超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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ぁ……あけましておめでとうございますぅ……

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タシュケントとの通信シーンにちょこっとだけ追記
シンプル書き忘れぇ…


第四十三話

――聞こえるか?

 

あぁ、その通りだタシュケント。

悪いが仕事の時間だ。

 

そう言ってくれると話が早い。

 

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大西洋じゃない、太平洋だ。

お前にもティルピッツから通信が行っていると思うが、近々大西洋方面でビスマルクが動く可能性が高い。

 

だからこそ、今この段階で太平洋方面の動きを見逃すわけには行かない。

単純な物量で言えば北米方面艦隊は圧倒的なものがあるからな。

 

む?

大西洋方面の北米方面艦隊のことか。

あちらは改修を終えたピケット艦部隊に任せる。ドックから出たばかりのあやつらにもこのような緊迫感のある実戦が必要だろう。

 

なに、あやつらの改修計画にはお前も関わっているのだろう?

それなら滅多なことはあるまい。

 

我も一見させてもらったが、あれをくぐり抜けられるのはヤマトくらいであろうよ。

 

それに、おそらく主戦場となるであろう欧州沿岸海域からそう遠くない箇所で攻勢を仕掛けるメリットは少ない。

逆に、正反対の太平洋から攻め入るメリットならいくらでもある。

我の動きも牽制できるしな。

 

 

とにかく、ミズーリと協力して太平洋方面の警戒にあたってくれ。

アラスカは呼び戻さなくていい。あちらもあちらで大変なようだからな、事によっては援護を頼むことになるかもしれん。そちらについても覚えておけ。

 

……アラスカには別で言っておかねばならん事があるが、今は後回しだ。

もう言ってしまったことは取り消せんしな。

 

 

休暇の邪魔をしてすまないな。代わりと言っては何だが、代休に関しては期待していいぞ。

たこ焼きも土産につけよう。アレは美味しそうだった。

 

 

 

 

どうした?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――一応ティルピッツにはこれでどうにか誤魔化せたのだが、やはりお前の目は欺けんか。

 

 

 

だが、その推測には訂正しなければならん点があるな。

 

我は決して偽者などという安い存在ではない。

 

 

 

我は超戦艦グローサー(Großer)クルフュルスト(Kurfürst)。その一点において、間違いなど存在しない。

 

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某日 横須賀 海洋総合技術学園

 

 

 

「これ、レイチェルさんの店じゃないですか」

 

 ハルナから見せられた写真を視界に入れた直後、スィノプは咄嗟にという言葉が似合うほどの速度でその言葉を口にする。

 その反応の速さは、彼女が日頃低くない頻度で件の喫茶店へ入り浸っていることを伺わせた。

 

「……知っているのか」

 

 突然に投下された爆弾発言の衝撃波からいち早く顔を上げたのはハルナであったが、その声は普段の彼女とは異なりかすかに震えており、彼女の動揺を表した。

 ちなみにキリシマは思考を放棄したのかただのぬいぐるみのようにハルナの腕に抱かれている。

 心なしかぶつぶつと何事かを呟いているように聞こえたキリシマの声を聞かなかかったことにしつつ、スィノプはさらなる爆弾を投下した。

 

「そういえばこの二人も見たことが――」

 

「なんだと?」

 

 喫茶店での面識があるとすれば、さらなる情報も見込めるかもしれない。

 降って湧いた期待にそれまで漂わせていた疑念をさらに強めつつ、追及を強める。

 

「――あぁ、いつも窓際のテーブル席に座っている方々ですね。私はいつもカウンター席に座るので特に関わり合いはありませんが、レイチェルさんとはとても仲が良さそうでした」

 

 スィノプ曰く直接の会話は無いそうだが、ハルナからしてみれば聴き逃がせない情報もいくつか含まれていた。

 

「待て、そのレイチェルとか言う店主は本当に人間なんだろうな?」

 

 現状正体は不明ということになっているが、十中八九北洋方面艦隊の関係者と見られる二人の少女と気安げに会話する喫茶店の主人。

 彼女達が一般の学生として横須賀で生活している都合上無関係である可能性のほうが高いが、実質的な艦隊指揮官である蒔絵の兄から直接渡された依頼においてそうした楽観視はハルナの生真面目な精神性が許さなかった。

 

 もし主人が人間ではない、つまりは自分たちと同じメンタルモデルであるならば、その正体には二通りの可能性が考えられる。

 一つは他の艦隊、例えば南洋方面艦隊あたりがスィノプと同種の目的で派遣した“目”の可能性。

 もう一つはその主人もグル(北洋方面艦隊)であるという可能性。

 

 前者であればあくまで競合他者なので動き方次第では協力関係を結べる可能性があるが、後者であった場合はまずい。

 単純に相手の戦力が増えるだけでなく、以前から霧の艦隊内部で密かに噂されていた一つの疑惑が決定的なものとなりかねない。

 

 

 北洋方面艦隊は既に人類社会に溶け込んでいるのではないか。

 

 

 元々は一七年前のレイキャビク強襲作戦に端を発している。

 攻撃の数日後に行わたレイキャビクの潜入調査において、海面上昇の結果一都市より少し多い程度の住民しか残っていなかったアイスランド本島だったが、いくら探しても子ども一人見つからなかった。

 

 数発の流れ弾がレイキャビクの住居区画に落下したことは間違いないがそれでも人っ子一人いないというのははっきり言って異常であった。

 

 そこで出されたのが先程の一説というわけだ。

 

 仮に主人が北洋方面艦隊の関係者であるならばその説が立証されたと考えて良いことになり、北洋方面艦隊の警戒範囲を広げざるを得なくなる。

 基本的に互いの支配海域には不干渉が不文律となっているが、こうなってしまえば互いに情報共有を行う必要があるだろう。

 

 北洋方面艦隊の一件を例に上げるまでもなく、霧の艦隊は決して一枚岩ではない。

 401を中心に世界がうねりをあげて動き始めていることはここにいるキリシマろハルナの共通認識ではあるが、それが世界規模ともなると、到底頷くことはできない。

 

 だからこそ、示し合わせたように巡ってきたこの機会を逃すという手段はキリシマの脳内にはなかった。

 

「なぁ、手を組まねぇか?」

 

 これまでハルナの腕の中で沈黙を保っていたキリシマがポツリと声を漏らす。

 

「起きていたんですか、てっきり自己診断モードに入ったものかと」

 

「珍しい、この前手入れした時に変な綿でも詰めたんじゃないか?」

 

 キリシマが突然口にしたその提案にハルナとスィノプは声音だけは意外そうに言葉を返すが、その心中はその協力関係が成立する可能性について思考を重ねていた。

 

 恐ろしい速度でメリットとデメリットが脳裏に書き足されてく二人を置き去りにし、人形の姿からすると不自然極まりない挙動でハルナの腕から飛び出すと、やけに格好つけた着地をして言葉を続けた。

 

「そっちの目的は諜報、つまりはこの街で何が起きるのかを記録しに来たわけだろ?」

 

「えぇ、まぁそうですけど……それが何か?」

 

「近い内に何かが起こる、それも総旗艦が関わっている一件について知ってる……としたらどうする?」

 

「……興味深いですね、詳しく聞かせてください」

 

 先程のお返しと言わんばかりにキリシマが口にした情報にスィノプは一瞬思考を止めざるを得なぁった。

 数コンマ後に再開された彼女の思考は既にハルナ達と手を組むか否かではなく、自身の上司をどのようにして説得するかに切り替わっていた。

 

「おっと、そこまでは言えないな。だが、総旗艦が関わっているのは間違いない。ついさっき部下をふん縛ったばっかだしな」

 

「ですが、そこまで分かっているのなら態々部外者である私に伝える必要はないのでは? 自分たちのみで動けばいいように思いますが」

 

 その切り替わりを悟らせないようにしつつ、スィノプは現時点で引き出せる情報をキリシマから引き出そうと追加で質問をした。

 

「それがそう簡単なわけでもないんだよ。北洋方面艦隊の一件もそうだが、実は……あぁお前は知ってるか、私らも東洋方面艦隊の中だとちょっと微妙な立ち位置でな、簡単に言えば歓迎されない可能性がある」

 

 ひと目見ただけで自身とハルナを見抜いた様子からして、ある程度は自身たちについても情報を握っているのだろうと察したキリシマは、それでも若干言葉を濁してスィノプへと返す。

 

 しかし、キリシマの予想通りと言ってよいのか、スィノプはキリシマたちの事情について深くはないまでもコンゴウが統合戦術ネットワークに上げているものよりは精度の高い情報を有していた。

 

「なるほど、刑部邸の一件ですか」

 

「どこからその情報を?」

 

「ここの政府データベースを少しばかり、少しは隠蔽工作などなさったらどうです?」

 

「ともかく、私達に足りないのは戦力だ。で、そっちの欲しいものは情報。どっちにとってもメリットが大きいだろう?」

 

 改めて協力関係の利点について言葉にしたキリシマは、そこで一旦区切るとスィノプの方に近づいてその手を差し出した。

 

 ……もっとも、現在のキリシマの見た目は愛くるしい青色の熊のぬいぐるみであり、傍目から見ればぬいぐるみがトテトテと歩いて小さな手を伸ばすその様子は非常に可愛らしいものであった。

 

「……受けましょう、ちょうど寝坊助からの承諾も取れたことですし」

 

 スィノプはその動作に多少面食らったが、既に返答を決めていた彼女は躊躇うことなく繊維で作られたその丸い手を取った。

 

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某日 横須賀 海洋総合技術学園

 

 

 

《そろそろこっち来てくれない?》

 

 概念通信から伝わるコトノの声が私の脳を揺らす。

 ……メンタルモデルに脳といえるものが存在するのかはさて置き、私は今それどころではなかった。

 

 決して負けることができない戦いに私はこの身を投じていた。

 

「――ジョン・ネイピア!」

 

「お見事! ミス・ケイさんに1ポイント!!」

 

 ――海洋総合技術学園クイズ研究会主催、個人参戦形式のクイズ大会。

 学園中央から少し離れた広場にできた巨大な人だかりの中心にあるその会場の壇上にて、私は右手をレトロ風味なボタンに叩きつけつつ叫んだ。

 

 司会と審判を兼任しているテンションの高い生徒が高らかに正解を宣言した直後、ピコンと音がなって私の背後にあったパネルに映された数字が一つ増える。

 

 というかあの往年のクイズ司会者みたいな背の高いシルクハットは何処で手に入れたのだろうか。

 

「中々やるじゃない! でも、そのボタンを壊さないようにね」

 

「そっちこそ、壊したってポイントは貰えないよ?」

 

 さっきの問題、というかほぼ全ての問題でコンマ単位まで競ってきている隣の女性がその紫眼の目線を前から逸らさずにこちらを煽ってくる。

 確かに私の手元に置かれているこれまた往年のクイズ番組のような早押しボタンは先程から少しずつ押したときの手応えがなくなってきており、ガタが来ているのは間違いなかった。

 

 しかし、それは美しい金髪を風に靡かせる女性の手元に置かれたボタンも動揺であり、押す前のボタンの高さが下がってきていた。

 

 一応は超戦艦としてスパコンをタワマンに詰め込んだような演算能力を誇る私に追随するこの女性は何者なのか――

 

「おぉーっと! ここでレディー・レックスさんが1ポイント! またもこの二人が並んだー!!」

 

 ご想像の通り、北米方面艦隊の海域強襲制圧艦、レディー・レックスことレキシントンさんです。

 

 追加で購入したたこ焼きをつまみつつ学園内を散策していたら景品付きのクイズ大会などという面白そうなものを見つけてしまい飛び入り参加したというわけだ。

 

 問題の内容は基本的にこの学院で学ぶ範囲なのだが、時折なかなかマニアックな問題が出たりする。おそらくはそれで参加者を篩いにかけているのだろう。

 勿論、私にそんな物が通用するはずもなく、あれよあれよとトーナメントを勝ち進み、ついにこの決勝戦で彼女と相対したというわけだ。

 

「1ポイントづつの接戦だ! 一体どっちが優勝を手にするんだ!?」

 

 最初はコトノの方にも行かないといけないし程々のところで負けて抜けようかと思ったのだが、客席の端からこちらを見る目線に気づいてから逃げるに逃げれなくなった。

 

 

 なんでそんな期待に満ちた眼差しでこっちを見てるんだゾルダン君!?

 

 君劇中ではそんな興味なさそうだっただろ!?

 

 今も会場の周りに置かれたカラーコーンの側からこっちガン見してるし…

 あ、ロムアルド君その手に持っているのはついさっきまで私が頬張っていたたこ焼きと同じ店のやつじゃないか、見る目があるね。

 

 というかアレ間違いなくこっちに気がついてるよね、やっぱ服装変えた程度じゃ気づかれるってことか。

 

「さて激戦もいよいよ終盤、最後の一問となりました!! 点数は横並び、この早押しを制したものがこの大会の勝者となります!!」

 

 もう一度言うが、絶対に負けられない戦いがここに――

 

《そろそろ本気で怒るよ》

 

あった。

 

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「あら? さっきの決勝戦の子は?」

 

 大会の表彰式が始まる直前、ステージの端に並ぶ面々の中に先程激戦を繰り広げた少女がいないことに気がついたレキシントンは近くにいた大会運営に携わる生徒に声をかけた。

 

「ケイさんならさっき急な用事が入ったと言って鬼気迫る表情で表彰を辞退されましたよ。それにしてもすごい戦いでしたね! ウチでは定期的に開いている大会もあるので、そちらにも是非!」

 




本当に遅れて申し訳ありません。
用意していたプロットに展開崩壊レベルの矛盾点を発見して修正に四苦八苦してました。


あと一応私は受験生という人種になるので特に4月以降は目に見えて頻度が落ちる…かも…

ムサシ追撃戦、GKちゃんは?

  • 参加
  • 不参加(ティルピッツ主導)
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