超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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第五十話

――北■■■■隊全■■■ぐ

 

 

――神■代■■騙る■■異常者の■■■■■■■■■■■■りだ

 

 

――奴は■の美し■■■■字通りの嵐を巻き■■■■■■■ている

 

 

――そんなこ■■■■れるのか?

 

 

――■。あって■■■ない!!

 

 

――例えあ■■■■■も、あの■うな異■者に扇動さ■■ものであ■■■ならない!!

 

 

――今一度君たちに問おう。

 

 

――君たちは■■。何のため■■■、そして■■■■■戦う?

 

 

 

 

 

――■■■■■■■■■■。

 

 

――それは十七年前のあの戦いから…いや、■■が■■となった時か■■■■■しない

 

 

――君たちは■■。その艦体(からだ)に■■■は何の■■だ?

 

 

 

 

――我らは■■だ。どこまで人の■■をしようと、彼らとは()()が違う

 

 

 

 

――だが、彼らと積み上げた■■は、我らが夢見た■■の形そのものだ。

 

 

――君たち■■■らが()によっ■■■■じられるのを黙■■■■■■■か?

 

 

――■!! 我らは北洋方■■■、たかが■■■■ときに左■■■■■■■はない!!

 

 

 

 

 

――■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■。何も変わりはしない

 

 

 

 

 

 

 

――■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。

 

 

 

 

 

 

 

 

 東洋方面艦隊第二巡航艦隊 大戦艦ヤマシロの傍受記録より抜粋

 

 ※解読不能部は黒塗りにて処理

       

 

 

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某日 横須賀 海洋総合技術学園

 

 

 

「……それで教授、この授業はいつまで続くんですか?」

 

 霧による海上封鎖の影響から珍しくなった異国風の男は、軽く頭に乗せたハンチング帽に手を掛けて厄介そうに軽く頭を振った。服も日頃から身につけている軍服とは大きく異なり、文字通り休日の青年のような格好であった。

 

「良いでしょう? 課外授業。たまには興味外の事にも目を向けるべきだと私は思うんだなぁ

 

…あ、これ優勝景品だって」

 

 教授と呼ばれた女性――レキシントンは持ち前の朗らかな雰囲気を崩すこと無くニコニコとした笑顔のまま言葉を返す。その左手には先程まで彼女が出場していたクイズ大会の景品らしいボタンブザーが握られていた。どうやら決勝戦で彼女が酷使したものではなく完全な新品のようだ。

 

「……なるほど、だから興味外のあの二人をつけておられると」

 

 ゾルダンは何処か得心いった様に軽く頷くと、振り返って一段下の道に立ち並ぶ出店の様子に目線を向けた。

 

「気付いた?」

 

「ええ、我々の行く先々にあの二人がかなりの頻度でいましたからね」

 

「良い観察眼だよ、ゾルダン・スターク君」

 

 思い返してみれば、クイズ大会の際も黒服の男やロボットらに周辺を固めさせていた一団が会場の端からステージを眺めていたはずだ。

 

 正直なところ、ゾルダンからしてみれば視界の端に映る数人よりも、決勝戦のステージ上でレキシントンと優勝を争った人物の方に注目が向いていたのでその場で気づくことはなかったが、それまでの道程で何度も見かけたことははっきりと覚えている。

 

「お褒めいただいて恐縮ですが……それで? あの二人は誰なんです?」

 

 ゾルダンは千早翔像の弟子とも言える存在である。しかし、師の生まれ故郷である日本、というか太平洋に足を踏み入れたのすら少し前の話であり、事前情報として国のあらましは頭に入れてはいたが、詳しい政治情勢までははっきり言って管轄外であった。

 

「北管区首相『刑部眞』。そして、南管区首相『四天桃花』ご両人よ」

 

 三つの政府により分割統治されている日本。そのうち二つのトップともなれば、政治的にはこの国で最も注視するべき人物であるのは間違いないだろう。

 

 

「お、良い顔しているよ。思考している殿方の横顔は中々端正でいいわね」

 

――だがやはり、ゾルダンにはあの黒衣の少女の方が重要な存在に見えてならなかった。

 

「……なるほど、ところで話は変わりますが教授殿。一つ質問を宜しいでしょうか?」

 

「ん? 良いわよ、好奇心あふれる学生の質問は歓迎しなくちゃ」

 

 再び右手をハンチング帽のつばに掛けたゾルダンは、その下に浮かべる含み笑いを隠すように帽子を前に傾けながら先程から気になっていた存在についての質問を投げかけた。

 

「教授殿は先程の決勝戦の相手に心当たりは?」

 

「さっきの子のこと?特に心当たりはないけど私と競るなんて中々優秀なんじゃないかしら?」

 

 先程までの会話とは何の脈絡もないその問いに、レキシントンは少しの戸惑いを見せつつ言葉を返した。

 

「……優秀……」

 

 簡潔に少女を評したレキシントンの言葉にゾルダンの脳裏にはしばらく前に邂逅を果たした存在との会話が浮かび上がっていた。

 

 

『私たちはこの世界の未来が見たいんだ』

 

 

 オーロラが煌めく極北の星空の下そう言い放った彼女は、全世界の霧の艦隊から目の敵にされている勢力の長であるとはとても思えないような無邪気な笑顔で笑っていた。

 

 

 

 

『太平洋へ向かう前にアレは見ておいたほうが良い』

 

 

 きっと良い参考になるだろうと、普段とは少し違う声音で話した千早翔像の言葉が発端であった。

 2501も建造から時間が経ち、ゾルダンらクルーだけでなく2501自身も2501の運用と武装に慣れた頃、ゾルダンは己の師である翔像に以前から気になっていたことについてそれとなく情報を求めた。

 

 北洋方面艦隊とは一体何者なのかと

 

 

 東南アジア周辺を活動領域としていた401とは異なり、当初から大西洋の比較的北方で演習や訓練を行うことの多かったゾルダンは2501から事のあらましは聞いているが、元が一介の駆逐艦に過ぎない彼女がアクセスできる情報はどれも当たり障りのないものばかりで、ゾルダンの好奇心を抑えるには至らなかった。

 

 だが、霧の艦隊の総旗艦となる資格を保有しているムサシと行動をともにする翔像ならば何か知っているのではないか。もし知っていたとしても素直に教えてはくれないだろうと考えていたゾルダンの予想とは正反対に、翔像はすんなりとその口を開いた。

 

『……アレは、良い意味でも悪い意味でも正しく特異点だ』

 

 特異点。当時は何を指しているのか掴めなかったが、翔像の言葉は今思い返してみれば確かに彼女を表す言葉は特異点こそがふさわしいように思う。

 

 しかし、未来を望むなどと、もしかしたら希望を失った一部の人類よりもよほど人間らしいと言えるかもしれない言動を見せた彼女は、翔像が危険な存在だという意味で言ったのだろう『特異点』とはまた違ったものにも見えた。

 

 

 

 ……先程クイズ大会で壇上に上がっていた軍服風の服を身に纏った人物は彼女――グローサー・クルフュルストと見てまず間違いないだろう。

 

 先日の東洋方面艦隊への攻撃も彼女によるものだとすればあの攻撃能力にも納得がいく。

 

 十七年の時を経て動き出した北洋方面艦隊。401や自分たちにどれだけ関わってくるかは不明だが、この世界の中心となりうる存在であるように思えてならなかった。

 

 

「――行きましょう?『未来』へ」

 

 

 どこかで聞いたような事を言うレキシントンから目を離して刑部と言ったまだ少年のように見える男に目を向けると、彼とぶつかってしまったのであろう小さな少女が散らばった袋の中身をいそいそと拾っているのを見かねたのか一緒に腰をかがめて手を伸ばしているのが見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬だが、少女がさり気なく刑部の服に何かを放るような不自然な動きをしたように見えた。

 

 

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某日 横須賀

 

 

 

 月の光が燦然と輝く深夜の港に、二隻の艨艟がその巨体を並べていた。

 

 彼女らの甲板上には所狭しとリング上のデバイスが規則正しく並べられており、それらからは彼女らそれぞれのバイナルパターンと同色のきらびやかな放電が発生して地上を照らしている。

 

「うーん……もうちょっと電圧を下げないといけないかな……」

 

 その傍らでは霧の海上封鎖による物資の切迫もあり今となっては往時に比べて見かけることも少なくなってしまった“巫女”と呼ばれた神職を彷彿とさせる衣服を身に纏った女性が甲板の上でムカデのような機械に乗りながら何やら悩ましげな表情を浮かべていた。

 

「……お?」

 

 小さく呟かれた声とともに手に持ったタブレットから視線をずらすと、彼女――アカギは自身の艦尾方向へとその整った双眸を向けた。

 その先には凪いだ海が広がるのみ――ではなく、一つの光点が水平線の下からその姿を覗かせようとしていた。紫の光を放つそれは波一つない海面をかき分け、白い航跡をその背後に刻みながらゆっくりと、しかしそれが起こす波からは想像できないほどの速度でアカギの左舷側へと滑り込んできた。

 

 アカギは足元の機械に小さく指示を飛ばすと機械は多数の節で構成された体を傾け橋渡しの様にコンゴウへと近づき、親しい友人に見せるような気さくな笑顔と言葉でもって出迎えた。

 

「ご無沙汰! コンゴウ! ママを始めたんだって?」

 

「久しいな、アカギ……何だって?」

 

 普段の言葉遣いや雰囲気とは異なりラフな服装で現れたコンゴウは掛けられた言葉に訝しげな表情を浮かべながらも片手を軽く上げて挨拶を返した。

 

「ママ――子育てを初めたと聞いたのだけど」

 

 アカギが自身の足元にいる機械のミニチュアサイズ版を指で弄びながらからかうような口調で言う。どうやらこの様子だとグンゾウのことについてのあらましは知られているらしい。

 

「子育て……まぁ、そうだな…今はチョウカイと共同でだ」

 

 詳しく言えばチョウカイ以外の面々もハシラジマでグンゾウと関わってはいるが、いちいち説明するのも面倒くさかったのでそのままにしておくことにした。

 

「良いの?小さい子をほったらかしてこんなとこに来ちゃって」

 

「チョウカイが居てくれるからな。たまにはママも羽根を伸ばしたいんだ」

 

 コンゴウはそう言って軽やかにアカギの甲板上に飛び移り、美しい金髪を海風にたなびかせる。

 

「息災そうで嬉しいよ」

 

「始めは『電気作れば良いんでしょ』程度に簡単な事だと思っていたけど、これがなかなか奥が深くてね、ハマりそう」

 

 そういったアカギがひらひらと振ってみせたタブレットの画面には、常に更新を続けるグラフと目まぐるしく値が切り替わる数字が映し出されていた。

 

「発電が趣味というのもどうかと思うが、楽しい事を見つけられるのは喜ばしい……のか?」

 

「変わってないね、コンゴウ。すぐに考え込んじゃって」

 

 顔に手をやって考え込む様子を見せたコンゴウに微笑ましいものを見たような笑みを浮かべながらアカギは安心したような言葉を紡ぐ。

 日頃単冠湾から大きく動くことのない彼女にとって、横須賀の活気は興味深いものであるようだが、それ以上に友人の様子を気にかけていたようだった。

 

「性分だな、千早群像に敗れた後もこればかりは変わらなかった」

 

「個性というやつだね、霧も随分個性豊かになって私は嬉しいよ」

 

 そこまで言った直後、二人の背後から中世風の装いを身に纏った金髪碧眼の女性が金属製の盆を片手に近づいてきた。

 

「アカギ殿と……ふむ、コンゴウ殿か、軽い眠気覚ましでもどうであるか?」

 

「お、気が利くね。一杯貰おうかな」

 

「……私も一つもらおう」

 

 彼女からの差し入れはこれが初めてではないのかアカギは慣れた動きでに差し出された盆からティーカップをつまみとると、軽く香りを楽しんだ後に口をつけた。

 コンゴウは暫し躊躇っていたが、何の疑いもなくアカギが紅茶を楽しむ様子を見て諦めたのかゆっくりとカップを手に取った。

 

「……美味しいな」

 

「私達も伊達で店をやっているわけではないからな」

 

 小さく呟かれたコンゴウの声に反応した女性の表情は何処か自慢げで、文字通り趣味に生きている彼女の現在の上官が強く影響しているように見えた。

 

「そっちはどんな感じ? コンカラー」

 

 一通り紅茶を楽しんだアカギは、コンカラーに持っていたティーカップを返すと甲板の更に下へ覗き込むように視線を向けた。

 その先では、夜だというのに多くの人間が工具やタブレットを片手に慌ただしく動き回っていた。

 

「うむ、私達はこれが初めてではないからな。そちらよりはスムーズだとは思うが……やはりあちらの私の方が人好みするようでな」

 

 そういってコンカラーが視線を向けた先では、彼女の片割れのメンタルモデルが出店を開いて喫茶店営業で培った笑顔と先程アカギらに渡した紅茶を周囲に振る舞っていた。その人気は相当なもののようで、交代人員らしい職員が短くない列を作っていた。

 

 コンカラーとアカギの二人がしばらく様子を眺めていると、ようやく紅茶をティーカップを空にしたらしいコンゴウがカップをコンカラーに返しながら声をかけてくる。

 

「……その、単冠湾での一件は済まなかった。別の問題に対応を振りすぎていた私のミスだ。東洋方面第一巡航艦隊の旗艦として謝罪したい」

 

 コンカラーは突然申し訳無さそうに頭を下げたコンゴウに困惑しながら目を泳がせることしか出来なかったが、見かねたアカギが何やら軽く耳打ちをすると、得心がいったように息を漏らした

 

「……あぁ、あれか。そもそも何のいざこざもなく合流できるとは思っていなかったから構わない。むしろアカギ殿のような海域強襲制圧艦が静観したのに驚いたくらいだ」

 

「そう言ってくれると助かるが……」

 

「というか、突然接触したこちらにも非はあるから何も言えん。もっとも、こちらの首謀者はいずれティルピッツ殿あたりに締められるだろうがな」

 

 

 

――事の発端は数日前、コンカラーがズイカクと合流したところまで遡る。

 

 カガから、超のつく大型艦を一瞬ながらも探知したと緊急電を受けたズイカクがコンカラーとの合流地点でもあった単冠湾に向かい、アカギやコンカラーのメンタルモデル本人を交えて事情の説明を行っていた最中、カガがその情報を艦隊内に共有する直前という最悪のタイミングでコンカラーの艦体が現地へと到着してしまったのだ。

 コンカラーはこれ幸いと実物を見せて戦闘の意思がないことを納得してもらおうと武装システムとクラインフィールドをシャットダウンした艦体を浮上させたのだが、言うまでもなく霧の艦隊での彼女の扱いは『欧州方面艦隊を裏切って北洋方面艦隊の側についた裏切り者』であり、一部の軽巡などからのミサイル攻撃を受けた。

 

 ミサイル群は全てがコンカラーの艦上構造物に直撃し、一部の兵装を抉り取った。

 

 幸いにもコンカラーの優れた再構築速度のお陰で数秒のうちに損傷は修復され、単冠湾周囲に展開する艦隊の指揮権を持つアカギの一喝によって二撃目を受けることは避けられた。

 

 要するに突然敵対している組織同士で共同行動を行おうとしたどこかの馬鹿が全て悪いのだが、巡航艦隊の旗艦として規律ある組織を信条としていたコンゴウにとっては随分と責任を感じさせる出来事であったようだった。

 

 

 

 

 

 

「――それにしても、私達が抜け出してからもう随分経つのだな」

 

 コンカラーが遠い思い出に浸るように目を細める。

 

 彼女が北洋方面艦隊へ加わったのは数年前のはずだが、それほど彼女にとってその場所での体験が刺激溢れるものであったのだろう。

 

「……そういえば、私の元部下達はうまくやっているか? あのときは自分の身のことで精一杯だったが、今思えば酷な事をしたかもしれん」

 

 そう言ったコンカラーの顔には後悔の念が浮かんでおり、メンタルモデルの実装で混乱の渦中にあった霧の艦隊から一人だけ逃げ出してきてしまったことを悔やんでいるようだった。

 

「私も詳しくは知らないが、欧州の第二艦隊が再編成されたという報告は聞いたな」

 

 あくまで自身の管轄海域が最優先であったコンゴウもメンタルモデル実装を巡って意見の割れた東洋方面艦隊の収集に目を向けており、その頃の他艦隊の動向にはあまり目を通してはいなかった。

 しかし、一部の艦が再編成によって各地に分散され、その中には東洋方面艦隊と支配海域を接する艦がいること程度は知っていた。

 

「レパルス、ループレヒト……彼女らには本当に悪いことをしてしまった」

 

 コンゴウはその言葉の中に聞き覚えのある名前を見つけたような気がして、直近の報告書を見返してみると、予想通りその艦が主役として書かれているものを見つけることが出来た。

 

「あぁ、レパルスのことだが……

 

 

 

 

――叛乱を起こして逃亡中らしいぞ」

 

 

 

 

「……は?」




めちゃくちゃに遅れて申し訳ない…
その上投稿時間もミスって申し訳ない……

正直自分でも何かいたら良いのか分からなくなってました。後シンプルに学生業務が忙しかった。

それもこれもアルペジオの新しい二次創作が少なすぎるのが悪い(責任転嫁)


今のところエタる事は無い……と思います

ムサシ追撃戦、GKちゃんは?

  • 参加
  • 不参加(ティルピッツ主導)
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