勇者の少女たちと紡ぐ、聖剣に選ばれた剣士の物語 作:A.S マフルガ
守山洸夢(かみやま・ひろむ)
…神世紀の主人公でこの物語の主人公。作者大好きな絵に書いたような男の娘。
…私生活では、弱弱しい性格なのでクラスの間ではよく小動物ともてはやされる。
新たな時代に、炎の剣士あり
失うのは一瞬のことで思っている以上の悲しみになって押し寄せてくる。
小学生だったころの僕はそうだとは知らず普通の生活を送っていた。
その日、僕はいつものように教室で同じ友達と他愛のない話をしていた。
「ねぇねぇ洸夢はどんな物語が好き?」
「僕はどれも好きだけどやっぱり一番となるとこれ!」
僕は鞄の中から一冊の本を取り出した。
「この物語に出てくる剣士が好きで!特に一度心が折れかけた剣士が立ち直った時に『覚悟を超えた先に道はある』って言葉が好きでさ!」
その本を見て内容を聞いた友達は少し反応に困った様子だ。それもその筈だ。この小説は認知度があまりなく大人であっても知っているのは極少数だ。
それでも僕は自分の想いに嘘は付きたくなくてどんな反応が返ってくると知った上でこの小説を紹介した。
「あ、私、この本知っているよ!」
そう言ったのは園子だった。
「本当!?」
「うん!この本たしか家にあって!ってどこに置いていたんだっけ…」
彼女は考えるが浮かばなかったようで『今度探し見るよ』と言ってチャイムが鳴って自分の席に戻っていった。
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お昼休み
「知らなかったの?園子は勇者だよ」
園子だけは勇者っていう選ばれた存在であることを後で友達に教えてもらった。勇者は神樹に選ばれた世界を守るお役目にある者らしい。
「かく言う私も勇者なんだけどねー」
「え、銀も勇者だったの!?」
驚いた。園子だけじゃなくて銀も勇者だったなんて。
「授業中とかいつも居なくなっているでしょ?あれは実はお役目をこなす為なんだよねーて先生も言ってるでしょ?」
知らなかった。
「本当洸夢は自分の小説にしか興味がないなー」
そこから銀に勇者の仲間などを教えてもらった。そこで最近話さないのが勇者同士の連携を高めるためだと知った。
じゃあどうして今は普通に話しているのか聞いたがお役目についての話に流そうとしてきた。
「お役目についてはいくら洸夢であっても教えてはいけないでしょ」
話しかけてきたのは須美だった。
「お、須美。須美の席はあっちだったでしょ?」
「二人が楽しく話しているのが見えてつい…」
さっきの話によると須美も勇者で友達だ。勇者になる前はいつも一緒に帰っていたが須美が勇者になった後もいつもとはいかないが一緒に帰ったりしている。
その時、飛んでいた鳥も教室にいるクラスメイトたちも動かなくなった。
「え…」
それだけじゃない。
白い光に包まれて周りの景色が変化した。
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そこは僕が好きな物語に出てくる世界に似ていた。
「ここは勇者がお役目を果たす空間よ。どうして勇者でもない洸夢がこの空間にいるの?」
須美は優しい口調でそう聞いてきた。それまで気が付かなかったが勇者の三人とも服が変わっていた。
「……」
僕は須美の疑問に答えることができなかった。
「そんなこと聞いたって一番わからないのは洸夢君自身だと思うよ」
園子は須美を「わっしー」と呼んでそう言った。
「そうね…」
須美は言い方がきつかったと思っているのか反省した様子で黙った。僕は須美の口下手なところも好きだけどね。
「二人とも来るよ!」
誰よりも先頭に立っている銀がそう言うと前方から巨大な怪物がやってきた。
「反省もそこまでにして戦おう!」
三人が巨大な怪物に向かっていった。
そして須美は弓で、園子は槍で、銀は双剣で巨大な怪物を攻撃していく。三人の連携はぴったりのものだった。
「これがお役目…!」
僕がそう思っていると紫の斬撃が三人を襲った。その斬撃を飛ばしたのは紫色の装甲に身を纏った剣士だった。
「死ねばすべてが無駄だ…」
そう剣士は言って三人に向かおうとしていた。
「やめろ!」
僕は剣士の前に出た。
「ほう、お前に命を懸ける覚悟はあるのか?」
「怖い。でも、覚悟を超えた先に道はある!」
そんな僕の前に炎が落ちていた。
「何…!?」
炎の中に聖剣があった。
「あれは火炎剣烈火!だが、普通のホモサピエンスには危険な物だ!」
僕は炎の中に手を突っ込んで聖剣を掴むと刃が周りの炎を吸収して三冊の本が収まりそうな鞘に聖剣が収まった。
【火炎剣烈火】
「君は火炎剣烈火って言うんだね。よろしく!」
僕は気づけばそれを腰に装着していた。
【聖剣ソードライバー】
横から帯がでてきて僕の腰ちょうどにフィットするように巻かれた。
「洸夢っ!」
銀が僕に向かって一冊の赤い本を投げ飛ばしてきた。僕が掴んだ勢いで本のページが開いた。
【かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…】
「そのブレイブドラゴンワンダーライドブックをベルトに差し込め!」
僕は銀に言われるままのことをした。
【烈火抜刀!】
「変身!!」
【ブレイブドラゴン!】
【烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】
僕の姿は炎の剣士、セイバー(みんなそう言っていた)になった。
「何をしようが結果は同じだ」
「いいや、物語の結末は…僕が決める!」
僕は剣士に向かって火炎剣烈火を振り下ろして攻撃したが、まだ未熟な僕の剣では剣士には避けられるばかりだった。
しかも剣士の攻撃はとても強くて一撃食らっただけでも気を失いそうになる。
圧倒的力の前では僕は無力だった。
「いや、まだだ!」
諦めない。諦めたくない思い一心で剣士に食らいついた。
そんな時だった。
「はーっ!」
黄色い剣士が稲妻と共に剣士に向かって聖剣を振り下ろした。
「……」
剣士は闇とともに姿をくらませた。その剣士とは戦いたくないように感じた。
ちょうど勇者たちの戦いも終わったようだ。
「君は?」
僕が聞くと黄色い剣士は鎧を消して僕に近づいた。それは僕と同じ年ぐらいの女の子だった。
彼女は僕を見ると何が嬉しいのか堪えられないって表情になった。
「久しぶり洸夢ーっ!!」
「え」
名前も知らない彼女が僕に飛びついてきた。
「「「「その子、誰!」」なのー!」」」」
三人の声が重なって何言っているかわからなかった。