超戦艦 Großer Kurfürst 作:U・K・Owen
「ふぅ、とりあえずはなんとかなったかな?」
ここ数年の暇さをわずか数時間で消し飛ばした……現在進行系で消し飛ばし続けている戦闘の様子をモニタニングしながら思わずそう口走る。
あのショウカクの一件の後、海流によって思ったより遠くまで流されていたハグロのコアをサラトガたちの武装を見様見真似で再現した海流操作によってアシガラの近くまで送ったり、またまた予想外に火力の高いミョウコウの狙撃を喰らって大損害を被っていた401にこっそり演算領域を援助したり色々あったが、まぁ結局は原作通りに落ち着いたので良しとしよう。
というかハグロの件はともかくミョウコウはあれ原作より明らかに特殊兵装に多くのリソースを割り振ってる気がする、もしかしなくてもあれずれてなかったら普通に401蒸発してたと思う。
現在の状況としては、401は海底で絶賛エンジンルームの修理中、無事アシガラたちも合流できたようであと少しあればとりあえず動けるようにはなるだろう。
一方海上の様子はというとこちらもまた予想通りコンゴウの旗艦装備によって続々と本隊に所属していた艦が呼び出されている。
対潜哨戒用の小型艦を呼び出して文字通り足元を固めてから本隊の指揮を行っている大戦艦イセを筆頭とした主戦力を展開するつもりだろう。
このまま行けば普通に原作通り進むだろうが、先述のショウカクのことも踏まえると何かしらのどんでん返しが控えていてもおかしくない。
例えばそう、今私の艦尾方向から近づいてきている超大型の反応とか―――
―――あれヤマトじゃね?
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「――そんなわけで、学園に帰省しない?」
突然横付けして私の隣に跳んできたコトノの第一声がこれである。
一体何がどんなわけだというのだろうか。
そんな冗談はおいておいて、間違いなく第四施設の一件についてのことだろう。
それにしてもなんでこんなドンピシャの位置に……
「あそこには私の優秀な『目』と『耳』がいたからね、逆探知なんて楽勝だよ」
『目』と『耳』……?
あ、ユキカゼか。
確かにあの艦は今コンゴウ艦隊の付近で情報収集に勤しんでいたはずだしヤマトの演算能力なら発射元を割り出すのは容易か、ナチと違ってこっちの旗艦武装を予想とはいえ半ば理解している節があるし。
「で、どうする? 自分の墓参りしてみない?」
「いや、自分のは遠慮しておくけど墓参りはいつか行かないとって思ってたし、行ってみようかな」
なんだかんだ事件が起こってから結構な年月が経ってはいるが、結局行けていないのである。
401のクルーにでもなっていれば自然な流れで行けたものを…
まぁ原作より確実に慰霊碑に書かれている名前は少なくなっているはずなので後悔はしていないけどね。
「よし来た! じゃあ私の妹ってことでいい?」
「良くないが?」
速攻でバレるだろ、どこも似てないし。
というかノリと勢いの塊のようなコトノと四六時中一緒は御免被る。
何が質悪いってコトノの場合そのノリと勢いを無理やり実行に移せる能力を十二分に備えてしまっているのが問題なのだ。正史において妹ポジションであったアタゴには心底同情する。
「それに私も私で向こうには
「それは残念………?」
「どうした?」
「ヒュウガちゃんのコアを回収したらしくてね、こっちも動き出さないと群像くんに追いつけなくなっちゃう」
などと若干意味不明なことを宣ってコトノは来た方角へと帰っていった。
観測システムを覗いてみるとコトノの言葉の通りちょうどヒュウガが無理やり構築した主砲によってヒエイを撃破したところのようだ。
最後にして最大の不安要素であるコンゴウのラムアタックまでは観測を続けるつもりだが、それが終わり次第私も横須賀に向かおう、今度こそコトノの先手を取るのだ。
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某日 横須賀
「タカオ〜! こっちこっち!」
恨めしいほどに雲一つない青い空の下、ここ数ヶ月で学園内ではすっかり知れ渡った鞍馬の声が響き渡る。
空気が澄んでいるからか心なしかいつもより声がよく通る気がする。
「あっつい……ここほんとに海沿いなワケ?」
そんな声に答えるのはヤマトからのお願…命令によって現在海洋総合技術学園への潜入を行っている霧の重巡洋艦タカオ。
学園での名前は蒼樹タカオで通しているが、彼女自身の艦名をそのまま名前にしているのを見て鞍馬が珍しく苦笑していたのはもちろん彼女の預かり知らぬことである。
いつもクラマのそばにいる彼女の姉であるイブキは普段の印象とは正反対にこの気温に似合わない涼しい顔をしてクラマの隣に立っている。
先日、タカオと反対に横須賀市内での調査を行っている402からハルナとキリシマが数日中に北管区から転校扱いでやってくる情報を受けているので、正直こんなところで油を売っている暇はないのだが、結局釣られて来てしまったところに今回の発起人たる鞍馬のコミュニケーション能力の高さが如実に現れていると言えよう。
さも当然のようにこれまで長々と語っているが、結局誘った中で来たのはタカオのみであり、これがタカオの拒否能力の低さを表しているのか、それとも鞍馬にまた別の思惑があるのかはそれこそ鞍馬のみが知ることである。
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数分後、いつもは小さく見える丘をたっぷりと時間をかけて登ったタカオたちは港のすぐ近くに見える近代的な防護壁とは対象的にやや古風な喫茶店の前に立っていた。
喫茶『獅子亭』
そんな文字が刻まれた古臭い立て看板を置くその店は、つい数日前に突然オープンした店であり、流行に敏い学園の女子生徒にも殆ど知られていない店であったが、鞍馬はオープン当日にどこからか情報を仕入れて来店していたらしく、今回タカオが誘われた際の口上も喫茶のメニューを褒めるものであった。
「マスター、ミルクティーちょーだーい」
二回目の来店にしては妙に馴れ馴れしい口調で鞍馬が店主に注文を入れながら店の扉を開く。
店主のこだわりなのか店の扉はこれまた今時珍しい引き戸であり、開かれた扉に吊るされている風鈴をもした鈴が揺れ透き通るような音を響かせた。
店内も外見通りの落ち着いた内装であり、空調もちゃんと効いているので体温シミュレーターを起動しているタカオにとっては極めてありがたい環境となっていた。
そんな外の環境から入ってきた人間には理想的すぎる店内ではあったが、その割に…というか間違いなく認知度の低さが影響しているのだろうが、店内に客は一人もいなかった。
「いらっしゃい、伊吹はコーヒーでいい?」
タカオが空調から流れる冷気を堪能しながらあたりを見回していると、これまた妙に馴れ馴れしい口調で応対しつつ店の奥からエプロンを着用した金髪碧眼の女性が歩いてきた。
ここまでの会話の内容から察するに彼女がこの店の店主なのだろう。
「あぁ、はい、コーヒーでお願いします」
鞍馬の突然の大声にも驚かず、今のように伊吹の頼むものすら予想しているとなると、何かしら彼女たちとつながりがあったりするのだろうか。
そんなことに思考を割いていると、店主に注文を聞かれたのでとりあえず伊吹と同じコーヒーを頼んでおく。
伊吹は校内でも有名なコーヒー党であり、彼女のバッグには常に三本のコーヒー缶が入っているなんて眉唾物の噂すらある。
ちなみにこの噂は真実ではなく、正確には四本がバッグに常備されている。
そんな彼女が頼むコーヒーなら間違いないだろうと思っていたが、今思えば自分は味覚シミュレーションをオンにした状態でコーヒーを飲んだことがなかったのではなかったか?
しばらくして、店主が注文した飲み物を持ってくる。
それまでの間にタカオたちが座った席は海が見える窓際のいわば特等席と呼べる席であり、窓の外に広がる紺碧の海と店内の落ち着いた雰囲気も相まってもう少しでもこの店の存在が広まっていたら争奪戦になっていたであろう席であった。
流れるような慣れた手つきでテーブルの上に並べられたコーヒーの入ったコップに手を伸ばし、口元へと運ぶ。
そのままその香り高いコーヒーを口に流し込み―――
「にっが!? いくらなんでも苦すぎない!?」
そうタカオが一人で悶絶していると、先程から店主と話していた鞍馬が顔をこちらに向けてからからと笑いながら声をかけてきた。
「あ~、ここのコーヒーはそのままだとだいぶ苦いからね―、お姉ちゃんはそこが好きみたいだけど」
鞍馬はそう言うとタカオの向かいの席で悠々とコーヒーを嗜む伊吹を流し目で見ながらさも当然かのように彼女の隣へと座り、頼んだミルクティーへと手を伸ばした。
「――で、話は変わるんだけどさ。」
そのままカップを片手に談笑に興じるかと思いきや、急に目つきを細めて鞍馬がタカオへと問いかけてくる。
その雰囲気も先程までとは大きく異なっており、剣呑な気配すら感じさせる。
「……何よ?」
いきなり180度どころか540度レベルで変わった話の流れに戸惑いながらタカオが聞き返すともう一度手に持ったミルクティーを飲んでから口を開く。
「いや、そうたいした話じゃないんだけどね、私達のボス?、上司?、がこっちに来るらしくてね一応タカオ…というか貴女の保護者に伝えてほしくてさ」
横目で伊吹を見てみると、彼女も驚いたようにコーヒーカップをテーブルに置き、隣に座る伊吹の話に耳を傾けていた。
そんな現実逃避じみた話は置いておいて、タカオからしてみれば聞き捨てならない単語もいくつか混じっていた。
「…私の親になにか用事があるのかしら?」
鞍馬の『保護者』という言葉を態々『親』という言葉に置き換えながら目つきを鋭くして問い返す。
伊吹は鞍馬の隣で頬に手を軽く当てながら何やら考え込んでいるが、彼女といつの間にかカウンターの奥へと去っていってしまった店主を除いた二人の間の空気はますます重みを増していた。
「隠さなくてもいいよ〜? こっちだってもう隠す気もないし。
―――横須賀に来てるんでしょ? 402とズイカ………あの子は保護者って言うにはちょっと違うかもしれないけど」
その言葉が鞍馬の口から紡がれた直後、空気の重量は頂点に達し、ついに爆発した。
「アンタ……何者…!?」
「ちょっと鞍馬!? 貴方どこまで!?」
反射的にタカオは自身の演算領域をフル稼働させる。
その影響でタカオの額には彼女の特徴的なクレストが浮かび上がり、光量の少ない店内で煌々と輝いていた。
先程までコーヒーカップ片手に傍観に徹していた伊吹も慌てたように鞍馬へ向き直りそのままの勢いで鞍馬を問いただす。
「大丈夫だよお姉ちゃん。ちゃんと本人から許可出てるし」
二方向から視線を向けられた鞍馬はにこやかな表情を崩すことなく先に伊吹の方へ応対する。
ここまで来ても姉呼びを崩さないあたり、この二人は実際に姉妹かそれに準ずる関係性なのだろうと軽く無視された形になったタカオはどこか冷静に思考する。
そんな事を考えているとあぁそうだったねという言葉とともに対面のタカオへ向き直り口を開く。
「で、私――いや
鞍馬のその言葉はいかにも白々しく、心なしか口角もいつもより高く上がっていた。
「うーん、私達はともかく、私達の保護者…というか
なんてことのないように呟いた鞍馬の言葉を聞いて瞬時にタカオの脳裏にフラッシュバックしたのはついこの間に目の当たりにした文字通りの霧の頂点の一つに位置する艦の姿。
あまりにも衝撃的なその邂逅の情報は例によって例のごとくコピーロックが掛けられているが、態々バックアップのコピーなど取らなくともタカオの記憶領域に焼き付いていた。
そんなタカオの内心からくる彼女の雰囲気の変化に気がついたのか、または態々説明する必要がなくなって安堵したのか声の調子を上げて鞍馬が確認するように語りかける。
「あ、思い出した? そうそう、私達の旗艦様は超戦艦グローサー・クルフュルスト、そんでもって所属は北洋方面艦隊第一遊撃艦隊、重巡洋艦クラマってところかな?」
若干誇るように開いたクラマの口が閉じると同時に彼女の額に先程のタカオと同じ様にクレストが浮かび上がる。
今回に関しては…まぁ忘れてないよってことで…
話は変わりますけどwowsのTierⅩにも一部二次大戦中の艦とか存在するじゃないですか、あのへんってどういう扱いになるんでしょうね?
例えば―――デモインとか。
まぁアレはちょっと微妙だけどボソッ
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