超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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えっもう前回の投稿から一週間!?


第三十話

【特A級秘匿通信】

 

――通信開始

 

 こちら第一巡航潜水艦隊所属イ19、規定位置への展開を終了しました。

次いでイ18、イ20の展開を確認、これより本部隊の指揮は私が執ります。

 

 現在状況としては、先の太平洋海域にて確認された東洋方面艦隊所属の海域強襲制圧艦ショウカクに対して放たれた北洋方面艦隊からのものと思われる攻撃を鑑みて、北洋方面艦隊が自艦隊の勢力圏に留まったまま自在にこちらへ攻撃を行うことができる可能性が浮上したことを口実に、欧州方面艦隊現旗艦ビスマルクが麾下の艦隊と北米方面艦隊に呼びかける形で動員を行い、北洋方面艦隊の敵対以前の管轄海域を原型とした境界線上でティルピッツが率いていると思われる北洋方面艦隊の第一艦隊との膠着状態を形成しています。

 

 現在確認されている双方の戦力として、北洋方面艦隊はティルピッツの第一艦隊であり、出現が懸念されていた大戦艦コンカラーの存在は確認できません。

なおコンカラーに関しましては日本で活動中のイ402より別途報告済みであろうと思われますが、未確定ながら当該地域での目撃情報がございます。

 

 ビスマルクの欧州方面艦隊の本隊には目立った動きは見られず、バルト海より一個艦隊を向かわせるのみに留まっています。

部隊構成上は一個艦隊ですが、その打撃能力は通常規模の艦隊と比較して大きく優位であり、特に当該艦隊の中核をなすソビエツキー・ソユーズ級大戦艦三隻は一隻一隻が方面艦隊旗艦クラスの演算能力を持ち、中でも艦隊旗艦である大戦艦ソビエツキー・ソユーズの保有する旗艦装備により艦隊規模で高度なステルス能力を持っていると見られ、事実としてバルト海を出るまで正確な位置情報は入手できませんでした。

 

 北米方面艦隊は本行動において主に太平洋方面を主眼としているようであり、主戦力として海域強襲制圧艦シャングリラ、大戦艦ノースカロライナ等の大型艦に加え、工作艦プロメテウスなど多数の補助艦艇を含んだ機動任務部隊が少なくとも三つ大西洋方面の艦隊から分派されています。

 

 今回示された北洋方面艦隊の超遠距離攻撃能力についてはレイキャビク攻勢時に確認された通称“光の柱”が一種の衛星兵器であると見られていた時点で強く示唆されていたものでしたが、本件で確定的なものとなったと言えるでしょう。

 

 しかしながらビスマルクがこの可能性を放棄していたと考えるのはあまりにも不自然であり、上記の展開理由はあくまでも建前であると思われます。

 

 

 

《以下、数十分に渡り原因の顛末が送信される》

 

 

 ―――!!北洋方面艦隊第一艦隊後方にて強力な重力子反応を検知、パターン参照――大戦艦リシュリューのものと思われます。

 

 大戦艦リシュリューはフランス沿岸旧ジブラルタル付近を管轄海域としており、ソビエツキー・ソユーズの麾下ではありませんが、何らかの手段を用いてソビエツキー・ソユーズの旗艦装備の適用条件を満たしたと思われます。

 

 ソビエツカヤ・ロシアによる超重力砲の発射を確認、目標は大戦艦ティルピッツであったものと思われますが、貫徹能力の不足によりティルピッツのクラインフィールドを突破することに失敗しました。

 

 ですがこの攻撃によりティルピッツの演算領域内の余裕はほぼなくなったと見てよいでしょう。このままでは総合火力に勝る欧州方面艦隊側の優勢と――

 

 

ツ!?

ティルピッツの重力子反応が急上昇――いえ、これは―――

 

 

()()()()()()……?

 

 

 イ20との通信途絶、緊急離脱に入ります!!

 

アスロック検知、こちらは艦隊の索敵範囲外のは――

 

 

《通信途絶》

 

 

追記:本戦闘にて撃沈されたと推測されているイ18、19、20のコアは未だに回収されていません。

同じくコアの行方が分からなくなっているナガラとの関係性は現在調査中です。

 

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 とりあえず横須賀沖にはついたけど…どうやって上陸しようかな、いくら夜とは言え日本政府も402とかを認識している以上、霧の陸上戦力の増加を防ぐ事はできないにしても先手を打って察知するために海岸線は厳戒態勢になっているだろう。

 

 私のハイパーグローサーボディーなら人類側の火器などものともしないだろうが、今回の上陸目的は横須賀の海洋総合技術学園で行われる学園祭である。

 学園内に入るためにもそれまでの道のりで下手に目立つわけには行かないし、何よりも学園祭自体の進行に402やコトノが深く関わっているので、上陸後に行動をともにしようと思っている彼女らの迷惑になるわけには行かないだろう。

 

 そういえば原作だと2501のゾルダン一行は特に何事もなく座乗艦ごと横須賀港に乗り付けていたみたいだけどあれって一体どうやって……

 

 やっぱり戦艦と潜水艦だと演算能力を抜きにした静粛性能に差があるってことなのかなぁ……

 

 …もしかして横須賀の対潜水艦設備ってあんま大した事ない?

 霧の艦隊は沖合を中心に巡航していて狭い湾内まで入ってくることはほぼないし、入ってきたら入ってきたで戦力的にどうしようもないから割り切ってるとか…?

 あの御大層な防護壁もどっちかって言うと心理的な面の方が大きかったって作中でも言及されていたような気がするし、そう考えてみれば説明はつく気がする。

 

 でもなぁ…どんだけ悩んでも所詮仮説に過ぎないからなぁ…、こんなことならコトノに聞いておけばよかった。

 というかこの仮説が事実だとしても横須賀港は旧横須賀市が海底に沈んだ跡地だからこのクソデカボディを置いておくのにちょうどいい溝のような場所がないっていうのもある。

 

 海底を歩けばいいじゃないかって?

 

 嫌だよ、暗くてなんもない、あったとしてもお魚さんが入居するビル群を散歩するとか。

 どんなホラゲーだって話だ。

 私は潜水航行は好きだが、それは自身の艦体が発する光が美しいから好きなのであって、それがなければただの暗くてつまらない空間以下でしかない。

 

 前回は沿岸警戒が比較的薄い北管区から陸路で向かったが、あのルートは時間がかかりすぎる。

 

 何よりお金がない。

 陸路の交通費を稼ぐために荒稼ぎしたらほとんどの賭場から出禁を食らってしまったし、残った分もイブキたちの交通費に充ててしまった。

 

 誰もいない海底で一人頭を抱えて悩んでいると、レーダーがとある反応を私に伝えてくる。

 

 

「――? これは……湾内へ向かう重力子反応…?」

 

 太平洋から一直線に、それも静粛性を重視した最低限の速度で横須賀港内へ向かう一つの重力子反応を検知した。

 

「あれ? というかこれって…」

 

 そしてもう一つ、先の重力子反応でレーダーに注意を向けなければ気付けなかったであろうほどに極めて微弱な反応ではあるが、海底に鎮座する重力子機関の余波とも言うべき反応。

 

 前者は大きさ的に巡洋艦クラスの霧の艦艇、後者は……余波が小さすぎてわからない、後者はともかく、明確に横須賀へ向かっている巡洋艦についてまずは考えるべきだろう。

 

 この時期にあそこにいる巡洋艦ってタカオとアタゴぐらいのはずだけどタカオは艦体を喪失しているし、アタゴであればコトノと行動をともにしているはずだ。

 

 

 …あ、そう言えばタカオが艦体を再建造してもらってマヤに仕掛けるシーンがあったんだっけ?

 なるほど、じゃああれは再建造されたタカオの艦体ってことか。速度が出ていないのもコアと直接接続していないから出したくても出せないって感じのほうが近いのかな。

 

「……よし、タダ乗りしよう」

 

 速度が出ていないなら乗り移るのも楽な気がするし、何より快適だ。

 決して向かう先で待機しているであろうタカオたちを驚かせたいわけじゃないぞ。

 というか、イブキたちが海沿いの廃コンテナ集積所で待機しているらしいからそこでもう既に接触しているかもしれない。

 

 数日前に横須賀に行くとは伝えておいたし、事後報告的にイブキからタカオと接触したことも聞いていた。

 なんかクラマが漫画に影響されたのかいちいち悪役っぽいことを言っていたらしいが、そんなことをしていたならぜひ録画データを送ってほしかった。

 

 いいなぁ…漫画だったら絶対に二ページぶち抜きで描かれるセリフとかガンガン吐いてたんだろうなぁ…マジで見たかった。

 

 

 えっと…あれがこっちに到達するまでは…うん、まだまだ余裕がありそう。

 

 というわけで後者、つまり謎の反応に向かっていこう。

 

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「えっと…なにこれ…」

 

 微弱に検出された重力子機関の余波、その反応源に到着した私を出迎えたのは巨大な鉄の城だった。

 

 間違いなく霧の艦艇、それも大戦艦級に属するれっきとした主力艦だ。

 そんな艦がなんの警戒もなく艦体を放置することなどありえないため、反応の弱いメンタルモデルのみで、加えてできるだけ近づかないようにしているので私の目に見えているのは艦首から艦橋後部にかけての部分だけであったが、どこかちぐはぐな印象を受ける艦であった。

 

 具体的に言うと、少し古臭い印象を受ける艦首形状に、ケースメイト―いわゆる砲郭形式で収められた前部の副砲、それと対象的に艦橋周囲には一段下がっており砲郭形式の名残を感じさせるものの砲塔内に連装でまとめられた副砲が存在する。

 極めつけはやけに大型な三連装砲塔の上部に位置する単装高角砲、どことなくフレッチャー級の主砲であるMK12を彷彿とさせる砲塔に包まれたそれは、どう見ても砲郭形式の副砲を装備する戦艦の武装としては場違いな雰囲気を発していた。

 

 なんというか、こう、第一次世界大戦前期くらいの設計思想で建造された戦艦を改装によって無理やり第二次世界大戦後期レベルの水準まで引き上げたような、そんな歪さを感じさせる艦影である。

 

 

 何よりも重要なことは、これの持ち主がいるということである。

 霧の大戦艦級は総じてメンタルモデルを保有しており、刑部邸周囲で勃発したハルナと統制陸軍の戦闘を見ればわかるようにメンタルモデル単体でも軽く軍を蹴散らす程度の戦闘能力を持っている。

 

 こんな場所に艦体を置いているということは間違いなく横須賀にメンタルモデルがいるということだろう。

 そしてこの時期に霧が興味を持つことと言えば―――学園祭。

 

 日本の先端技術が多く存在する展覧会の上、裏では霧の総旗艦である超戦艦ヤマトが動いている。

 この場合特に重要になってくるのは後者の理由だ、どこからか、恐らく内閣府あたりの秘匿通信をすっぱ抜かれたのだろうが、402たちが運営に関与することが見破られたのだろう。

 

 402は401の原隊でもある第一巡航潜水艦隊所属、つまりは超戦艦ヤマトの直轄艦であり、彼女が動くということは間違いなくヤマトの命令であるということだ。

 

「うーん…まぁ後でコトノに一言言っておくか…」

 

 困ったときの丸投げである、言っちゃなんだが正面からの戦闘において大戦艦一隻ぐらい私にとっては大した脅威でもないし。

 むしろハルナたちに加勢されたほうが厄介だ。無傷の大戦艦の暴力によってタカオたちを吹き飛ばして原作より彼女らがスムーズに突破してしまうかもしれない。

 

 

 早めに突破すると何がいけないのかって?

 

 知らんのか、キリシマがキリクマのままになる。

 

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 ――いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ。

 

 いえ、なにぶんこの喫茶を始めてまだ日が浅いもので…

 この通り、休日の夕暮れ時だというのにに閑古鳥が鳴く有り様ですよ。

 

 オススメですか?

 でしたらコーヒーはいかがですか? 地元の友人から仕入れた特注の豆を使っているのですよ。

 

 この喫茶も元はそこでやっていたのですが仲の良い子どもがここの学園に入学することになりましてね、そのついでに私も念願のジョウ…キョウ…?

 というやつをしてみたのですが……まぁ…えぇ、お察しの通り、というやつです。

 

 そちらは…?

 こんな辺鄙な喫茶店へなんの御用ですか?

 

 …いえ、そういう意味ではなく、なぜこんな店に入ろうと思ったのですか?

 

 なるほど、上司の命令で突然学園の視察に…その下見としてこのあたりを見て回っていたわけですか…なかなか人使いが荒いお人ですね。

 なんとなく既視感を感じます……

 

 あぁ、別に貴女の上司の方と関係があるわけではなく、こう…なんというか……地元でお世話になった人……人…? に少し似ていましてね。

 新参者だからか私が無茶を振られたことは殆どありませんでしたが、私の住んでいた……そう、アパートの管理人さんはよくため息を付いていましたね。

 向こうでやっていたときのこの店にもよく来てくれましたし、悪い人ではないんでしょうけど…

 なんというか…趣味とノリで生きてるっていうか…自由な人でしたね。

 

 もしかしてそちらも?

 あー…いつも怠けてばっかり……大変ですね…

 

 

 

 学園と言えば、もうすぐ学園祭を執り行うらしいですね。

 もしかしてその関係ですか?

 

 へぇ、確かにあの学園はこの国で最高峰の技術を持っていますしね、あの子達もなにか催し物をするんでしょうか…

 私もあの子達から招待状をもらったんですよ、元々は二人……あぁ、この店は私ともう一人でやってるんですけど、今ちょっと急用で地元に帰っちゃってて…

 

 

 それにしても、学園祭って一体何をやるんですかね、貴女は何を見るおつもりなんですか?

 

 霧の技術…ですか、私はあまり良くわかりませんが、とにかくすごい技術なんでしょうね。

 

 何しろこの世界の七割を実質的に支配しているのですから。

 

 

 

 

 ――あら、もうお帰りになられます?

 

 それでは、今後とも喫茶獅子亭をご贔屓に…で、いいんでしたっけ?

 

 




とりあえず、慣れない形式で書くもんじゃないなって。

夏休み後も間隔落とさずに続けられるかな…

つづく…


…たぶん

追記:活動報告に旗艦装備などの各種特殊兵装について投稿いたしました。

ムサシ追撃戦、GKちゃんは?

  • 参加
  • 不参加(ティルピッツ主導)
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