超戦艦  Großer Kurfürst   作:U・K・Owen

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ちょっとぐらい……バレへんか


第五十四話

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認証しました

 

 

 

 

 

インタビュー記録

 

インタビュアー 機密性保持のため無記名

対象 ■■■■■・■■■■■■■(旧アメリカ自由州連合軍所属、当該陸軍元中将。205■年■月まで第■■戦区を指揮)

 

インタビュアー:では、まずは認識の摺り合わせを行いましょうか。

 

対象:摺り合わせだ?こんな敗軍の将をわざわざ引っ張り出して、随分と余裕じゃあねぇの。まだ上が両手を上げてからたったの二時間しか経ってねえっていうのによ。

 

インタビュアー:事態がそれほど急を要するということです。貴方の副官の■■■■■■氏にも別室で聞き取りを行っています。

 

対象:(約12秒間の沈黙)まどろっこしいことはなしにしようか。何について聞きたい

 

インタビュアー:簡潔に言います。

 

インタビュアー:205■年■月より第■■戦区に投入された戦(・)力(・)について、貴方が知り得る全ての情報をお聞かせ願いたい。

 

対象:分かった……が、アレは上(・)から押し付けられたもんだからな。現場一辺倒だった俺は詳しくは知らん。上の連中に聞いたほうが早いと思うんだが、それでも良いのか?

 

インタビュアー:自由州連合上層部及び司令部に保管されていた各種情報は既に回収済みです。あくまでこれは情報の精度を上げるための作業に過ぎません。全てを話してください。

 

対象:(舌打ち)

 

対象:こっちが押し込まれ始めた頃から、上がなけなしの金で雇った傭兵部隊を積極的に前線へ回すようになった。と言っても貿易を封じられた戦争中の国でまともに稼ぐ手段なんて兵士か精神科医しかないから、ま、実質的な徴兵だわな。

 

対象:そんな奴らがまともに自動歩兵の操縦なんかできると思うか?

 

対象:案の定貴重な機材を壊しまくって裏じゃあ目の上のたんこぶだった。それを口に出したら俺達の存在意義が危うくなるから、誰も口に出しはしなかったけどな。

 

インタビュアー:えぇ、こちらの前線部隊からも同様の時期より対面する敵の練度のムラがひどくなったとの報告を受けています。

 

対象:前線に出せばシェルショックで後方送り、支援部に送ればマニュアル通りのメンテナンスすらおぼつかない。正直言って飽き飽きしてた頃だったんだ、彼奴等がこっちに回されて来たのは。

 

対象:(18秒間の沈黙。右手を額に当て、天井を見上げる)……思えば、前触れからして異常だった。

 

インタビュアー:異常、とは?

 

対象:お偉いさんから先触れが来たんだよ。それまではただ何も知らされてない素人を列車に乗せてくるだけだった上からだぜ? それに、内容もちとおかしかった。

 

対象:『先方が英語に不慣れだから細かな粗相は見逃してやれ』ってな。信じられるか? こんなふざけた連絡に総司令のサインが入ってた。

 

インタビュアー:英語に不慣れ……ですが貴方の証言では当時の傭兵は――

 

対象:あぁ、ほとんどがアメリカ人だったはずだ。あの混乱だからそりゃあ多少は正式な国籍を持っていない連中だって居ただろうが、この大陸に住んでいて英語に不慣れなんて……なぁ、ありえねぇだろ。後半だけなら世間知らずな政治家のお嬢様か御曹司が来るのかと純粋に身構えたもんだが、ウチの参謀連中も首をひねっていたよ。

 

 

報告のためインタビュアーが5分47秒間退室する

 

 

 

インタビュアー:では、次は初対面時の印象についてお聞かせください。

 

対象:あぁ、見た目は黒いスーツを着た女だった。歳は多分、20後半から30ってところか。糸目のなんか胡散臭そうなやつだったな。確か……ウィミスーリタとか名乗ってたはずだ。十中八九偽名だろうけどな。

 

インタビュアー:一人でしたか?

 

対象:いや、後ろにもう一人護衛が控えていたはずだ。

 

インタビュアー:ふむ……基地内での様子はどうでしたか?

 

対象:そうだな、特に目立った問題は起こしてなかったはずだ。というか、お前さんたちも知ってると思うが彼女らは自分たちの事をただの連絡役だと言っていたからな……基地の使ってない会議室を一つ二つ使ってずっとなんかしてたぐらいか。

 

インタビュアー:何をしていたかはご存知で?

 

対象:おいおい、流石に覗きは軍規に反するぜ。 俺たちはレディの着替えを邪魔するような訓練は受けてねぇんだ。ま、あんたらはどうか知らねぇけどな。

 

インタビュアー:(沈黙)

 

対象:冗談だって、そんな怖い顔しないでくれよ。

 

インタビュアー:……事実のみをお願いします。

 

対象:事実って言ってもなぁ……本人たちからも入らないでくれって言われてた上に、さっき言った通り上(・)からも刺激するなってお達しが来てたからな……

 

インタビュアー:では、期間内において彼女たちとの交流はなかったということですか?

 

対象:ああ、そもそも奴らの話題自体俺含めて誰も口にしたがらなかった。なんてったって――

 

インタビュアー:戦果、ですか。

 

対象:おっと、人が喋ってるのに割り込むのは感心しないな、若僧。こういう尋問は相手が気持ちよく話しているうちは邪魔しないもんだ。

 

インタビュアー:ふむ、心に留めておきます。それで、そちら側では彼女たちの戦果についてどのように把握していますか?

 

対象:……奴らが担当したのは第■■戦区の東側半分、海に面した場所だ。こっちの観察記録も十分なものがあるとはいえない。何しろ海にはおっかない霧の連中がいるからな、やつら海の上なら紙飛行機だろうが戦闘機だろうがお構いなしだ。

 

インタビュアー:紙飛行機……? おかしいですね、こちらの調査では霧の艦隊の防空システムは一定以上の武装かそれに凖ずる情報を有する物にしか反応しないはずですが。

 

インタビュアー:お聞きしますが、その情報はどこから?

 

対象:……奴らだ。クソ、奴らわざと大げさに伝えやがったな。……まぁそれはもういい。戦果、だったか。さっきも言った通りこっちが受けたのは奴ら自身からの報告と一方向からの観察記録のみだ。正確な情報とはとても言えん。

 

対象:確か、奴らから上がってきた戦果報告が二個機械化師団の撃退と大隊規模の混成部隊の殲滅だったはずだ。俺としては実際はこれの上下誤差3割程度だと考えている。どうだ?

 

インタビュアー:上下3割、その程度であればどれほどよかったか

 

対象:何だ、違うのか

 

インタビュアー:えぇ、全く違います。

 

対象:下5割……ってわけじゃなさそうだな

 

インタビュアー:えぇ、こちらで確認が取れた被害だけでも六個機械化師団と二個混成旅団、空軍はより集計が不完全ですが少なくとも一個爆撃航空団と二個戦闘航空団が消滅しています。

 

対象:……聞きたいことは色々あるが、まず消滅ってのはどういうことだ。まさか今どき生身の人間を直接戦場に出していたわけじゃあるまい。機械化歩兵の戦闘データからその辺は分かるんじゃないのか?

 

インタビュアー:そのはずだったんですが、処罰を恐れた当時の司令官が戦闘記録を焼却してしまったようで

 

対象:兵はどうなんだ。こっちと違って職業軍人がまだ山ほどいただろう。

 

インタビュアー:それが…心理外傷後ストレス障害。端的に言ってPTSDを発症したものが多く、信頼できる情報を入手するのに苦労しているんです。あなたへのこの聴取もこれが原因です。

 

対象:やけに対応が丁寧だと思ってはいたが、そういうことかよ。

 

対象:だが納得した。そういうことなら老骨から一つだけ忠告しておく。

 

対象:奴らには触れない方がいい。ありゃあパンドラの箱みたいなもんだ。しかも底を見渡しても御大層な希望なんてありゃしねぇ。そもそも底が見えるかさえ怪しい。

 

インタビュアー:…………

 

対象:ま、全部俺の肌感の話だがな。

 

インタビュアー:空気感……それはどのようなものでしたか?

 

対象:(32秒間の沈黙)……なぁ、笑わないで聞いてくれるか?

 

インタビュアー:はい、貴方の証言は貴重な資料ですので。

 

対象:すまんな、前この話をした本部の友人に大笑いされてよ。あぁ、名前を言ったほうがわかりやすいか、参謀本部の■■■■■って奴だ。

 

インタビュアー:(端末を操作して名簿を確認する)ええ、確認が取れました。続けてください。

 

対象:(約2分間の沈黙)

 

インタビュアー:■■■■■さん?

 

対象:(26秒間の沈黙)……俺は親が空軍だったからよ、ガキの頃何度か基地の展示会に行ったことがあるんだ。もちろん当時の制式武器も見る機会があった。

 

対象:……そっくりだった。あの頃見た戦闘機に、戦い、敵を殺すことに最適化された、正真正銘の兵器に。

 

インタビュアー:それは――

 

対象:笑っちまうだろ?可笑しいよな? だが本当なんだよ。二十も超えてないガキの頃に感じたあの威圧感を、もうすぐお役御免の俺がだぜ?

 

対象:なぁ、聞かせてくれよ。俺はあの時、どんな化物と目を合わせたんだ?

 

 

 

 

2054年 旧第四施設跡

 

 

 

 さっきのコトノとの問答で遅れてしまったのか、広間にはもう原作通りの面々が揃っていた。

 頭の痛そうな上陰次官補(もう昇進したんだっけ?)、北さんに楓首相の中央管区組。蒔絵ちゃんのお兄ちゃんで北管区のトップやってる眞くん。………あのマダム名前なんて言うんだっけ、忘れたけど確か九州、南管区の首相だったはず。

 それにキリシマとハルナの二人組。キリシマは無事に受肉できたようで何よりだ。何気にイブキたちが戦っていた分ナノマテリアルが足りなくなるんじゃないかと心配していたが杞憂だったようだ。原作だとタカオを撃破できるだけのナノマテリアルみたいな表現をされていた気がするが、そうやって考えるとメンタルモデルってナノマテリアル的にかなり高密度の存在なのだろうか。それとも彼女が凝ったグラフィックにしたから負荷が増えたとか?

 

 イブキ達には一旦外で待機しておくように言っておいた。拘束したスィノプも一緒だ。スィノプの来訪には十中八九ビスマルクが一枚嚙んでいるだろうし、所属的に少なくない関係にあるであろうソユーズとパスをつないでいる可能性がある以上、できるだけ情報は制限しておきたかった。この後に起こる事案は上位者権限のようなもので私たちのデータベースに残せないことが明言されているので、誰かが口を滑らせない限りビスマルクに伝わることはないだろう。

 

 このことはコトノには伝えていない。そもそも大西洋の勢力をこちらに呼び寄せたのはコトノであるため、彼女はスィノプを招く側に回る可能性が高かったからだ。そのため、彼女には『攻防の最中にスィノプのコアがオーバーヒートしたために緊急停止し、その排熱を補助するためにイブキ達は外に残っている』ということにしている。二言三言詰められることを覚悟していたが、以外にもコトノは特に何も言ってこなかった。何故だ?

 

 現在私はまたまた正装に着替えてコトノの隣で待機している。丁度コトノを挟んでヤマトと対になる形だ。いちいち区別するのが分かりづらいから君も片割れのコトノみたいに固有名持ってくれないかな、ナガトとかよりはましとはいえ、ティルピッツに説明するのかなりめんどくさかったんだからな。

 

 というか前々から思ってたけどよくドレスとか着られるよね。なんか意味があるのかもしれないけど、とりあえず私はあんなキラキラしたウエディングドレスじみた服装は遠慮したいところだ。軍服っぽい今のこの服装も特段好きなわけではないが、あれに比べれば抵抗感はないも同然だ。何ならこの場の面子的にはこうした服装の方が正しいはず……なんだけど、隣にこうも堂々とドレスを着こなす人がいるとこっちの方が場違いに思えてくる。

 

 深くかぶった軍帽の向こう側からキリシマとタカオがすんごいこっち見てくるけど君たちも私が場違いだって思ってるんでしょ? 他の人たちはコトノに釘付けになってるんだから君たちもそっち見なさい。しっし!

 

 とりあえず現実逃避もかねて現在の状況を整理しておこう。

 この場にいるのは大きく三つのグループに分けられる。まず第一に私やコトノたち、それに400の仮称超戦艦組、二つ目にタカオやハルナたちの仮称横須賀組、最後に楓首相をはじめとした仮称日本組だ。このうち後者二つと私たちにはとある絶対的な認識の隔たりが存在する。戦力という意味もそうだが、『第四施設事件の真実を知っている』ということだ。そういう意味では、後者二つのグループをまとめて一つにくくることもできる。彼らにとって第四施設事件とは原因不明の爆発事故で実習を行っていた多くの学生が命を落とした悲惨な事故、というものだが、その実態は霧の艦隊が長時間更新されない管理者権限を更新するために次代の指揮者と邂逅した際に起きたエネルギー暴走だ。

 この次代の指揮者であったのが当時の天羽琴乃であり、彼女と顔を合わせるにあたり人体を模倣、それに失敗した結果として高密度のエネルギーが拡散し、事故が起きたというのが真相だ。言ってしまえば、当時のヤマトが下手人といっても過言ではない。

 

 事故直後に超戦艦ヤマトのメンタルモデルの片割れとして目を覚ましたコトノはその時点で回収可能だった人間の痕跡をほぼ全て回収し、そこに残った遺伝子情報などからナノマテリアルを用いて人体の復元を行おうとした。当然ながら高度な知的生命体である人体の再構成はそうそう簡単には行かず、長大な時間を要しこそしたが、超戦艦のもつ莫大な演算能力か、はたまたコトノの執念(彼女が群像との恋愛以外にそうした感情を持つのはあまり想像できないが)故か、それは成功した。人体のレシピとはナノマテリアルの一行で事足りるらしい。

 そうしてあとは目覚めの時を待つのみとなった当時の学生たちが、いま私たちの横に並べられているバイオポッドと繭の中間ような容器に入っているというわけだ。

 

 と、こんなことを考えている間にコトノも説明を終え、同時に最初の学生の修復も完全に終了した。出てきた人物の顔を見てタカオが何やら驚愕しているが、それもそのはず、彼はタカオが学園で親交を深めたとある少女の兄にあたる人物であり、件の少女はこの時期に転校という形で学園に来たタカオから何某かを感じ取っていたということだ。

 という説明を400がしているけど……ホントにそうかな(イブキから送られてきた記録映像を見つつ)、それはちょっとさすがに冷めた目線過ぎない?

 

 そうこうしていると霧の本来の上位者であるこの地球のヴァーディクトと名乗る宇宙服姿の謎の人物が出現し、そのヘルメットを外したところで私の知る原作は途切れている。

 

 結論から言ってヘルメットの下は欧州風の顔立ちをした少女のものであり、彼女こそが推定100歳越えのマダム、英国や群像君の父である千早翔像氏とも浅からぬ関係があると思われるグレーテルその人である。

 彼女、時々魔女と名乗っていたり、実際にコンゴウ戦で半死半生だった群像君の再生を異次元に早めたことからも人知を超えた魔法じみた技術を持っているのは間違いない。海と魔女というとセイレーンなんかが思い浮かぶが、何かしら関係があるのだろうか。

 

 

 うん、予測通り私のデータにもこの会話が記録できないようになっている。こうなると、私たち霧も人間と同じように記憶としてこの情報を留めておくしかない。

 私にも問題なく作用したことから、やはり統合戦略ネットワークとは全く異なる独自のパスを通してこちらに働きかけているらしい。つまるところ、私の生死は目の前のへんてこな格好をした少女に握られているということだ。えっと、宇宙服の足の部分とかなめましょうか?

 

 その程度で私と北洋方面艦隊の仲間たちが助かるなら全然するぞ私は。




本当に済まないと思っている

ジャン・バールを前倒しして出した結果玉突き事故的に一つ役が余ってしまって……

  • 史実艦で埋め合わせ(多分アラバマになる)
  • 史実IF(例ツェッペリン完成)
  • wowsから持ってくる
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