勇者の少女たちと紡ぐ、聖剣に選ばれた剣士の物語 作:A.S マフルガ
樹界での戦いから数日、僕は幼馴染と名乗る女の子に追いかけまわされていた。
「どうして君は僕の事を知っているの?」
「それは幼馴染だよ!って何回も言っているよね~!」
記憶にない…
みんなは勇者の稽古があっていないけど須美は「きっと噓を付いて近づこうとしている」とか言っていていたけど
「僕と仲良くなってもなんのメリットもないよ?」
そんなことはないとどこからか声が聞こえた気がする。きっと気のせいだね。
「メリットか~」
「少なくとも私はこうやって会うことができて嬉しいよ?」
メリットじゃないような気がするんだけどなぁ…
すると、着信音が彼女の方から聞こえた。
「あ、電話だ」
彼女は服の中に忍ばせていたスマホのような物を取り出した。
「もしもしわたしだよ。え、うん。わかったよ。すぐに向かうね」
彼女はさっきの物を服の中に戻した。
「用事?」
「うん。洸夢にも関係のあることだから付いて来て欲しいな」
手を合わせてお願いされたら…
「わかった。どこに行けばいいの?」
引けに引けないじゃないか。
って、この子間違いなく僕が押しに弱いの知っていた?
「じゃあ行こうー!」
彼女に手を引かれて僕はある場所に連れて行かれる。走るスピード早いし、須美が見ていたらきっと「廊下を走らない」って怒るよ。
「開けて」
「え、でも…」
僕がいたのは誰も使わない女子トイレだった。開けろと言われているのは物置の扉だった。
ここまで来たら覚悟を決めて開けるしかないじゃないか。
僕が扉を開けると、そこには広い空間が、図書室みたいに本が陳列された場所があった。
「どうなっているの?」
「ようこそ秘密の基地へ~ここはわたし達SWORDの基地の一つだよ~」
「す、す…」
「す?」
「すごい!秘密基地ってあったんだ!初めて見た!」
僕が興奮していると男の笑い声が聞こえた。
誰かいたんだ…
「君が奏の言っていた新たに火炎剣烈火に選ばれた炎の剣士か」
「あなたは?」
僕が名前を聞くと二人はアイコンタクトを交わした。
「…そうだね、僕の名前はハルト。この基地の最高責任者とだけ覚えてもらえたらいいかな。今のことろはね」
「君をここに呼んだのは他でもない。君に選択させるためだ」
ハルトさんは一呼吸してから言う。
「君の持つ火炎剣烈火とブレイブドラゴンワンダーライドブックを返してくれないか」
「それらは元々SWORDが外部の手に渡らないように保管していたものなんだ。もし邪悪の意思を持った者に渡ってしまえば未曽有の事態を引き起こすこともある」
聖剣とワンダーライドブックにはそんな力が…
「でも、ワンダーライドブックだけは返せません。これは僕の大切な友達から渡されたものだから」
ハルトさんは僕のそんな返しを分かっていたようにふふと笑った。
「わかっているさ。君が初めて戦うところは彼女の目を通して見ていたからね」
「彼女の目を?」
「て、どうやって止まった時間の中で動けていたんですか!?」
ハルトさんは笑って「今更聞くかい?」と言った。
「SWORDは大赦と秘密裏に繋がっていてね。ワンダーライドブックに勇者と同じく止まった時間の中で動ける仕組みを作ったんだ」
そうだったんだ…
大赦の中に誰かスパイでももぐりこんでいるってことなのかな…
「あの紫の剣士も同じくワンダーライドブックの力を使っていたのはどういうことだったんですか?」
「闇の剣士カリバーのことか」
「彼については、なぜ闇の聖剣 闇黒剣月闇を持っているのか、なぜ勇者に襲い掛かったのか、変身しているのは誰か、その一切が不明だ」
「もし君が聖剣とワンダーライドブックを返せないというのならSWORDの剣士になるのも手だ」
「そうすればカリバーから彼女たちを守ることもできるよ」
「どうかな」
この決断はきっと重要な気がする。
ここで素直に頷いてもいいのかわからない。
「今すぐには無理だって顔だね。焦らなくたっていい。君が決断するまで少し待ってあげるよ」
「ありがとう…ございます…」
そうして解散した。
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時間はもう放課後になっていた。
彼女と一緒にトイレを出ると
「冨加谷奏。それが私の名前。よろしくね洸夢~」
自己紹介をして奏はどこかに走り去って行った。
元気がいい子だなぁ…
そう思っていると
「あれ?洸夢じゃん。どうしたの?こんなところで?」
声がした。
「銀!」
なんと銀が学校にいた。
「銀こそ遠征じゃなかったの?」
「それがさ、ちょっと忘れ物しちゃって。洸夢も何か忘れ物した系?」
鞄とか教室に置きっぱなしだし。
「なら一緒に行こう」
僕は歩きながら銀に聞いた。
「あの…さ」
「ん?」
「どうして銀はブレイブドラゴンワンダーライドブックを持っていたの?」
「…大切な人に貰ったんだ。その時のことは詳しく覚えてないんだけど持っていればきっといいことがあるって…」
「そう思っていたって結局はお守りのようにしか使えなかったから確実に使えそうな洸夢に託したんだ~」
「ほら、着いたよ」
話している間に教室に着いた。
僕らは忘れ物を持って教室を出た。
「…でも、それでよかったの?」
その人の確認を取らなくても…
「うん…まぁ…あの人はもう居ないし…」
居ない…て…
「またね。洸夢」
「あ、うん……」
またねと言うのが遅れてしまって言いそびれた…。
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次の戦いに奏も合流した。
「あ、洸夢君のストーカーの!」
「ストーカーじゃないって!私は雷の剣士!」
奏は三人に言いながらワンダーライドブックのページを開いた。
【ランプドアランジーナ!】
【とある異国の地に、古から伝わる不思議な力を持つランプがあった…】
奏はワンダーライドブックを一番左のスロットに装填した。
【黄雷抜刀!】
「変身!」
【ランプドアランジーナ!】
【黄雷一冊!ランプの精と雷鳴剣黄雷が交わる時、稲妻の剣が光り輝く!】
奏は雷の剣士、エスパーダに変身した。
「変身した!?」
「行くよ!」
エスパーダは全身に雷を纏って敵に向かい、雷を纏った聖剣で攻撃した。
勇者の三人は遠征で磨かれた連携を披露した。
「そろそろ来ると思っていたよ」
「雷の剣士、エスパーダか…」
エスパーダはカリバーとの交戦に入った。
「洸夢」
洸夢がやってきた。
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僕はみんなが戦っている中でハルトさんと会っていた。
「僕は決めました。カリバーが僕の大切な人を襲おうとしているのならみんなを守るために戦う」
みんなの笑顔を守りたい。
「いい顔だ。洸夢君」
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「僕は…みんなの笑顔を守りたいんだ!」
【烈火抜刀!】
「変身!!」
【ブレイブドラゴン!】
【烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】
僕はセイバーに変身してカリバーに向かって攻撃した。
「この間よりかは強くなったな…ならば」
カリバーは自身の聖剣にワンダーライドブックを読み込ませた。
【必殺リード!ジャアクドラゴン!】
【月闇必殺撃!】
「ぐ…」
カリバーが放った斬撃は火炎剣烈火で受けきれないほど強力だ。
すると
「はぁーっ!」
奏が加わった。
「奏!」
「一人が無理なら「あぁ、僕たちでやれば!」」
斬撃を弾き飛ばせたけど、相当疲れた。
「一人の力が強くなければ意味などない」
「行くよ」
「あぁ!物語の結末は僕たちが決める!」
【必殺読破】
「火炎十字斬!」
「トルエノ・デストローダ!」
【ドラゴン一冊斬り!ファイアー!】
【アランジーナ一冊斬り!サンダー!】
僕らの重ねた斬撃でカリバーはその身に食らった。
「友情など…」
カリバーは全身を闇で包み、この場から姿を消した。
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それから僕がSWORDの基地に行くと、銀がいた。
「銀!?」
「これで話が繋がった」
と、ハルトさんはため息に似た息を吐いた。
「どういうこと?」
「銀ちゃんは数か月前からSWORDに所属しているんだ」
「洸夢に言ったあの人との繋がりでね。剣士見習いみたいな感じだったんだけど」
でも、勇者に選ばれた、と。色々と複雑なんだね…。
「どうしてワンダーライドブックを密かに持ち出していた。洸夢」
「でも、あの人の所有物だったんだし大目に見て欲しいですよ…」
「そうだよお父さん!」
「え?」
奏はさっきなんて…?
「あぁ、言ってなかったね。僕は奏の父親みたいな者だ」
「えぇー!?!?!?!?!?!?」
あとで養子だと教えられた。