ごすと先輩と時々俺   作:Reppu

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通算UA5000超えたら…。
もう超えてた。
そんな4話目。




「らいせんすは621がてきにんだとおもう」

 

ご主人に指定されたポイントには移動用のカーゴヘリが用意されていた。機体をハンガーへ固定して全員が一度食堂に集まり通信端末を起動する。ご主人は別の所でちゃんとした拠点の用意をしているらしい。通信が繋がると、開口一番ご主人に向かって617がそんな事を言い出した。

 

『618、お前の意見は?』

 

そうご主人が618に意見を求める。多分ご主人の本命は618なのだろう。以前は彼女達が全滅してしまったから俺を使うしかなかったが、生き残っているなら使い始めたばかりの俺よりも慣れた彼女達が優先されるのは何も不思議じゃない。俺としても厄介なこの名義に思い入れもへったくれもないので618が使うなら使うで構わないのだが。

 

「私も617と同意見」

 

その言葉に思わず彼女の方を見てしまうが、返ってきたのは不思議そうな視線だった。

 

「拾ったのは621、なら拾った奴が責任を持って使うべき」

 

何だよその捨て猫拾ったときみたいな理屈は。

 

「ちーむでうごくのがきほんのわたしたちではつかいにくい、618がつかわなければひつぜんてきに621、おまえがつかうのがてきにんだ」

 

それはまあそうなんだろうが。

 

『それがお前達の判断ならそうしよう』

 

ご主人は一度ハンドラーという言葉の意味を調べた方が良いと思う。とは言うもののハウンズで俺が一番の新入りである事は事実だし、先輩とご主人の判断に反論するだけの理由も特にない。一瞬だけ俺以外がレイヴンとして登録された時のオールマインドの反応を見てみたい衝動には駆られたが、そこは我慢しておく。

 

『では621、傭兵支援システムへのアクセスキーを渡す』

 

ご主人から送られてきたパスワードを確認し端末から傭兵支援システムへ接続する。本当のことを言えば見なくてもアクセスキーは知っているんだが、流石に黙っておいた。

 

『登録番号Rb23、登録名レイヴンによる認証を確認。生死不明状態を解除、ユーザー権限を復旧します。傭兵支援システム“オールマインド”へようこそ、レイヴン、貴方の帰還を歓迎します』

 

『認証は通ったな。レイヴン、それがルビコンにおけるお前の身分となる』

 

頷きつつ俺はレイヴンの詳細を確認し、そして愉快な事になっている内容をご主人に告げた。

 

「マスター、このライセンスだが」

 

『なんだ、問題か?』

 

問題ではない。いや、ある意味ご主人にとっては問題か?

 

「随分と貯め込んでいる。それと装備も充実しているようだ」

 

『なんだと?』

 

金の方は見知った数字だ、確か最後の記憶の時が大体この位だった気がする。そちらはまあ頑張って稼いだと目を逸らせるが、保有パーツの方はちょっと言い訳が出来ない状況だ。

 

「このHALとかいう機体、製造元が教えられていたどの企業とも違うみたいなんだが。それに試作品の武装も随分持っているみたいだぞ」

 

三周目辺りから都合が良いので見ない振りをしていたんだが、普通に考えれば異常な状態だ。パーツを広く販売しているベイラムやアーキバスにその傘下の企業はともかく、技研の装備や企業が水面下で協力し極秘裏に開発した新型なんかが普通に資産として保管されている。当たり前の様にミッションに使っていたが、普通に考えたら異常過ぎる光景である。

 

『……』

 

「独立傭兵が企業と組んで試作兵器を使うなんて良くある事」

 

「にんむちゅうにぐうぜんにゅうしゅしたはっくつひんなどをほゆうしているのもきくはなしだ」

 

『拾ったライセンスでは良くある事だ、気にするな』

 

いいんか?それで?

 

『早速だが依頼を取ってきた、確認しろ621』

 

OK、この話はもうするなって事ね。ただまあどうせなら提案しておきたい事がある。

 

「了解した、マスター。所でこの装備だが俺一人で使うには数が多い、皆で共有する事は出来ないのか?」

 

確か別の星では保有している機体をAIに預けて僚機として運用するなんて事がされていた筈だ。なら現地協力者に機体を貸与するという言い訳は通じるんじゃなかろうかと思ったのだ。

 

『暫し待て。…支援システムの提示しているルールにはそうした違反項目は無いようだ』

 

ほうほう、まあ金と暴力がものを言う世界だからな、制限なんかしたところで企業のお抱えと格差がつくだけだからオールマインドとしても都合が悪いのだろう。

 

「なら装備も資金もマスターが上手く使ってくれ」

 

『全てお前の資産にも出来るぞ』

 

えー、そりゃないぜご主人。俺はこれでもハウンズの一員のつもりなんだぜ?

 

「投資というやつだろう?ハウンズの戦闘力が向上すればよりデカい仕事が受けられる。そうすればもっと稼げる」

 

ご主人の用意してくれたRaD製のフレームも悪くはないのだが、やはり戦闘を前提とした各企業のフレームに比べると見劣りする部分が多い。各人の特性に合わせたフレームに乗り換えるだけでも戦力の向上が見込めるはずだ。

 

『解った。では他のメンバーのライセンスだが』

 

お、そうだ。

 

「マスター、どうせ新規登録するならあのランク圏外のライセンスも使ったらどうだ?」

 

見た限りアーキバス系のフレームを使っていたから案外資金を持っていた可能性がある。そう提案したら先輩方から思いっ切り睨まれた、なんぞ?

 

『ふむ、それも手か』

 

「いや、マスター。ランク圏内と圏外を同列に考えるのは危険だろう」

 

「うむ、そうびをととのえるためにむりなしゃっきんをかかえているかのうせいもある」

 

「フレームの構成も適当だから稼げていたかも疑問」

 

「んおー?」

 

そしてそこから息の合ったコンビネーションによる否定の嵐、若干一名喋っていないが、彼女は両手を高く挙げて俺を威嚇するという重要な役割を担っているようだ。重要か?

 

『…そうだな、手にした幸運に踊らされて余計なリスクは背負うべきではない。では他の者は全員新規のライセンスを取得する。では621、お前は依頼を確認後出撃準備に移れ』

 

「了解」

 

そうしてご主人との通信が切れた瞬間、617と618が大きく溜息をつき、620が口を尖らせて俺へ文句を言ってきた。

 

「621、もう少し考えて提案する」

 

「620のいうとおりだ、ますたーがりょうしょうしていたらどうするつもりだったんだ?」

 

「普通に使うだけだろう?何か問題があるのか?」

 

何だよそのダメだコイツ的な表情は。

 

「私達はハウンズ、ハンドラー・ウォルターの猟犬。そんな私達にトリとかサルの名義を使えとか、正気?」

 

え、そこ?

 

「俺は使う事になってるんだが?」

 

「しんいりー!」

 

俺の反論にそう指さしながら619が応じる。ええと、お前は新入りだからババ引くのも仕事の内って事か?他の先輩方も腕を組んで頷いている辺りそうっぽいな。所詮ルビコンだけの仮の名だろうになんて思いもするが、そこは意識の差が大きいのだろう。何せ俺はハウンズと呼ばれるよりもレイヴンと呼ばれていた期間の方が圧倒的に長いが、その名前に思い入れなんて微塵もないのだ。寧ろそこにご主人との繋がりを見出して不満を覚える彼女達は俺よりも遙かに人間らしいのかもしれない。

 

「了解、俺が悪かった」

 

そう先輩方に謝罪して俺は端末を操作する。メッセージを確認すると、ご主人が言っていた依頼が2件表示された。

 

「べいらむとあーきばすのかんれんきぎょうからのいらいか、どちらもふとくていたすうにむけたばらまきだな」

 

「ランク圏内でも最下位じゃこんなものね」

 

「ベイラム、相変わらず暑苦しい」

 

横からのぞき込んだ先輩達が好き放題に言ってくれる。まあ正直どっちも大した仕事じゃない事は確かだ、俺達強化人間にとってはだが。

 

「621なら問題ないね、さっさと終わらせてきなさい」

 

618がそう言って部屋を出て行く、ご主人との合流ポイントへ向かう準備をするのだろう。同じ様に617と620も続いたが、何故か619だけがこちらを見ていた。なんぞ?

 

「おめでとー、今日から君もレイヴンだー」

 

真顔でそれだけを言うと619も出て行く。俺は一度小さく息を吐くと端末を操作し、受ける仕事をご主人へ連絡するとハンガーへ向かうのだった。




ネタ切れしたんで連続更新はここまでです。
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