこんな趣味の煮凝りに評価をたくさん押してくれて本当にありがとうございます!
こんなのを進められているのもひとえに皆様のお陰でございます!


つづく…


…ッピ!

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