勇者の少女たちと紡ぐ、聖剣に選ばれた剣士の物語 作:A.S マフルガ
世界がまだバーテックスの危機に晒される数年前
詩織は若葉たち勇者と同じ中学生だった頃
『私の親友は本が好きだった』
杏子は本の読み聞かせを子供たちによくやっていた。
『最初は学校のボランティアに選ばれたからだった。でも、子供たちに本を読み聞かせる時の杏子の笑顔は本物だった』
詩織は杏子の事をいつも隣で見ていた。
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現在、詩織は杏子と戦っていた。
「やめて詩織!」
クリムは杏子の姿に戻って必死そうな表情を浮かべそう言った。
「っ…」
ブレイズはそんな杏子の姿を見て振り下ろしていた水勢剣流水を寸前に止めた。
「その隙を待っていたよ!」
「ぐっ…」
クリムはブレイズを攻撃。詩織の変身が解除された。
「油断したね!」
「違う、あんたは!」
『私の親友なんかじゃない』
「なのに私は…!」
声を聞いて水勢剣流水を止めてしまった。
「感じちゃってるじゃん。いい加減に認めたらどうなの?私は杏子だよ」
「……」
ここで認めてしまえば楽になるかもしれない。
そんな誘惑が詩織を襲う。
「詩織さんっ!」
若葉が二人の間に入ってクリムを攻撃した。
「大丈夫ですか詩織さん?」
「…助かったわ。ありがとう若葉」
詩織は誘惑を打ち消して水勢剣流水を構えた。
「私と詩織の邪魔をしたいんだ」
クリムは杏子の姿になった。
「まあ、いいよ」
杏子は二人から離れながら背を向ける。
「逃げるつもりか!」
若葉は杏子を追いかけようとした。
「っ…」
若葉は杏子が放ったオーラによって吹き飛んだ。
「また来るよ。詩織」
杏子はオーラに包まれると次の瞬間にはこの場からいなくなっていた。
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詩織たちあの場にいた者は、SWORDに向かった。
「杏子がメキドになって襲いかかって来るなんてな」
「すみません。今まで隠していて…」
詩織は陸人に向かって謝った。
「驚いた。まさかかつての仲間が敵になるとは…」
陸人は軽そうにそう言った。
「驚く所がそこですか?」
「人がメキドになる事もそうだが1番はそこの端にある。所詮メキドになってしまった奴なんて切り裂いてやればいい」
若葉は陸人の考えに不満そうだった。
「メキドであっても元は人間なんだぞ。そんな軽々と斬れるものか」
「斬らなければ他の人間がやられる。それでもいいのなら斬らなければいい。全てを守れる訳じゃないしな。諦めが付くだろ」
「…」
若葉はそんな考えは駄目だと思った。
「もっと強くならないと…」
「その為には鍛錬をもっと!もっと!!」
詩織は強くなりたい思いが強くなっていた。
「そうか。なら、お前にとっていい鍛錬場がある」
陸人は本棚を横のスライドして部屋の扉を開いた。
「その奥には何があるんだ…?」
「向こうの空間の時の流れはやや歪になっている。現実で言う1時間が1秒の感覚で流れるという訳だ。後はわかるよな?」
陸人はライオン戦記と同じ色をしたワンダーライドブックを詩織に渡した。
「はい、時間がかかっても必ず物にしてみせます!」
詩織は鍛錬の部屋に入って行った。
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詩織は同じ色のワンダーライドブックを装填したソードライバーから水勢剣流水を抜刀し、その動作を何度も繰り返した。
「はっ!はぁーっ!」
詩織は同じ動作を何度も繰り返す中で杏子との出来事を思い返していた。
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詩織はメキドの世界に迷い込み、運悪くメキドに鉢合わせてしまった。
「っ!」
メキドは詩織と一緒にいた人間を最も簡単に潰した。
「こんな簡単に潰せるものなの…」
詩織の顔は潰れた人間の血で濡れた。
「人間を舐めるなぁーっ!」
詩織はメキドを攻撃した。
「こっちだ!化け物ーっ!」
詩織は戦いながら逃げることでメキドを他の人間から遠ざけた。
(これぐらい歩けば化け物を他の人から遠ざけることができたでしょ…)
「っ!」
詩織は転けてしまった。
(このままだと…それだけは嫌だ…!)
詩織が恐怖を感じていると火の剣士セイバーが詩織を襲おうとしていたメキドを攻撃した。
「…危ないところだったね」
「そ、その声、もしかして杏子…!?」
詩織はセイバーの声からすぐに正体が杏子である事に気がついた。
「安心して。詩織の事は必ず私が守ってみせる!」
セイバーはそう誓い、交わした約束通りにメキドを倒した。
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現在、杏子は既にクリムの姿になっていた。
「まだかな」
クリムが詩織を待っているとブックゲートが出現して詩織が現れた。
「来たぁーっ!」
「待たせたわね…」
詩織はライオン戦記ワンダーライドブックを取り出した。
「詩織さん!」
若葉がやってきた。
「まだ鍛錬は終わりじゃない!そんな状態でやってもまたやられるだけだ!」
詩織はソードライバーの中央にライオン戦記ワンダーライドブックを装填した。
「私の為にやられに来てくれたの?」
「は、誰が?」
「私はあんたを倒しに来たのよ」
詩織は陸人から貰った二冊のワンダーライドブックを取り出した。
【ピーターファンタジスタ】
【天空のペガサス】
詩織はそれぞれのワンダーライドブックを開き、最初鳴った方をソードライバーの左側、後のを右側に装填した。
「杏子、あんたは私にとってヒーローだった」
「でも、あんたはもう居ない」
「だから…」
【流水抜刀!】
「この水勢剣流水に誓う、その役目は私が受け継ぐ!」
「変身!」
【蒼き野獣の鬣が空に靡く!ファンタスティックライオン!】
【流水三冊!紺碧の剣が牙を剥き、銀河を制す!】
詩織はブレイズのワンダーコンボ形態ファンタスティックライオンに変身した。